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府議会の報告

平成24年2月定例会 一般質問

平成24年3月2日
岡下 昌平 議員

1 大都市制度

大都市制度に係る協議会に対する堺市の立場について
(質問)
大都市制度検討協議会についてお尋ねします。
今回提案されております大都市制度検討協議会で、当初、堺市の参加も想定されていたと思うが、先日、 堺市長はこの協議会への参加を見送られました。知事は、条例案の条文のどこに原因があるとお考えでしょうか、お聞かせください。

【知事答弁】
岡下議員のご質問にお答えします。
条例提案を見送られた堺市長の判断は、私としては非常に断念です。
条例案のどこに問題があるかというご質問ですが、条例案には問題はないと思っています。
(再質問)
条例案に問題はないというお答えでした。
堺市は地方自治法が施行されてから約50年間、一般市として基礎自治体のサービスを担ってきました。
その後、平成8年の中核市移行を経て、平成18年に政令指定都市へと段階を踏んで移行してきました。
このような長い年月の中で、府との役割分担をしっかりと行い行政運営を進めてきており、広域自治と基礎自治の住み分けはきっちり出来ております。
今回、大都市制度議論の背景となっている最大の問題は府と大阪市との間の二重行政であると理解しておりますが、 そのような問題は堺市においては存在しません。加えて、規約の案では一度参加すれば、全ての関係団体の同意がなければ、 脱退できないものとなっております。
つまり、一旦協議会に参加すれば、協議会の決定が、堺市民の意思に反する方向になっても、脱会出来ず、多数決に加わることを義務付けられ、 その結果を受け入れざるを得ないという状態に追い込まれることになります。
堺市が美原町と合併したときの協議会では、採決は全会一致を基本としていたこともあり、堺市長は特に多数決に疑問を感じておられます。
多数決ルールにより、区割りだけでなく基本計画全般について、堺市の意見が反映される保証はなく、 堺市の実質的な選択肢が制限されてしまうものと考えております。これは、市民の様々な意見を集約することが求められる市長として、 受け入れがたいとの思いは当然であります。
広域行政を統一し、二重行政の弊害を解消するといったことは、現行制度のもとでも、出来ることはいくらでもあります。
その努力もせず、制度論のみに偏った協議会を設けるというのは、いかがなものかと思います。
制度設計のみを目的とする今回の条例案は一旦、取り下げ内容を再検討した上で提案し直してはいかがですか。知事のご所見をお伺いします。
【知事答弁】
岡下議員は大都市制度の協議会の条例を勘違いされております。
堺市と大阪府の間では、二重行政はないかもしれませんが、一体の大阪全域を見据えた上では、広域行政の中で堺市は様々な部分で、 堺市の思いというのをお持ちになっております。それは地下鉄もそうですし、水道も、広域に入る部分はそうです。
この協議会において、堺市が協議会に参加をされて協議会の多数決で堺市の分割は決まりません。従って、理不尽な決定は致しません。
堺市の竹山市長には、何々がありきという形での条件を付けずにご参加をお願いしたい。
従いまして、堺市の竹山市長が、分割に対して、このような弊害があるということであれば、この協議会に堂々とご参加をされて、 ご主張をされればいいわけです。協議会には、私も、橋下市長も、議会のみなさまも竹山市長もご参加され、それぞれ同じ立場、対等な立場で、 大都市制度について議論をさせていただきます。そして議論に議論を重ねた中で、最終的には協議会としての方向性、 一つの答えとして多数決というものが用いられていますが、現在は大阪府、大阪市、堺市とそれぞれの自治体がそれぞれの行政の主体を担っており、 それぞれの自治体に議会というものが、しっかりと機能を致しております。
それぞれが協議会で決定したことを、それぞれが持ち帰り、それぞれの議会でご議決をいただかないと、 我々が目指している大都市制度というものには、決定できない仕組みになっております。
従いまして、議員が仰っているような理不尽なものということではございませんから、この提案を取り下げることは致しません。
(まとめ)
知事のご主張はよくわかりましたが、実際規約の中にも多数決のことが書いてありまして、それを気にされるのは当然だと思っております。
堺市と歩み寄りがなかなかこのままでは見いだせないのではないかと危惧しております。
我が党としては、制度を改正することなく広域行政の統一化は可能であると考えておりまして、 大阪広域戦略協議会を設置すべく条例案を提案していくので、合わせて議論していきたいと思います。

2 泉北ニュータウン活性化

(1)泉北ニュータウン活性化にあたっての府の支援について
(質問)
私の地元堺市南区は、昭和42年の宮山台のまちびらき以来、泉北ニュータウンの開発とともに発展してきた地域です。
しかし、まちびらきから45年が経過した現在、少子高齢化の進展や世帯流出などの影響もあり、高齢化率は23.9%といった現状です。
しかも、堺市の中で南区だけが前回調査に比べて、人口が減少しています。
今のところ、お元気な方々が地域を支えておられ、様々な活動が行われていることから、泉北ニュータウンとその周辺地域の活力は、 なんとか維持されておりますが、堺市の推計では、10年もすると、今以上に人口減少、少子高齢化が進展し、いよいよ、 まちの活力の減退が現実のものとなるのではと危惧しております。
大阪府においても、ニュータウンの活性化に向けての取組みを進めることが不可欠との思いから、平成22年4月に、大阪府が地元堺市を支援する形で、 泉北ニュータウン再生府市等連携協議会を設立し、昨年3月に策定された活性化ビジョンをもとに、具体化が進められております。
また、将来の街づくりを考えた場合、地元市である堺市の果たす役割は非常に大きいと思います。
しかし、市側から活性化に向けた明確なビジョンがあまり見えてこないというのも泉北ニュータウンに長年居住し事務所を構える私の実感です。
従って、将来にわたっての地域の活性化を、本気で実現しようとするならば、府は、市を強力にサポートし、 場合によっては、市をけん引していくぐらいの心構えをもって進めていくべきではないでしょうか。
知事は、泉北ニュータウンを全国のニュータウン活性化モデルとするにあたり、どのような取組みが必要で、どのような手段を用い、 どの程度の期間で実現しようとしているのか、お聞かせ下さい。
【知事答弁】
泉北ニュータウンの再生は、泉北地域の再生だけでなく、大阪府全体の活性化につながる重要な事業であると認識しています。
なかでも、泉ヶ丘駅前地域の活性化は、泉北ニュータウンの再生の核となる事業であり、昨年3月に「泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョン」を策定し、 イベントの開催など、活性化に着手したところ。
今後とも企業や大学の誘致など大阪府の企業誘致のノウハウを生かしながら、ビジョンの取組み期間は10年でありますが、 できるところから順次取り組んでまいります。
(2)泉北ニュータウン活性化と鉄道料金との関連について
(質問)
泉北ニュータウンの活性化は、ニュータウンの中だけでいくらがんばっても出来るものではありません。
地域外への世帯の流出を防ぐのみだけでなく、新たな居住者として、あるいは、 買い物や観光など幅広く地域外からも訪れてもらえるような取組みが必要であります。
これには、泉北ニュータウンの大動脈とも言うべき泉北高速鉄道の果たす役割は非常に大きいのです。
泉北ニュータウン内にある学校に、あるいは、ニュータウンから他地域の学校に子供を通学させる保護者からも高額な通学定期代をどうにかしてほしいとの声をよく耳にします。
現状では、南海電鉄の難波から中百舌鳥で泉北高速鉄道に乗継ぎ泉ヶ丘までの通学定期代は1ヵ月で10,320円。
南海電鉄の利用だけで同程度の距離にある大阪狭山市までの通学定期代は5,550円と、泉北高速鉄道へ乗り継ぐと約2倍の負担が伴うこととなる。
これは、泉北高速鉄道と南海電鉄のそれぞれの料金を合算することから割高になるのですが、泉北高速鉄道の利用者にとっては、 どうしても割高感がぬぐいきれないというのが現状です。
これでは、泉北ニュータウンへ行ってみようか、住んでみようかという気持ちにはなれません。
泉ヶ丘駅を核とする取組みだけではなく、ニュータウンに気軽に足を運んでもらうため、 泉北高速鉄道の料金値下げはニュータウンとその周辺地域の活性化の大きな要素であり、これは是非とも解決しなければならない、 長年にわたる最大の課題だと認識しています。
そこで知事に伺います。知事は、これらの現状を見て、活性化にとって鉄道料金の値下げが必須のものであると認識されていると思いますが、 活性化と鉄道料金の関連性をどのように考えておられるのかお聞かせ下さい。
【知事答弁】
泉北ニュータウンの活性化に向けて、泉北高速鉄道の運賃の割高感や負担感を少しでも何とかしたいというのは、私も同じ思い。
しかしながら、鉄道運賃については、鉄道事業にかかる費用等から算定する総括原価方式がとられており、泉北高速鉄道の運賃引き下げについては、 過去の投資の状況や少子・高齢化等による乗降客数の減少傾向を踏まえると、現在の経営形態のままでは難しい。
泉北高速鉄道を運営する大阪府都市開発株式会社(OTK)を民営化することで、民の視点による徹底的なコスト削減や効率化とともに、 関連企業・グループを含めたスケールメリットや総合力の活用も期待できることから、値下げの可能性が高まると考えており、 民営化の手続きの中で、泉北高速鉄道の運賃値下げ等の利便性向上策の提案を求め、できるだけ早く実現につなげていきたい。
(要望)
ただいまの知事の答弁では、鉄道料金の値下げはOTKの民営化が前提のご答弁でしたが、現在、大阪府はOTK株の49%を保有しており、 尚且つ、取締役の中には都市整備部長をはじめとする府の関係者がおります。そのような状況であれば株式の一括売却を待たなくても 料金値下げは可能なはずです。また、府はOTKより年間約2億円の配当を受けており鉄道事業は単年度9億円以上の黒字であります。
せめて、通学定期代にそれらを還元することも49%の株主であれば可能なはずです。是非、様々な観点から検証し、 その手法いかんにかかわらず府民のために、スピード感をもって成し遂げるべきであると申し添えて、次の質問に移ります。

3 府営住宅

①府営住宅敷地内での不法耕作について
現在、大阪府が管理する府営住宅戸数は約13万8千戸ありますが、この管理体制が不十分であるという指摘をさせていただきます。
例えば、私の地元の泉北ニュータウン内に約1万6千戸ある府営住宅は、いわば一つの地域社会を形成しておりますが、 入居者が共同生活のルールを守り、自治会活動に積極的に参加するとともに、コミュニティの要である自治会活動が活性化することが 絆の力を強めていくことにつながると考えております。
しかしながら、建設から約40年の歳月が過ぎ府営住宅も老朽化が進み、入居者の高齢化の進展に伴い孤独死や孤立死の増加等が指摘されております。
高齢化の影響により、自治会や民生委員の活動もなかなかおぼつかないといった地域もあり、地域コミュニティが衰退し、 地域の絆が失われつつあるというのが現状であります。
府営住宅が建設された当時は、長屋的な感覚ででかけるときは鍵を閉めず、宅配便はお向かいの人が代わりに受け取ったりしながら同じ棟の住民同士で気遣い、 思いやり、助け合っていたと聞いております。現在は行き過ぎた個人情報の保護という考え方により、向かいに誰が住んでいるか知らないとか、 二階の人とは口も聞いたことが無いなどといった住環境になりつつあります。
大阪府には、このような現状を改善するため、地元市や自治会とともに、入居者間の絆づくりの支援にしっかりと取り組んでいただきたいとお願いしておきます。
そこで、まず府営住宅の敷地における入居者の耕作について取り上げます。
私は昨年の9月議会において、府営住宅内での迷惑行為について質問し、その一例として、私の地元である泉北ニュータウンの府営住宅では、 一部の入居者が無断で野菜栽培などの耕作をしているのではないかと指摘させていただきました。その後、一部の府営住宅では、 耕作地が減少しつつあると伺っておりますが、一掃されたわけではありません。
もとより、府営住宅の敷地は行政財産であり、常に良好な状態で管理し、所有の目的に応じて、利用されなければなりません。
府民の財産である府営住宅の敷地を、入居者が勝手に使用することは問題だと思っております。
皆様方に昨年夏以降に撮影した泉北ニュータウンにある府営住宅内で実際に行われている、 若しくは行われていた不法耕作の写真(PDF 645KB)をご覧いただきたいと思います。
都市住宅常任委員会の管内視察に取り上げて頂き、お忙しい中、委員の皆様にも実態をご覧いただきました。
そもそも、府営住宅内は府有地です。いつから府は無料貸し農園を始めたのでしょうか。
許可をとること無く堂々と緑地帯を開墾し耕作しており近隣住民は作物からの異臭や害虫に悩まされています。
この不法耕作も放っておくとやがて動物もいいのではと勘違いし、なんと多いときにはウサギを10羽以上も飼育しておりました。
早々にウサギ小屋は撤去されましたが、最近では耕作規模が小規模化し、その数は昨年よりも増えています。
このように依然として、府営住宅敷地内に多くの耕作地が残っており、なぜ、このような状態になるまで放置してきたのか理解出来ません。
府としてどう認識されているのか、また、これまでどのような対応をされてきたのか、住宅まちづくり部長にお伺いします。
【住宅まちづくり部長答弁】
府営住宅の敷地内における入居者の耕作についてお答えします。
ご指摘のとおり、府民の財産である府営住宅の敷地において、一部の入居者が勝手に耕作をすることはあってはならないことでございます。
これまで、入居説明会や全戸配布のふれあいだより等を通じて、入居者には敷地内での耕作が禁止されていることを注意喚起してまいりました。
また、耕作地を発見した場合は、当該耕作者を特定し、速やかに耕作を中止するよう指導してきたところですが、依然として、 耕作地が残っている状況は問題であると認識しております。
②堺市内の府営住宅管理センターの管理体制について
この問題については、現在、府の管理代行として住宅供給公社の堺管理センターが対応されており、個々の耕作者への指導に取り組み、 一定の成果があったことは承知しています。
今回、入居者による耕作がなくなっていないことを指摘させていただいたが、指導だけではこの問題は解決しません。
なぜなら、この問題の解決は、入居者自身が耕作をしてはいけないとの自覚によるところが大きいからです。したがって、指導だけでなく、 入居者に耕作禁止を理解してもらうような取り組みを進めていくことが大切と考えます。
堺市内の府営住宅を管理していた管理センターは、以前、堺東駅前と泉ヶ丘駅前にありましたが、 コスト削減といった観点から堺東駅に統合されたことはやむを得ないことではあると認識しております。
しかし、堺市内にある府営住宅の半数以上が泉北ニュータウンに集中していることを考えれば、 堺東駅前ではなく泉ヶ丘駅前に管理センターを設置すべきだったと思っております。
堺管理センターが泉北ニュータウンから離れていることで、日々の監視が不十分となり、 府民の財産を勝手に使われるような事態が生じているのではないでしょうか。
この4月から、泉北ニュータウンの府営住宅は指定管理者により管理されることになり、管理センターも泉ヶ丘駅前に戻ってくると聞いておりますが、 今後、泉北ニュータウンの府営住宅の敷地内にある耕作地について、どのように対応されるのかを住宅まちづくり部長にお伺いします。
【住宅まちづくり部長答弁】
議員お示しのとおり、泉北ニュータウン地区の管理センターを泉北高速鉄道泉ヶ丘駅前に設置することといたしましたので、 府営住宅の敷地内における耕作については、地の利を生かし、これまで以上に身近できめ細かな対応を行うよう指定管理者に指導してまいります。
具体的には、耕作禁止を徹底するため、指定管理者による敷地内の巡視活動などを実施させるとともに、耕作が継続する場合は、 耕作物を撤去するまで警告書を発出するなどこれまで以上に厳しく指導し、特に悪質なものについては、法的措置を視野に対応してまいります。

4 災害廃棄物処理

災害廃棄物の受け入れ時期について
東日本大震災の災害廃棄物については、現地を見てきましたが、膨大な量であり、早く処分しなければ被災地の復興は有り得ないと考えています。
同じ日本人として被災地の方々を思い災害廃棄物の広域処理に協力していくことが必要だと考えております。
先日、知事は岩手県に視察に行かれ、災害廃棄物の現場を確認するとともに、達増(たっそ)知事にもお会いされたと聞いております。
翌日の新聞にも出ていましたが、岩手県の災害廃棄物の受入れについて達増知事に説明されたとの見出しがございました。
この記事の見出しだけをみると、あたかも大阪が早期に受入れを表明したかのように見え、現在受入れを検討している市町村にとっては、 検討している時になぜ表明するのかとの誤解が生じかねないと感じております。
大阪府では受入れに向けて世界一厳しい基準をつくったと検討会議の識者から聞いておりますが、災害廃棄物の処理に必要な焼却炉も埋立処分場も、 持っておりません。
災害廃棄物の受入れの実現に向けては、まず市町村の協力を得ることが重要ですが、現在は検討している段階です。
1日でも早く、1つでも多くの市町村から協力を取り付けることが喫緊の課題であります。
知事は、岩手県で市町村の理解を得た上で、できるだけ早期に支援していきたいと発言されておりますが、早期とはいつ頃を考えているのか、
お聞かせ下さい。
【知事答弁】
早期とは、できるだけ早い時期のことです。
現在、府内の市町村においては、橋下市長のみが理解を示していただいており、大阪市のご了解は得ていると思っております。
最終処分地についても、環境省で個別判断を伺っているところと聞いております。
地元の竹山市長にも議員からお伝えいただいて、ご協力をお願いしていただけると幸いです。
(まとめ)
ぜひ、私も竹山市長にお願いする。
先ほどのご答弁でもありましたが、大阪市長は災害廃棄物の受け入れに前向きと聞いています。
そうであれば、府市統合本部で、まず災害廃棄物の受け入れを最優先課題として取り上げるべきではないでしょうか。
私の事務所にも、小さなお子さんをお持ちの保護者の方から抗議の電話などをちょうだいしています。
子どもたちへの健康被害を危惧され、心配されるメールが多数寄せられています。では、東北の子どもたちはどうなるのでしょうか。
東北にもたくさんいる子どもたちを思って、大阪府が世界で一番厳しいと言うガイドラインを作成したのであれば、 大阪府はリーダーシップをとり、不安に思われている府民の皆様にご理解いただけるよう丁寧に説明し、 被災地の復興に向けた一助を担っていただきたいと説に知事に要望し、私の初質問を終えます。

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