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府議会の報告

平成24年9月定例会 一般質問

平成24年10月4日
栗原 貴子 議員

1.将来世代に負担を先送りしないことを表す指標

【質問】
まず初めに、これまでにもさんざん、負担の先送りについては議論を重ねてきましたが、そもそも「将来世代への負担の先送り」というのは、どういう状態を指しているものなのか、言葉の定義について、確認をさせていただきたいと思います。(資料1)をご覧ください。私は「負担の先送り」というのは、「後年度の負担がより重くなるような財政運営であり、かつ、将来世代がそれを負担しなければならない合理的な理由がない場合」だと考えます。この点について、総務部長の見解をお聞かせください。
【総務部長答弁】
私も、その通りだと考えている。
【指摘】
部長も私と同じ認識を持っていただいていることを確認しました。ここで、「将来世代がそれを負担しなければならない合理的な理由」というのは、「現世代が負担を将来に押し付けても構わない理由」とは、まったく別のものであるということは、念のため申し上げておきます。
【質問】
(資料2)をご覧ください。昨年の財政ノート、25ページに、大阪府の独自指標として、「将来世代に負担を先送りしないことを表す指標」と題して、実質府債残高倍率という指標が示されています。算定式を見ると、分母が主要な一般財源ということで、府税、地方交付税に臨財債発行額がプラスされています。分子は実質府債残高倍率ということで、臨財債等がマイナスされています。目標が2倍以内ということから考えると、小さい方がよりベターな指標であるということがわかります。
つまり大阪府としては、臨財債等をどんどん発行して、その残高を増やせば増やすほど、この指標の値は小さくなり、将来世代への負担は少なくなるという認識でおられるのでしょうか。総務部長にお尋ねします。
【総務部長答弁】
実質府債残高倍率とは、臨時財政対策債等が、税や交付税の代替として国の制度によって発行するものであり、府の努力でコントロールすることが困難であることから、これらを除いた府債残高を「実質府債残高」とし、これが、税や交付税といった府の基本的な収入の何倍に当たるかを計り、将来負担が過度なものとならないようチェックするための指標として設定したもの。
計算上は、臨時財政対策債が増えれば値が小さくなる。
しかしながら、臨時財政対策債は、本来普通交付税で措置されるべきものを府の借金に置き換えているもの。府が恣意的にその額を左右できるものではない。臨時財政対策債の発行ではなく、同額が本来あるべき普通交付税で措置された場合でも、実質府債残倍率は同じとなる。
【指摘】
現在、大阪府が抱えている財政課題の多くは、臨財債等の大量発行に起因するものです。にもかかわらず、臨財債が増えれば、将来の負担があたかも少なくなるかのような指標を独自に設定して、わざわざこのようなタイトルをつけて公表することには、非常に違和感があります。しかもここで悪者にされている実質府債残高と定義されている府債は、臨財債等を除いた普通債であり、いわば将来の府民サービスの向上に資する資産の裏付けのある府債です。結局、大阪府にとって都合の良い指標を設定したということではなかったのでしょうか。
実質府債残高倍率という指標は財政運営基本条例で毎年度その公表を義務付けられているとのことですが、このような、府民の誤解を招く指標の公表を義務づけている条例は、その根本的な考え方が非常に偏った方向を向いているのではないかという点を指摘しておきます。

2.臨時財政対策債等

【質問】
先の2月議会の我が会派の代表質問で、臨時財政対策債等の償還にかかる交付税措置額と府の償還額にかい離があることを指摘して、これは将来世代に対する負担の先送りではないのかと質問したところ、「交付税は一般財源として自由に使えることから負担の先送りとは考えていない」との答弁がありました。
しかしながら、そもそも負担の先送りをしないという府民との約束は、法律や制度を超えて、より厳しい財政規律を大阪府が自ら課したものではなかったのでしょうか。そうであるならば、法律や制度で認められているということを、負担の先送りではないという理由に使うことは、論理的に矛盾した答弁ではなかったでしょうか。そこで改めて、この処理が負担の先送りでない理由をお聞かせください。総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
臨時財政対策債等の償還に係る、交付税算定上の基準財政需要額への算入ペースと府の償還ペースによってかい離幅が生じることはご指摘のとおり。このかい離は、基準財政需要額の算定が臨時財政対策債の償還期間を都道府県の平均的な状態を踏まえて設定していることから生じているもの。
このため、平成24年7月に改定した中長期試算では、「課題③ 臨時財政対策債の償還財源の確保」として、課題を提示させていただいた。
その上で、国に対して基準財政需要額の算入ペースを府の償還ペースに合わせるよう要望するとともに、今後の財政運営において留意すべきものとした。
一方、償還ペースについては、
①実質公債費比率算定ルール上の償還が30年を前提としていること
②他の多くの都道府県が償還期間を原則30年としていること
から、合理性があると考えている。
また、臨時財政対策債等の償還にかかる基準財政需要額算入額は、交付税を算定するための過程での数値であり、地方公共団体の歳出は基準財政需要額に合わせることが求められているものではなく、交付税は、その使途を制限されない一般財源であることから、府のルールに沿って計画的に減債基金の積立を行っていることから、負担の先送りにはあたらないものと考える。
【指摘】
府の償還ルールに合理性があるから負担の先送りではないという答弁であったかと思います。そもそも、府の償還ルール自体が、負担を先送りする仕組みを持つルールだと、我々は指摘しているわけです。
先ほど確認した負担先送りの定義にあてはめてみても、府の償還額と、交付税措置額にかい離があり、それが後年度の負担となっているわけです。負担の先送りではないというのであれば、将来世代がそれを負担しなければならない理由があることをお示しいただかなければならないはずです。
【質問】
さてここで、現在の大阪府が置かれている状況について、整理してみたいと思います。
現在の大阪府が健全化団体転落といった危機的な状況になっている原因の一つは、平成13年度以降、収支不足を補うための減債基金からの借り入れと、それに伴う借換債の増発を行ったためであるという点では、私も部局と同じ認識を持っています。(資料3)をご覧ください。平成19年度末まで基金からの借り入れを行った額が5,200億円。平成20年度以降、基金への復元を終える年度にかけて負担を先送りにされてしまった立場にあります。
では次に、(資料4)をご覧ください。我が会派が負担の先送りではないのかと指摘している、臨財債等の先食いについては、部局から細かい数字の提供がないので、あくまでイメージ図ですが、このようなグラフになります。つまり、交付税措置額と府の償還額との差額が平成33年度時点では5,100億円にまで膨れ上がっており、平成34年度以降の世代がそれを負担していかなければならないということです。
そこで総務部長にお尋ねします。禁じ手だったとされている減債基金からの借り入れや、借換債の増発も、法律に照らしてみれば決して違法ではなかったはずです。しかしながら、不合理な負担を将来世代に押し付けたということをもって、今では、それを不適切な処理だったと認めておられます。では、臨財債等を先食いすることで、平成34年度以降の世代に負担を押し付けることは何故、不適切ではないのか、減債基金からの借り入れや借換債増発と、いったいどこが違うのか、お示しいただきたいと思います。
【総務部長答弁】
減債基金からの借入や借換債増発は、本来起債の償還に充てるべき特定財源で一般財源の財源不足を補ったり、ルールを超えた起債を発行することにより、将来世代に負担を負わせているもの。 減債基金の借入は平成8年度条例改正をお願いし行ったものだが、本来、行うべきではない「禁じ手」であったと認識している。
一方、臨時財政対策債等の償還にかかるかい離は、あくまでも算定における、基準財政需要額の積上げに関する話であり、実際の交付税額は、マクロの地方財政計画の影響も受けて変動する。
また、府の償還ペースは、先ほどお答えしたとおり合理性があると考えており、臨時財政対策債等の償還にかかるかい離は、減債基金からの借入や借換債の増発とは異なるものと考えている。

3.減債基金積立不足額

【質問】
先日、我が会派の代表質問でお示したように、大阪府では橋下前知事時代の4年間、府のルールによる減債基金積立不足額を950億円復元してきたと説明してきましたが、実際には国のルールによる減債基金積立不足額は1,600億円以上増大しており、そのことが、5年後の財政健全化団体転落の引き金になっていると同時に、24年度以降に負担を押し付けられ、その財政運営を非常に厳しいものにしているということが明らかになりました。
さてそこでお尋ねしますが、平成24年度以降の世代が橋下前知事時代の4年間よりも重い負担を負わなければならない合理的な理由があったのでしょうか。総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
平成20年度以降、この4年間も、減債基金の借入から決別するために、単年度で1,100億円の収支改善に取り組み、実質収支を黒字に転換させ、財政健全化団体とならないことを目標に掲げた上で、粗い試算を作成し、実質公債費比率が25%を超えないよう、平成21年度から減債基金へ950億円の復元を行ってきた。いわばそれ以前からの先置きされたものの対応に追われていたというのが、現状である。
この間、さらに減債基金の積立額を増加しておれば、25年度以降の負担が軽減されたことはその通りだが、財政健全化団体への転落を回避しつつ、必要な予算措置を講じるという、ぎりぎりの財政運営を行ってきたものと認識している。
【指摘】
今回の質問の最初に確認したように、私はここで、後年度に負担を押し付けるための理由をお聞きしているわけではありません。 国のルールで定められている減債基金積み立て必要額を積まなかったという処理は、企業会計に例えるならば、税法で規定されている退職手当引当金を積まなかったとか、減価償却費を計上しなかったというのと同じ類のものだと考えます。違法だとは言えないかもしれませんが、それを融資の申し込みのために銀行に提出したとすれば、粉飾決算だと判断されて、大きなマイナスポイントになることは間違いありません。あるいはもしそれが、公認会計士の監査を必要とする上場企業であれば、監査報告書には、適正であるとは認められないと記載され、上場廃止に追い込まれることにもなるでしょう。
数字は嘘をつきません。大阪府の場合も、積み立て不足額の増大を放置してきたことが、実質公債費比率を押し上げ、財政健全化団体転落の引き金になっているのだということについては、重く受け止めていただかなければならないはずだと申し上げておきます。

4.粗い試算

【質問】
では次になぜ、国ルールの積立不足額に1,600億円を超えるかい離が開いたのか、そのからくりについて2点、検証してみたいと思います。
まず、「粗い試算」についてです。(資料5)をご覧ください。先日の代表質問でお示しした減債基金積立不足額の推移を表したグラフを少々加工したものです。改めてご説明させていただきますが、赤と青の折れ線グラフはそれぞれ、国、府のそれぞれのルールによる減債基金積立必要額であり、緑の折れ線グラフは、減債基金残高を示しています。また、実線で示されているグラフはいずれも平成24年7月版の推計であるのに対し、点線で示されているのは平成23年2月版の推計です。
さて、国のルールによる積立必要額、つまり赤の折れ線グラフですが、23年2月と、24年7月の時点で、大きな開きが生じています。つまり上に上がっています。そしてこのために、健全化団体転落回避のためには、国ルールの減債基金積立不足額のかい離を抑える必要があるので、減債基金残高を示す緑のグラフも上に引っ張られるように持ち上げられることになります。
さてそこで総務部長にお尋ねしますが、なぜ23年2月と24年7月で、国ルールによる減債基金積立必要額がこれほど大きく増えているのか、その理由をお聞かせください。
【総務部長答弁】
平成23年時点では、平成24年度と25年度の臨時財政対策債の発行を見込んでいなかった。24年度時点で、24年度と25年度、各年2,900億円を見込んで試算したため、違いが生じたもの。
【質問】
ご答弁では、23年2月時点で24年度、25年度の臨財債等の発行を見込んでいなかったとのことです。ではそのことが、それぞれ時点で試算した、後年度の要対応額にどのように影響しているのかを確認してみます。
(資料6)をご覧ください。グラフの左側、ブルーの棒グラフは23年2月に試算した後年度の要対応額、右側、ピンクの棒グラフは24年7月に試算したものです。24年7月の試算で24年度、25年度の臨財債発行を見込んだことで、25年度以降の要対応額が、23年2月時点の2倍、3倍になっているところもあります。
つまり、大阪府のこれまでの説明では、健全化団体転落を回避すべく、公債費負担を平準化しながら、計画的に減債基金を復元しているとのことだったのですが、これを見ると、平準化とは程遠い試算であり、「計画」とは、後年度にしわ寄せがいくという計画だったことがわかります。地方財政法第33条の5の2により、23年度から25年度まで臨財債の発行を認めるという規定は23年2月時点で、すでにあったはずです。公債費負担を平準化するためには、当然、24年度、25年度の臨財債発行は見込んでおくべきではなかったのでしょうか。また、平成26年度以降、臨財債制度が継続する場合は、また同じ様なことが起こり、平成27年度以降の要対応額が現在の試算よりもさらに、雪だるま式に増えていくことになると思いますが、いかがでしょうか。総務部長にお伺いします。
【総務部長答弁】
まず、1点目の、23年2月版の粗い試算において、25年度までの臨時財政対策債の発行を見込むべきではなかったかとのご質問にお答えする。
粗い試算は、その時点で想定できる範囲の条件を設定して試算しているもの。平成23年2月版までの試算では、臨時財政対策債は、国の税収動向や地方財政対策によって、発行額が大きく変動する制度であることから、当該年度の当初予算に計上した臨時財政対策債までを織込んできたもの。
しかしながら、24年2月版の粗い試算においては、ここ数年、3,000億円前後の発行が継続し、その影響が看過できないものとなってきたことや、現下の国の財政状況、さらに、地方財政法が平成25年度までの発行を認めていることを踏まえ、25年度までの間において、24年度と同額の臨時財政対策債を発行することを見込んで試算を行うこととした。
2点目、平成26年度以降、臨時財政対策債制度が継続する場合は、平成27年度以降の要対応額が現在の試算よりも雪だるま式に増えていくことになるのではないかとのご質問にお答えする。
平成26年度以降、臨時財政対策債の発行が継続された場合、府は据置なしで減債基金への積立を開始すると府の積立ルールを変更したところだが、基準財政需要額の算定では、3年間据置ルールによって算定されるため、この期間の要対応額が増加する。
仮に平成26年度以降も現在と同様の、例えば3,000億円の臨時財政対策債を発行したとすると、現行の中長期試算の要対応額は、平成27年度にその30分の1の100億、28年度に200億、29年度に300億となる。その後は、府ルールの積立額とのかい離は年々縮小し、雪だるま式に増えていくことにはならない。
【指摘】
平成27年度、現時点の試算で要対応額が920億円、乾いた雑巾をしぼってそれをねん出しないといけないのかと思っていたら、実はさらにまだ100億、ほぼ確実に要対応額が増えるのだということがわかりました。臨財債が大きく変動するといっても、まさか2年後の発行額がゼロになるなどという非現実的なことは想定しておられなかったはずです。制度が気に入らないからその発行を見込まなくていい、後年度に負担のしわ寄せがいってもかまわないというのは、例えて言えば、消費税は逆進性の税金で気に入らないから、買い物にいっても消費税分は払わなくていいというのと同じだと思います。負担を後年度に押し付けるための屁理屈にしか聞こえません。このような不健全極まりないしくみは、早急に是正すべきであると指摘しておきます。

5.減債基金積立ルール

【質問】
代表質問の答弁で、国のルールでは発行の翌年度から発行額の3.3%を積み立てるのに対し、府のルールは違うと答弁がありました。これは、発行年度によって違いはありますが、基本的に3年間の据え置き期間があると聞いています。
さてそこでお尋ねしますが、もしも仮に、平成20年度の時点で積立ルールを国と同じ据え置きなしのルールに変更しておれば、23年度末で、府のルールでの減債基金積立不足額はどうなっていたでしょうか。
また、府では今年度より減債基金積み立てルールを、国と同じく、据え置きなしの30年均等方式に変更したとのことですが、国からのルールが示されたのは平成18年であり、さらに21年度にも同様の通知が出ていたと聞いています。なぜもっと早くにルール変更をしなかったのか、総務部長のご見解をお示しください。
【総務部長答弁】
仮に、平成20年度以降の新規発行分から府のルールを国ルールと同じルールに変更しておれば、平成23年度末時点での国ルールに対する積立不足額5,547億円は、4,858億円となり、689億円減少する。
ご指摘の国ルールは、実質公債費比率が初めて導入された際の平成18年3月の通知と平成21年3月の通知で、減債基金の据置きなしの30年均等積立方式が総務省から示されている。
しかしながら、
①減債基金の復元を計画的に進め、実質公債費比率を25%以上にしないよう計画していたこと
②公債費負担の平準化は、府ルールによっても実現されていること
から、国のルールに合わせる変更は行ってこなかった。
ただ、臨時財政対策債がここ数年間急増し、毎年度3,000億円前後の発行を余儀なくされた結果、発行当初3年間における国ルールと府ルールのかい離が拡大してきた状況を踏まえ、24年度新規発行分から積立ルールを改めることとしたところ。
【再質問】
実質公債費比率を25%以上にしないためとか、財政健全化団体を回避するためであれば、ルールは変更すべきであった。あれもした、これもしたという説明はあったが、なぜルールを変更しなかったのかという点について、もう一度説明ください。
【総務部長答弁】
減債基金への積立ルールは、国でも実質公債費比率の算定では30年均等償還となっているが、償還にかかる交付税算定では3年据え置きのルールになっている。つまり、減債基金の積立ルールにはいくつかのルールがある。その中で、公債費負担の平準化は府のルールの下でも可能ということ。それから、減債基金の復元を計画的に進めており、実質公債費比率を25%以下に留めるよう計画的な取り組みを進めていたことから、ルールを改める必要はないと判断したところ。
ただ、臨時財政対策債発行額の増額に伴い、当初3年間の府ルールと国ルールのかい離が拡大したという新たな状況が生じたため、今年度からルールを変更したもの。
【再質問】
健全化団体転落回避の命題、実質公債費比率を25%にしてはいけないということ、国の通知があったということ。これらすべての状況はルールを変更する方向に向いていた。それでもなお、なぜ変更しなかったかを聞かせてください。
【総務部長答弁】
国においても交付税措置は3年据え置きルールが取られている。減債基金の積立についてはいくつかの方法があるというなかで、府のルールの下で、減債基金復元に努めているということと、実質公債費比率25%以下の取り組みを進めており、その時点では変更の必要はなかったと認識している。
【再質問】
変更する必要がなかった理由はわかったが、あえて国の通知に反して変更しなかった理由はわからなかった。また別の機会にじっくり議論したい。
負担の先送りについて、今回いろいろお聞きしてきたが、残念ながら部長答弁は私には全く理解できませんでした。臨時財政対策債等について、実際の府の償還額と交付税措置額との間に5,100億円にも上るかい離があったことは、中長期試算の中で償還財源の確保が課題であると記載されたことで既に認めていることではないでしょうか。交付税は使途を制限されないとおっしゃるが、借金回収の分については同じように考えるべきではないと思います。少なくとも将来世代に負担を先送りしないと厳命された、橋下前知事時代の先食い分である、1,253億円については減債基金に積み立てるべきです。総務部長の見解を聞かせてください。
【総務部長答弁】
1,253億円を減債基金に積み立てるべきであるという議員の指摘は、財政規律という点から申し上げると、そのように対応することが望ましいと私も思う。
しかしながら、来年度の要対応額が690億円に上っており、それへの対応が未だに見えていない状況のもとで、さらに1,253億円の負担を上乗せするのは、大変厳しい財政運営を余儀なくされることになる。
この2つのバランスをどう取るのかについては、しばらく時間をいただき、検討したい。

6.いじめ、不登校対策

【質問】
次に、いじめ、不登校対策について伺います。
この間、本会議において、多くのいじめにかかわる質疑がありました。いじめについては、事後の対応策も重要ですが、私は、いじめの未然防止の取組みこそ、大切ではないかと考えます。
精神的に未熟な子どもたちの間で何かトラブルがあった場合、苦しい、しんどい、そんな思いを抱えている子どもにとっては、それがいじめなのか、いじめでないのか、自分で解決すべき、解決できる問題なのか、あるいは誰かに頼るべきなのかといった、自分自身の置かれている状況や、自分自身の気持ちすら、客観的に分析したり、判断したりすること自体ができないものだと思います。ましてそれを誰かに伝えるための言葉を充分に持っていないのが子どもなんだと思います。
大切なのは、いじめや不登校といった大きな問題に発展する前の段階で、一番身近にいる教員が、ひとりひとりの子ども達としっかり向き合って、微妙な心の動きをとらえ、子どもの心に寄り添う姿勢が何より必要だと考えます。そのためにはまず、教員と子どもたちとの間にしっかりとした絆、信頼関係が育まれていなければなりませんし、教員の子どもたちに対する愛情、意識、資質の向上が不可欠だと考えます。教育長のご見解と今後の取り組みを併せて伺います。
【教育長答弁】
いじめや不登校に対応するための教員の指導力の向上の問題についてですが、お示しのように、小学生や中学生の段階では自分の気持ちをうまく表現できず、心に悩みを抱え込んでしまう子どももいることから、教員には子どものわずかな表情や行動の変化を敏感に感じ取る感性が求められると認識している。
各学校でも、子どもの課題が多様化・複雑化しており、また、教員の経験の少ない先生が増えている状況もある。
特に教員の経験の少ない先生は、子どもの思いを真正面から受け止め、全力で子どもに関わろうとする反面、自分の思いが先に立ち、子どもの気持ちとすれ違い、空回りするといった面もある。
こういった教員の指導力を向上させていくためには、学校現場において、経験豊富な教員からの経験の少ない教員に対する日々の取組みを通した指導を、校長のリーダーシップのもと学校全体で進めていく事が重要である。
府教育委員会としても、児童生徒の状況に応じた接し方等につきまして、臨床心理士のノウハウも活用しながら、校内研修の充実を図っているところです。
また、府教育センターでも、すべての教員対象に、そのライフステージに応じまして、子どもへの理解を深めるための研修を実施しているところです。
今後も、子どもの気持ちを受け止め、苦しい状況に置かれている子どもたちをサポートしていけるような教員の力を高める実践的な研修等の取組みを充実させ、教員と子どもの信頼関係が一層深まるよう努めて参ります。
【まとめ】
私自身、三人の子どもを育ててきた母親として、いじめの問題、不登校の問題は決して他人事ではありませんでした。「キモい、死ねと言われた」という我が子の訴えを聞いて、「じゃあもう学校なんか行かなくていい」と言ったこともあります。実際うちの子どもも不登校になっていた時期もありました。
子どもにとって、自分のことをいつも見守ってくれる存在があることが、大きな安心感となり、健やかな成長につながっているのだということは、間違いありません。子ども達の声、そして声にならない思いをしっかりと受け止め、心に寄り添うことのできる教員が、学校教育の場には絶対、必要なのだと思います。そういう意識を、まずは教育委員会の方々に持っていていただき、しっかりと取り組んでいただきたいと申し上げておきます。

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