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府議会の報告

平成25年5月定例会 一般質問

平成25年5月24日
北川 法夫  議員

1.大阪府市規制改革会議

【質問】
まず、今議会に設置議案が上程されている、大阪府市規制改革会議について伺います。
規制改革会議は、大阪の成長戦略の推進や産業の活性化等のため、民間視点で規制緩和や制度の改善、見直しを進めようとしており、その目的自体に反対するものではありません。
しかし、2月議会で我が会派が指摘した通り、府市統合本部の下に設置される会議は、特別顧問、特別参与として委嘱を受けたメンバーを委員として任命し、特別に高い報酬を支払うこととしています。単に大阪府・市共同の戦略会議だからという理由で、府の単独の附属機関とことさら異なる位置づけとするのは納得できません。
また、特別顧問、特別参与には、従来の附属機関の委員と異なり、会議前の打合せなど、会議以外の活動についても報酬が支払われることになっています。活動の実態から、会議以外の活動も報酬支払いの対象とすることがやむを得ないとしても、少なくとも、従来の附属機関の委員と同じ報酬単価にすべきです。
このような、特別顧問、特別参与を、従来の附属機関の委員と異なる扱いとする理由について、先の議会において、知事は、ミッションの重要性、求められる役割、活動の実態に照らし、それに見合った適正な水準であると強弁されました。こうした区別をすることは、従来の附属機関の委員に対し、大変失礼であり、到底納得できるものではありません。
委員報酬の単価は従来の附属機関の委員並に改めるべきです。知事の所見を伺います。
【知事答弁】
規制改革会議の委員には、会議への出席という役割に加えて、多岐にわたる場面で、適宜必要な活動や作業を行っていただくため、特別顧問、特別参与として委嘱する必要がある。
その報酬については、会議への出席及びその他の活動それぞれに対し、昨年の9月議会でご議決いただいた「大阪府市共同設置附属機関条例」及び「非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例」に基づき支払うもの。
特別顧問、特別参与は、調査・助言にとどまらず、私が依頼した個別の施策テーマについて、立案の段階から職員とともに調査・検討を行っており、会議の委員としての報酬の額は、ミッションの重要性、求められる役割、活動の実態に照らし、それに見合った適正な水準であると認識している。
【再質問】
私自身は、附属機関委員の報酬は有難く受け取りますが、特別顧問や特別参与の中には、報酬を辞退される方も少なくないと聞いています。委員の方々が報酬額にこだわらないのであれば、なおのこと従来の委員報酬単価と同じで良いと考えますが、知事のお考えを伺います。
【知事答弁】
委員の皆様方の中には、報酬にこだわらないという方々もおられる。それは相手側が、大阪府市が良くなるなら、それだけの仕事をしてやろうという思いから。こちらが提示させていただく内容としては、仕事に見合った内容としての報酬単価を設定すべきだと考える。今の特別顧問、特別参与は、現在の報酬規定以上に働いていただいている。そういう意味で、こちらからはそういう提示をさせていただいている。ただ相手から辞退されることは、これはありがたい話と考えている。
【指摘】
知事の答弁を聞いても、規制改革会議の委員の報酬が、他の審議会の委員よりも高いというのは到底納得できません。他の審議会の委員も、各分野の専門家であり著名な方々ばかりです。
また、他の審議会の委員の先生方は、自らの活動で大変お忙しい中、府の財政状況等をご理解いただき、就任いただいています。なぜ、規制改革会議など統合本部の下に置かれた審議会の委員についてのみ、特別扱いするのか理解できません。
さらに、委員の選任についても、これまでの統合本部の下に置かれた審議会の委員は東京の人ばかりで、中には委員の立場を利用して名前を売り込むような人もいるんじゃないでしょうか。
規制改革会議のメンバーについては、このような人ばかり選任するのではなく、大阪や関西にも、大阪のために力を貸してやろうという気概を持った専門家の方々がたくさんいるはずなので、そういった地元の方々を委員に選任すべきであるということを、知事には肝に銘じていただきたいと申し上げ、次の質問に移らせていただきます。

2.府市統合

①警察署等の配置について
【質問】
次に、府市統合における警察署配置の考え方について伺います。
大阪府市統合本部会議や大阪府・大阪市特別区設置協議会の場で、大都市制度、とりわけ特別区の区割りについて、議論が進められていますが、区割りを検討する際に、住民の安全・安心に大きく影響する警察署の配置まで含めて検討しているのか。知事の所見を伺います。
【知事答弁】
大阪府・大阪市特別区設置協議会において、新たな広域自治体と特別区の事務分担の議論を進めていくことになるが、警察行政については、引き続き広域自治体が担うことが基本ではないかと考えている。
なお、警察署の配置については、警察本部において検討されるものであり、特別区の設置の際には、警察本部と連携していく。
【指摘】
大阪市の区割りの見直し等、自治体のあり方を大きく見直すにあたって、警察署の配置をどうするかは、住民の安全・安心に大きく影響を与える、重要視すべき事項の1つであると考えます。
よって、区割りを見直す際には、犯罪の発生状況などにもよりますが、1つの区に警察署が複数できる場合は、老朽化している警察署の建替えなども考慮して、2つか3つに集約する一方、交番は思い切って増やすなど、住民の身近なところで安全と安心に応えるという方法も考えられます。
一方、知事が大阪市と同じく広域・基礎のあり方を見直すべきとのお考えのある堺市では、知事が幹事長を務める大阪維新の会が、現行の区割りを当然のものとして、警察署の設置要望をしていることには、強く矛盾を感じます。
大阪は、大阪市を中心に成長してきました。警察署の配置も、市内それぞれの区の発展に応じて、配置されてきた歴史があります。知事が、区割りを見直し、大阪市を消滅させ、歴史を変えようとしている以上、警察署のあり方も当然考えておくべきです。
以上のことから、今回の大阪市の区割りの見直しは、単に大阪市の解体だけで、本当に住民のことを考えているのか、中身のない見直しであると強く指摘しておきます。
②鉄道ネットワークについて
【質問】
次に、府域の鉄道ネットワークについて伺います。
現在、府市統合の議論が進められていますが、鉄道については、市営地下鉄の民営化の議論が中心で、ネットワークについては充分な議論がされていないように感じます。
私が府議会議員となってから、京阪神都市圏の鉄道ネットワーク計画について振り返ると、平成元年に運輸政策審議会答申第10号、平成16年に近畿地方交通審議会答申第8号が示され、これに基づき、
・平成19年には、国際文化公園都市モノレール(阪大病院前~彩都西)
・平成20年には、おおさか東線(放出~久宝寺)、京阪中之島線(中之島~天満橋)
・平成21年には、阪神なんば線(西九条~大阪難波)
がそれぞれ開通してきました。
私は、新しい鉄道路線の整備には多額の事業費を要することや、行政や事業者の厳しい財政状況を考えると、これからの時代は、整備がなかなか進みにくい状況にあることは理解しますが、そのような状況であっても、広域自治体の大阪府としてのしっかりとした考えを持ち、発信し続けていくことが大事であると考えます。
近々、答申の見直しが噂される中、大阪市内だけを見るのではなく、大阪府域、関西全体を見つめ、未来のために、重要な鉄道は「こうあるべき」といった考え方を、行政として、しっかりと持つべきです。そのためにも、今後、府域の鉄道ネットワークの充実に向け、積極的に検討していく必要があると思いますが、都市整備部長の所見をお伺いします。
【都市整備部長答弁】
鉄道は、都市の成長を支えるとともに、府民の暮らしに身近なインフラでもあり、そのネットワークの充実や利便性の向上には、利用者の視点に立って取り組むことが必要。
現在、大阪府では、様々な府内の鉄道計画・構想路線に対し、
・都市圏のネットワークを形成し、効果が広域に及ぶ路線として、府が主体的に取り組むべきものは、何か
・整備によって、都市がどう変わるか、その効果をどう見極めるか
・限られた財源の中で、府としてどう関与していくべきか
・実現のための方策はどういったものが考えられるか
などについて、有識者からの意見も聞きながら、検討を進めているところ。
有識者からは、
・鉄道単体の費用対効果だけでなく、都市の賑わいや観光振興などの波及効果を含めた定性的な効果を考慮することが重要
・新線整備ありきではなく、既存ストック活用の視点も大事
といったご意見を頂いている。
こういったご意見を踏まえつつ、庁内で議論を行い、今年度末を目途に「鉄道ネットワークの充実」や「いまある鉄道網の利活用」などといった取組みの大きな方向性を「公共交通戦略(案)」として取りまとめ、事業者や関係者とともに取り組んでまいる。

3.中小企業融資に関する損失補償契約に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例

【質問】
次に、中小企業融資に関する損失補償契約に係る、回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例、について伺います。
今回の商工労働部の対応は、国から条例制定について再三の要請があったこと、既に条例を制定して備えている都県があること、また、今般、具体的事案が発生したことで急遽条例を制定することとなり、その企業のために制定するのかといった誤解を招いたことなど、議会に対する説明が不十分、行政の対応としては不適切であり、今後、このようなことのないよう、厳しく指摘しておきます。
この条例を制定する目的は、制度融資を利用している中小企業者の事業再生を円滑に進めるためと聞いていますが、府の権利を放棄する規定を定める以上、その運用は厳格かつ公正である必要があります。
また、公正な運用を担保するためには、府民及び議会に十分な説明、報告が不可欠です。本条例制定にあたり、そのことを明確にルール化しておくべきです。
先ほど、維新の笹川議員の質問に対し、知事からルールを定めるとの答弁がありましたが、大切なのはルールの中身です。具体的にどのようにするのか、商工労働部長に伺います。
【商工労働部長答弁】
本条例の制定にあたっては、これまで対象事案がなく、府としてはそのニーズについて検討してきたところであるが、今般、具体的な事案が出てきたことから、これを機に、中小企業の再生に迅速に対応できるよう条例化を図るもの。
しかし、本条例については、既に条例化している県もあることなどを踏まえると、中小企業の事業再生をどうすべきか、もっと早くから議会でもご議論いただいておく必要もあったものと思っている。
ご指摘の点を深く受け止め、お詫びし、今後、適切に対応してまいる所存。
本条例は、制度融資を利用する中小企業者の事業再生を円滑・迅速に進めるため、知事が保証協会の求償権の放棄等の承認を行う場合に必要な要件等を定めるもの。
本条例の適用にあたっては、第3条において放棄の対象となる計画について、中小企業再生支援協議会、株式会社整理回収機構、事業再生ADR認定事業者など、法律に基づく中立公正な機関の支援に基づくものであって、当該中小企業の再生に資すると認められる場合に限定しており、適正な運用を行うこととしている。
議会への報告については、権利放棄を行った次の議会において、対象案件ごとに、
・権利放棄を行った日
・保証協会が放棄等を行った求償権の額
・府が放棄した回収納付金の額
・保証協会が求償権の放棄等を行った中小企業者の従業員数
(即ち、雇用の継続・確保が図られた従業員数)
・権利放棄を行った理由
等について報告させていただくこととし、このことを条例に基づく取扱要領において規定しルール化を図る。また、府民に対しても、同様の内容をホームページで公表するなど、公正な制度運用を図ってゆく。
【指摘】
きっちりとご報告されることを指摘し、望んでおきます。

4.京阪本線連続立体交差事業

【質問】
次に、京阪本線連続立体交差事業の取り組み状況と、今後の予定について伺います。
私の地元である寝屋川市域を通っている京阪本線は、寝屋川市駅周辺は既に高架化されていますが、香里園駅周辺では、未だ踏切が存在しています。枚方公園駅周辺まで含めると、1時間当り40分以上閉まっている、いわゆる「開かずの踏切」が20箇所連続する区間があります。そのため、交通渋滞はもちろんのこと、重大な踏切事故も発生しており、かねてより、鉄道の高架化の重要性を訴えてまいりました。
平成20年度に、ようやく連続立体交差事業としての着工準備採択を受け、その後、調査・設計が進められ、都市計画決定がされました。今年度、事業がいよいよ動きだすことは大変喜ばしいことであります。
この事業は、渋滞を解消し、分断されたまちを一つに繋ぎ、安全で住みよいまちを次世代に残す大事な事業であります。香里園駅では、高架化と合わせて整備される人工デッキにより、駅東側に位置する市街地再開発エリアと結ばれるとともに、光善寺駅、枚方公園駅では駅前広場が整備されるなど、
地元市が進める周辺整備とあいまって、まちづくりが進んでいくものと大いに期待しております。
言うまでもなく、連続立体交差事業は、多大な費用と長い期間を要する事業です。本事業も、平成
40年度が完成目標とのことですが、地元からの期待も非常に高いことから、一日でも早い完成を目指して、事業を進めていただきたいと思います。私も地元選出議員の一人として、一層の事業推進に向けて国に働きかける等、最大限、努力してまいります。
本年2月議会において、公明党の肥後議員が、本事業の進捗等について、質問されていますが、今後の国への要望活動等につなげる意味で、改めて、現在の取組状況を都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
京阪本線の連続立体交差事業は、本年3月5日には都市計画決定が告示され、現在、今年末の事業認可取得を目指し、詳細設計や国との協議を進めているところ。この事業認可取得後、地域の方々に対し事業説明会等で本事業の丁寧な説明を行ったうえで、現地測量、用地買収に着手することとしている。
引き続き、地域の方々のご理解、ご協力を得ながら、地元市、鉄道事業者と一体となり、本事業を着実に進めていく。

5.密集市街地対策

【質問】
最後に、私の地元である寝屋川市に数多くある密集市街地について伺います。
密集市街地については、議会でもたびたび取り上げ、早急な整備の必要性を指摘してきました。昨年10月に国から公表された「地震時等に著しく危険な密集市街地」によると、大阪府は全国の4割を占める計2,248ヘクタールで、全国最大の規模となっており、そのうち寝屋川市から門真市、守口市にかけては600ヘクタール近くが広がっています。
こうした地域では、南海トラフ巨大地震などが起これば、市域を越える甚大な被害の発生が懸念されています。密集市街地は、昭和50年代から整備が始まり、老朽化した木造賃貸住宅の建替え促進や、生活道路の拡幅、居住者の移転先として府営住宅等の建設などが行われてきました。特に寝屋川市は、他市に先駆け、老朽木造賃貸住宅の除却費を補助する制度を創設するなど、積極的な取組みを進めてきました。
こうした約30年にわたる取組みにより、着実に安全性は高まっているものの、市街地の燃えにくさを表す不燃領域率を見ると、目標の40%に対し20%台に留まる地区もあるなど、未だ地震時における十分な安全性は確保されておらず、近い将来発生が予想されている大規模な地震に備えて、早急に取り組みを進めていかなければなりません。
密集市街地の実態を大きく改善するためには、これまでの取組みに加え、延焼遮断帯として飛躍的に地区の安全性を向上させる、都市計画道路の整備こそが必要と考えます。
寝屋川市でも、密集市街地である萱島東地区には、地区の中央を縦断する萱島堀溝線が、また、池田大利地区には、現道が狭隘で未整備となっている、対馬江大利線があります。これらの道路が整備できれば、安全性の向上だけでなく、駅に近く利便性が高い、こうした地区を一新することも期待できます。
しかし、市の厳しい財政状況の下で事業を進めるためには、府の強力な支援が不可欠です。国が国土強靭化を進めているこのチャンスを活かし、市と共に整備に向けて取り組んでほしいと考えます。
こうした観点を踏まえ、密集市街地の解消に向けて、府としてどう取り組んでいくのか、住宅まちづくり部長に見解を伺います。
【住宅まちづくり部長答弁】
地震に対して脆弱な密集市街地では、まずは防災性を高めることが最も重要かつ喫緊の課題。
さらに、都心に近接するこうした地域は、都市魅力を向上し、人・モノを呼び込める可能性を持った大きなポテンシャルを有していることから、都市構造を大きく変える大胆なまちづくりを行っていく視点も非常に大事である。
これまで、府は地元市とともに、まちの不燃化などに取り組んできたが、議員お示しのとおり、まだ著しく危険な地区が多く残っており、現在、最低限の安全性を確保することを目指し、都市計画手法を用いた防火規制の強化や老朽木造住宅の除却促進などに取り組んでいるところ。
こうした取組みに加え、萱島堀溝線などの都市計画道路の整備は、延焼遮断帯として防災性の向上に有効であり、あわせて民間投資を呼び込み、まちを大きく変える上でも重要である。
しかし、整備に取り組んでいる地方公共団体の財政状況は厳しく、国レベルでの支援が必要であり、国に対し、こうした道路を緊急に整備していく必要性を明確に位置づけた上で、通常とは別枠での予算確保や補助率のかさ上げなどの強力な助成制度が創設されるよう求めていく。
都市整備部と連携し、こうした新たな視点も入れながら、地元市とともに密集市街地の整備を積極的に進めていく。
【まとめ】
未来に向けて大阪の街づくりに関する点や、地元の発展のため、行政の皆様にいろいろと意見を申し上げてきました。大阪の発展、再生のために、共に頑張り続けてまいります。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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