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府議会の報告

平成25年2月定例会 代表質問

平成25年2月27日
奴井 和幸 議員

1.大阪都構想(大阪都構想と現行制度で可能な改革について)

【質問】
大阪府・大阪市特別区設置協議会、いわゆる法定協議会が設置され、本日、本会議の会期中にもかかわらず、第一回目の協議会が開かれました。我が会派は、常々主張しておりますが、大阪市を解体するという重大な問題は、時間をかけて慎重に議論を進めるべきです。にもかかわらず、知事の姿勢は、条例協議会における動議や、条例協議会の廃止、法定協議会の設置の時と同じく、極めて拙速に、また数の力で強引に事を運ぼうとするものです。本当に残念であり、冒頭に指摘しておきます。
我が会派は、道州制を最終目標にするなら、わざわざ大阪都にするよりも、現行制度での改革を徹底的に行い、制度見直しに要するエネルギーを景気回復など大阪の再生に振り向けながら、道州制に備えることが望ましいと考えます。
こうした観点から、大阪都構想より、我が会派の提案が優れていることを改めて訴え、知事のお考えをお尋ねします。
≪資料1≫
大阪都構想の目的として、知事は、大きく二つ言われています。一つは、広域行政の一元化と二重行政の解消。もう一つは、基礎自治体における住民自治の強化です。
そのために、知事は、大阪市を解体し、広域行政を大阪都に一元化するとともに、公選区長と区議会をもつ特別区を設置すると主張されています。
我が会派は、広域行政の一元化・二重行政の解消については、「大阪広域戦略協議会」を設置し、府市の連携で戦略・政策を統一することを以前から提案してきました。「大阪都にしなければ解消できない二重行政はない」ことは、知事自身がお認めになっています。
住民自治の強化については、区長公選も視野に入れながら、当面、住民投票で区長を選ぶ準公選とし、大阪市会に、各区単位の常任委員会を設置することを提案しています。
このような都市内分権を進めることで、大阪都構想の目的は達成されると考えています。
≪資料2≫
もう少し丁寧に説明します。
「大阪広域戦略協議会」は、大阪府、大阪市、堺市の首長と議員が参画し、成長戦略、産業振興、広域インフラ整備などについて、統一した戦略の下、連携して政策を進めていくものです。
大阪都構想では、大幅な制度改正が必要なうえに、後戻りができません。我が会派の案は、現行制度で直ちに実現できますし、臨機応変に軌道修正しながら進められます。制度見直しにかかる時間と労力を大阪の再生に振り向けるべきです。
≪資料3≫
都市内分権については、区長の権限・予算を強化することで、各区の実情に応じた施策展開を可能にします。区長を公選か準公選にし、住民の代表としての性格を強めます。市会の中に、区単位で常任委員会を設け、予算等について区選出の議員が審議できるようにします。区長、議員、区民の意見交換の場を確保し、住民参画を促します。
こうした改革は、広域戦略協議会と同様、現行制度で直ちに実現でき、段階的に取組を強化し、臨機応変に修正できます。
≪資料4≫
我が会派は、大都市制度の最終目標は、道州制だと考えています。これは、知事も同じだと思います。そうであるなら、わざわざ大阪都にする理由がわかりません。
大阪都実現には、大幅な制度改正が必要で、膨大な時間と労力を要します。我が会派の案は、スムーズに改革ができますし、余分な労力をかけず大阪再生に集中できます。
また、道州制になった時に大きな違いが出ます。
一旦大阪都にしてから、道州制になった時、大阪都は無くなる可能性が大きく、大阪市は既に解体され、複数の特別区があるのみです。我が会派の案では道州制導入によって、大阪府はなくなりますが、大阪市が拠点都市として、関西をリードできると考えます。
≪資料5≫
我が会派の案は、大阪都構想よりも、現実的かつ三つの点で優れています。
まず、現行制度で可能なので、スピーディーに改革ができます。次に、制度改正に費やす時間と労力を景気対策に振り向け、大阪の再生を加速できます。更に、道州制にスムーズに移行でき、大阪市が関西をリードすることができます。
大阪都構想よりも、我が会派が提案している現行制度で可能な改革を今すぐ進めるべきと考えますが、知事の考えはどうですか。
【知事答弁】
大阪広域戦略協議会についてですが、府市統合本部は、橋下市長と私が同じ思いだから、違和感なくできています。橋下知事と平松市長、あるいは私と橋下市長以外の市長だったらこれができていたでしょうか。市長が「いやだ」と言ったらできないんです。だから、戦略協議会というものは人でしかできない。制度としては成り立たない。正に絵に描いた餅だと思います。
本日第1回の法定協議会が開かれました。拙速だと言われるが、出来上がるまで何年かかったか。統一地方選挙から2年、条例協議会を設置した際は、条例で決まったにも関わらず、自民党は出席拒否でしたよね。出てくることもされなかった。
自分たちが条例協議会に出てこなかったのに、法定協議会で「拙速だ」「中身がない」と批判するのはおかしいのではないか。
【再質問】
我々は府市統合本部に議員も参画させて欲しい、そうすれば、議論も深まると申し上げています。それから、条例協議会に自民が参加していないという答弁は誤っています。条例協議会へは我が会派から花谷議員が参加しています。
【知事答弁】
すいません。条例協議会の前の協議会に参加されていなかった。条例協議会には参加されています。
【まとめ】
今出来ることは既に取り組んでいる、今できることなら、あえて制度を変えずに、今できることをどんどん進めていったら良いのではないかと考えます。

2.成長戦略(大阪の成長戦略と予算について)

【質問】
大阪の成長戦略は、我が会派が「大阪、関西の課題の整理を踏まえると、成長に向けたトータル戦略が必要」と指摘したことがきっかけで、平成22年12月に策定されました。その後、大阪府と大阪市で一本化が行われ、本年1月に改めて取りまとめられた経緯があります。
策定から2年が経過しましたが、残念ながら、府内製造品出荷額の対全国シェアや法人の所得額、平均給与額など軒並み低下しており、企業の転出超過数も下げ止まりの兆しすら感じられません。
一方、松井知事、橋下市長は、大都市制度に問題があると言っていますが、我々は以前から成長戦略を進めるためには、大都市制度よりも中身、すなわち、成長に向けてどんな取り組みを進めるかが重要と考え、府と政令市による広域戦略協議会を設置し、その中で成長戦略について協議することを提案してきました。
今回、大阪の成長戦略が一本化されましたが、府市統合本部でどのような議論をしてきたのでしょうか。
また、今回の緊急経済対策は、成長に向けた取り組みを進めるうえで千載一遇のチャンスであり、これを生かした取り組みをすべきであったと考えますが、知事はこの点どのような判断をされたのか。
併せて25年度当初予算においては、成長戦略の推進をどのように盛り込まれたのか。以上3点を知事にお伺いします。
【知事答弁】
「成長戦略」については、府・市で全体最適化を図ることで最大・最適な政策効果や投資効果をめざすとの方針のもと、担当部局で協議を重ねて一本化したものであり、府市統合本部で策定したものではありません。
策定の過程においては、府市統合本部において成長戦略の主要な柱である「都市魅力創造戦略」や「グランド・デザイン」等について議論を行い、大阪観光局の設置やシンボルイヤーに向けた効果的なイベント展開、大阪都心部エリアの再生など、新たな取り組みを成長戦略に盛り込んだところです。
緊急経済対策については、国の方針を踏まえて、24年度補正予算と25年度当初予算案を一体的に編成し、府にとって緊急性、必要性が高く、即効性があるものを優先して選択しました。
その内容として、防災・減災、都市の安全・安心の確保とあわせて、連続立体交差事業など、成長を支える都市機能の高度化などの取り組みを進めることとしました。
あわせて、25年度当初予算においては、厳しい財政状況のなかでも「選択と集中」により、総合特区を活用した産業活性化や、都市魅力創造のための基盤づくり、さらには、成長分野への中小企業の参入促進や、創エネ・省エネ支援など、知事重点事業を中心に、成長戦略の推進に重点的に配分しました。
【再質問】
大阪の成長戦略こそ、府が最も重要視して緊急に取り組むべきもので、府市統合本部で議論されるべきです。そして、成長戦略の推進に重点配分したとの答弁ですが、
≪資料6≫
平成22年度予算と平成25年度予算を比較すると、バイオ・環境・新エネルギー関連予算は、1億8千万から1億3千万円に減っており、その他産業主要事業は、軒並み減額されています。これで目標は達成できるのですか。
【知事答弁】
産業振興施策については、資金支援や経営支援など、中小企業に対するセーフティネットは維持しつつ、新分野進出、研究開発支援、マッチング、販路開拓など、中小企業のチャレンジ支援については、限られた予算のなかで重点配分をしてきました。指摘のあった、バイオ、環境、新エネルギー関連予算が減少したのは、先に先導的に取り組んできた、EVタクシーや急速充電器の補助導入が終了したためです。あわせて、バッテリー戦略研究センターなどなど新エネルギー分野、医療分野の振興に再構築し取り組んでおり、引き続き成長目標の達成に向け、しっかりとやっていきます。
【再質問】
今の答弁だと目標は達成できるということかと思う。ぜひ来年検証してゆく必要がある。バイオなどは今後ずっと続いてゆく話です。補助事業は終わったという説明だが、現実はまだまだ良くなっていないから、そこを良くしていかなければいけない。これで充分ということなら、来年検証させていただこうと思います。
大阪の成長戦略は、大阪都になったとしても必ずしも実現しません。橋下市長も「大阪都ができたとしてもそれだけで大阪の成長は実現しない」と発言しています。本来やるべきこと、今すぐに取り掛かれることをしないで、府民市民に「大阪都」が実現すれば事態が改善するという幻想を振りまくべきではありません。
大阪都の方が効果的に成長が実現できるというなら、その理由を具体的に示すべきと考えますが、知事にお伺いします。
【知事答弁】
先ほどのバイオの話も、引き続きやっています。政権は自民党になったが、例えばPMDA-WESTとか、大阪の医療資源を活用して産業を活性化してゆくことを、自民党政権と協議し、意見も申しあげ、すごいスピードで動いています。これは自民党府議団の皆さんが知らないだけです。
大阪の成長に向けた取り組みについては、新たな大都市制度のもと、都市成長の役割を担う広域自治体において、迅速かつ的確に推進していくべきであります。圏域全体の成長に寄与する、プロジェクト推進や都市の成長を支える広域的なインフラ整備など、大阪の成長に向けた取り組みを行うに当たっては、2つの自治体が関与する現行制度の組織のもとでは、役割分担、財源調整の面で、府市で個別に調整が必要であり、迅速な政策決定や 思い切った選択と集中に支障があると考えおります。
将来にわたって大阪府、市の全体最適化を確保するためには、知事と大阪市長の連携協力だけでは不十分です。「成長は広域、安心は基礎」を制度的に担保することが必要であります。
【再質問】
大阪都の方が効果的に成長が実現できるというから、その理由を具体的に示してほしいといっているのです。聞かれたことに答えてください。
【知事答弁】
バーチャル大阪都と私が呼んでいる府市統合本部で大阪が一本化したプロジェクトを様々やっています。これは私と橋下市長の方向性が同じだからできているが、繰り返しになるが、平松市長、橋下知事の時代にはできなかったことです。
具体的に今やっていること、これを恒久的にやれる制度にする、そのために制度改正が必要だと申し上げています。

3.財政と緊急経済対策

(1)府の25年度予算編成と国の緊急経済対策の関係について
【質問】
平松市長の話を出されたが、現在の話を聞いている。具体的なものがあったら我々にペーパーで示していただきたい。
府の平成25年度当初予算について、知事は「健全で規律ある財政運営を堅持しながら、徹底した『選択と集中』による施策の重点化を行った。防災、減災関係を最優先で確保し、大阪の成長実現のための施策にも重点配分した」と主張されています。
一方、安倍内閣は、長引く円高、デフレ不況など、国の閉塞状況を脱却し、日本経済再生に向けた取り組みの第1弾として、「緊急経済対策」を打ち出しました。
府においても、24年度補正予算で緊急経済対策関連の予算が盛り込まれておりますが、緊急経済対策の目的である、景気の底割れを回避し、民間投資を喚起し持続的成長を生み出すものとなっているか、順次確認していきたいと思います。
≪資料7≫
まず、24年度予算と25年度予算を比較すると、一般会計ベースでは24年度当初が3兆192億円であるのに対し、25年度当初予算では2兆8,948億円と、率にして約4%の減、金額にして1,244億円の減となっています。
≪資料8≫
特に、建設事業(1,514億円)は、昨年度(1,763億円)と比較すると、249億円もの大幅な減となっており、緊急経済対策の目的を踏まえたものとなっていません。
国がせっかく大規模な経済対策を行ったにもかかわらず、府は積極的な財政出動をしていないと考えますが、知事の所見を伺います。
【知事答弁】
国においては、長引く円高・デフレ不況からの脱却、雇用や所得の拡大を目指すための取組みの第一弾として、緊急経済対策を取りまとめております。府は、その具体策として、24年度補正予算と25年度当初予算とを一体化し、「15か月予算」として切れ目なく経済対策を実行していくこととしました。
予算編成にあたっては、防災対策や、府民の安全・安心の確保、都市基盤の高度化など、緊急性、必要性が高い施策を重点的に計上しており、国の経済対策の趣旨にも合致するものと認識しております。
24年度補正予算により国の経済対策予算を最大限活用した上で、実施可能な事業量を見極めて25年度当初予算も最大限の確保に努めた結果、国の経済対策に関連する建設部局の建設事業費については、24年度補正予算と25年度当初予算あわせて、24年度当初比で約186億円(11%)の増で提案させていただいています。
【再質問】
建設事業費は24年度補正予算をプラスしたとしても、前年比で5%しか増えていません。府の単独事業費は逆に減少しています。国から取れる予算を取って、府の持ち出しを抑えたとしか思えません。これでは、府の財政は助かるでしょうが、経済対策の効果が減ってしまいます。国は府の財政を助けるために経済対策を組んだのではありません。
国の経済対策によって、25年度当初予算でどれだけの府負担が軽減されたのでしょうか。総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
国の経済対策によって、24年度補正に係る公共投資の地方負担に対する一定割合が「地域の元気臨時交付金」として配分されているが、この交付額が180億円余りであると見込んでいます。その分、府の負担が軽減されると考えています。
【再質問】
せっかくの国の経済対策を十分生かし切れていないと指摘しておきます。知事は、府の財政がここまで悪化した原因について、リーマンショック以降、税収の回復が見込めないこと、臨時財政対策債の発行による公債費の増、社会保障関係経費の大幅な増などで、一般財源の必要額が増大していると説明しています。
しかし、24年度予算の最終の姿は、税の実質収入や交付税の増などにより、740億円もの収支改善がありました。さらに、25年度当初予算の税収は、前年度(24年度当初)と比べて300億円も増えています。
こうした中、25年度予算は、事業規模は増えていない一方で、経済対策の負担軽減要素だけをつまみ食いしている印象を受けます。国の経済対策で180億円余りもの負担が浮いたのであれば、本当に必要な施策、例えば密集市街地や環境・エネルギーなどに大胆に予算を投入するべきではないでしょうか。
例えば、太陽光パネルや蓄電池などの補助事業です。関西は、太陽光パネル関連産業やリチウムイオン電池産業にかかる国内シェアの約8割が集積するなど、経済の牽引役として期待できます。成長戦略の実行のためにも、積極的に取り組むべきであると考えます。
府は25年度に、太陽光パネルなどの省エネ、省CO2設備設置の融資利息の軽減のための預託制度を実施するとのことですが、わずかな利子軽減では、太陽光パネル設置促進には程遠いと言わざるをえません。例えば東京都では2年間で140億円の予算を組んで太陽光パネルなどの設置助成を実施するとのことです。
府民の貴重な税金を投入するのであれば、その投入額が2倍、3倍の需要となるよう、設置助成すべきではないのでしょうか。太陽光パネルや蓄電池の導入が増えれば、関西メーカーの底上げになるだけではなく、電気工事等、関連分野の需要も増え、地域需要喚起につながるものと考えます。知事の見解をお聞かせください。
【知事答弁】
確かに24年度最終予算の姿、質問にあった収支改善もありました。税収も300億円ほど増えました。ただ、議員もご存じの通り、非常に厳しい財政状況が何年続いているか、今の府の財政状況からは、将来世代に対しても、減債基金の残高不足にも積み上げて、今財政再建の真っ最中であることは、議員も良く知っていただいていると思います。
今回の予算も財政調整基金を401億円取り崩して何とか編成をしたところです。経済対策の建設事業については24年度当初比でも186億円増額をしているので、メリハリのついた予算になっていると感じています。
また、新たなエネルギー社会構築のため、蓄電池、太陽光パネル設置補助をとの質問もいただきました。エネルギー社会の構築は、再生可能エネルギーの推進による市場拡大、省エネ、節電ビジネスなどの新たな市場の創出、さらには、大阪、関西の高い集積を生かした新エネルギー関連産業の振興など、新たな成長戦略につながるチャンスでもあり、そのための予算は重要であります。蓄電池設置促進のための事業としては、来年度より創エネ、省エネの普及を促進するため、現在の住宅用太陽光設備特別融資制度を拡充し融資対象設備についても、再生可能エネルギーのみならず、省エネ設備や蓄電池なども融資対象として普及促進を図ってまいります。
国による助成制度もある中、危機的な財政状況の下、費用対効果を勘案し、補助制度ではなく、預託制度を活用し、低金利で個人、民間事業者に対して初期費用の負担を軽減するための融資制度としたものであります。
【再質問】
≪資料9≫
24年と25年度予算を比較したものです。部局別に見ても、「いのち」に関連する健康医療部をはじめ、「成長」に関する商工労働部、「都市基盤」に関する環境農林水産部・都市整備部・住宅まちづくり部、「教育」に関する教育委員会、「治安」に関する公安委員会のいずれも、事業費総額が減となっています。赤の部分です。このような予算では、「選択と集中」、「セーフティネット」、「成長」という知事の思いが表れているとは言えません。
次の資料をご覧ください。
≪資料10≫
都市整備部だけでも、当初予算を比較すると284億円も減っています。
このような状態で、知事は自分が組んだ予算で、大阪で少なくとも国並みの2%経済成長が達成できると考えておられるのか。
【知事答弁】
今回の予算案では、国の経済対策を活用して24年度補正予算と25年度当初予算を一体的に編成することにより、防災・減災、都市の安心安全の確保、成長を支える都市機能の高度化等の取り組みを可能な限り盛り込むとともに、限られた予算の中でも選択と集中により大阪の成長に必要な施策に重点配分しています。
府としては大阪の成長戦略で実質成長率2%を目標に掲げていることから、総合特区など、これまでの成果の上に立って、国の緊急経済対策も活用しながら、今回の補正予算、当初予算で計上した取り組みを推進し、目標の実現に向けて取り組んでまいります。
(2)財団法人大阪府タウン管理財団寄付金について
【質問】
予算が減っている中で、2%経済成長の目標が達成できるのかを聞いています。私は不可能であると申し述べておく。
25年度予算では、タウン管理財団からの寄付金80億円を歳入に見込んでいますが、これは従来の中長期試算(粗い試算)では見込んでいなかった収入です。我が会派は、従来から臨時財政対策債の償還に係る交付税措置額を府が先食いしていると指摘してきました。せっかく80億円が入ってくるのであれば、25年度の事業にではなく、前知事並びに松井知事が怠ってきた減債基金への積み立て、積立不足額の解消に充てるべきと考えますが、どうでしょうか。知事に伺います。
【知事答弁】
使えと言ったり、貯めろと言ったり、どっちなんですか。
25年度当初予算では、減債基金の積立不足に関わる320億円の復元を含め必要な積立を行っており、追加で積み立てることは考えておりません。
【指摘】
そのような財政運営が「負担の先送り」ではないか指摘をしているのです。粗い試算で見込んでいなかった収入は、基金に繰り入れるべきです。
成長戦略予算もない、緊急経済対策に見合った予算も計上していない。かといって、国ルールに基づいた減債基金への積立もしない。いったい知事は25年度予算で何をしたいのですか。全く理解できません。改めて議論させて頂きます。

4.私立学校施設の耐震化

【質問】
「いのち」は、行政の最優先事項と府政運営方針にも位置付けられました。学校耐震化は児童生徒の命にかかわることであり、最優先で取り組むべき項目です。
しかし現状はどうでしょうか。府立高校は耐震改修が76%で平成26年度末に100%を目指して整備を行っています。ところが私学は65%と遅々として進んでいません。
その要因の一つが、耐震化の費用負担の問題です。私立学校の耐震化については、国が1/3から1/2を補助していますが、残りは学校負担です。厳しい経営状況の中では、耐震化まで手が回らないのが現状です。府が「いのち」を優先するのであれば、経常費助成を耐震化のために増額するなど、もっと積極的に取り組むべきです。
ところが今回示された支援策にはまったく積極性がみられません。経常費助成総額の枠内で、これから耐震化に取り組む学校に増額配分するだけです。
そもそも府は経常費助成を減額し、さらに授業料支援でも生徒一人あたり58万円のキャップを設定しています。このため、規模が小さい中で頑張っている学校の経営状況は非常に厳しいものとなっています。経営状況の厳しい学校にとっては、経常費助成の増額程 度では耐震化に取り組むことは困難ではないでしょうか。
授業料無償化制度では、標準授業料58万円を超える部分の授業料は、学校負担となっていますが、耐震化が進まない理由の一つとして、無償化制度における負担が経営を圧迫しているということがあげられます。
我が会派は、これまでから、私立高校がそれぞれ特色を打ち出し、互いに競い合えるような制度となるよう、58万円の授業料キャップを改めるよう主張してきました。
現行制度では、授業料を一律にすることで、かえって、教育内容の特色が失われ、生徒・保護者の側から見ても学校選択の意味がなくなる結果につながりかねません。
耐震化の取組みを進めることは、児童・生徒の命に関わる問題です。私学の取り組みの阻害につながるような、現行の58万円キャップ制は改めるべきであると考えますが、知事の見解をお聞かせください。
【知事答弁】
私立高校生等に対する授業料無償化制度は、生徒・保護者の立場に立ち、各学校の授業料の額にかかわらず、授業料負担を無償とすることにより、公私を問わず、自由に学校選択できる機会を提供することを目的としております。
このため、支援の上限である標準授業料58万円を超える部分については、保護者に負担を求めないということを制度の根幹としており、原則、平成27年度までの5年間は制度を継続していくこととしています。
【再質問】
今年一月、松井知事は橋下市長と連名で、学校施設の耐震化推進を求める提案を国に行いました。府内の耐震化率は公立、私立とも全国平均を下回り、早急な耐震化が必要であると主張されました。国に対しては耐震化を求めながら、府としては別枠ではなく、経常費補助金の枠内で運用するというやり方は問題です。
これから耐震改修に取り組む私学には、経常費助成が増額される一方、すでに耐震化したところや、経営が厳しくてすぐには耐震改修に取り組めないところは、減額されることになります。そもそも私立学校に対する経常費補助金は他府県と比べて大きく減額されており、私学経営の自由度、裁量権にかなりの制限がかかっています。今回の措置は、私学の経営をさらに圧迫することになり、大阪の教育環境の向上どころか、改悪につながるものと我々は考えます。
子どもたちの命を守り、かつ大阪の教育環境の向上を図るためには、耐震改修など児童生徒の安全のために必要な費用については、現行の経常費補助金とは別枠を設け、確保すべきと考えますが、知事の考えを聞かせてください。
【知事答弁】
私立学校の耐震化については、まずは、設置者責任により対応すべきものであることや、本府の厳しい財政状況を踏まえ、別枠の予算措置は行いませんでした。
府としては、3年間の取組みとして、私立学校全体の相互協力により、耐震化の促進が図られるよう、経常費補助金を予算の枠内で重点的に配分することを検討しております。
ただ、この検討は、私学団体の理解を得た上で実施します。これからも私学団体の理解を求め、私立学校の耐震化の促進の理解を得たうえで、進めていきたいと考えます。
【要望】
今の答弁で、「私学団体の理解を得たうえで」と言われたが、団体は理解していないんです。
また、私立学校は地域や市町村から、「避難所になってほしい」との要望を受けられて、「耐震化ができていなくて・・・できていればもちろん受けますけれど」といったことも現実にあるわけです。幼稚園も同様です。幼稚園児の命は何よりも優先して守るべきであるとの思いで、我が議員団からは予算の増額を強く求めます。

5.密集市街地対策

【質問】
昨年10月に国土交通省より「地震時等に著しく危険な密集市街地」が公表されました。全国の密集市街地、5,745ヘクタールのうち、大阪府に約4割の2,248ヘクタールが集中しています。
このことは、昨年8月の中央防災会議の被害想定にも顕著に示されています。
≪資料11≫
南海トラフ巨大地震の被害想定の割合を全国と大阪府について、項目別に表したものです。赤い部分が火災による被害割合ですが、津波の早期避難率が高い場合では、府内の人的被害の約3分の1以上が火災によるもの、建物被害では実に8割近くが火災によるものと想定されています。つまり府では津波対策だけではなく、老朽化した建物の倒壊や密集市街地対策について、重点的に取り組まなければなりません。
ところが府では、密集市街地の整備アクションプログラムにおいて、市町村が行う対策事業の補助対象範囲について、重点化と称して約5分の1にまで縮小する案を示し、東日本大震災後の24年度から実施に移しました。予算額も、平成19年度までは3億円だったのが、25年度ではわずか1億2千万円と、大幅に縮小されています。
府では最低限の安全性を確保するための重点化だと説明していますが、最低限の安全性とは何なのか、他府県に比べて火災による甚大な被害があっても、最低限の安全性は確保されるというのはどういうことなのか、住宅まちづくり部長に説明を求めます。
【住宅まちづくり部長答弁】
密集事業費補助については、財政再建プログラム(案)及び財政構造改革プラン(案)の議論を踏まえ、限られた予算を効果的に活用するため、また、府市の役割分担の観点から、整備効果が高い地区に絞り込んで実施するとしたものです。
密集市街地における最低限の安全性の確保とは、特に市街地の特性から、まち全体の安全性を高めるということで、地震時等において同時多発的に火災が発生したとしても、際限なく延焼し、避難ができなくなる、といったことにならないようにしていくということであります。
具体的には、国で定めている指標でありますが、燃えにくい建物や、公園などの空き地があれば、燃えるスピードが遅くなり、逃げやすくなる。それらが地区全体面積の4割以上になると、建物が焼失してしまう割合が80%から25%程度に急激に減少するため、こういった状況にもっていく。
また、避難路の整備や、その沿道の建物の耐震性、防火性などを向上させ、ほとんどの人が地区外に逃げられるという状況にもってゆくことを目標としています。
市とも連携し、出来るだけ早期に最低限の安全性を確保してまいりたい。
【再質問】
全国の4割の密集市街地を抱える大阪府が、南海トラフ巨大地震の人的被害2,000人という想定が出されている中、3兆円の予算の中で、対策として1億2千万円の予算額で充分であると考えているのか、何故、府民の命を守るための安全性の基準が最低限で良いというのか、答弁を求めます。あわせて、今回、対象範囲から外された地域の命は選択されなかった、切り捨てられたということなのか、知事の答弁を求めます。
【知事答弁】
大規模な地震の発生が切迫してくる中で、短時間で対応するために、国の考え方も踏まえて、まずは燃え広がることの無いよう、逃げられる状況に持ってゆくことといたしました。
密集市街地における災害時の安全性確保については、市と連携して、密集事業や都市計画の規制誘導など総合的に改善を進めています。
市に対する密集事業費補助については、基礎自治体との役割分担を踏まえて、限られた予算を、市が取り組む事業効果が高い地区に重点化して配分し、密集市街地全体の安全性を確保してまいります。
【要望】
きれいな言葉を並べて、あれこれ言い訳をされていますが、住宅まちづくり部では密集市街地対策の予算を増額すべきか否かという議論さえしていないと聞いています。また、知事も積極的に庁内で議論されたという話を聞いたことがありません。
昨年の決算委員会で、我が会派の議員が密集市街地対策について質問した際、住宅まちづくり部長は「今後大きな地震が来た時に、人の命の関わる非常に大変なことになるということは十分にわかっている、しかし、府だけがお金がないからといって絞り込んでいるという、事実はそういうところがある」と答弁しました。お金がないからという理由で、東日本大震災前に作成したアクションプログラムによる予算額や対象範囲の縮小をかたくなに推し進めることは、府民の命を軽視しているとしか考えられません。密集市街地対策の予算の増額と補助対象範囲の拡大を強く要望しておきます。

6.温暖化防止条例改正

【質問】
東日本大震災、それに伴う福島第一原発の事故を受け、全国の原発が一旦は停止し、現在は関西電力の大飯原発3、4号機のみ稼働しています。原発の代替として、火力発電への依存度が大きく増加しています。とりわけ、原発依存度の大きかった関西では、火力発電所の稼働が急増しています。CO2排出量抑制の観点からは非常に厳しい状況です。関西電力におけるCO2排出係数の値は、原発がまだ一定稼働していた2011年度でも、従来の5割近く増加しているとのことであり、現時点ではさらにCO2排出量が増加していると考えられます。
そこで、原子力発電所の稼働率低下、火力発電所の稼働率上昇に伴い、府域の二酸化炭素排出量はどれくらい増加しているのか、正確な数値が無いのであれば、試算でもかまいませんので、お示しください。
また、エネルギー戦略会議の提言では、原発からの撤退を主張されています。これは、松井知事や橋下市長の従来からの方針に沿ったものだと考えられます。しかし、電源構成の変化に伴うCO2排出量の増加による環境への影響については触れられていません。原発を廃止すれば、少なくとも中期的には化石燃料でカバーせざるを得ません。府は本気で温暖化を防止しようと考えておられるのか、環境農林水産部長の答弁を求めます。
【環境農林水産部長答弁】
府内の温室効果ガス排出量は、国が翌々年度の6月頃に公表する「都道府県別エネルギー消費統計」のデータを基に算出するため、昨年8月に公表した、2010年度の4,794万トンが最新のデータです。定期検査等で原発の稼働率が低下した2011年度の排出量は、今年の夏頃に算出、公表する予定です。
試算でも良いのでどうかとのお尋ねですが、単純に2010年度の電力使用量に、2011年度の二酸化炭素排出係数を当てはめて計算をいたしますと、5,639万となり、これは2010年度の実際の排出量に比べ約18%の増加になる試算結果でございますが、この数字は2011年度の実際の省エネ、節電の取り組みによるエネルギー消費量の削減効果を織り込んだものではございませんので、この点御理解をお願いします。
府の地球温暖化対策については、この間、事業者の自主的な対策の促進や府民への啓発などに取組んできた結果、1990年度比で設定した2010年度の排出削減目標9%は達成しており、現在は、昨年3月に策定した新たな計画に基づき、更なる削減に向け対策を推進しています。
今後の取り組みについては、国では、先の「第3回日本経済再生本部」において、本年11月までに、国がこれまで掲げていた25%削減目標を「ゼロベースで見直す」との政府方針が示され、国において今後の削減目標やそれに向けての対策のあり方について検討が進められることとなりましたので、府としてもこの動向をよく見極めつつ、地域レベルでの対策に引き続き取組んでまいります。

7.府市エネルギー戦略会議

【質問】
先の温暖化防止条例の答弁で、国の目標や対策が定まってから府の実行計画を見直すとのことですが、この姿勢とまったく異なるのが、府市エネルギー戦略会議です。
防災対策は、中央防災会議など国の知見が出てから判断すると言いながら、エネルギー政策では、国にもの申すとするなど、都合良く使い分けしています。
そもそも、この会議の目的は、附属機関に関する条例の規定によると、「新たなエネルギー社会の形成による新成長の実現に向けた戦略を検討」することであり、具体的には「府市エネルギー戦略のとりまとめ」とされています。
私が知事であれば、この会議に対し、国のエネルギー政策がどうあろうと、府民生活の安心確保と、府内経済が成長するための戦略の提言を求めます。
具体的には、国が大飯原発の停止を命じた場合や、原子力発電を一切認めない場合でも、安定的に企業活動が続けられ、府民に不自由な思いをさせないよう、電力不足回避策を立案するよう求めます。
ところが、2月8日に報告された提言では、府民市民のために府市が実施するエネルギー施策にどうつながるか全く分かりません。
提言の186ページの内、前提条件などの設定が170ページを占め、さらに、パネルをご覧頂くとお分かりのように、
≪資料12≫
国のそれぞれの機関で専門家が議論をしているものです。例えば、原発のコストと経済性は、原子力規制委員会、今後の電力需給対策はエネルギー・環境会議のようにです。さらに、府市の会議で使用されているデータはほとんど国の既存資料であり、各委員が得意分野について独自の調査もせず執筆したとしか思えません。
会議の運営は府民市民の税金で賄われているのですから、単なるスローガンや国への要望を取りまとめるのではなく、府や府民・事業者が取り組むべき施策を具体的に行うことにあるはずです。知事はこうした施策の答申を求めるべきだったと考えますが、いかがですか。
【知事答弁】
今回のエネルギー戦略会議からの「提言(案)」においては、原発依存脱却への考え方や、原子力安全体制、電力システム改革等についての考え方や、政策の方向性などをとりまとめいただきました。
府としては、この提言もふまえ、地域におけるエネルギーの安定供給の前提となる国のエネルギー政策についての、必要な提案を適宜行ってまいります。
また、自治体自らが取り組むべき施策についても、今回の提言で示されており、エネルギー消費の抑制や電力ピーク対策、太陽光発電設備の普及促進等、需要側の取組みについても積極的に実施し、エネルギーの地産地消を目指した新たなエネルギー社会の実現に向け、着実に取り組んでいきます。
【再質問】
エネ戦の委員は、府市統合本部会議での報告の後、知事、市長の意向を受けて、3月末までに原発ゼロに向けた「工程表」を作成するとの報道がされていますが、府民市民の税金でする仕事とは思えません。エネ選会議にいくら税金を使ったのですか?環境農林水産部長に伺います。
【環境農林水産部長答弁】
平成24年2月27日から直近の本年2月4日までの、これまでの25回の会議の開催及び打合せに要しました費用は、委員への謝金、交通費、会場使用料等をあわせまして、約920万円でございます。
【再質問】
≪資料1314≫
このような内容が具体的な策であったのでしょうか?昨年夏の中間とりまとめ以降も、具体化されたものは何一つありません。都市魅力推進会議のように、取り組むべき政策などが具体に示されていません。これでも、920万円の税金投入に見合った報告書と言えるのでしょうか?知事はどのようにお考えか、伺います。
【知事答弁】
提言案を踏まえた具体施策については、今回の融資制度の拡充や、スマートおおさかエネルギーセンターの設置、ステークホルダー会議開催などの具体施策を打ち出しておりまして、府の施策のために活用できております。
【再質問】
今の例示が920万円の成果であれば、私は納得できません。この提言を見る限りこのような使い道は如何なものかと思います。
温暖化防止条例と併せて伺います。
現在、関西電力は電力料金の値上げを申請しており、国の審査で認められれば、4月からの値上げが想定されます。これまで比較的安かった電気料金が、東京、沖縄、北海道に次いで高い水準になることで、工場の撤退、縮小、海外移転などを検討している企業も多いと聞いています。燃料費の増加による値上げが、府民生活を直撃することも予想されます。
自治体としてエネルギー政策を進めるうえでは、電力の安定供給の確保、環境負荷低減や省資源、電気料金値上げの影響軽減といったベクトルの異なる課題に同時に対応するためにこそ、府民市民の税金を使うべきです。昨年の中間報告の後新たに提言されている施策、新たに府市が何をすべきなのか具体策について、知事の答弁を求めます。
【知事答弁】
電力の安定供給は、大阪の持続的成長のために不可欠です。そのため、今回の提言や、府環境審議会の答申を踏まえ、需要側も参加した新たなエネルギー社会の構築に向け、エネルギー消費の抑制や電力ピーク対策等の取り組みを、府市で着実に実施しております。
電力料金の値上げについては、家計や企業に多大な影響を及ぼす恐れがあります。まずは、関電自らが徹底した経営改善を行い、国も厳正に審査を行い、値上げ幅を最大限抑制することが重要です。
こうした観点から、国や関電に対し申し入れを行ったところです。今後とも国等に対しまして電力システム改革の推進など、地域のエネルギー安定供給の前提となる政策について必要な提言、提案を行ってまいります。
温暖化対策もエネルギー対策と並んで重要な課題です。温暖化対策に配慮しつつ、需要側も参加したエネルギー対策を進めるためにも、今回府温暖化防止条例にエネルギー対策に係る項目を追加いたしました。
CO2排出量の削減については、国の日本経済再生本部において、25%削減目標をゼロベースで見直すという政府の方針が示されたことから、府としても、国の動向を見極めつつ削減目標等を精査し、地域レベルでの対策に引き続き取り組みます。
【指摘】
私が求めたのは、府市が何をすべきかということなので、関電とか、国に対してなどではなく、府市が作ったエネルギー戦略会議がどういうことをしたかを聞いています。答えになっていませんし、このようなものは成果に値しないと思います。
先ほどの質問の答弁では、温暖化ガスについて、2010年度の排出削減目標は達成しているとのことですが、CO2については、基準年度である1990年度を初めて下回ったのは2009年度です。これは、リーマンショックによる景気後退の影響、つまり経済を犠牲にしてのCO2の減少だったということです。
結局、原発の停止を主張しながら、それに伴う環境悪化からは目をそむけ、省エネルギー対策と称して事業者や府民に負担を強いるばかりで、新エネルギー促進策としても、小手先の事業でお茶を濁し、電気料金値上げによる関西経済に与える打撃については関西電力にすべて責任を押し付ける。極めて無責任な態度であると指摘しておきます。

8.府市共同 住吉母子医療センター

【質問】
昨日の代表質問でも議論されていますが、橋下市長は大阪市議会で、府立急性期・総合医療センターと統合が計画されている大阪市立住吉市民病院の跡地について「小児・周産期医療を含む民間病院を積極的に誘致してゆく」として、民間事業者の開業意向を調査する方針を示されています。
我が会派は、この問題について具体の質問を用意しておりました。しかし、市立病院跡地に市が民間病院を誘致するというのなら、新施設のベッド数も確定しないなど、議論の前提条件が大きく崩れてしまいます。
仮に市長が答弁したとおり、民間病院を住吉市民病院跡地に誘致することとなった場合、統合案で示された市南部地域における小児周産期の医療機能を急性期センターが継承するとした整備計画案のコンセプト、前提条件が破たんします。
そこで、お尋ねいたしますが、昨日、公明党さんの質問に対し、松井知事は統合の影響について「いい影響」と「悪い影響」があると答弁されましたが、それぞれ具体的にお示しください。健康医療部長にお伺いします。
【健康医療部長答弁】
住吉市民病院の跡地に民間病院が誘致できた場合の「いい影響」と「悪い影響」について、「いい影響」は、地元住民の不安、要望に応えることがあります。一方「悪い影響」は、診療科や規模によるが、現在検討されている統合案に盛り込まれている事業内容に影響を与える可能性があると考えられます。
【再質問】
部長の答弁はわかりにくいです。元々大阪市が現地建て替えを検討されていたが、知事市長が話し合いをされて、急性期の敷地に府と市がお金を出し合って移転させるという案で今議会に提案されたものです。しかし、2月22日に、橋下市長が病院跡地に民間病院を持ってくればいいじゃないかと発言し、別の案が出てきました。ベット数も全く決まらない。それが今の状況だと我々は理解しています。
府市統合本部長である松井知事からトータルプランをここでわかりやすく説明してください。
【知事答弁】
今回の機能統合案は、府市統合本部会議において病院の経営統合を議論する中で、老朽化した住吉市民病院への対応策として、府市双方で決定したものです。
機能統合案は、府立急性期・総合医療センターの既存資源を最大限活用しながら、住吉市民病院が担う市南部地域における小児・周産期医療の役割を継承し、小児救急やハイリスク分娩などの診療機能を充実していくうえで極めて重要であると考えます。
【再質問】
トータルプランを示してくださいといっているんです。ペーパー等で出していただけますか?
【知事答弁】
機能統合した新病院のプランは出来上がっているので、健康医療部から届けさせます。
【再質問】
府と市の考え方のプランが示されたのはわかっています。それは住吉病院が無くなる想定で出されたものです。それで我々に2億数千万円の予算承認を求めていて、そして将来府市が38億円ずつ出して新しい施設を建てる、そのプランはわかっています。それでさえ如何なものかと思うが、さらに住吉病院跡地に民間病院が来て、府市の支出が要らなくなる施設を作ってくれたら、府も市もお金を出さなくてもよくなる。だから2億数千万円の議論、38億円の議論はできないと言っているのです。
【知事答弁】
奴井議員の議論には違和感があります。統合プランは出来ています。民間病院誘致の件は、地元の要望を受けて橋下市長が表明されたばかりです。相手がある話なので、来るか来ないかもこれからの話です。住吉市民病院がどれだけ老朽化しているかは議員もご存じと思います。議員の主張では、民間病院の件がはっきりするまで何もしないということになります。私立学校施設の耐震化は重要と言われているのに、子供の命、新しい命を守るうえで、議員と私の考えは違うと思います。
【指摘】
住吉市民病院と急性期・総合医療センターは同じ医療圏なので、規定のベット数をほとんど統合施設に持っていって、民間病院に割り当てできるベッド数はありませんというわけにはいかなくなります。表明されたばかりで何も決まっていないというなら、この議案は取り下げるべきです。

9.粒子線がん治療施設について

【質問】
次に、大手前地区への誘致計画が進められようとしている、最先端がん治療施設の整備と大手前地区のまちづくりについて伺います。
まず、粒子線治療を導入することに、我が会派は反対しているのではありません。重要な問題について安易に決定することなく、検討を重ねて間違いのない判断をして頂きたいと思いますので、何点か確認させて頂きます。
昨年の10月に行われた「粒子線がん治療施設の整備事業に関するアンケート」では、「患者数の見込」とそれによる「採算性」、「重粒子線治療と陽子線治療、リニアック等の従来の放射線治療との比較」や「治療効果」といった設置の意義、また、放射線治療に関わる医師の確保、スタッフの養成等の「人材の確保」、更に「府内のがん拠点病院との連携」など、患者の紹介や紹介後の様々な連携について、さらには、「粒子線治療が今後普及するかどうか」など、様々な観点からご意見が寄せられています。全ての項目について賛否両論という印象です。
そこで、様々な観点から質問させて頂きます。
粒子線治療の導入について、我が会派も本会議で取り上げ、様々な観点から議論をしてきましたが、まだまだ議論は尽くされていません。
府の予算編成過程公表サイトでは「粒子線がん治療施設整備事業(仮称)について」、冒頭で「拡張用地の確保や粒子線治療などの最先端医療の導入を図り、より診療機能が充実した成人病センターとなるよう、以下の整備計画(案)を府の方針として決定」とありますが、意味がよく分かりません。
まず、この文章の主語は誰なのでしょうか。健康医療部長に伺います。
【健康医療部長答弁】
重粒子線治療はがん治療における有力な選択肢の一つとして、府としても早急に府民に提供できる医療体制を整備する必要がありますので、1月25日の戦略本部会議において、府の政策医療として位置付けて、その中心的役割を担う成人病センターで取り組むこととしたものです。
お示しの文章は、府と病院機構が粒子線がん治療施設の整備に取り組むことを表現したものであります。
【再質問】
府は1月25日の戦略本部会議で、粒子線施設を整備することを決定しています。一方病院機構は、1月16日の機構理事会では粒子線施設について報告がありましたが、決定しているのは1月27日の理事会です。府が決定した1月25日の段階では病院機構は粒子 線の導入について議決しておりません。時系列で考えれば、府は、病院機構の議決なしに、粒子線治療の導入とそのための土地取得まで決定したことになります。
病院機構あるいは成人病センターが、拡張用地を確保するということを府が決めたと いうことでしょうか。病院機構は納得しているのか、拡張用地が必要だということを病院機構はいつの時点で正式に決定したのでしょうか。
【健康医療部長答弁】
1月25日の府の戦略本部会議において決定した今回の整備計画案は、府と病院機構が十分調整しながら策定したものです。この整備計画案において、用地は病院機構の資産となることや重粒子線治療の事業終了後、成人病センターの機能拡充に活用できることも踏まえ、病院機構が取得することとしています。病院機構においては、この戦略本部会議の決定を受けて2月7日の理事会に諮り、正式に承認されました。
【指摘】
報告書10ページの病院機構の収支見込みで「事業終了後の用地は病院事に活用することができる。」と書いてありますが、詭弁です。病院機構は34年間、使えない土地を買う、つまり、負の資産を今、わざわざ買うということになります。
また、2月7日の理事会の議事録を見ても拡張用地を買うかどうかという議論はされていません。
「34年後に拡張用地になる」「機構の資産になる」と素晴らしい言葉を並べていますが、松井知事は将来使うかどうかも分からない土地、しかも、34年間も使えない土地を自分のお金だったらわざわざ買いますか。常識ある経営者であれば買うはずがありません。病院機構の放漫経営は責任を問われるべきです。常識ある経営者であれば、府に対し土地を貸すよう要求するか、府が直接民間事業者に貸すことを求めるべきだと指摘しておきます。本当に大切な議論が病院機構の理事会で議論されていないのが本当に残念です。
【再質問】
年間で約800人程度の放射線治療をされている大学病院の医師にお聞きしたところ、粒子線治療施設を紹介しても、実際に治療を受けられる患者は年間で数名程度であると聞いています。患者の年齢や家庭環境、治療効果が望めない等理由は様々でありますが、治療費が約300万円と高額なため治療を断念される方も多いと聞いています。
部局の説明では、府内の適応患者数は2,400名となっていますが、この数字は粒子線治療を第一選択する患者数ではないと考えます。
また、第一線で治療されている医師は、場所が遠いからという理由で粒子線治療を受けないことは考えにくいと話されていました。患者の多くは懸命に病気と闘っており、前向きな方々が多いと聞いています。実際、平成23年度で成人病センターが紹介し「放射線医学総合研究所」で治療をされた方が1名、「兵庫県立粒子線医療センター」は13名だけであります。紹介した患者の半分も実際には治療を受けられていないのが実態です。
そこで、お尋ねいたしますが、大手前に重粒子線施設ができたとしても、患者が少なくて、民間事業者の経営が赤字になった場合、病院機構が赤字補てんするのでしょうか、もしくは府が補てんするのですか。全く赤字補てんはしないのでしょうか。また、計画(案)に示された借地料を軽減する以上に、更に引き下げることはないでしょうか。
【健康医療部長答弁】
借地料など具体的な公募条件などについては、来年度、事業者を募集、選定する中で、専門家の意見を踏まえ設定していくこととしておりますが、本整備計画案では事業を運営する上で生じるリスクにつきましては、民間事業者が負うこととしており、仮に赤字になった場合でも、病院機構や大阪府が補てんすることはありません。
【再質問】
最後に病院機構の経営責任についてお伺いいたします。
≪資料15≫
他の5病院の会計と粒子線治療の会計を明確に分けるべきだと考えます。
経営責任を考えれば、この赤字分を病院機構や成人病センターの会計に紛れこませて、赤字隠しするようなことは絶対に認めることは出来ません。機構は土地を府から買って、不動産賃貸業をするだけであります。前回の委員会でも指摘しましたが、粒子線治療の会計を単独で設置して、毎年の収支を公表し、赤字分について経営者の責任を明確にする仕組みを作るべきです。部長からは病院機構の経営判断であるという答弁を頂いていますが、その後、どのような結論になったのかお示しください。健康医療部長、お答え願います。
【健康医療部長答弁】
病院機構の会計は資金の一括管理による効率的な病院運営を図るため、法人全体で一つの会計としているところですが、従来から病院ごとの財務諸表も併せて公表しています。
今回の重粒子線施設の整備に係る病院機構の会計の取り扱いについては、府民にも明らかになるように、成人病センターの財務諸表において適切な経営判断の下に行われるべきと考えております。ご指摘の点については病院機構に伝えてまいります。
【まとめ】
何度も申し上げていますが、我が会派は、粒子線治療の導入に反対しているのではありません。しかし、様々なリスクが存在することは明らかであります。将来世代に禍根を残さないよう、間違いのない判断をしてまいりたいと考えます。そこで、府や病院機構の意思決定について、また、患者数の見込みや、成人病センターとの関わりについて、様々な点で、堀総長並びに粒子線施設に携わっている専門家の方々に直接お話をお聞きしたいと考えますので、本会議で参考人として招致することについて、議長にお取り計らいをお願いします。

10.府市医療戦略会議について

【質問】
この4月に新たに設置する「医療戦略会議」について伺います。
高齢化が進む中で医療・健康分野のニーズは高まっており、自民政権が6月にとりまとめようとしている成長戦略においても、医療・健康産業の振興を柱の一つとして位置付けようとしています。
大阪においても、成長戦略の実現を目指す中で、医療・健康づくり分野における大阪の強みを活かす視点は重要です。大阪大学をはじめとする高度・専門的な研究機関や医療機関の集積、さらに、ものづくり中小企業などの企業集積を活かし、ぜひ大阪において具体的な産業振興策を早急に打ち出してゆくべきです。
ただ、会議の位置づけについては確認しておく必要があります。
9月議会で、わが会派は、統合本部のもとに設置される戦略会議のあり方について、疑問点を指摘しました。
戦略会議は、特別顧問、特別参与として委嘱を受けたメンバーを委員として任命し、特別に高い報酬を支払うこととしています。単に大阪府・市共同の戦略会議だからという理由で、府の単独の附属機関とことさら異なる位置づけとするのは納得できません。
医療審議会など、従来型の附属機関でも、関連分野の専門家が委員に選任され、それぞれ真摯な議論が交わされています。特別顧問、特別参与だけ特別に高い報酬を認めるのであれば、これら従来型の附属機関との違いが明確でなければなりません。
医療戦略会議は、統合本部のもとに新たに設置される戦略会議として、今回条例や予算が提案されています。この会議を統合本部のもとに置くものとして位置づける必要性や、委員を特別参与等に委嘱しなければならない必要性があるのかどうか、知事にお聞きします。
【知事答弁】
医療戦略会議は今後の成長市場と見込まれる医療健康づくりをターゲットに、府民の生活の質の向上と関連産業の振興を目指し、民間の積極的参入を促す振興策など、戦略的な観点から提言を取りまとめて頂くものです。大阪府、大阪市という組織の垣根を越えて議論いただくために、統合本部のもとに置く戦略会議として位置付けたものです。
また、この会議は医療健康づくりと関連産業の振興という既存の行政分野の枠を超えた事項について議論いただくもので、このため、従来の単独の附属機関とは位置づけが異なります。委員には、会議以外の場面でも適宜必要な活動や作業を行っていただくなど、従来の附属機関以上の積極的、主体的な役割を期待しておりまして、特別参与として委嘱する必要があると考えています。
【まとめ】
この件については、引き続き委員会で議論を深めたいと考えます。

11.受動喫煙の防止等に関する条例について

【質問】
受動喫煙の防止に関する条例が提案されています。神奈川県、兵庫県でも同様の条例が制定されていますが、府は、分煙については「効果が不確実」として、全面禁煙を義務化しようとしています。これでは、既に分煙を実施している官公庁や飲食店で混乱が生じる可能性があります。
そもそも、健康増進法では、受動喫煙の防止に関して、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないという規定があります。
これらの施設は法律を受けて、施設内禁煙や分煙を進め、利用者にも定着しています。それにもかかわらず、分煙の効果が不確実とまで言い切り、禁煙を義務化する目的は何でしょうか。健康医療部長に伺います。
【健康医療部長答弁】
本条例は、受動喫煙による健康影響に鑑み、受動喫煙のない社会の形成に関し、基本理念を定め、府、施設を管理する者及び府民の責務を明らかにするとともに、受動喫煙の防止のために必要な規制などを行うことにより、府民の生命と健康を保護することを目的としています。
受動喫煙防止のため、公共性の高い施設につきましては、条例による建物内禁煙義務化及び、敷地内受動喫煙防止対策努力義務を行い、それ以外の民間の飲食店や旅館、ホテルなどを含めた施設については、事業者の自主的な判断を尊重し、別途ガイドラインを策定し、受動喫煙防止対策を推進することとしております。
【再質問】
府は条例を提案し、受動喫煙の被害の抑制を図ろうとしています。言うまでもなく知事は府政の最高責任者であり、この条例の提案者です。知事は条例が可決された場合、飲食店はもちろん受動喫煙が起こりうるような場所では絶対に喫煙しないと約束できますか。
また、府庁職員はもとより、警察官や教職員に至るまで、条例を提案する組織に属している人間全員が、受動喫煙防止の観点から、人前で絶対にたばこを吸わないと約束し、府民の模範となると約束すべきだと考えますが、知事いかがですか。
【知事答弁】
僕は煙草を愛する一人として、受動喫煙にならないところでしっかりたばこを味わい、受動喫煙には、本当に注意をしたいと思います。
【まとめ】
私も愛煙家です。この条例は締めすぎと思います。大阪府庁は前橋下知事が敷地内禁煙を決めて以降、誰も吸っていません。それが官庁、例えば豊中市が、市役所を禁煙とするかどうかは、選ばれた市長が決めたらいいんです。大阪府はもう決まっているから我々も吸いません。知事も吸っていません。
しかし、このようなことをわざわざ条例で縛ることはないと思います。それぞれみんな努力はしています。努力していなかったらこれをしないといけない、これはわかりますが、全ての事業者等、ここに列挙されたところは、もう努力されています。大阪府民は立派なマナーをもっているという誇りを感じるので、これは認めにくいということを申し述べておきます。

12.大阪観光局について

【質問】
府、市及び経済界の3者が協力して戦略的に観光集客を促進するため、大阪観光局の設置が提案されています。2020年外国人旅行者650万人という目標を達成するため、従来の行政主導・メニュー消化型から、民間人トップの権限と責任及び裁量のもとで事業を実施すると説明されています。
観光振興については、これまでも行政と民間が、それぞれの役割を果たしながら、協力して取り組んできたはずです。しかし、民間だからといって全てうまくいくとは限りません。この大阪観光局という制度は、行政の責任を放棄し、民間に丸投げするという印象さえ受けます。
行政と民間の連携では観光の振興は図られず、大阪観光局なら成功するという根拠はどこにあるのでしょうか。新たな制度をつくったからといって、ただちに政策目標が達成されるわけではないのは、言うまでもありません。なぜ、これまでの観光振興ではいけないのでしょうか。今、わざわざ大阪観光局という制度をつくらねばならない理由をお示しください。
【府民文化部長答弁】
世界で観光集客の都市間競争が大変激化している中で、観光戦略に掲げた2020年に外国人旅行者650万人という目標を達成するためには、民間ならではの斬新な発想で事業を展開し、強力に観光振興を推進していく必要があると考えております。
そのため、これまでのように府市それぞれが行政サイドで事業内容を詳細に決定して執行するという形ではなく、民間の観光のプロをトップに据え、そのトップマネジメントにより事業をフレキシブルに展開し、発展させることができる新たな枠組みとして、大阪観光局を発足させるものです。
しかし、ご指摘のように公金を投入する以上、丸投げにはできません。そこで、大阪府、大阪市、経済界では、大阪観光局発足に合わせて設置する大阪観光局運営推進協議会と、その下に設ける評価委員会により、ガバナンスをきかせながら、大阪観光局の活動が円滑かつ適正に進められるよう、サポートを行っていくこととしています。
【再質問】
これまで府は、大阪の観光を担ってきた「財団法人大阪観光コンベンション協会」に年間4,500万円の予算を支出してきましたが、来年度は年間2億5千万円の予算を支出することになります。
大阪観光局には、府・市・経済界がそれぞれ同額の予算を支出し、25年度の予算額は
7億5,000万円とのことです。大阪観光局は事業メニューをこなす機関ではなく、自ら企画立案するとのことですが、なぜ、これほどの予算が必要なのでしょうか。
観光局が行う事業、成果目標はどうなっているのか、予算案とともにそれらも具体に示すべきと考えますので、ご説明ください。
また、大阪観光局長の権限と責任と裁量で事業を行うとしていますが、その効果検証はどのように行うのでしょうか。府民文化部長にお答えを求めます。
【府民文化部長答弁】
大阪観光局につきましては、大阪府市都市魅力創造戦略の重点取組として位置付けまして、8月に戦略素案を策定した後、その枠組みなどについて大阪府、大阪市、経済界で調整を続け、先般、2月18日に大阪観光局や事業主体、制度の枠組みなどについて府、市、経済界のトップによる合意を行ったところで、観光局長就任予定者から示されました事業計画案など可能な限り議会にお示しし、予算の審議をお願いしているところです。
観光局に係る予算については、観光局長就任予定者の事業提案を踏まえ、大阪市、経済界と調整を行い、必要と考えられる経費を算定したものです。
総額7億5千万円の事業費の内、主なものはマーケティングリサーチの強化やキャッチコピーによるイメージ戦略などで6千5百万円、有力なメディアや旅行会社の招聘など国内外での観光プロモーションで1億3千万円、映像でのPRを充実させるなどインターネットを活用した情報発信に6千5百万円、国際会議をはじめMICE誘致に5千万円程度見込んでいます。
次に、成果目標ですが、観光局長は、大阪の観光戦略に掲げる来阪外国人観光客数、2016年450万人、2020年650万人という戦略目標の達成に向け、毎年度具体的な事業計画と成果目標を立てることになっています。なお、2013年については、260万人を目標としているところです。
また、成果目標については、観光戦略に掲げる外国人観光客数だけでなく、来阪外国人の満足度など事業の成果を可能な限り適切に判断できる指標を設定することとしています。
最後に、効果検証ですが、大阪観光局運営推進協議会の下に大阪府、大阪市、経済界、有識者で構成をいたします評価委員会を設置いたしまして、事業計画の審査、成果目標の設定、達成状況の評価を行い、その結果を観光局長の報酬や契約更新などに反映させることとしており、これらは適宜、議会にお示ししたいと考えています。
【まとめ】
7億5千万円という大きなお金ですので、必ず効果検証をしていただきたいと思います。

13.百舌鳥・古市古墳群について

【質問】
百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録に向けた取り組みについて伺います。
大阪の魅力向上や観光客誘致について語る時、大阪市内にばかり目を向けがちでありますが、大阪府域全体には、京都や奈良にも負けない貴重な歴史文化遺産が多く存在します。なかでも、私の地元堺市や、羽曳野市、藤井寺市にまたがる百舌鳥・古市古墳群は、世界に類をみない圧倒的なスケールをもつ古代遺跡であり、平成27年の世界遺産登録を目指しています。大阪に世界遺産が誕生すれば、大阪の多様で層の厚い都市魅力を国内外に発信できるはずです。
登録実現に向けた道筋と、そのために何をすべきか、府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
百舌鳥・古市古墳群が平成27年度に世界文化遺産に登録されるためには、まず平成25年5月末までに、国に登録推薦書の原案を提出したうえで、夏に開催されます国の世界文化遺産特別委員会で推薦候補資産として決定されることが必要です。その後、日本政府からユネスコへの登録推薦書の提出、ユネスコの諮問機関による現地調査を経て、平成27年6月ごろの世界遺産委員会で審議されることになります。
そこで、来年度は、府と堺市、羽曳野市、藤井寺市が一体となりまして、資産の価値照明や保存管理のあり方をまとめ、登録推薦書を作成するとともに、ガイダンス機能など登録後を見据えた町の魅力づくりについても検討を進めていく予定です。
さらに、登録実現に向けては、地元はもちろん、全国的な理解と応援が重要でありますので、地元市での機運醸成の取り組みに加え、民間と連携した国内外へのプロモーションを展開していく予定です。
【再質問】
私の地元でもありますので、是非とも百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産の早期登録 を実現させてほしいという思いでありますが、知事の意気込みをお聞かせください。
【府民文化部長答弁】
百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の実現によって、かけがえのない歴史遺産を守り受け継ぐとともに、府民の大阪に対する愛着や誇りをさらに高め、国内外の多くの方々に大阪の多様な魅力を知っていただけるものと期待しています。

14.職員基本条例について

【質問】
職員基本条例に基づき4月から本格実施されようとしている、職員の相対評価について伺います。
昨年の2月議会で職員基本条例が提案され可決されました。我が会派も職員の資質能力、執務意欲の向上という提案趣旨から賛成しました。相対評価によって職員の奮起と切磋琢磨を促し、職員が向上心を持って仕事に取り組むことになるとして、1年間の試行期間を経て25年度から本格実施される予定です。
では本当に、提案趣旨通り、職員の資質能力及び執務意欲の向上につながるものとなっ ているか、以下、検証していきたいと思います。
≪資料16≫
1年間の試行期間で明らかになったことは
・結果を出したのに下位区分に位置付けられた職員のモチベーションの低下
・働きに差が出ない職員の相対評価に対する苦慮
・所属部局の規模が評価結果に影響
・異なる評価者間の調整が困難
・顔も見たこともない職員の相対評価が困難
・相対評価に納得していない職員がいる
・相対評価と開示者が異なることから、開示において、職員に納得のいく説明が難しい
など、様々な問題が明らかになっております。実際の相対評価では、絶対評価でBになっている職員が他の職員との比較によって下位区分、例えば第5区分にされることもあります。制度上の欠陥によって第4区分や第5区分に位置付けられた職員のモチベーションが向上する結果にはなっていません。
知事にお伺いしますが、1年間の試行期間を経てこの評価制度が、「職員の資質能力、及び執務意欲の向上を目指す」とされた当初の目的を達成できる制度になっていると思われますか。職員のやる気、能力アップするのでしょうか。
【知事答弁】
相対評価制度については、職員が自ら相対区分の位置を知ることにより、職員に切磋琢磨と奮起を促し、府民のために向上心を持って仕事に取り組むことを目指すものです。
本格実施に当たっては、試行で明らかになった課題に適切に対応し、職員の納得性を高めるため、評価結果に対する説明をより丁寧に行うことや、評価結果の給与や承認への反映において相対評価の結果だけでなく、絶対評価の結果も加味するなど必要な改善を加えて制度設計をしたもので、本格実施により職員のやる気や能力アップにつなげていきたいと考えています。
【再質問】
職員アンケートを見る限り、評価する側も、される側も納得していないことがわかります。
この評価制度は、絶対評価を加味するとしても、相対評価をベースしている以上、仕事に対する評価と結果が異なる職員が発生するのは制度上避けられない仕組みであり、改善点が多いのは明白です。第5区分が5%と設定されていますが、5%は何の根拠もない数字です。区分の見直しも含め、制度上課題がある部分を改善するべきだと考えますが、知事の考えはどうでしょうか。
【知事答弁】
相対評価は個人の実績や能力を評価する絶対評価と違い、職員同士を比較し、順位をつけるものですから、頑張って結果を出しても他の職員との比較によって下位区分に位置づけられることもあるということです。相対評価で下位区分になった職員には奮起をして上位を目指して頑張ってもらいたいと思っています。職員基本条例に定める相対評価の区分を見直す必要はないと思っています。
だから、この一度の評価でその職員の中での順位が第5区分になったと、そのことは結果は結果として受け止めてもらいますが、それほどネガティブばかりにとらえるのではく、そこで奮起してもらいたいと、僕は考えております。まず職員の皆さんにもたくましくなってほしいと思っています。
【再質問】
人事評価で大切なことは、職員の働きと評価が異なっている場合、その評価が正しいかチェックできる仕組みになっていることです。人間が人間を評価するのですから、評価する人によって差が生じ、主観が入ることもあるでしょうが、より精度を高め、評価者と被評価者の考えを出来るだけ一致させる努力が必要です。職員に納得してもらい能力を発揮させることが知事の使命だと考えます。
都構想の発想と同じで、制度を変えたら問題が解決すると思っているのであれば、間違いです。
我が会派としては、このままの状態では、来年度本格実施は賛成できないと申し上げておきます。少なくとも本格実施をもう1年見合わせ、今回明らかになった課題の改善を図る必要があると考えますが、知事の考えを伺います。
【知事答弁】
今年度の施行については、相対評価を本格実施するに当たり、前もって課題を明らかにし、必要な改善措置を講じるために行ったものです。施行で明らかになった課題に適切に対応し、絶対評価や相対評価の手法、給与への反映等において改善を加え、職員の納得性を高められるよう制度設計したもので、本年4月から本格実施します。
なお、本格実施後においても、相対評価が職員のやる気につながっているか、モチベーション向上に寄与しているかといった視点で、毎年度検証は行い、府民サービスのさらなる向上につながる人事評価となるように必要に応じて改善を行っていきます。
【まとめ】
この問題については、引き続き委員会で議論を深めたいと考えます。

15.通学路の安全確保について

※時間の都合により委員会にて議論

16.運輸事業振興助助成補助金について

【質問】
今議会に提案されている当事業関連の予算案を見ますと、昨年9月議会で我が会派が指摘した平成24年度補正予算案と比較し、若干の進展は見たようですが、大阪府トラック協会の補助金については、法で規定された基準額と比べると、約3分の1以下でしかなく、大きなかい離があります。
改めてお聞きしますが、どのような判断に基づくものなのでしょうか。
担当部局から示されたスキームによると、政令に規定された国の事業と府の事業との間には、相当のかい離があるようです。府で判断した振興事業と、法に規定されている事業とは元来違うものなのか、府で計上されている事業は、法と関係なく府独自に別の基準で運営しているのか、法で規定された事業をどのように位置づけられているのか、お聞かせ願いたいと思います。
事業ごとに精査することは理解できますが、事業そのものの考え方が、法の規定と府の判断でこれほど大きな違いがあることについては、理解いたしかねますので、なぜ違うのか明確にお答え願います。以上3点について、商工労働部長に答弁を求めます。
【商工労働部長答弁】
平成25年度当初予算案の考え方ですが、府は、協会からの事業提案を受け、環境や交通安全などの分野及び府民の利便性の向上に資する事業の内、府民及び事業者に効果が行き届くものという観点から事業を精査し、必要な補助金は約4億7千万円と見積もりました。これらの事業のうち、貨物自動車運送事業法に基づいて協会が実施している事業者に対する検査や指導を行う安全運行パトロールなどの事業費約1億4千万円については、本来、国費で措置するべきものですが、未措置である現状を踏まえ補助対象と認めたものです。
ただし、協会の過去の府補助金由来の基金を充てていただくこととしました。このため、補助金予算案は約3億3千万円となったものです。
次に府が予算に計上している事業の位置付けについてお答えします。
法律により都道府県に交付の努力義務が課されているこの補助金をどのように交付するかは、知事の裁量であると考えますが、府では政令で規定されている使途を踏まえ、協会から提案いただいた事業のうち、府民及び事業者に効果が行き届くものに対し、必要な補助金を交付するものありまして、法や政令を否定するものではなく、法律の趣旨を踏まえた内容となっています。
次に、政令で定める補助金の算定基準額と府の予算案で大きな違いが生じた主な理由を申し上げます。1点目は府民及び事業者に効果が行き届くものという観点から事業を精査したことによるものです。2点目は先ほどのトラック協会が運輸法令に基づいて実施している安全運航パトロールなどの事業費について、平成25年度は協会の過去の府補助金由来の基金を充てて頂くことにしたことによるものです。なお、今回充当することとなった基金については、平成25年度末で解消される見込みとなっています。3点目は、中央団体出損金について、府がその使途について関与できないことから、補助対象と認めなかったことによるものです。

17.教育委員会制度と教育の課題について

【質問】
中西教育長が4年の任期を満了されることを受け、近く、後任の教育委員が任命されることと思います。知事はこれまでの教育委員の公募に際して、教育改革への意欲のある人を広く募りたいとしておられました。自分が個人的に知っている範囲よりも、公募した方が人材の発掘ができるとも言われておりました。
また府の組織に外部の人材、民間人材を活用する際には、よりふさわしい人材をできるだけ幅広く集めるために、内外から公募するというのがお答えではなかったでしょうか。
24年4月に木村委員、23年12月に立川委員が公募の結果、任命されています。
そこで、知事にお尋ねいたしますが、報道によると、今回は教育委員の公募はされないとのことですが、その理由は何ですか。
【知事答弁】
これまで教育委員の公募に関しては、府民目線で大阪の教育力向上に取り組んでいただくという思いで実施をし、来ていただいた人もありますし、現在の教育委員長はその場で再任をお願いいたしました。一旦は任期は迎えられましたけどね。
だから、そのときどきに、この人と思った時は形にこだわらずに大阪の教育を良くしていける、そういう人にお願いしていきたいと思ってます。
【再質問】
使い分けをしておられるのかなというふうに見受けられます。
知事は教育委員会制度のあり方について、日頃から厳しく批判されています。
教育委員会の様々な改革はわれわれも大賛成ですが、制度の見直しの前に、今からでもできることがあると思います。
教育委員長は法律上、非常勤であると定められていますが、今の法律の枠の中で、常勤並みに動ける様にすべきだと思いますが、知事のお考えはどうですか。
【知事答弁】
法制度上、教育委員を常勤とすることはできませんが、府教育委員会においては教育委員長と教育長との間で緊密に情報共有が行われておりまして、教育委員長が指導性を発揮しながら方針決定ができているというふうに聞いております。
非常勤ではありますが、委員長として十分な役割を果たしていただいているものと認 識しております。
【再質問】
今の答弁を聞いていると、なにか満足しておられるような感じですが、私どもの提案は今は陰山先生が委員長でおられます。もっともっと委員長の実力と見識を発揮していただけるように、回数を増やして現場へ行っていただいたりするような方法はどうかという提案であります。
最後に、中西教育長におかれましては、4年前に就任されて以降、小中学校の学力向上をはじめ様々な課題に取り組んでこられました。また、教育基本条例、府立学校条例の制定など様々なご苦労もあったと感じております。
大阪の将来を担う人材を育成することは、非常に重要な課題であります。現場と教育委員会が強い信頼関係の下で一体となって取り組まなければ、たくさんある課題の解決はできないと思っております。委員会事務局のトップとして、現場や市町村教育委員会とともに、大阪の教育のため尽力されてこられました。教育長としてこの4年間、どのような思いで取り組んでこられたのか、また、伝えていきたいこと、託したい思いがあれば、お聞かせ願います。
【教育長答弁】
今振り返りますと、あっという間の4年間でしたが、就任早々の新型インフルエンザへの対応に始まりまして、想定外の連続でございました。
就任1年目は、学力テストの市町村別結果の公表をめぐり、市町村との間に不協和音がある中での学力向上への取り組みや、公立高等学校授業料無償化への対応が求められましたし、2年目は事務レベルでは全く予期しておりませんでした北摂3市2町への人事権の移譲問題が起こりました。また、私学の授業料無償化の拡大の一方で、府立高校の定員割れという厳しい状況も生じました。そして、3年目はまだ記憶に新しいところですが、いわゆる国旗掲揚、国歌斉唱に関する条例や教育基本条例をめぐりまして大きく揺れ動きました。また、この間の厳しい経済状況のもとで、子どもたちをめぐる環境も厳しさを増し、学校現場におきましては、いじめ、体罰に関わる深刻な問題もおこりました。
こうしたなかで、私としては、教育の第一線で努力をいただいております校長先生や市町村教育委員会の皆様と議論を積み重ね、この大阪の教育が混乱することなく発展するように努めてきたつもりです。
教育2条例の成立以降、この1年間はこれからの大阪の教育行政の羅針盤ともなります教育振興基本計画の策定に全力を注いでまいりました。知事と議論を重ねまして共通認識に立って議会に提案するに至りましたが、この計画はこの間の議論の集大成であると思っています。
特に私は若いころ―昭和の終わりの生徒急増期のことですが―昭和57年から62年の5年間、係長級の時代に私学助成を担当いたしておりまして、私学に対しまして強い思いを持っておりましただけに、今回、私学の皆さんと胸襟を開いて議論することができ、公立、私立を合せたこの計画にすることができたことを何よりうれしく思っております。
課題は山積しておりますし、教育委員会制度の見直しの議論など、大きな転換期に差し掛かっておりますが、これからも知事と教育委員会、府と市町村教育委員会と学校現場がしっかりと議論を深めながら心を一つにして連携を強化し、この大阪の教育がゆるぎなく発展していきますことを切に願っております。
【教育長答弁】
今、中西教育長から4年間を振り返ってのお言葉をいただきました。大変ご尽力されたこと、私も感じているところでございます。これからの大阪の教育に関しましても、今までの経験を活かしていただき、ご助言を賜わり、教育の一翼を担っていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今日は16項目について我々の考え方を知事並びに理事者にぶつけさせていただきました。様々な違う点もございます。これはこれとして、今後も議論をしてまいりたいと思い、自由民主党と知事は是々非々でこれからも議論を深めていきたいという思いです。

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