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府議会の報告

平成25年9月定例会 代表質問

平成25年10月2日
宗清 皇一 議員

1.大阪における大都市制度の制度設計(パッケージ案)

①職員体制再編に伴う効果額について
【質問】
知事、市長案では、職員数は平成24年度の職員数からの削減数を基に効果額を算出しています。これまで何度も指摘していますが、少なくとも、平成27年度までの削減は市政改革や府政改革での削減であり、大阪市解体による削減でないことは明らかです。そういう意味でスタートから間違っています。
更に、平成27年度以降の削減についても、ほとんどが 大阪市を解体しなくても可能であります。多くの府民、市民が都構想になれば多くの無駄が省かれ職員も削減できると思っていますが、知事、市長案を見る限りそうはなっていません。
≪資料1-1≫
試案1を例にした場合、パッケージ案の試算によると平成27年度当初職員数は、
≪資料1-2≫
31,267人となっており、2,203人の増員が前提とされています。
都構想によって増員をしなければならない、2,203人の内300人は技能労務職員の配置転換で対応、400人は再任用としているが、27年度には1,500人は新規採用するとしています。
≪資料1-3≫
パッケージ案にある「効果見込額内訳」に記載されている項目のうち「平成27年度移行時点で不足する非技能労務職への対応策30億円の算定根拠はどのようなものでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
今回のパッケージ案については、7区・5区それぞれ2種類の区割りによる4つの試案を提示したが、お示しの2,203人の増員は、4つの試案のうち7区案を採用した場合に、必要とする職員数。これは5区案と比較して、全体として職員数が膨らむことと、技能労務職員と非技能労務職員とのアンバランスに対応することでこのような数字になったものであり、パッケージ案でも課題として明らかにしたところ。
30億円は、その際に必要となる事務職員等を確保するにあたり、全員を新規採用で確保するのではなく、技能労務職員の事務職員等への転任や再任用職員の活用を図ることによって可能となる人件費抑制分を効果額として示したもの。
【再質問】
先の答弁で考えると、これは平成27年度移行時に不足する一般行政事務職員2,203人を一括採用するのを抑制するための措置ということと思うが、27年度、大阪都に移行することによって、176億円もの人件費が増加することになるということを認めるか。
【大阪府市大都市局長答弁】
パッケージ案で示したコストや効果額については、まずは制度の基本的考え方や基本方向の議論に資するよう、現時点で算定可能な数値を一定の条件を置いて示したもの。
効果の試算にあたっては、知事市長就任されて大都市制度実現に向け本格的に取り組みをスタートさせた平成24年度と、改革が最終的に効果を出す年度を比較して効果額を出したところ。
平成27年度を起点とした比較や、年次進行によるコスト効果分析は、今回のパッケージ案で課題として認識していたが、示してはいない。今後の協議会の議論も踏まえて対応してゆきたいが、7区案の試案1において、平成27年度を起点に2,203人全員を新規採用で確保すると仮定した場合には、176億円の人件費がかかるのはお見込みの通り。
②特別区設置協議会だよりに記載する効果額は訂正せよ。
【指摘】
≪資料1-3≫
先程から示しているように、大阪市を解体した場合、パッケージ案では、2,203人の増員に対し全て採用で対応すると176億円のコストがかかるが、その一部を再任用等で替えることにより、①に示すように、30億円程度の節約ができるとして、無理やり効果額に計上しているだけなのです。
≪資料1-4≫
本当は30億円の効果があるのではなく、(イ)に示すように、差し引き146億円のコスト増になるのですが、知事、市長から示された案には職員増によるコストが増えることは書かれていません。例えば、株で176億円損をしたが、30億取り戻したので、30億円儲かったと言っているようなもの。本当は146億の損がある、それをしっかり書くべきだと思います。
このような資料では府民、市民は大きな誤解をするので、すぐにパッケージ案を訂正していただくこと、併せてこの数字を元にして市民向けの特別区設置協議会だよりを作成されていますが、訂正すべきだと指摘しておきます。
③効果・コスト試算は27年度を基準とせよ。
【質問】
≪資料1-5≫
我々としては、大阪市を解体しなくても実現できる平成27年度の29,064人を発射台として計算し、(ウ)に示すように、28,101人まで963人、人件費に換算すると77億円程度減らせるものの、同時に業務の外部委託コスト等が100億円かかり、
≪資料1-6≫
(エ)に示すように、差し引き23億円程度のコスト増になるものと考える。これらのコスト増は、平成27年度から平成47年度の20年間で約1,690億円、平成47年度以降も毎年約23億円になります。
このように大阪市を解体した方が、実際にはコストがかかります。このような点からも、パッケージ案において、少なくとも、効果・コストの試算の発射台は絶対に平成27年度とすべきですがどうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
知事・市長は就任直後から、広域自治体と基礎自治体の役割分担を徹底する、そういうもとで新たな大都市制度を実現するという目的を持って、23年12月には府市統合本部を設置し、広域機能一元化のための経営形態の変更や統合、二重行政の解消等に取り組むとともに、市政改革プランや府財政構造改革プランに基づく改革を進められてきた。
こうした取組みは大都市制度実現という目的に沿って進めているものであり、効果の算定にあっては発射台を24年度と設定したところ。
【再質問】
都構想が実現しない、すなわち住民投票で否決された場合は24年~26年に職員削減の取り組みは、無しと言うことになるのか。知事に伺います。
【知事答弁】
今住民投票を通すために様々な議論をしている。住民の皆さんの賛同をいただけるようにするのが私の職務。指摘の改革は府市統合本部で行われているもの。これからも引き続きやってゆく。
【再質問】
もう一度聞くが、都構想が否決された場合、24年~26年の職員削減見込み額は見込めないということか。
【知事答弁】
否決されないように今丁寧に説明をしている。府市統合本部でやっている改革については引き続きやってゆく。
④都構想の効果額と根拠について
【質問】
知事、市長から示された案では、現在、府と市がそれぞれで既に取り組んでいる改革による効果まで、都構想の効果額として試算されています。例えば、大阪市営地下鉄の民営化275億円、市営バスの民営化18億円、大阪市水道事業統合10億円、廃棄物処理の民営化79億を都構想の効果額としてパッケージ案に入れていますが、いずれも、府の関与もありませんし、府議会の議決も必要ありません。単なる市政改革です。
どう考えても、大都市制度の変更によってのみ生まれる財政的な効果額だけを府民、市民に示すべきであります。
また、コストは平成27年度の大都市制度の変更後のみの数字なのに、効果額は平成24年度以降の数字を無理やり入れています。
知事・市長は、都構想を実現することで4,000億円の効果があると言われていましたので、府民・市民は、都構想によって大きな財源が生み出され、大阪の成長に向けた投資が可能になると理解している。
今回の案のどこを見ても、4,000億円もの効果が期待できるものになっていませんが、4,000億円の効果があるのか、ないのか、知事からご説明お願いします。
【知事答弁】
4,000億円は大きな目標として述べたもの。
今回のパッケージ案で、年間1,000億円の効果が見込めると示しているが、1,000億は認めてもらえるのでしょうね。
それから大阪市営地下鉄民営化、ゴミの改革をする、大阪市の改革は一定効果がある。その効果について、自民党としては賛成の立場に立たれているのか、はっきり言っていただきたい。今府市統合本部でこの議論をして、まさに1,000億円の効果が出ているところは認めていただきたい。
【再質問】
1,000億円は認めていない。それは市政改革の効果だと言っている。
4,000億の効果がないことは認めているのかと聞いている。
【知事答弁】
1,000億効果があります。
【再質問】
では先ほどお示しした4つの事業(大阪市営地下鉄の民営化、市営バスの民営化、大阪市水道事業統合、廃棄物処理の民営化)の中で、大阪都という制度にしなければ実現できない改革はあるのか、ないのか。知事に伺います。
【知事答弁】
様々な改革については、府市統合本部という機関を作って、市長と私で改革をスタートしてきて、問題点を整理して、府市の大改革に向かっているところ。人的要素はあると思うが、府市統合によって大きな行政制度を見直すという目的に沿って、現在進めている改革である。
【再質問】
もし、住民投票で都構想が否決されれば、大阪市は残ります。その場合、この改革(大阪市営地下鉄の民営化、市営バスの民営化、大阪市水道事業統合、廃棄物処理の民営化)の効果額は何の効果になるのですか?知事に伺います。
【知事答弁】
「もし」は今考えていない。住民の皆様にご理解いただけるよう、これからも丁寧な説明をし、大阪都実現に向け、一歩一歩進めたい。
【再質問】
質問に答えていない。住民の皆様に丁寧に説明するなら、ここで答えてください。
【知事答弁】
市長と私で大都市制度の実現に向け、取り組んできたもので、現在進めている市政改革、府政改革共に府市統合本部という組織ができ、そこでの議論の結果進められている改革である。
【再質問】
先ほどの4つの事業効果は、都構想にしないとできないのかと聞いている。もう一点、都構想が否決された場合、これらは市政改革になると思うが、それでも都構想による効果と言い張るのか。
【知事答弁】
今回の市政改革、府政改革とも、私と橋下市長が就任してスタートしたのは、議員も良くご存じと思う。それ以前、大阪府と大阪市が別々の時、それだけの改革がスタートできたか、できていない。
私は府市統合本部を「バーチャル大阪都」と表現している。バーチャルな大阪都の中でスタートしている改革、それをバーチャルでなくで本当の意味での統治機構改革、大阪都にするために、住民投票で皆様方にご理解いただくための努力をしている。
⑤都制度移行時の財政調整基金残高について
【質問】
1,000億認めてくれるかというから、1,000億の中で、都構想にしなければできないものは何かと聞いている。だから効果として認められないと申し上げている。
知事、市長から示された案では、新しい大阪府が広域行政の一元化の財政的メリットを受けるようにはなっていません。特別区も恒常的に財源不足が生じる状態が数年間は続くだろうと思われる。
また、財政運営の基本となる財政指標がどうなるかも全くわかりません。大阪府は来年度の収支不足額は約800億円あり、大変厳しい財政運営を強いられる。また、大阪市も来年度は318億円の財源不足で補填財源で予算が成り立っている状態であります。そう考えれば、新しい大阪府と特別区の財政運営が本当に成り立っていくのか心配であります。
そこで、確認するが、都構想の移行時の、府市それぞれの財政調整基金の残高見込みはいくらあるのか。
我々の試算では平成26年度に府の財政調整基金は1,092億円、そこから、収支不足が800億円を引けば、単純計算では=290億円しかないことになります。
一方で、大阪市の財調基金の残高は1,138億円ですが、オークの処理で-679億円、収支不足への対応で、-318億円で、141億円しか残らないことになりますがどうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
お示しの前提での単純計算ということであれば、そのとおりの計算結果となるが、オーク200は現在係争中であり、債務の発生が未確定であることや、収支不足への対応は、現在府市で行政改革を行いできるだけ圧縮していこうとしていることから、今後の予算編成の中で確定されるものであると考えている。
単純計算ではそのようになるが、お示しの前提条件や残高は確定したものではないと認識。
【再質問】
先の答弁で、収支不足への対応は今後の予算編成で確定されるといわれていましが、予算編成で府の800億円、市の318億円に対する財調基金活用以外の対応方法は他にあるのでしょうか。なければ、我々の試算を前提にすべきではないか。また、オークの裁判も一審では負けていますので、たちまちリスクが顕在化する可能性は高いと考えていますが知事はどのように考えおられるのでしょうか。
【知事答弁】
先ほど大都市局長が答弁したように、収支不足これは府市共に懸命に取り組みに努めている。財務リスクについては、府市の財政調整基金で対応する、不足する場合は協議会という形で協議をする場がある。
【再質問】
「協議会」とは何を指しているのか。
【大阪府市大都市局長答弁】
パッケージ案に書いている事務的なことであるので私から答弁させていただく。
知事が述べた「協議会」はいわゆる「都区協議会」のことで、現行の東京都の中でも都と特別区が協議を行う機関。パッケージ案の中でも「大阪版都区協議会」というものを提案し、財務リスクの対応や事務分担、財政調整、配分割合などを協議頂くという性格の協議会である。
【再質問】
「都区協議会」であることは理解できた。そこで協議がまとまらないときはどうするのか。知事にお尋ねする。
【知事答弁】
協議がまとまるように議論させていただくが、協議会で意見が合わない場合は、別途有識者によるあっせん機関を設ける等の手法も提示して、協議会でまとめてゆきたい。
⑥市から広域に承継される財政調整基金の役割について
【質問】
財調基金の残高見込みは、大阪市が141億円と仮定すれば、市から広域に承継される財政調整基金は、どの様な役割が期待されているのか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
141億円という数は仮定の数字で、確定したものではないと理解しているが、パッケージ案では、大阪市から広域自治体に承継する財政調整基金には、新たな広域自治体が管理する偶発債務の引当財源としての役割に加え、新たな大都市制度へ移行当初の一定期間、特別区の財政運営をサポートする役割、いわゆる貸付制度をあわせ持たせることをパッケージ案としてお示ししたと認識している。
【再質問】
特別区の財政的なサポート、毎年300億~400億円程度の市の収支不足が見込まれる。また、広域が引き受ける潜在リスクへの引当、当面はオークの処理に679億円が必要となると考えられますが、この様な状態で財政調整基金が残っていると思われますか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
お示しの仮定が現実のものになるということであれば、財政調整基金残高への影響は必至というのはその通り。
ただ、オークの件は係争中であり、毎年の収支不足は要対応額の改善に取り組んでいるため、その状況も踏まえて考える必要がある。
以上から財政調整基金には先ほど申し上げた2つの役割は持たせることができると考えている。
【再質問】
府市ともに毎年度収支不足が予想されていますが、市の不足分、毎年300億~400億円は、広域自治体に迷惑をかけることなく、特別区で分割して引き受けてくれるのか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
収支不足については市も必死に改革に取り組んでいるところ。仮に収支不足が生じるという事態になっても、新たな大都市制度に移行した際には、どちらか一方に負担をしわ寄せするということではなく、広域自治体と特別区の新たな事務分担に応じて、それぞれ対応するという制度設計をしているところ。
⑦都制度移行後の財政シュミレーションについて
【質問】
都構想になれば、交付税の不足に加えて、府市双方の財源不足、特別区移行への庁舎整備、システム改修等、莫大な経費がかかり、大きな財源不足が予想されます。27年度移行時には府・市の財調も枯渇し、先程指摘しているように、職員も大幅に増え、財政効果も出ていないのは明らかであります。せめて27年度分の広域自治体と、特別区の財政シュミレーションを示すべきであると要望しておきます。
そこで、広域、基礎双方の総額の財源が不足する場合は、新しくできる広域の事務の経費と市の既発債の償還財源を優先的に確保するのか、または、特別区の財源が優先されるのか教えて下さい。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
調整財源が不足する事態を示されているものと理解するが、パッケージ案では、仮に財源不足が生じた場合でも、新たな事務分担に基づく配分割合で調整財源も配分することとしている。具体的には現在示している、広域24、特別区76の比率に基づいて配分することになる。
何を優先するかについては、まずは義務的経費である既発債などの償還に充てるものと考えているが、広域自治体、特別区いずれかを優先するものではないということでご理解いただきたい。
【再質問】
都区財政調整制度は、都ではなく特別区の財源保障のための制度だと地方自治法第282条に書いてあります。だとすれば、財政調整基金もあてにできない、財源不足分は、すべて広域にしわ寄せがいくのではないでしょうか。府の財政に大きな負担が生じないのか、知事に確認したい。
【知事答弁】
都の財政には全く影響を及ぼさない。毎年1,000億の効果が出てくる。コストのことばかり言われているが、効果額を広域、基礎の財源に回すことで、財源不足は乗り切れると思っている。
まず、現在の市政改革、府政改革に賛成なのか、教えてください。
【再質問】
そんな話はしていない。足らない場合に府に迷惑は掛からないかと聞いている。
【知事答弁】
足らない事態は全く考えていない。それぞれの自治体で現在目に見えている効果だけでも、現状よりはその効果が出てくるわけで、足らないことは考えていない。
【再質問】
置いている前提が違う。足らないことを考えなくてよいなら、府も市も「荒い試算」など出す必要はなくなる。都区協議会に関する地方自治法の規定があるので、足らないときにどうするのかを聞いている。
都構想のイニシャルコスト、特別区の庁舎の整備、改修、システム改修等は大半が特別区設置に伴う費用です。特別区に関する分は当然大阪市で責任をもって負担し、府では負担しないということを確認しておきたい。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
都構想のイニシャルコストについて、特別区を設置するためのものだから市で負担するべきである、あるいは府市再編ということで一定府でも負担すべきというご意見があることも承知している。
イニシャルコストの負担については、今後法定協議会で議論いただければと考えている。
【再質問】
法定協議会で議論するのはおかしい。新たにできる特別区の庁舎やシステム改修は明らかに基礎自治体に必要なもの。本来は26年度の大阪市の補正予算で対応すべきではないのか。
【知事答弁】
大阪市民は大阪府民でもある。どちらが負担するにしても、できるだけコストがかからないように考えるのが、我々政治家の仕事である。
1,000億の効果は認められるのか、またそのための市政改革、府政改革に自民党は賛成するのか、はっきり言ってください。
【再質問】
丁寧に答えてください。聞いていることに答えていない。府の財政を預かる知事に聞いている。コストがかからないようにというが、コストが600億、300億かかると書いてるじゃないですか。答えてください。
【知事答弁】
現在示しているコストは最高にかかった場合を示した粗いもの。中身については特別区設置協議会で議論いただきたい。設置費用についてはイニシャルコストの協議をまさに協議会でお願いしているところであり、そちらで議論いただきたい。
【再質問】
府の財布を預かる知事にしっかり主張していただきたいから、知事の見解を聞いている。役割分担の観点からも、そこははっきりしておくべき。
財務部長に確認いたしますが、特別区のイニシャルコストの370億~640億円は府で負担すべきお金と思うか。
【財務部長答弁】
広域と基礎の関係があるが、基礎の部分については当然大阪市が負担すべきと考える。
【再質問】
≪資料2≫
平成26年、27年の府市の収支不足とオークの処理で2,850億円かかる見込みになっています。それに対応する財源としては府市の財政調整基金、2,230億円および、府市双方の改革による効果額があてられることになります。これは都構想に関係なく対応しなければならないものです。
これに加えて、大阪都移行に伴って必要なコスト2,496億円~3,766億円が発生してきますが、それに対する財源、この差はいったいどうやって補うおつもりでしょうか。知事に伺います。
【知事答弁】
26年度の府の収支不足については、今府庁あげて対応しているところで、800億は必ずやり切ります。大阪市の部分についても、オークについては係争中ですが、大阪市の財政の中で収支不足については解消するというのが市長の考えと思う。
26年、27年は未だ都になっていない中での収支不足見込みであるが、現在府市がある間収支不足についてはそれぞれの自治体がしっかり取り組む。
都になった場合のイニシャルコスト、人件費、ランニングコストの部分については、毎年1,000億の効果額を見込めているわけであるから、その中で対応して、プラスαを出したい。
⑧都制度移行後の府債発行について
【質問】
債務の償還主体を広域自治体とするなら、財源も広域自治体に置く、或いは、その逆でどちらも特別区としないと、財政調整制度と公債費の関係等が全く分かりません。償還の主体が広域自治体で、財源負担が特別区とされていることについて、制度的には可能だと思うが、自治体の財政運営は、新しい公会計制度に基づくバランスシートで行うというのが、松井知事の主張ではなかったのでしょうか。
しっかりと財産に見合う債務を付した形で特別区をスタートさせなければ、健全な財務管理ができません。また、今後、発行されるであろう特別区債のこと等も考えれば、財政指標の面で、いびつな形になります。
大阪市の既発債を全て新しい大阪府が引き受けた場合は、バランスシート上真っ赤化の広域自治体が誕生することになりますが、その場合、広域の起債の年間発行額は、大阪府が約9,700億円、大阪市から引き継ぐものは、借換債で1,245億円、臨財債で714億円併せて、約1兆2千億円程度になると思われます。1兆2千億円もの多額の起債を発行している規模の団体はあるのか、また、そんな多額の発行が現実にできるのでしょうか。条件、金利は悪化しないのか。財務部長に伺います。
【財務部長答弁】
地方債の発行についてですが、本府では、今年度9,700億円の府債発行を予定している。これは、東京都(8,800億円程度)を上回り、全国で最も発行額の多い団体となっている。これが更に、1兆2千億円ともなれば、仮に市場の環境が悪化した場合には、府債の安定的な発行が厳しくなることも想定される。
したがって、市債の承継にあたっては、「新たな大都市制度」の制度設計において、広域自治体の行政サービスの安定的な運営や市債の償還等に必要な財源が毎年度の財政調整のなかで、明確に確保され、大阪府の負担増とならないことが前提となると考える。
その上で、府債の発行条件が悪化しないよう、投資家に対し、積極的にIR(Investor Relations)説明会を行うとともに、市場環境や投資家の需要に応じて、新たな取組みも視野に入れつつ、府債の安定的な発行に取り組んでまいりたい。
【再質問】
部長のご答弁では、市場の環境が悪化した場合、府債の安定的な発行が難しくなる可能性もあり、市債の継承にあたっては「新たな大都市制度」の設計において、広域自治体の行政サービスの安定的な運営や市債の償還等に必要な財源が毎年度の財政調整の中で、明確に確保され、大阪府の負担とならないことが前提であるといっている。その通りと思う。
先ほどから指摘しているように、府市双方で財源不足も予想されますし、大阪市の偶発リスクもあるわけです。このようなリスクは最終的にどこが負担するのですか。知事に伺います。
【知事答弁】
全体の財政調整の中で、しっかりと検討して参る。
【再質問】
先ほど部長が答弁されたようなことを、知事として法定協議会で主張しておくべきではないか。
【知事答弁】
法定協議会では、ありとあらゆる財政調整や組織のあり方について、それぞれしっかり議論される場と思っているので、どちらかの自治体に偏った負担にならないような財政調整をしていきたいし、財政運営があるべき姿と思っている。
【再質問】
今の知事の答弁だと、大阪市で発生したリスクでも府の負担を容認するということを法定協議会で言われるのか。
【知事答弁】
大阪市の債務を承継するに当たっては、その財源を法定協議会で明らかにして、財源を引き継いだうえで債務を引き受けることになる。
【再質問】
府の負担にならないことをどのように担保できるのかと聞いている。
【知事答弁】
現在も市債の返済については市の方で財源を確保し、税収の中から返済を続けているわけで、その返済に充てている財源を広域自治体に移せば、返済ができなくなることは考えられない。今でも市はしっかり返済しているわけだから、財源を移せば、広域自治体が負担を負うことはありえないと考えている。
⑨財政リスクについて
【質問】
大阪市から引き受ける、偶発リスクに対する引当は足りているのか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
大都市制度移行時に財政調整基金の残高がどれくらいになるか確定的に申し上げられないが、現時点で公表されている数字では、偶発リスクが25年3月末で1,065億円(オーク200、ATC、湊町、クリスタ長堀)これに対し財政調整基金が1,138億円で、荒っぽい単純比較では充足している状況にある。
【再質問】
市から承継する偶発リスクに対して引当である財政調整基金は厳しい状態になると思われます。その場合、広域自治体である大阪府は負担しない。必ず、特別区が責任を持って補填することを確約できるのでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
パッケージ案での財政リスクの考え方については、市が発生させた債務であることから、その債務を新たな広域自治体に承継することにあわせ、市が造成した財政調整基金を引当財源として新たな広域自治体に承継することとしたところ。
なお、仮に不足する場合は、財源捻出や特別区の負担方法について、都区協議会で協議することとなる。
⑩潜在リスクの洗い出し、再評価を行え。
【質問】
大阪市から引き受ける潜在リスクの洗い出しはできているのでしょうか。大阪市の公表している数字をうのみにせず、府できちんと再評価するべきではないか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
今回のパッケージ案でお示しした「財務リスク」は、大阪市会や監査委員会によるチェックを受けてきたもの。そのうえで市が検証を行ない公表されているものであり、適切に評価されているものと認識。
⑪公営企業の経営状況について、改めて府で鑑定を行え。
【質問】
WTCビルを買うときも大阪市と大阪府共同で鑑定をやっている。港湾、市場など、公営企業の経営は大丈夫か。改めて府で鑑定するべきではないか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
同じ答弁になるが、我々としてはこれまで大阪市会によるチェックを踏まえ、適切に評価されているものと認識している。
【再質問】
民間企業でも合併や買収のときは鑑定するのが常識だと思う。大阪府と大阪市では、評価の仕方や収益の見込み等について考え方が全て一致しているわけではないはずである。
責任ある政治家として府で再評価、再鑑定等をしておくべきだと考えるがどうか。もし、大阪市の評価や見込みに問題があった場合、再評価しなかった松井知事の責任になると思うが、知事の考えを伺います。
【知事答弁】
宗清議員が府市合わせという古い呪縛にとらわれていることが不思議でしょうがない。
今は大都市局も府市の職員がひとつになって大阪全体のことを改革していこうと進めている。WTCビルを買った当時とは状況が違う。
私は大阪市を信じている。大阪市がしっかり評価したものについては、府市の職員が一緒になって働いているわけで、再評価再鑑定は必要ないと考えているが、どうしても必要なら法定協で議論いただきたい。
【再質問】
万が一の事態になれば、知事に不作為責任が生じることを指摘しておく。
例えば、ATC、クリスタ、湊町等は広域自治体に引き継がれることになっていますが、これらに対する大阪市の実質支援の全貌は(市部局・市外郭の入居(団体数、家賃)など)。これを除く実質的な経営状況はどのようになっているか。都構想になっても現在の市部局・外郭団体はずっと入居しないと思う。一斉に出たら経営破たんしてしまう。これは誰が責任を取るのか、明確にこたえてください。仮に将来破綻した場合、府の一般会計から補填するのはおかしいと思うが。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
お尋ねの3社の経営状況は、8月に開催された「大阪市特定団体経営監視会議」に報告された資料によると、ATC、湊町開発センター(MDC)、クリスタ長堀とも黒字を計上している。
ただ、ATC、湊町開発センターについては、市関連の賃料も含めて黒字を計上しているものであり、これらを除くと、2社の経営は厳しいものと認識。
パッケージ案では、現在市が行っている措置は、広域自治体が承継するという前提で制度設計をしている。財政調整の中で引き続き行ってゆくこととしている。
【再質問】
誰が責任をとるのかと聞いている。2社の経営は厳しという認識があるのであれば、責任の所在をはっきりしないと誰が負担するのか確定できないのではないか。
局長の答弁は現在、大阪市が行っている、家賃補助より、もっとたちが悪い。ただ破綻懸念のあるビルのお金をわたすようなもの。
ATCは広域行政ではなく、単なる開発に失敗したビル管理ではないか。使い勝手・採算性の悪い物件を押し付けられてよいのか。知事の見解を聞かせてください。
【知事答弁】
ATC等については、過去の特定調停における融資の枠組みを府市再編後も維持していく必要があること。また、管理するリスクの規模が大きい点や与信能力などの観点から、新たな広域自治体で一元管理するのが適当と判断している。
【指摘】
先ほどから何をお聞きしても、都区協議会で議論するという答弁に終始されていますが、言い換えれば、大阪府が特別区の予算編成に必要な財源も保障しなければならない可能性もあり、大阪市がつくってきた三セク等の破たんによって大きな財政リスクも負わなければならない可能性が高いプランになっています。
そうなれば、旧大阪市でつくったリスクを他の地域の税で穴埋めすることになり、納税者の理解を得ることはできないと申しあげておきます。
⑫都構想のスケジュールについて
【質問】
橋下市長は27年4月の移行を目指されていますが、パッケージ案をいくら見ても工程表はでていない。
27年4月から逆算して考えれば、法改正のために26年の秋の臨時国会での議決が必要だと考えます、そうすると、夏頃には住民投票が必要で、府議会、市議会の議決は26年の5月~6月、法定協議会の議決は3~4月には終えておかなければならないと考えるが、どうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
第一回法定協議会において確認いただいたスケジュールは、ご提示のような日程感も含めてご議論いただけるようなものになっていると考えている。
具体的なスケジュールについては、「特別区の設置の日」は、法定協議会で決めるべきものであるので、今後設置をする日に合わせて協議いただくことになるものと考えている。
【再質問】
今のスケジュールから考えても27年4月は無理ではないかと考えています。いつまでに、どのようなことを済ませておかなければならないか、具体的に教えてください。
また、様々な指摘について議論が進むよう、知事として大都市局に資料作成など早急に対応して頂くよう指示をすべきではないのか。併せて知事に伺います。
【知事答弁】
27年4月に、大阪にふさわしい新たな大都市制度を実現するというこの思いに変わりはない。現在パッケージ案で大都市制度の大枠について議論しているところ。これを終えたのちに、特別区設置に関する議論がなされると認識している。その際になにをすべきか、具体的な工程を議論いただきたいと考えている。
大都市局には議論に際して、議会から様々な議論に必要な資料は丁寧に説明するように指示している。ぜひ法定協で議論していただきたい。
⑬大阪を元気にする政策について
【質問】
橋下市長も認めているように、制度を変えたからといって、景気がよくならない、どのような政策をするかが問題だといっています。至極真っ当な意見だと考えています。では、松井知事は大阪都になれば、大阪を元気にするためにどのような政策がしたいのか。
【大阪府市大都市局長答弁】
大阪を元気にする政策としては、これまでも、大阪府・大阪市で策定した「大阪の成長戦略」に基づき、総合特区の活用や特区税制の創設、関空・阪神港における環境整備、都市魅力創造に向けた体制整備など、成長に向けた取組みを進めてきたところ。
今後とも、大阪の成長戦略のもと、
・ 成長に寄与するプロジェクトや産業の振興、
・ 広域インフラの推進、都市魅力の創造
などにより、大阪の強みや優位性に磨きをかけ、成長の実現に向けて迅速、的確に取り組んでいく必要があると考えている。
そのためにも、大都市制度を一刻も早く実現し、新たな広域自治体が、この戦略の具体化を、選択と集中を行い、スピード感を持って強力に推し進めていくことが不可欠と考える。
【再質問】
松井知事がやりたい政策はなぜ、都構想にしなければできないのか、理由を教えてほしい。今申された取り組みは、現行制度ではできないのか?
【知事答弁】
現行制度のもとで連携すれば、大阪を元気にする政策を十分できるという趣旨だと思うが、過去の大阪の歴史を見れば、連携が容易でなかったことは明らかである。
相手を疑ってかかるような状況では連携は十分にやっていけない。
今やっている政策をスピード感を持って進めるためには、強力な推進母体が必要と考えている。
【要望】
今の松井知事の答弁では、今でもできている。今の制度でもできることはぜひやってほしい。
今回示された制度設計では、統合効果額は生まれず、統合目的も果たせず、住民サービスも向上しない。これではコストがかかるばかりで、改革の意義がどこにあるのか。全く理解できません。私達は大阪都構想にはまだまだ課題があると考えています。今後も是非もっと分かりやすく丁寧に説明すべきことをお願いしておく。

2.エネルギー政策について

府市エネルギー戦略会議の提言内容について、府としてどのように受け止めるか。
【質問】
我が会派ではこれまで、府市エネルギー戦略会議の提言内容については、各委員の単なる主義主張の寄せ集めであり、原発をゼロにした場合の府民生活への影響についても全く触れられていない、このような附属機関の運営や提言に対して貴重な府民の税金を投入すべきではないと指摘してきました。
一方、府市では、今年2月に示されたエネルギー戦略会議の提言(案)に対して、「2030年に原発ゼロにするための工程表を示すべきだ」と指摘。これを受けてエネルギー戦略会議は当初の予定を延ばし、今年5月に改めて、2030年原発ゼロを想定した工程表も添えて提出されたものです。
この提言を府としてどのように受け止めているのでしょうか。また、2030年までに原発ゼロが可能であるという提言になっているのか。環境農林水産部長に伺います。
【環境農林水産部長答弁】
大阪府市エネルギー戦略会議の「提言」では、これまでのエネルギー需給構造の転換を目指し、原発依存からの脱却や再生可能エネルギーの飛躍的拡大、デマンドレスポンスなど新しい省エネ施策の推進、国の電力システム改革など、今後の政策の取組み方向などを幅広くお取りまとめいただいた。
府としては、この提言や府環境審議会からの答申を踏まえ、①再生可能エネルギーの普及拡大や②エネルギー消費の抑制などを柱とする「おおさかエネルギー地産地消推進プラン素案」を取りまとめ、新たなエネルギー社会の実現に向け、自治体の立場から取組みを進めて参る。
いわゆる脱原発について、エネルギー戦略会議の提言では、「可能な限り速やかに原子力発電に依存した電力供給体制からの脱却を目指すべき」としつつも、その時期については「年限の算出よりも、問題の本質は脱原発の進め方や負担のあり方についての社会的合意にある。」との認識に基づき、最終的には、国民の合意形成に向けた今後5年間の工程表を示されたところであり、具体的プログラムをもって、いつまでに原発ゼロにできるとの提言は、本年5月にとりまとめられた最終提言では結論づけておられないと理解している。
【再質問】
さて、エネルギー戦略会議は、具体的なプログラムをもって原発ゼロにできるとは提言できませんでした。それでも知事は、2030年原発ゼロを目指すのでしょうか。行政の長として知事の所見を伺います。
【知事答弁】
福島の原発事故とそれが与えた深刻な影響を考えると、原子力発電については、我が国の発展に重要な役割を果たしてきた電源ではあるが、安全性確保や、何より使用済み核燃料の処分問題がいまだ未解決である、といった課題を踏まえると、最終的にはゼロを目指していくべきものと考える。
【再質問】
府と大阪市は昨年度、関西電力の値上げ申請に際し、国と関西電力に対して、「コスト増が安易に利用者に転嫁されることがないよう」として、電気料金抑制を厳しく申し入れています。
一方、大阪府では今年度、南部水みらいセンターに2メガワットの発電容量を持つメガソ-ラーを導入しました。キロワット当たり42円での売電により、年間2,600万円の収益が20年間見込めるとのことです。
我が会派は、再生可能エネルギーの普及については、特にピーク時の電力需要の抑制等に、大いに期待できると考えています。ただそれと同時に、固定価格買い取り制度により、それが普及すればするほど、太陽光発電を導入できないユーザーにとっては重い負担になること、さらには大阪経済にとっても大きな足かせになることを非常に危惧しています。
経済産業省が今年6月に最終改正した告示によれば、再生可能エネルギーの買い取り価格のうち、関西電力の負担額はキロワットあたり7円48銭。つまり、府が売電する42円のうち、35円については、利用者に転嫁されるという仕組みです。府は南部水みらいセンターの他にも、中部や北部にもメガソーラー建設を予定しており、太陽光発電のための屋根貸し事業でも一定の収益を見込んでいるとのことです。
国や電力会社に対しては「コストを利用者に転嫁するな」と要求しておきながら、府はコストどころか、電力利用者の負担によって儲けようとしているのではないのでしょうか?「再生可能エネルギーの普及」という錦の御旗があれば、電気料金はいくらでも上がっても構わないと思っておられるのか、知事、ご答弁ください。
【知事答弁】
料金については、電力業界が競争にさらされていない点が一番の問題と思っている。したがって、国に対しても、今の総括原価方式の中での地域独占体制は見直してほしいと、競争することによって電力料金がより安価になってゆくと考えているので、その点は国に強く求めているところ。
買取料金の話と各家庭、企業が負担される電力料金は分けて考えるべきもの。
【再質問】
これまでの府のエネルギー政策や今回のご答弁から判断すると、エネルギー政策、特に望ましい電源構成については、府の目指す方向と経済界や一般府民の方々との考えは逆ではないかと思う。
府は電力の全面自由化や発送電分離が実現すれば競争原理が働き、電気料金を抑制することができると主張されますが、全く根拠がありません。あるいは、化石燃料の増加により、CO2が増えることについてもどう考えておられるのか、これらの点についてはまた、別の機会に議論を深めたいと思います。

3.槇尾川ダム

①槇尾川の治水手法等について
【質問】
大阪府は平成23年2月、橋下知事時代に様々な降雨により想定される河川氾濫・浸水の危険性から人命を守ることを最優先とすることを基本理念に「時間雨量50ミリ」での床下浸水、少なくとも「時間雨量65ミリ」での床上浸水を発生させないことを前提に、河川ごとに当面の治水目標を設定した上で総合的・効果的な治水対策を講じることとしていますが、松井知事におかれても、ダムによる治水ではなく河川改修による治水を進めるという橋下前知事の方針を踏襲されるのでしょうか。
私たちは近年のゲリラ豪雨による甚大な被害や、先日、大きな被害をもたらした台風18号の影響等も考えれば、もう一度立ち止まって専門家の意見も聞いてはいかがかと考えますが、松井知事の考えをお聞かせください。
【知事答弁】
本府の治水対策は、人命を守ることを最優先とした「今後の治水対策の進め方」を定め、大きく舵をきったところ。
お尋ねの槇尾川の治水対策についても、この政策転換を踏まえ、前知事が「河川改修案」で対応すると判断したもので、前知事が地元の皆さんと直接意見交換し、理解を示していただいたもの。
私自身も、前知事と同じ考えで、「真に水害に強いまち」の実現に向けて、地元の声を聞きながら、しっかりと槇尾川の治水対策を進めていく。
②ダム建設中止判断時の法的リスク検討について
【質問】
次に、「槇尾川ダム建設工事の請負契約の解除に係る調停に関する和解の件」についてお伺いします。我が会派も槇尾川ダム建設工事中止の際、平成23年度一般会計補正予算案においてダム工事中止に必要な経費及び河川改修経費を、工事請負契約の中途解除に伴う契約責任をはたすものと認め賛成してまいりましたが、今回、上程されている件は、次のような問題点があると考えますので質問いたします。
府は、当時の橋下知事の主導により槇尾川ダム建設工事を中止しましたが、この請負契約の解除に伴い、平成24年3月に出来高金額約8億6,000万円(約28%)を相手方に支払い、今回、さらに和解調停解決金として1億5,000万円支払うことを今議会に提案されています。
しかし、そもそものダムから河川改修への方針転換をした際、ダム建設の中止により発生する費用負担などの、いわゆる法的リスクに関して検討は行われていたのでしょうか。当時、どのような検証を行い、ダム中止を判断したのか、都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
大阪府河川整備委員会での槇尾川の治水対策の検討に加え、指摘の法的リスクについて、庁内及び、本府顧問弁護士への相談等により検討。
こうした検討の中で、ダムから河川改修への治水手法の方針転換については、当時既に契約していたダム建設工事等の契約解除に伴う財政負担に加え、既に支出していた経費に対する住民訴訟や、河川改修の完成が予定していたダム完成時期より遅れた場合、その遅れた期間内に災害が発生すれば、国家賠償請求の可能性があるといった、法的リスクが指摘され、治水手法変更に伴う訴訟リスクに対しては、その判断に合理性が認められるかどうかがポイントである、との意見が出されていた。
ダム建設中止については、こうした点に加え、他に検討すべき論点も洗い出した上で、戦略本部会議において議論し、府として決定した。
③1億5千万円は府の損害。契約解除原因を作った橋下前知事に求償すべき。
【質問】
この解決金の支払いは、そもそも「ダムに頼らない河川改修」を選択するという当時の橋下知事の指示に原因があると考えます。
この工事は、平成21年5月に大阪府議会の議決を得て工事請負契約を約31億円で締結、9月に着工し、本体工事まで着手していたところ、橋下前知事の指示により平成23年2月に工事を中止しています。
平成23年2月21日の府政運営方針説明では、「悩みに悩み、知事、政治家として判断した」と伺いました。この解決金を支払わなくてはならなくなったのは、このような橋下知事個人の判断で工事を中止したことに原因があるのではないでしょうか。今回のこの支払いにより、府に生じた損害金については、工事の中止を主導した橋下前知事個人の管理・監督責任があり、府は知事個人に対する不法行為による損害賠償として求償すべきであると思いますが、都市整備部長の見解を伺います。
【都市整備部長答弁】
槇尾川の治水対策については、有識者で構成する河川整備委員会で議論を重ねたが、委員会では、河川改修案とダム案のどちらかの手法を選択するという最終的な判断にまで至りませんでした。この結果を踏まえ、橋下前知事が河川改修案でいきたいという判断を示された。
これについて、府として組織決定するために、平成23年2月の戦略本部会議において、検討すべき論点を洗い出した上で議論を行い、地元の意見も踏まえた上で、槇尾川の治水対策については、ダム建設事業を中止し、河川改修により進めることを本府として方針決定したものである。
この決定に基づき、平成23年2月の定例本会議において、槇尾川の治水手法について説明し、ダム中止に伴い必要となる経費にかかる補正予算案について承認いただいた。
また、ダム建設についてそれまで投入してきた国の補助金については、平成24年4月に国に対する手続きを全て完了しており、府が補助金を返還しなければならないリスクは解消している。河川改修について、国の交付金で実施している。
このように、槇尾川ダムの中止については、事後の対応も含めて、行政として一つひとつ手続きを踏み、進めて来たものであり、前知事個人への求償の必要はないと考えている。
【再質問】
戦略本部会議で決定したということですが、議事録をどのように見ても、橋下前知事が独断的に決定したようにしか見えません。
≪資料3≫
平成22年2月15日の第23回戦略本部会議の議事録の最初に、橋下前知事は「これが私の政治判断」といっていますし、会議の最後に、当時の政策企画部長の幸田さんが、「ダム建設は中止、河川改修案を大阪府の方針とすることで良いか」と言っているのにも関わらず、「最後は私の判断」と個人的な判断をしています。
≪資料4≫
更に、本会議の議事録を見ても、橋下前知事が「悩みに悩んだ」「知事として、政治家として判断した」「どちらかを選択するなら、私は河川改修しかないと考えます」と発言されていることからも、治水手法の変更は橋下前知事の個人的な判断であると思います。治水手法の変更に強度な合理性あったとは考えられません。
府として真摯な議論と手続きをしてきたとは言い難いと考えています。そういう意味で、この解決金の請求書は橋下市長に送るべきでないでしょうか。知事に伺います。
【知事答弁】
知事という職業は政治家でもある。だから政治判断もある。個人で判断されたことではない。府の組織としての戦略本部会議も経て出した結論であり、個人への損害賠償の求償の必要性はないと考える。
【指摘】
法的には、前回の支払いは建設工事会社に対する契約上の出来高払いで大阪府が支払うものですが、今回の1億5,000万円は純粋に相手方の損害に対して大阪府が賠償するものです。その支払いを余儀なくされたのは、政策変更を判断した橋下前知事に不法行為責任があったのではないかと考えます。治水手法の変更に強度な合理性があったのかどうか、松井知事のためにも、再度検証しておくべきだと指摘しておきます。

4.南海トラフ巨大地震対策

①府庁BCPの見直しについて
【質問】
府は大規模災害発生時に府庁の機能を維持し、府民の生命・財産・経済活動等を守るために必要不可欠な業務を継続できるよう、執務室や人員等の業務資源の確保など、実務マニュアルとなる「大阪府庁業務継続計画」を平成21年6月にとりまとめています。しかし当時はまだ咲洲庁舎を購入していなかったため、咲洲庁舎を含めた計画が作られないままになっています。
また、この計画は平成21年当時、大阪府に最も深刻な災害を及ぼすと予想された、上町断層帯地震を想定してつくられたものです。
大阪府は本年8月に南海トラフ巨大地震の津波や液状化の想定を公表しました。
今回想定された災害が発生した場合、津波や液状化により、これまでの想定以上に職員の参集が困難になる可能性が高いと考えます。一方、府庁は日常業務を抱え、いかなることがあっても業務の停止は許されません。
南海トラフ巨大地震を想定し、咲洲庁舎も現にあるのですから、あることを前提に計画を早急に改める必要があるが、いつまでに改訂するのですか。具体的に時期を示してください。危機管理監に伺います。
【危機管理監答弁】
現行の府庁業務継続計画いわゆるBCPは、策定当時に想定される被害が最大であった上町断層帯地震を前提にしていることから、今後、南海トラフ巨大地震を新たに前提に加え、庁舎など業務資源をもとに改訂していくことが必要である。
そのため、府域の詳細な被害想定を明らかにした上で、地域防災計画の修正を踏まえ、災害時の具体的な実施事項を定める災害等応急対策実施要領の見直しと並行して、可能なものからBCPの見直し作業に着手する。
改訂には、新たな被害想定を踏まえた災害応急対策業務などの最優先業務の抽出や必要な職員数の算定、本人、家族の死傷や交通機関の途絶などによる、参集不能・遅延を踏まえた参集可能人員の算定など、業務資源の確保に関する多くの作業を伴うことから、少なくとも検討期間として1年程度は必要と考えている。
【再質問】
BCPの見直しに最低1年以上かかるとのことですが、自然災害はいつ起こるか分かりません。咲洲庁舎の是非はともかく、現在約2,000人の職員が業務をしているのだから、もし、大地震が起こったら、BCPがなくても対応できるということで理解してよいか、危機管理監に伺います。
【危機管理監答弁】
現在のBCPでも一定の業務継続ができるように、対応について定めている。実際に災害が発生した場合は、現在のBCPに準拠して対応することになる。
【再質問】
いまの答弁では良くわからない。咲洲庁舎が無いことを前提に現在のBCPがあるが、咲洲庁舎には約2,000人の職員がいる。BCPが無くても大丈夫なのか、大丈夫でないのか、YesかNoでお答えください。
【危機管理監答弁】
もちろんBCPは現にある咲洲庁舎を前提としたものがあった方がいい、これは間違いのない話。しかし今のBCPは咲洲庁舎を前提としたものにはなっていないので、我々は最善をつくして対応してゆくということ。
②咲洲庁舎の取扱いについて
【質問】
次に咲洲庁舎の問題です。庁舎移転の議論の際、府は咲洲地区の地盤はほとんど液状化しないと説明していましたが、今回の想定では咲洲地区は液状化する区域となっています。また、津波についても府域の広いエリアで深刻な浸水被害が想定されています。
咲洲庁舎へのアクセスとなる咲洲トンネルや橋梁、電気や上下水道等のライフラインにも大きな被害がおよび、「庁舎」として使い続けることは困難と思います。
一昨年の専門家会議で指摘された長周期地震動の問題に加え、今回の液状化、津波浸水想定結果も踏まえると、咲洲庁舎からすぐにでも撤退すべきと考えます。
こうした状況を踏まえ、同庁舎の取り扱いをどのように考えるのか。方針は出来るだけ早期に示すべきであると考えますが、どのように検討し、いつ判断するのか。総務部長にお伺いします。
【総務部長答弁】
咲洲庁舎については、これまで、内閣府から今後示される知見に基づき、抜本的な長周期地震動対策を検討することとしてきたが、これに加え、本年8月の津波浸水想定等に基づき、津波や液状化等の影響と対策についても再検証を行う。
なお、今回の津波浸水想定については、咲洲庁舎自体は浸水域に含まれておらず、非常用発電機の上階設置などの津波対策も進めており、庁舎建物自体が津波の直接の被害を受けるとは考えにくいものと認識。
また、液状化については、今回の想定では咲洲地区でも発生の可能性が示されているが、同庁舎は杭基礎により地中深くの固い地層に支持されているため、仮に庁舎周辺で液状化が発生しても、建物自体の安全性が直接損なわれるものではないと考えている。
しかし、今回の想定では、津波や液状化の範囲が従来の想定よりも大幅に広がっているため、咲洲庁舎へのアクセスやライフラインへの影響、必要な対策等について、府域のライフラインの被害想定等と整合を図りながら、大阪市やライフライン事業者の意見も聞くなど、詳細に検討する必要がある。
また、長周期地震動対策については、未だ国の知見の公表時期が明らかにされていないものの、知見が示され次第、本格的な検討作業に入れるよう準備を進めている。
咲洲庁舎については、まずはこれら安全性にかかる検証を行い、その上で今後の取扱い等について総合的に判断する。
【再質問】
WTC移転の議論の際は、橋下前知事が「今しかない」と議会に早急な結論を求めた。その責任は大きい。撤退の時期についても早急に府の責任としてやっていただく必要がある。
BCPも作られていない。大問題です。
知事は、新たな咲洲庁舎への部局移転はしない方針のはずです。先の都構想の質問に関連しますが、そういう段階で咲洲庁舎の使用を前提にコスト計算するのはおかしい。咲洲庁舎が使えるようなパッケージ案になっている。使えない場合、民間ビルの活用で計算すると、イニシャルコストは約9億円、ランニングコストは約7億円になります。この費用を都構想パッケージ案のコストに上乗せすべき。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長】
咲洲庁舎の取り扱いについては、先ほど総務部長が答弁された通りと認識している。
パッケージ案では今ある大阪府、市の庁舎をできるだけ活用する前提で試算を行った。咲洲庁舎についても活用できるものと仮定して試算したもの。
③密集市街地対策について
【質問】
住宅まちづくり部は今年度の部局運営方針で、「地震時に著しく危険な密集市街地の解消」について、平成32年度に概ね解消することを具体的な目標に掲げています。
しかしながら、我が会派が2月議会で指摘した通り、府は、密集市街地エリアで老朽住宅の除却や建て替え、道路、公園などを整備する市町村を対象に支出する補助金について、事業効果の高い地区から集中的に実施するとして、事業対象地域を918haから200haへ約5分の1に縮小している。それと同時に予算額も縮小の一途で、事業にかける熱意が一向に感じられません。
このような状況にもかかわらず、密集市街地の解消を年次を切って重点施策目標に取り上げるとはどういう整理をしているのか。今まで市町村からの強い要望がありながら、密集市街地の予算を減らしてきたのだから、32年までに解消するということは方針転換ということですか。住宅まちづくり部長に伺います。
【住宅まちづくり部長答弁】
大規模な地震が発生すれば、火災などにより甚大な被害が想定される密集市街地の整備は喫緊の課題。
密集市街地では、地震時に地区内で同時に多数の火災が発生しても住民が避難できることを第一に考え、まず燃え広がらないようにすること、避難路を確保することを目標としている。
そのために、老朽住宅の除却の促進、都市計画の規制にあわせて、燃えない建物への誘導と併せて、地区内の道路・公園の整備などを進めている。
今後も事業主体である市と連携して、限られた予算を事業効果の高い地区に集中して配分し、地震時に著しく危険な密集市街地を解消し、安全性を確保できるよう全力で取り組む。
これまでの方針に変更はない。
【再質問】
32年までに危険な密集市街地を解消するのに必要な予算の総額と府が措置すべき予算はどれくらいかかるのか。住宅まちづくり部長に伺います。また、来年度からその予算を確実に確保するのか。これは知事に伺います。
【住宅まちづくり部長答弁】
今資料を持っていないので、総額はお答えできない。
【知事答弁】
総額を確認したうえで判断する。32年までに密集市街地を解消してゆくという方向性に変わりはない。
【再質問】
部長が32年度までに必ずやりますというから予算額を聞いた。数字が間違っていたら申し訳ないが、以前部局に聞いたところ、100億から150億、いずれにしても大きな金額がかかる。今の制度では半分は国、残りは府と市町村が費用を負担している。政令市はやっていない。そうすると32年まで大きな予算を府は確保する必要がある。今までと変わらないというなら、ずっと1億2千万円のまま行くのか。おかしいのではないか。市町村も予算増額を求めてきたのに、予算がないからとカットしてきた。部長は市町村にお詫びするべきだと思う。そこまで言うなら32年までの工程表をしっかり議会に示していただきたい。それとできなかった時の責任の所在も明らかにしてほしい。住宅まちづくり部長に伺います。
【住宅まちづくり部長答弁】
市との調整の中で32年までに重点的に解消する地区も決めており、解消できると考えている。
④防災対策を統括する庁内司令塔の構築について
【質問取り止め、指摘】
防災に関する様々な施策については、庁内にしっかりした予算や進捗管理を総合的に担う司令塔が無いから、各部局がバラバラで予算措置を行っているのではないかと考える。ぜひ庁内に司令塔を置くべきと申し添えておく
⑤国家要望について
【質問】
先程から防災関連の質問をさせて頂きましたが、9月9日、10日松井知事と橋下市長が南海トラフ巨大地震対策要望を国に対して行っておられます。
この要望は大阪府と大阪市だけになっていますが、南海トラフ巨大地震は大都市に深刻な被害をもたらすため、特に国家の支援が必要として今回の要望を行ったと思われます。ならば当然府内の政令指定都市である堺市の市長も同席すべきであると考えますが、竹山堺市長には相談されたのでしょうか。意図的に堺市を外したのか。知事に伺います。
【知事答弁】
僕の性格として、そんなこしゃいことはしない。津波浸水対策は、防潮堤の管理者である大阪府、大阪市で実施するものであるから、両者で要望したもの。個人的な意図などは全くない。
【再質問】
堺市は9月17日に要望活動している。堺市は要望から外されたと思って、密集市街地の要望であったり、老朽空家を除去する補助制度など、同様の内容で単独で行っている。
これからは連携を深めていただきたい。
この要望書は起債の充当率の引き上げや、補助率のアップが書かれている。大阪府だけの問題ではなく、全国的な問題も含まれていますので、全て国が受け入れてくれると思えません。仮に国に今回の要望内容が聞き入れられなかった場合でも、府はしっかり対応していただきたい。国の責任にして、府は出来ませんということの無いように、国にお願いしているわけだから、府も姿勢を示していただきたいと思うが、知事の考えをお答えください。
【知事答弁】
南海トラフ巨大地震対策については、国への要望とともに、府としても全庁挙げてしっかり取り組んでまいります。

5.大阪国際空港ターミナル㈱の株式売却

株式売却益の使途について
【質問】
今議会で大阪国際空港ターミナル㈱株式売却の件が議案として提案されていますが、ターミナル株式売り払い代金約55億円は、いわば臨時収入です。
このような臨時収入こそ今すぐ取り組まなければならない最優先課題のために使うべきと考えます。府政の最優先課題は府民の生命、財産の確保である。
ならば、これらの臨時収入は南海トラフ巨大地震対策に使うべきである。よって我が会派は「仮称」南海トラフ巨大地震対策基金」を設置し今後の対策に使うべきだと考えるが、如何か。知事に伺います。
【知事答弁】
南海トラフ巨大地震への対策については、国や関係市町村と十分連携、協調を図りながら、しっかり取り組むべきと考えており、厳しい財政状況においても、早急な対策に向けた財源確保が喫緊の課題である。
財政規律を堅持しながら、府政の緊急課題に対応するため、国庫などの財源をしっかり確保するとともに、今回の株式売却収入は、基金に積立てるなどにより、有効に活用してまいります。

6.公営住宅施策は質問取り止め

7.グランドデザイン・大阪 は質問取り止め

8.府市共同 住吉母子医療センター

就職困難者の就労支援について
【質問】
企業に精神障がい者の雇用を義務付けることを柱とした改正障がい者雇用促進法が今年6月13日国会で可決、成立しています。義務化は平成30年4月からとなっていますが、法の趣旨は、就労を希望する精神障がい者の増加を受け、さらなる社会進出を促すことにあります。
精神障がい者の方は身体障がい者と比べ、外見上健常者と区別がつき難いことから、周りの方の障がいへの理解が不十分な場合も多々あり、企業への就職においても職場の理解を得ることが難しく、企業や従業員の配慮や理解なしには職場で長続きしないことも多いと言われています。
府は障がい者雇用促進法の改正を受け、今後、発達障がい者を含む精神障がい者の職場定着支援にどのように取り組むのか。
また、難病患者も同様の問題に直面しています。とりわけ、難病患者の場合、障がい者手帳を持たれていない方も多いことから、その方々が、企業や国、地方自治体など就職をされても、法定雇用率に算入されないという問題を抱えています。
難病患者のほとんどは、定期的な治療を受けることができれば健常者と変わることなく働けるにもかかわらず、治療に要する時間など様々な制約があることから、就職の機会に恵まれていないのが現状です。
精神障がい者と同様に、難病患者の就労支援も大切な課題であることから、今後、府として、難病患者の雇用促進にどのように取り組まれるのでしょうか。併せて、商工労働部長にお伺いします。
【商工労働部長答弁】
発達障がい者を含む精神障がい者の雇用にあたっては、企業の人事や労務担当者はもとより、ともに働く職場の従業員が、雇用される方の障がい特性などを理解し、職業生活を支えていくことが重要です。
そのため、精神障がい者や発達障がい者の雇用セミナーを開催するなど、障がいに対する理解を深めるとともに、障がい者の雇用を検討する企業や課題を有する企業に対して、障がい者雇用促進センターの民間専門員を派遣するなど、障がい者が働きやすい職場環境づくりに取組んでまいります。
難病のある方の就労支援につきましては、障がい者手帳を持っておられない難病のある方が、障がい者雇用率の対象となるよう国に対して制度改正を働きかけるとともに、障がい者雇用促進センターによる企業への障がい者雇用の働きかけに併せ、難病のある方の雇用への啓発を進めてまいります。
また、9月にオープンしたOSAKAしごとフィールドにおきましては、きめ細かなカウンセリングを行うとともに、心理職による職業適性の助言や、ハローワークとの連携による就労支援に取組んでまいります。
精神障がい者や発達障がい者、難病のある方の働きたいという想いにお応えするため、保健・医療や福祉、教育を担当する部局と緊密な連携を図るとともに、大阪労働局や関係機関などと協力して、一人でも多くの方が雇用に結びつくよう努めてまいります。

9.南大阪食肉市場 は質問取り止め

10.万博記念公園承継

①承継の意義、管理手法等について
【質問】
万博公園は国の独法改革、それに地元自治体が協力する、ということだと聞いている。そこへ知事が府で受けると宣言した話でもある。
知事は万博公園をどんな公園にするつもりなのか。従前のとおり「緑に包まれた文化スポーツ公園として承継する」というのなら、国の独法でよかったではないか。知事がどのような公園を目指されているのか。府が継承する意義を教えて頂きたい。
また設置後45年が経とうとしており、施設管理には従前以上にコストがかかることも予想されます。国民的財産だけに、大阪府が管理するようになって、レベルが下がったということのないようにしていただきたい。府の一般会計にしわ寄せせずに、十分な管理経費が賄えるのか、現在示されている資料だけでは、確認できません。
他の府営公園と同様、指定管理者制度を導入するのか。もしそうなら、これまで直接管理をしていた機構の職員を大阪府が採用する必要があるのか。
設置条例だけが提案されているが、新たな負の遺産にならないよう、議会にきちんと説明をした上で、承継日を決めていただきたいがどうか。知事の考えをお聞かせください。
【知事答弁】
万博記念公園については、これまで培われてきたみどりを守り、育てながら、創意と工夫を凝らし、歴史あるこのエリアを、大阪・関西が誇るにぎわいと交流の場として発展させていきたい。
万博公園の管理運営については、府営公園と比べて多様な施設があるため、直営を予定しており、そのノウハウを有している機構職員を選考の上、採用したいと考えている。
事業の承継にあたっては、「公園管理にかかるトータルの収支において『新たな財政負担のない形』で管理運営できる」ことが前提。
今後、国有地の貸付条件や機構承継資産・債務の内容等について、国と詰めの協議を行っていく予定であり、改めて、事業収支を確認した上で承継日を定めたいと考えており、その際、国との協議の経緯等を含め、府議会に十分ご説明する。
②大阪万博50周年記念イベントの実施について
【質問】
先のご答弁では万博公園をどのような公園にしていくのか、具体像がまだ見えませんが、ぜひ頑張っていただきたい。
さて、大阪万博が開催されたのが1970年、2020年には50周年を迎える。2015年シンボルイヤーもよいが、東京オリンピックの盛り上がりを大阪にも引き込んでいくために、様々なことが考えられますが、その一環として万博公園を活用したプロジェクトを実施すべきではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。今から周到に準備していかないと、集客につながらないと思われますのでお聞き致します。
また、国にも、50年記念事業に協力してもらい、併せて、今回、機構から承継する財産も、一部はそのために利活用し、貯めておくことも必要だと考えます。そういう意味では当座の資金がまかなえればよいというような問題ではない。長期的収支も見据える必要があるがどのように考えますか。
さらに、50年経てば、施設は確実に老朽化していきます。管理計画なども立てて、2020年にはリフレッシュした公園にしていくことも検討すべきだと考えます。知事の考えをお聞かせください。
【知事答弁】
2020年は、大阪万博開催から50周年を迎え、折しも東京でオリンピックが開催される年。東京一極集中にならないように、大阪・関西に外国人観光客を呼び込む契機であり、重要と考えている。大阪全体で、オリンピック景気を引き込みたいと考えている。
公園事業については、特別会計を設置し、独立採算で運営することとしており、長期的な視点に立って収支バランスが確保できるよう工夫してまいりたい。
老朽化が進む施設の改修整備については、収支見込みにおいてその費用を織り込み済みであるが、新たに設置する審議会における、さらなる魅力づくりに向けた施設の改善等のご議論も踏まえ、計画的な改修等に取組んでまいりたい。

11.府市大学統合

①大学統合による影響、効果について
【質問】
府立大学と市立大学の統合は、27年度に法人を一本化し、28年度に大学を一本化すると伺っていますが、大学統合が大阪の教育、学術、研究の分野で、長い目で見てどのような効果があるのか、プラス、マイナス両面からしっかりと検証された結果、統合議論をしているようには見えません。何よりも、大学統合が単なる行革、効率化になってしまうのではなく、統合により質的向上、1+1が3にも5にならなければ統合する意味がありません。
両大学はそれぞれに、長い歴史と伝統を持ち、それぞれの強みや特色を生かし、互いに切磋琢磨しながら大阪の教育、研究の分野で大きな功績を残しています。長い年月をかけて培われてきた知的財産の蓄積そのものです。それを、理念もなく、二重行政などという言葉だけで、ひとつすることが良いのでしょうか。
「選択と集中」という中で、選択により、切り捨てられるのはどういう分野なのか?運営交付金の削減以外で、統合により具体的にどのような質的向上が期待できるのか?再編、統合によるプラス、マイナスはどういうものがあるのか?府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
両大学の統合については、学際、応用分野に強い府立大学と基礎研究に強い市立大学といったそれぞれの強みを活かしつつ、医学分野や工学分野との連携などで統合のシナジー効果を発揮することにより、知的インフラ拠点として存在感を増すことができると考えて取り組んでいるところ。
また、新大学は研究・教育分野の多様性や学生数は、国立基幹大学並みの規模、公立大学では我が国で最大規模となる。
こういったスケールメリットを活かし、選択と集中の視点から、両大学の重複分野を統合・再編し、そこから生み出される資源を大学の強みを活かせる分野や、戦略分野に集中投入することにより大学間競争に勝ち残れる大学へと発展することができると考えている。  
例えば、工学分野での重複を見直し、府立大学の海洋・航空、市立大学の建築、土木といった特徴的分野とナノ、創薬などの先進的な分野を充実し、「地球未来理工学部」という新しい学部の設置などを検討している。
一方、課題としては、
・それぞれ特色・風土の異なる両大学の融合を図りつつ、強みを活かすことが必要。
・受験生にとってこれまで府立大学、市立大学という選択肢が複数あったが、大学の統合により選択肢が少なくなる可能性がある。
・多数のキャンパスを抱える大学となることから、学生にとって不便となる可能性がある。
などの点が考えられる。
大学統合に向けては、こういった課題を少しでも克服できるよう、例えば、府立大学の学際教育重視の「学域」と市立大学の専門基礎教育重視の「学部」を併存し、両大学の特徴を活かすとともに、受験生の選択可能性を広げるなどの対応について両大学と十分協議し、取り組んでいきたい。
②統合による効果額について
【質問】
今、お答えいただいたような効果は、別に府立大学と市立大学の統合でなくてもよいものばかりです。スケールメリットなどをはじめとする統合効果をもっと出そうということなら、大阪には阪大もあり、そういったもっと大きな大学統合も考えられるのではないですか。統合というのは手段にすぎません。具体的な統合の姿、統合のプラス、マイナスの両面の検証をしっかり行い、示していただく必要があると思います。
また、都構想のパッケージ案には、統合の効果額を最大約14億円と見積もっています。この効果額は大学を統合しなければ実現しないものですか。府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
大阪における大都市制度の制度設計、パッケージ案でお示しした効果額は、現在の両大学の中期計画などに基づく、運営費交付金の削減見込み額を記載。今後、大学統合による効果として、選択と集中の観点から新大学の組織再編の概要を示したうえで、再編効果額として明らかにする予定。
③各大学が改革を進めてから統合を検討すべき。
【質問】
都構想の効果額とされている、14億円は現在の両大学の中期計画にすでに織り込んである、運営交付金の削減額なのです。こういったものをあたかも都構想の効果であるかのように記載しているのは問題があると思っている。
この間、新大学構想会議の資料を見ても、抽象的でガバナンス改革ばかりが書かれています。それなら、まずは両大学においてそれぞれが改革を実行し、その後に統合した方がスムーズにいくのではないでしょうか。 
そもそもこの構想会議の委員は、九州や東京の大学関係者をはじめとするメンバーが中心で、大阪に関係のないような人達で構成されています。大阪の大学のことについて検討をするのに、何故、こういう人達を選考したのでしょうか。それぞれに見識が高いと思いますが、見識の高い方は、大阪に沢山おられますし、大阪の高等教育に携わってきた方が当然参画されるべきであることを指摘しておきます。
我が会派は統合そのものがダメだと言っているのではなく、28年4月統合というスケジュールありきで議論されていることに大きな疑問を持っているのです。
両大学で協力すれば何ができるのか、共同研究や人材交流など、当事者からの提案を一つひとつ生かしていく方が、両大学の強みを生かすことになり、ひいては優秀な人材の育成、大阪経済の再生につながるのではないかと考えます。まずは、これらの成果をあげた上で、統合を考えればいいのではないですか。府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
現在、両大学では、両学長をトップとした新大学推進会議を設置し、教員も参画した上で、学域・学部の設置目的や概要など、新大学のめざす教育研究内容を中心に鋭意検討を進めているところ。
また、これまでも産学官連携をより一層進めるための「産学官連携共同オフィス」の設置や、地域の課題解決に共同で取り組むCOC(地域貢献拠点)の形成など、両大学の連携を深めており、統合に向けた実績を重ねてきている。
④まず大学本部の位置など、新大学の姿を先に示すべき。
【質問】
中身の議論も不十分なうちから、キャンパス問題が先行して議論が進んでいます。このままでは、統合により益々タコ足状態の大学になります。本部はどこに置くつもりなのでしょうか。大阪市内になるのか。堺市から本部がなくなるのか。そもそも大学本部をはじめとした新大学のキャンパス配置はまだ示されていません。そういう状態で統合議論なんてできるんでしょうか。そういった基本的な新大学の姿も示されていない中で、統合議論をするのはおかしいと思いませんか。府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
法人本部及び大学本部の所在地については、現在、検討しているところ。
また、キャンパスについては、当面、現行キャンパスを活用することとし、まずは、両大学の強みを活かした新大学の教育研究体制について議論し、一定の方向性をまとめたうえで、将来的なキャンパスの再編や新キャンパスの設置などについても、検討を進めていく。
【再質問】
また、9月議会後半には理事長学長分離の定款変更の議案が出ると聞いている、両大学理事長の一本化は、ほんとうに意味があるのでしょうか。1人の理事長で2つの大学の良さをのばすような経営ができるとは思えません。民間企業の合併でも2つの会社のトップがそれぞれの経営に責任を持って、お互いの強み、いいところを合併後に残せるよう努力するから、1つの組織にする意味があるんだと思います。双方の現理事長にしっかり頑張ってもらう方が、両大学の質も向上し、素晴らしい新大学ができると考えますが、知事の見解は如何か。
【知事答弁】
理事長の一元化については、現在両大学とも法人の理事長が学長を兼務する体制で運営しているものを、平成26年度に理事長と学長を分離し、新大学実現に向けて両大学の理事長に府市で同一の人物を任命するもの。
理事長が同じ人物になることで、統合に向けた準備を円滑に進めるとともに、統合までに必要な大学改革を進めようという考え方。
現在両大学の学長をトップに、新大学推進会議を設置して協議している。教育・研究に関する分野については、両大学の学長が取りまとめていただけると考えている。
【指摘】
知事や部長のご答弁を聞いても、既に決めなければならない具体的な内容についてはまだ固まっていないと思う。統合ありきで進めるのは、大阪にとってマイナスになる可能性があるので、拙速な統合はせず、慎重に良いものを作っていただきたいと思う。

12.教育・学校における諸課題

①大阪市立高等学校の府移管について
【質問】
最後に、教育・学校における課題について何点か確認いたします。
都構想のパッケージ案によると、大阪市立高校は広域自治体の事務に分類されています。ただ、学校は教職員だけでなく、生徒や保護者が密接に関係する施設であり、役所内だけで話は完結しません。関係者が混乱しないよう、取扱方針は早期にアナウンスする必要があります。
ついては、市立高校の府への移管スケジュールはどうなっているか。また、最も影響がある中学生やその保護者への発表はいつと考えているのか。さらに、移管によって市立高校がこれまで培ってきた教育の質や特色は損なわれることがないのか、学校運営に必要となる財源の目途は立っているのか、以上4点を教育長に伺います。
【教育長答弁】
府教育委員会では、大阪市立高校を府に移管し、一元的に管理運営することで、人事や学校配置の面で効率的な運営が可能になるという点に意義を見い出し、平成27年4月に、広域自治体へ一元化するべく、現在、教育内容、財政面、組織・人事等、個別課題の解決に取り組んでいるところ。
周知のタイミングは、当然、生徒・保護者の皆様には周知を早期にする必要があり、少なくとも移管の1年前に周知する必要があると考えている。従って、来年の2月府議会において、移管についてご議論いただき、併せて府民の皆様にご理解いただくと考えている。
教育の質、特色、これは移管しても大阪市立高校が伝統的に培ってきた特色やクオリティが落ちてしまっては意味がない。それを一番よく知っているのは大阪市教委であるので、市教委との話し合いの中で本質的なもの、譲れない部分を明らかにしていただき、一方で効率化ができる、変えていけるところも市教委と府教委でしっかり話し合って、府民の期待を裏切らないものにしていかなければならないと考えている。
財源は、大阪市教委と教育内容のみならず、施設・設備の整備等、個別課題の協議を踏まえて財源を算定し、知事、市長、それぞれの部局と相談のうえ進めたい。
【再質問】
少なくとも1年前に生徒保護者に周知するとのことだが、府立高校の再編の時も1年前のアナウンスをしていたのか。
【教育長答弁】
府立高校の歴史をすべて把握していないので、その全てにはお答えできないが、今回は学校や教育の中身が基本的に変わらず、市立が府立や広域自治体の名前になるということなので、そういう場合は1年で充分と考えている。
【再質問】
中身が変わらないなら1年で充分、変わるならそれ以上必要ということか。
【教育長答弁】
府でいま議論されている再編整備計画で、全く新しい学校作るとか、カリキュラム、生徒数がガラッと変わるということは、現在ある学校が無くなることはあるかもしれないが、ゼロから作り上げるということは想定していない。
【再質問】
市立高校が府に移管されると、府立高校になる。いままで府立高校の再編の時には、ちょうど今頃の時期に中学二年生に対し、アナウンスをされている。遅くないか。
【教育長答弁】
早い方がいいのは事実であるが、1年前でも不十分ではないと価値判断している。
【再質問】
通常は全ての事が決まってから、27年4月という時期を明確にし、保護者や子供たちにアナウンスすべきではないでしょうか。
時期が決まっているからには、詳細な作業工程があるはずです。何を、いつまでにする必要があるか、教育長、具体的にお答えください。
【教育長答弁】
保護者や生徒に周知すべき内容については2月議会までに大枠を固めて皆様にご議論いただくと考えている。ただ細かい部分、例えば机のデザインなどまでは周知する必要はないわけで、大事な部分については2月議会までにまとめて議論いただく、そのあと周知してゆくと考えている。
【指摘】
机のデザインを聞いているのではない。27年4月に移管するなら、市教委と府教委の間で、お金の話も含めこの時期に終えておかなければならないものがあるはずだと聞いている。
既に移管年次のアナウンスも行われています。これで何らかの支障が生じた場合、誰が責任を取るのでしょうか。生徒や保護者に深刻な影響を及ぶことも考えられる。
我が会派は大阪市立高校の府移管に反対ではありませんが、先の答弁をお聞きしても、準備が整っているとはとても思えません。少なくとも移管条例が通ってから時期を決め、公表するべきであります。
子供たちに絶対に迷惑がかからないよう肝に銘じて取り組んで頂くようお願いしておきます。
②児童、生徒の学力向上について
【質問】
平成21年1月に今後5年間の具体的取組みを定めた「大阪の教育力」向上プランの進捗状況が報告されました。
その中の「基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします」の項目における目標の達成状況について教育長は、どのように受け止めておられるのですか。伺います。
【教育長答弁】
「大阪の教育力」向上プランに掲げた目標は、本年度の全国学力・学習状況調査において、全国平均に達すること、及び無解答率0にする事であった。しかし、これについては達成できず、府民に対し申し訳なく、府教委としてもくやしい思いである。
この間、府教育委員会では、学習教材をWebページ通じて小中学校で活用できるよう配信してきたが、これは指導助言援助の範囲で、その活用は各市町村教育委員会や学校の任意であり、かつ使った学校でどういう効果があったかなどは把握していなかった、分析がきちんとできていない状況がある。
また、平成23年度~24年度にかけて、課題のある小学校71校(全小学校1,012校)中学校76校(全中学校463校)を重点校として指定し、府教育委員会と市町村教育委員会で連携して、学校訪問を行い直接的な指導や助言による支援を行ってきた。
その結果、成績の伸び率が良かった学校の割合は、重点的な支援を行った学校の方が、行っていない学校に比べて、高かったという成果はあった。
しかしながら、重点支援をした学校数は、全体の中で小学校は7%、中学校は16%であり、結果的に府全体を押し上げるまでには至らなかった。
小中学校については、まず権限を有する市町村が責任を持って取り組んでいただく、そのうえで府教育委員会として成果のあった市町村のノウハウの収集を進め、普及をはかって行くとともに、府教育委員会が作成する学習教材の提供などの援助も進め、来年4月の全国調査において何とか結果を出したい。
ただし、来年4月まで時間が迫っているため、短期間でできること、来年度再来年度、中長期にわたっても意義のある取組みを進めていきたい。
【指摘】
≪資料5≫
全国学力・学習状況調査については、文部科学省が都道府県ごとの結果を様々な角度から分析した資料が公表されています。
例えば、各教科の正答数ごとの人数割合の分布グラフがある。
全国平均との差が大きい中学校の数学B、いわゆる活用の問題のグラフはこのようになっている。棒グラフが大阪府、折れ線グラフが全国です。
特徴的なのは、2問以下しか答えられなかった生徒の人数が、全国では18%であったのに対して、大阪府は24%もの生徒、つまり大阪府全体の約4分の1の生徒が16問中2問以下しか答えられなかったということです。 
また、各教科のそれぞれの問題ごとの正答率も公表されている。 
大阪の生徒が全国の生徒に比べて苦手とする問題、比較的できている問題がわかり、どのような指導に力を入れるべきかがわかるものとなっています。
このように、平均正答率だけを問題にするのは危険な考え方です。なぜなら学力調査を受けた子供が毎年毎年同じ調査を受けているのではない。経年の変化は見ることができない。今年の小学校6年生は来年中学校1年生になる。平均点だけ見て一喜一憂するのはおかしい。
子どもたちの学力のどこに問題があるのかを学校をあげて詳細に分析し、家庭にも説明しながら丁寧な学びのサポートをしないと、本当の意味での大阪の教育の解決にはならないと思います。
③中学校給食について
【質問】
府は府内中学校の給食導入促進のため、平成23年度から5年間、市町村へ財政支援を行っています。予算額は総額246億円の債務負担行為を行っています。
中学校給食導入の目的は、学力や体力をはじめ、中学生の成長の源となる「食」を充実させ、大阪府の教育力向上につなげるためとされていますが、府の制度によって給食を導入した中学校は何校あって、何名の生徒が実際に給食を食べているのか。また、事業目的としている学力、体力が向上し、いじめが減少しているか、費用に見合う効果が得られたか、具体的に教育長から説明願います。
【教育長答弁】
まず、給食導入事業の意義について、指摘のように体力・学力ともちろん無関係ではない。
ただしこれは、腹が減っては勉強できない、運動ができないという、学力・体力の基本的な条件となる、きちんとした栄養を生徒児童に取ってもらおうというのが第一義的な意義であって、導入の際の戦略本部会議の議事録を見ると、副次的な効果として、家事軽減ということも書かれていた。そういう事業目的から見て成果が出ているかという観点で検証してきた。
大阪府中学校給食導入促進事業を活用して中学校給食を開始した学校数は、平成25年9月末現在で56校になる。生徒数は実施計画書を基に算出したところ、約2万3千人となっている。本補助金の対象外である政令市を除いた場合の給食実施率は42.4%となる。
このうち、平成25年4月までに、当該市町村において全校一斉に全員喫食で開始をした2市18校を対象に、中学校給食導入後の、生徒の様子の変化などについて調査を実施した。その結果「望ましい食習慣を意識するようになった」と回答した学校が15校(83.3%)あった。
また、個別の回答として、家での食事が不十分な生徒にとっては食習慣が安定した、不登校の生徒が登校するようになったとの回答もあった。
なお、生徒アンケート調査など、個人を対象とした効果検証は実施していない。
いじめの話もあったが、いじめもちゃんとご飯を食べて体調がいいからいじめが減ることもあろうが、まず栄養をきちんと取って、そのうえで学力体力いじめの対策が第二弾の方策として府教委市町村教委で協力してやっていくことだと考える。
そういう意味で、中学校給食については一定の成果は出ていると府教委としては認識している。
ただ一方で予算が246億の債務負担行為をおこなったところであり、高額なお金であり、これが無駄になっていないか、検証をしっかり行っていかなければならないと考えている。
【指摘】
崇高な理念を掲げて導入したのは大阪府の方なのでお聞きしている。先の答弁は校長や学校の感想であり、人数も把握されていません。給食導入前と後の変化すら調査されていない。しっかり調べてください。
④教科書採択について
【質問】
教科書採択をめぐっては、過去にも府議会で取り上げられてきたが、個別の教科書採択の可否について踏み込んで意見するということについては、わが会派としても慎重な姿勢をとってきました。
教科書の採択については、各校からの選定された教科書について、教育委員会が中立的な立場と公正な手続きにより採択すべきものであると考えています。8月30日に行われた教育委員会会議において、「本来なら教育委員が討議すべき課題」であるのに、それ以前の8月初めに、大阪維新の会に対して中原教育長が「議決をやり直す。」と約した対応について、先日、小河教育委員からご答弁がありました。
教育委員会としての意思決定の手続きや教育委員間の意思確認など、正しく機能しているのだろうか、という疑念を持たざるを得ません。この点について、教育委員長より認識を聞かせていただきたい。
【教育長答弁】
教科書問題について慎重な姿勢を取っていることについては、法の精神を踏まえ、適切に判断されていることだと思い、ありがたく思っているところ。
安倍総理も同じような問題意識は持たれているが、教科書検定についても改正教育基本法の精神が生かされているかどうかという点で考えたいと、非常に慎重かつ的確な対応をされている点はさすがであると考える。
東京都の対応が報道提供され、その後校長への実教出版の教科書に関して送られたメールや、維新の会の勉強会での教育長の発言については、残念ながら事後報告であったことは事実である。
この流れが、その後の教育委員会の判断を難しくしたというのも事実であり、慎重であってほしかったというふうに考えるところである。
教科書の採択については、各地で様々な問題が起きている。非常にセンシティブな課題でもあり、手続きも慎重に進めるべきであり、その旨5月の教育委員会会議でも教育長以下の事務局には強くお願いしたところで、誠に遺憾なことであると考えている。
しかし、今回の対応について、結果的にはこうして議会から問題点を指摘いただいていること自体は、これも1つの事実である。プロセスに課題があったということでもあるので、その点は教育委員会全体で反省すべきと考え、今後に生かしていきたいと考えている。
【再質問】
小河教育委員の答弁の中で、中原教育長が「学校に行ってもらって構わない」旨の発言をした件が本会議で明らかになりました。教育長の立場にある者が、議員を通じて学校現場に圧力をかけるかのようなことを勧めるというのは、あってはならないと考えますが、教育長の見解を伺いたい。
【教育長答弁】
経緯を簡潔に申し上げる。今回の件で一番いけなかったことは、5月17日の教育委員会会議で何が決まったかというと、教科書採択の最終決定は教育長の専権になった。維新の会との勉強会が8月4日にあったが、その時点だろうが、いつであろうが、正式な手続きとして教育委員会が私に権限をまかせた。その時点で不採択にしたければできる権限を私はもらっていた。だからメールが事後報告になって遺憾だとかいうのは全く理不尽な話。私の専権事項なので、私は自分の権限の中でやろうとしたが、驚いたことに私に権限を任せた教育委員会自体が誰も問題のある教科書があるかどうかという視点で見てこなかった。実教出版も漏れていた。前年にも実教出版は使われている。それを誰も指摘できない構造になっていた。これは教育委員会の1つの問題点だと思った。
私は5月17日の教育委員会会議に出る前に、事務局に「今年は問題になる教科書はありませんね」と言ったら、「確認しました」と言われた。それを受けて調べたところ問題があったので、これは大問題ということで、私は専権で選べて決められたけれども、そんなことをすれば6人の合議体である教育委員会制度の趣旨が損なわれるので、一度ゼロベースにして委員の皆さんと話し合う、その中で維新に対してこれを不採択にする、条件付きで採択するとか、約束したことはない。私は自分の権限で議案をゼロベースにして提案するということを申し上げた。結論は何も約束していない。
学校に行ってもらっていいというのも文脈が無視されていて、私の記憶では、維新のメンバーは学校長に採択権があるという理解をしていた。だから行こうと思っていたけど、教育長以下事務局の話を聞いたら、まだ決まっていないのですねと。これまで誰も教科書が問題あるかどうかという視点で見ていないなら、ちゃんとやり直すと言って、その後できちんと会議をして採択をするということであれば、学校に行って説明責任を求めようかと思ったけれど、その必要はなくなったという発言が先に出ている。一般論として学校は選定理由書を出せる、これは一つの権限ですから、それに見合った説明責任は果たすべきというのはある。
学校に出かけて行って、採択に圧力をかけてくださいだとか、そんなことはとんでもない。言っていない。むしろそんなことはしなくても良くなったという維新の方の話の後に、一般論として説明責任は学校にあるので、議員であるかどうかにかかわらず、お話をしに行くというのは開かれた学校という意味で一般論としてあるという話をしたわけで、それを一部メディアが切り取って私が煽っているかのような言い方をされて、抗議しようと思ってそれはやめましたが。背景はそういうことです。
一番の問題の出発点は、教育委員会が形骸化して、教科書を誰も見ていない、見ていないのに教育長に権限を一任してしまっていたという点にある。今まで誰も見ていない状態で、教育長を含め何も考えずに採択していた。文部科学省にも確認した。文科省はそのまま採択するのではなく、文科省の検定があることを前提としたうえで、各都道府県で責任を持ってやってくれということも見解としてもらっている。
今後は教育委員も含め、全員一致でこれからは事務局を含めきちんと教科書を見る、そのうえで責任を持って教育委員会6人が最終的に採決を決める、教育長に一任はしないということを8月30日に決めた。小河委員も陰山教育長も含め満場一致で賛成しているから、教育長がどうだこうだという非難は無責任だと思っている。
【指摘】
今小河委員、陰山委員長と教育長がお話しされたこと、聞いている方は感想それぞれ違うと思う。議事録見てもその場にいなかったら、受け取る方の感想は違う。問題が起こって、本会議の場で確認するという作業もやっているわけで、混乱が出てきたことに対しては、教育長が今後しっかり対処していただかないといけない。これから委員会でも議論を深めてゆきたい。間違いのない方向に行ってもらいたいと思う。
【再質問】
6名の教育委員は、全て松井知事が任命された方ばかりです。任命されたからにはおのおの理由があったと思います。各教育委員に対して知事がどのような役割を期待されたか、委員1人1人についてそれぞれお答えいただきたい。
【知事答弁】
経歴を踏まえ、それぞれ務めていただいている。まず委員長は、義務教育のところ、教育論全般、こういう部分の理解が深いところ、ご経験をされているところ。小河委員は中学校での32年間の経験がある。立川委員は保護者の立場とキャリアのコンサルもされている。木村委員は塾経営をされてきた。井上委員は企業人として、コミュニケーション力をつけるため、子供たちに笑いという分野で活動をされている。中原教育長については国際的な弁護士で若い時から世界に飛び出してきたことと、民間人校長を3年やって、特に英語教育については、結果を出してきた。こういうそれぞれの経験を活かして教育委員会を組織してもらいたいという意味で、それぞれ委任をしているもの。
⑤民間人校長について
【質問】
大阪市における民間人校長の不祥事の問題が続いています。報道等によれば、この4月に着任した校長11名のうち、6名が不祥事、トラブルを起こしています。
大阪市の事例を踏まえ、「外部から登用すれば、組織が活性化する」という考え方を改めるべきではないかと思う。
民間から登用する場合は、正式任用までに十分な研修期間をとり、人物の検証をしたうえで正式任用をする、あるいは、一年間教頭任用をしてから校長任用を決定するなど、選考のあり方も再考すべきと考えるが、知事の考えを伺う。
【知事答弁】
自民党も学校現場の閉鎖性については問題意識高かったと思う。そこに外から民間の人材を入れようというのは自民党の考えでもあったと思う。優れた民間の人材を校長に任用する重要性は理解いただいていると思う。
人材をしっかり研修していくことは重要なこと。教育委員会において、研修の充実を一層努力してほしいと思っている。
⑥私立高等学校授業料支援補助金について
【質問】
府は、平成23年度から私立学校の無償化を実施されており、5年間は続けるとされ、平成27年度まで毎年230億円余りの支出が続くことになります。
このように毎年多額の公金支出を続ける以上、それに見合う効果が上がっているか、きちんと検証する必要があります。府は生徒が行きたい学校に行ける制度になったのが効果だと説明されていますが、本当の効果は私学の無償化が子供たちの成長にどのような影響を与えたのかという点で判断すべきだと考えます。
また、効果の検証とともに、府が私立学校に対してこのような巨額の支出を行っていることを、学校、保護者、生徒をはじめ府民にきちんと周知してゆく必要がありますが、どのように周知してきたのか、また、府として補助金の目的をどこに置き、どのような状態になれば目的を達成したと考えるのか、府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
予算額を含めた授業料支援補助金制度の周知については、私学団体と連携してリーフレットの作成や、公立中学校の進路担当者に対する説明会のほか、夏に行われる「大阪私立学校展」において専用のブースを設けて保護者からの相談に応じるなど、さまざまな取組みを進めている。
本制度の効果については、制度を拡充した平成23年度以降、私立高校の入学者数は大幅に増加するとともに、私立高校を専願により志願する生徒の割合も、制度拡充前の平成22年度と比べ増えている。
また、私立高校の新入生の保護者に対するアンケート結果をみても、年収800万円未満世帯の71.4%の方が、この制度があったから、私学を選択したと回答するなど、自由な学校選択の機会の提供に大きな成果をあげていると考えている。
あわせて、授業料無償化制度は、授業料の面で競争条件を合わせ、学校間の切磋琢磨を促すことを通じて、大阪の教育力の向上を図るとしている。
来年の3月には、無償化制度のもと3年間学んだ生徒が初めて卒業を迎えることとなる。これらの生徒にかかる満足度調査のほか、大学進学実績、就職率や中退率など、「大阪府教育振興基本計画」で掲げる教育活動の指標が、制度拡充前と比べて、どのような趨勢になるのかを把握し、効果検証につなげてゆく。
【指摘】
私立も公立学校も、多額の費用が貴重な税金から投入されています。決してタダではないのです。公金投入の具体的な見える化が保護者や子どもたちに理解されれば、ありがたいという、感謝の気持ちが芽生えると思います。そう思えば、もっと学校を大切にし、授業を真剣に受ける生徒が増えると思う。そのような周知をしっかりしていただくよう求めておきます。
【再質問】
以上、府の教育、学校における課題についてお伺いしてきましたが、松井知事は教育について積極的に関わってこられました。自ら教育振興計画を策定し、中学校給食の導入、学力向上には30億の基金を使うなど、多額の税金を投入してこられましたが、現状は残念ながら思うような成果が上がっているとは思えません。この原因は教育委員会や学校だけの問題ではありません。
これらの政策を進めてきた、松井知事にも責任の一端があることは否めないと思います。知事はどのように感じられているか、考えを聞かせてください。
【知事答弁】
教育基本条例、教育振興計画、これが成立して1年半です。教育振興計画の中で、自立ができる、自分を律することができる、チャレンジできる、そういう子供たちを育ててほしいと教育委員会にお願いしてきた。
中原教育長の答弁にあったが、就任前の教育委員会は形骸化していたのではないかということも今日の答弁ではっきりした。
教育委員の皆さんには大目標に向かって、活発な議論を基に、それぞれが責任の所在を明らかにする教育委員であってもらいたいというのが私の考え。
予算をつけ、執行する立場としては、大目標に向かって、学校において、現場において、様々な取り組みを最大限支援していきたいと、それが私が今思っているところ。
 先程から何点か教育の問題を質問しました。私には、あまりにも大人の都合で物事を決めすぎで、教育の方針転換によって子どもが犠牲になることは許されないと考える。「教育とは子どもたちの幸せのためにあるのです」もう一度立ち止まって真摯に議論をして頂くよう強く要望しておきます。

 先程から、府政に関わる様々な点ついて松井知事並びに、理事者の皆様にお尋ねを致しましたが、今後の一般質問や委員会で更に議論を深めて参りたいと考えています。
共通して言えることは、全て、結論ありきで、理屈は後付けになっています。そのような手法で府民の負託に応えられるとは思えません。
私達に今、1番求められているのは、スピードではありません。府議会でしっかりと議論を尽くし、間違いのない結論を出すことなのです。
また、何でも過半数で物事決めていく事が民主主義ではないということも申し添えておきます。府民の中には、様々な立場の方が、様々な意見をもっています。徹底的に議論を尽くし、皆が納得できるよう、全会一致を目指す努力をすることこそが民主主義の原点であり、議会の役割です。
松井知事におかれましては、我が会派から様々な指摘をしてきましたが、大阪の将来を思う府民の皆さんからの温かい応援だと思って、素直な気持ちでお聞き頂ければ、腹も立たないのではないかと思っています。これからもしっかり議論をしていきたいということで、質問を終わります。

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