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府議会の報告

平成23年5月定例会 代表質問

平成23年5月27日
花谷 充愉 議員

1 大阪府財政運営基本条例について

条例の必要性、規定内容について
(質問)
そもそも、なぜ条例が必要なのか。条例化しなくても、知事と議員のチェックで良いのではないのか。
また、財政調整基金の積み立て目標額を知事が設定する義務を条例で規定するということだが、目標額を先に議論してから、条例化すべき。
【知事答弁】
(知事と議員で)チェックできればいいが、できなかった過去の歴史がある。ルールを作るのが当たり前。
政治と行政の役割分担を考えるべき。
積立目標額そのものは専門性をもとに議論しなければならないので、専門委員会を通じて行政的に計算すべき。
目標額を決めるかどうかを政治的に議会で議論してほしい。これまでは目標額を決めてこなかった。
(再質問)
もしこの条例が成立したら、条例違反になるのではと思われる事例がすでに存在していると思う。
今年度の私立高校授業料支援補助や、中学校給食の導入促進は、第4条の、新規施策を実施しようとするときは、 経費に充てるための安定的な財源の確保に努めるものとする、という規定に抵触すると考えられる。
この条例は、来年度予算編成時からの適用を想定しているので、すでに可決された予算には適用しないということなのか。
条例化するのであれば、何が条例違反になるのか、根拠を明確にしておくべき。
【知事答弁】
今回の条例は刑罰法規ではない。事実認定するものではない。財政運営という政治行動のための規範。
条例違反は、公選職である議員または行政側が自分で判断し、そのうえで議会の議論を経て、判断されるべき。
僕としては、給食は、決算余剰金の状況を見つつ、20~30年の長期プランの中でちゃんと予算確保できるので、 条例違反には関係ないと考える。
条例ができることによって、このような議論ができるようになる。
(まとめ)
条例がなくても、これまで議論してきた。
細かい点は、総務常任委員会で議論していきたい。

2 豊能地区3市2町への教職員人事権の権限移譲について

(1)権限移譲の対象地域について
(質問)
このたびの権限移譲は大阪の子どものための教育にかかわる大切な問題であり、本来は一部地区だけでなく府域すべてでやるべき。
一部市町村から権限移譲の要望があったとはいえ、もっと慎重に時間をかけて議論すべきではなかったのか。
教育長の所見を伺う。
【教育長答弁】
昨年4月に文部科学省から「教職員人事権の移譲は可能」との見解が示されてすぐに、豊能地区3市2町から権限移譲の要望を受けた。
様々な懸念があるなか、議論を続けてきた。昨年9月に、知事と府教育委員会、豊能地区3市2町の首長と教育委員会が同じテーブルにつき、 ようやく互いの意思を確認することができた。
以来、プロジェクトチームで検討を重ね、当初心配された課題をクリアできる目途がついたところ。
こうしたプロセスを経て、実施時期が1年遅れの24年4月となったものの、この間の議論は決して無駄ではなかった。
豊能地区以外は、現状では、まとまって移譲を希望するところはない。
各地区でまとまって、首長と教育委員会双方の意思を固めていただくことが先決。
豊能地区が成功事例となるよう取り組んでまいりたい。
(2)移譲後の教職員人事権の管理執行にかかる懸念について
(質問)
教職員人事権の移譲は市町村ごとだが、豊能地区では地方自治法に基づく管理執行協議会を設置し、教員採用事務などを行うとのこと。
優秀な教員を求めて、市町のあいだでもめごとがおこらないか。
また、教職員の採用について、人数、資質の両面で問題はないと考えているのか。
さらにいえば、校長・教頭等の管理職の任用は大丈夫か。教育長の所見を伺う。
【教育長答弁】
人材確保の不均衡を防止するための仕組みについては、3市2町が一体となって人材確保のための「セーフティネット」を講じることが申し合わされた。
府教育委員会としても、特に小規模な町に配慮した人事運営が行われるよう、権限移譲後も留意してまいる。
次に、教員採用については、大阪府の教員採用選考の合格者の一定割合が、豊能地区に居住していること、講師登録者の一定割合が、 豊能地区での勤務を第一希望としていることから、教員採用選考に支障がない程度の受験者は確保できると考えている。
校長、教頭の管理職任用については、府教育委員会では、現在、受験年齢制限の緩和、民間人や行政職員からの任用など、 管理職としてのリーダーシップを持った人材を積極的に登用しているところ。積極的な人事交流によりしっかりと支援してまいりたい。
(再質問)
わが会派としては、権限移譲そのものに反対なわけではない。
しかし、人事権の移譲というものは、一度やってみて、後で元へ戻すということは出来ない。
取り返しのつかないことにならないか。準備不足でないと言い切れるのか。教育長の所見を伺う。
【教育長答弁】
さきほどもご答弁申し上げたように、要望された実施時期を1年遅らせて、昨年議論を重ねてきたつもり。
3市2町も不退転の決意を固めていただいた。権限移譲が成功するよう、力を合わせてまいりたい。
(まとめ)
重ねて申し述べるが、わが会派は必ずしも教職員の人事権の移譲に反対ではない。
しかし、教職員人事権の移譲は他の事務の権限を市町村に移譲することとは根本的に異なる。
「教育日本一」を掲げる大阪府が今こそ、豊能地区へ権限移譲をするにあたって、 しっかり大阪のあるべき教育論の議論を尽くすべきだと指摘しておく。

3 国歌斉唱時の起立義務付けについて

(1)国歌斉唱時の不起立教員への対応について
(質問)
国旗国歌法及び学習指導要領に基づき、教育委員会は各校長に対し、国歌斉唱時は起立すべきことをすでに通達している。
しかし、いまだに起立しない教員がいると聞いている。
今後どのように対応しようとしているのか、教育長の所見を伺う。
【教育長答弁】
今後は、教育長通達を職務命令として教員あてに発出し、校長が職員会議の場等で、教育長通達を全教員に示すなど、 学校の実情に応じて、校長が教員を粘り強く指導するとともに、府教育委員会としては、 校長のマネジメントをしっかりとサポートすることを基本とした対応を行ってまいりたい。
あわせて、職務命令に従わない教員に対しては、処分を含めた、毅然とした対応をおこなっていく。
(2)条例化に対する考え方について
(質問)
条例によって、府立学校、市町村立学校の教員に起立、国歌斉唱を義務付けようとする動きがある。
条例の必要性について、どのようにお考えか、教育長に伺う。
【教育長答弁】
教育委員会としては、校長と力を合わせてしっかりと対応していくので、条例による義務付けは必要ないと考えているが、 これまでの府教委の取組みが不十分であるというご指摘もある中での議論であり、真摯に受け止めなければならないと考えている。
一方、市町村立学校教員の対応については、条例が制定された場合、教育委員会会議で慎重に検討してまいりたい。
(再質問)
条例といえば、わが会派は、国旗を常時掲揚する条例案を議員提案している。
府立学校における国旗の掲揚は、条例の有無にかかわらず実施できるのか。
教育長の所見を伺う。
【教育長答弁】
入学式・卒業式における国旗の掲揚については、現在、すべての学校で実施しているところ。
今後も、条例の有無にかかわらず、学習指導要領の趣旨を踏まえ、適切に対応していく。
しかしながら、常時掲揚については、府立施設全体の管理の問題であり、条例等により、 府立施設全体の方針を示していただくことが必要だと考えている。
(3)条例化を求める発言の真意について
(質問)
さきほど、教育長から答弁のあった通り、国旗の常時掲揚については条例が必要だということなので、わが会派の提案に関して、 議員の皆様のご審議をお願いする。
また、国歌に関しては、条例による義務付けは必要ないとの教育長の答弁だった。
知事は、国歌斉唱時の起立義務付けに関連してさまざまな発言をされているが、条例化しなくても、 職務命令を徹底すればいいだけではないか。知事の発言の真意を伺う。
【知事答弁】
(国歌斉唱時の起立は)きちんと指導する、という教育長答弁を何度も聞いてきたが、実現していない。
できていれば条例はいらない。できていないから条例化しよう、というのは政治の決める話。
職務命令はどの規範に基づいて出すのか。文部科学省が出した学習指導要領は行政が決めたものであり、 選挙で選ばれたものが決めるものよりは規範としては軽いと思っている。
教員は、個人集団から組織性を持った企業集団になってもらう必要がある。
学校長のマネジメントを強化したい。これまでは職員会議の多数決で学校運営が決まっていたような状況も変えていきたい。
職務命令には徹底してこだわっていきたい。

4 大阪の広域行政を協議する場について

(質問)
わが会派としては、大阪府、大阪市、堺市の3自治体の首長が同じテーブルにつく場を設けて、みぞを埋め、 考え方を統一するよう努力して、一緒に改革に取り組むことが大事だと思っている。
それが本当の協議会だと考えるが、知事はどうお考えか。
【知事答弁】
大都市制度のあり方を変えることは、府議会議員、市議会議員、国会議員の権限に関わることであり、ある意味政治闘争になってくる。
そのときに、行政的な協議会、サロン的に意見を言い合う場では何も決まらない。
制度を変えることを迫るなら、価値観を同じくする者が集まって政治運動的にやらないと何も動かない。
価値観を共有していない者が集まっても、ただテーブルについただけになってしまう。
府議会の会派が政党別に分かれているのと同じ。

5 議員選出監査委員の有無について

(質問)
知事の方針は、議員選出の監査委員を減らしたとしても、監査委員の総数5人は減らさないという理解でいいのか。
また、知事は、法律改正してまで議員選出の監査委員をなくしたいという思いなのか。
国に法改正を要望するおつもりか。
【知事答弁】
監査委員の定数については、監査機能の重要性に鑑み、減員することは考えていない。
議員選出監査委員は、法改正してでもなくすべき。
<まとめ>
私たちと同じ思い。国家要望の際には一緒に伝えたい。

6 大阪の防災対策について

(1)今回の大震災を受けた地域防災計画の見直しについて
(質問)
今回の東日本大震災を受け、大阪府議会でも、早急に災害対策に係る調査特別委員会を立ち上げて議論していきたいと考えている。
また、大阪府の地域防災計画を早急に見直さなければならないとわが会派は考える。
知事は、いつまでに見直していくのか。
【知事答弁】
地域防災計画については、関西広域連合が策定する広域防災計画とも整合を図りながら、今年度中にも、 対策の基本方針が確定したものから順次、計画に位置づけていく。
(2)府有施設の耐震化促進について
(質問)
大阪府は、平成27年度末までに建物の耐震化率が90%以上になることを目標としている。
今回の震災を受け、府民の避難所ともなりうる府有施設の耐震化を早める必要があると考えるが、知事の所見を伺う。
【知事答弁】
災害時に府民の生命を守る拠点となる府有施設の耐震化は重要であり、財政状況が厳しい中、積極的に取り組んできた。
今回の震災を受け、長周期地震動への対応の強化など必要な対策を講じていく。
さらに、避難所など災害時に重要な機能を果たす建築物については、平成27年度までに確実に100%の耐震化を図る。
(再質問)
今の答弁をお聞きしていると、耐震化を早めるつもりはない、と理解したらいいのか。
【知事答弁】
早めたい気持ちもやまやまだが、総合的な財政状況の中で、27年度までに100%はしっかりやっていきたい。
状況によって変更はありうると思っている。
<まとめ>
私たちは早くした方がいいと思っている。ぜひご検討をお願いする。

(3)今回の震災にかかる電力不足への懸念がある中での大阪のエネルギー対策について
(質問)
今回の震災で、東日本で多数の企業が被害を受け、生産活動が滞っている。
このたびの浜岡原発停止に伴い、西日本でも電力不足の懸念がある。
また、新聞報道によれば、知事は節電で電力不足を補う考えを示したとのことだが、本当に実現可能なのか。
今後の政策として、大阪のエネルギー対策をどのようにすべきと考えておられるのか。知事の所見を伺う。
【知事答弁】
節電を呼びかけたのは、電力不足を補うためではない。
まだ関西電力は電力不足を発表していないので。
原子力発電所、電力消費そのものについて自分たちで考えることが重要との思い。
今後のエネルギー対策は、国が考えること、地方が考えること、両建てで考えなければならない。
僕の考えは、自然エネルギー、再生可能エネルギーを増やしながら、 省エネを考えながらできるかぎり原子力発電所に依存しない方向が日本の歩むべき道かと思っている。
<まとめ>
大阪の経済に大きな影響が出ないように、対策を進めなければならない。
そのようなプランを、知事を中心としてまとめていただきたいと思う。

7 咲洲庁舎の緊急補修工事について

(1)咲洲庁舎の今後の耐震対策経費について
(質問)
咲洲庁舎は、先日の東北地方太平洋沖地震の際、長周期地震動の影響により、大きな被害をうけた。
今後、咲洲庁舎の耐震対策にどれだけの経費が必要となるのか。総務部長に伺う。
【総務部長答弁】
咲洲庁舎の長周期地震動対策については、平成20年度に専門家の監修のもと、影響調査を実施し、対策をとりまとめており、 平成24年度に約23億円の工事費を予定。
今回の地震では、咲洲庁舎に設置された地震計により、新たな地震データが得られことから、これを踏まえ、 咲洲庁舎の安全性等についての再検証を行った。
その結果、概算工事費で約10億円の追加対策が必要と判断。
従来の計画と合わせると約33億円となるが、追加対策の内容・所要額については、今後詳細に検討し、あらためて9月議会までにご報告し、ご審議を賜りたい。
(2)咲洲庁舎の耐震性能等に関するこれまでの認識と実状について
(質問)
平成21年2月議会の一般質問において、当時のわが会派の梅本議員が、 「災害時に府庁という組織の機能を最大に発揮できる府庁舎が求められている」と質問したところ、知事は、行政として、 政治としてとらなければならない災害対策のレベルはすでにクリアしている、と答弁された。
クリアしていたのであれば、今回の緊急補修費1億円は必要なかったのではないでしょうか。
知事の発言と、実状は矛盾すると思わないか。
【知事答弁】
必要な対策を行うことを前提として、想定される災害への対応はクリアできるということを述べたもの。
対策を講じる前に今回の震災が起こったので、被害が出た。
<再質問>
平成21年9月議会においては、長周期地震動によって高いビルは共振がおこり、とんでもない被害が起こる可能性がある、 という指摘がなされた。それに対し、知事は、長周期地震動について必要な検証は終わっていて、WTCビルは大丈夫である、という答弁をされている。
しかしその時すでに示されていた「長周期地震動によるWTCビルへの影響調査」結果によれば、 「災害時に重要な機能を果たす施設に求められる耐震性能が確保されていない」ことがわかっていた。
大丈夫とおっしゃていたのだから、追加の対策費用はいらないと思うが、知事はどのようにお考えか。
【知事答弁】
新たな知見によって哲学を変えるということで、ここまでしか今のところ行政はできないということと、 それを超える部分のリスク開示でやっていく。
ビル建設時には予定していなかった事象が今回おこったので、見直したということ。
<再質問>
ほかの府県で、旧WTCビルのように、今回の大震災で新たな知見を得て、追加で対策費用を予算計上したところはあるのでしょうか。
また、大阪府としては、今後新たな知見が出るたびに、追加費用をどんどん出すおつもりなのでしょうか。
【総務部長答弁】
高層ビルの庁舎である東京都庁は、長周期地震動が十分議論されていない時に建てられた。
大規模改修と合わせて今後対応するとのこと。
今後新たな知見が出たらどんどん追加するのかという点については、専門家ではないので、絶対ないとは言えない。
しかし今回、国の機関が設置した地震計でデータが観測されており、検証は進んでいる。
<まとめ> 今回の大震災で、市役所、町役場が津波の被害にあい、多くの職員が犠牲となって、行政機能のマヒをひきおこしている。
今更申し上げるまでもなく、臨海部に位置する、あの超高層ビルの咲洲庁舎が大阪府の防災拠点になり得ないことは明白である。
わが会派としては、もはや大阪府庁が咲洲へ全面移転することはありえない、検討の余地がないということを申し上げておきたい。

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