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府議会の報告

平成25年9月定例会 一般質問

平成25年12月11日
朝倉 秀実 議員

1.加害者にならないための交通安全教育

①スケアード・ストレイト教育の推進について
②学校現場における交通安全教育について
【質問】
平成24年4月23日朝、京都府亀岡市において悲惨な交通事故が発生しました。登校中の児童と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込み、計10人がはねられ3人が死亡、7人が重軽傷を負ったものです。
原因は遊び疲れと睡眠不足による居眠り運転であり、軽自動車を運転していた18歳の少年は無免許運転でありました。あらためまして、尊い命を無くされた方々のご冥福をお祈り申し上げます。こうした悲惨な事故は二度とあってはならないと、その後、全国において様々な取り組みが進められていますが、充分な対策が確立されたとは言えません。
ところで、この車を運転していた少年は事故を起こした直後、「たいへんなことをしてしまった」と述べたと伝えられています。たくさんの人たちが跳ね飛ばされ、倒れこみ、おそらくは多量の血も流れていたものと推察され、文字通り凄惨な光景であったことと思われます。少年はその凄惨な現場を眼にして初めて、自分の行ったことの重大さに気づいたものと考えられます。
運転していた少年は、遊びに出かけるための手段という軽い気持ちで、数年前から常習的に無免許運転を行っていたと報じられており、もし前もって事故の重大さ、その悲惨さについての認識が前もって少しでもあれば、或いは事故は防ぐことができたのではないかとも考えられます。
そもそも車を運転することは、1トン以上もある鉄のかたまりを速い速度で走らせるという、極めて大きな危険を伴う行為です。私自身を含めて、車を運転していれば事故は起きる可能性があります。しかしそうした危険を伴う行為をしているのだとの自覚が常にあれば、事故の確率を減らすことはできるものとも考えます。
私が初めて免許を取得した折、その講習において交通事故のビデオを見ました。車が衝突し人が倒れ、その倒れた人を救急隊員が心臓マッサージをしている光景です。倒れた人の顔は赤黒く腫れ上がり、胸は血に染まり、マッサージを受けていてもピクリとも動きません。
ナレーションは、救急処置の甲斐無くその若い被害者は尊い命を失った、と結ばれていました。その後、50年近くを経過しても、その光景は鮮明に記憶に焼き付いており、ハンドルを持つたびにその記憶が恐怖感とともに甦り、身の引き締まる思いがします。

恐ろしい事故の状況をあらかじめ経験することにより、事故を未然に防ぐこうした心理学的教育をスケアード・ストレイト教育と呼ぶそうです。
免許取得者に定期的にこうした教育を行うことは効果的であると私もそう感じます。しかし、今回の亀岡事故の運転者は無免許でした。無免許運転は決して許されるものではありません。しかし、現実にこうした無免許運転が横行し、その結果、あってはならない事故が発生していることを思えば、免許を持たない者に対しても、こうした教育を行う必要があるのではないかと考えます。
そこで、車の運転に興味や関心を抱き始める中学生、高校生を対象に、学校においてこうした教育を行うことを提案します。既に府下の多くの学校において交通安全教育が行われていますが、その多くは被害者にならないための教育です。
これに加えて、加害者にならないための視点からの教育の導入を提案するものです。目を背けたくなるような恐ろしい事故の状況を眼にすることにより、軽々に車の運転などできないという強い思いを抱くことが必要です。
悲惨な事故を防ぐためにも、また前途有為な若者が加害者となって大事な将来を失うことなど無いためにも、学校教育におけるスケアード・ストレイト教育による交通安全教育の推進を提案します。
中学生、高校生に対する交通安全教育の今後の取り組みについて、警察本部長並びに教育長のお考えをお聞きします。
【警察本部長答弁】
警察では、行動特性や道路交通のかかわり等を考慮し、年齢や成長過程に応じた段階的な交通安全教育を充実させてゆくことが重要と考えている。特に中・高校生に対しては、生徒自身が交通事故の被害に遭わないための教育に加え、車両運転時に交通事故の加害者とならないための交通安全教育も大変重要である。
そこで、大阪府警察では、生徒による検討会の実施など、生徒自身に考えさせる交通安全教育をホームルームの時間等を活用して行えるよう、本年7月に「交通事故の原因となりやすい行動」や「交通事故の加害者になった際の賠償責任」等を組み込んだDVDを作成し、府下の全中学・高校に配布等した。
また、毎月大阪市教育委員会や各自治体等と連携して実施している交通安全教育用テストの「中・高校生編」に「無免許運転の厳罰化」や「無免許の者への車両貸与、同乗依頼の禁止」など今月1日に施行された道路交通法改正内容を問題として取り入れ、ポスターの掲示やチラシの配布、安全講話等と併せて周知徹底に当り、これら行為の未然防止に努めることとしております。
さらに、「スケアード・ストレイト教育」の一つの技法である、スタントマンが生徒の目の前で交通事故を再現することによって、交通事故の衝撃や怖さを疑似体験させるという交通安全教育を自治体や関係機関と連携を図り推進しており、今年度は府内12の中学校や高校で開催した。
その他、高校生等の安全教育で使用する視覚教材の中に、実際に発生した交通事故の映像を取り入れるなど、"車の運転を軽々しく考えていると悲惨なことになる"という教育を生徒の心に残るような方法で、継続して実施していきたい。
今後も引き続き学校を始めとする関係機関団体と連携を図りながら、中学生や高校生が交通事故の被害者にも加害者にもなることが無いよう、交通安全教育の充実に努める。
【教育長答弁】
交通安全教育は、被害者の生命身体、府民の生命身体の安全に関わることですから、その重要度は大変強く認識しています。
一方で学校の現場では、例えば南海トラフ巨大地震に備えた防災教育とか、いじめ自殺の問題、あるいは大麻覚せい剤その他新種の薬物、違法薬物に対する乱用の防止教育、それから当然の事ながら、学力向上やクラブ活動などの活動もあり、無尽蔵に時間があると言うわけではありませんので、限られた時間の中で、効果的な交通安全教育をしていかなければならないと感じております。
実際には授業外の講習、学年集会等を利用するということも考えられますが、これもなかなか時間が限られているため、授業が一つの大事な時間になると思います。高校では保健授業があり、1年間で、週1時間しかありません。実際に交通安全教育に割ける時間が、1時間2時間程度といわれています。その時間と授業外の時間を取れる学校は、そこを上手に使ってもらう、そのための教材を我々がきちんと提供しなくてはいけない、質の高いものを提供しなければいけないと考えています。
教材の質の問題ですけれど、リスクをリアリティを持って示して、その後は個々人に責任力といいますか、自分で自分をコントロールして責任を取れるような、そういった教育をすると、これにつきると思っています。これは、違法薬物の取締りにおいてもそうでしょうし、われわれ大人にも該当するのではないかと思います。リアリティを持ってリスクを指摘していく、その方法の一つとして先ほど警察本部長から話がありました、スタントマンを使って、実際に目で、その場で見させる体験させるという方法がありますが、これは50万から80万くらい費用がかかります。やれる学校はぜひやっていただきたいが、そうでない学校はDVDなどを使って、そのDVDの中で、今は監視カメラなどもあって、本物の事故の映像もあり、事故の、プライバシーに配慮した範囲での被害者の様子などもありますので、府警本部、その他の関係部局とも協力し、より質の高いDVDコンテンツを作り、今、それをバラバラに学校に出しているところがあるので、一度きちんとリスト化して、それぞれの素材がどういう目的と効果を持っていて、かつその長所は何か、こういうことを一覧表にして、学校現場で上手に使ってもらえるように努力していきたい。

2.職員、警察官及び教員の処遇見直し

①職員給与削減措置の取り扱いについて
②優秀な教職員の確保について
【質問】
悲惨な交通事故を減らすために、また、犯罪を抑止するとともに、事件の解決と犯人の検挙をはかるため、警察官は昼夜を分かたず、職務に励んでいただいています。
朝、ポストに、「近所を見回りましたが、特に異常はありませんでした」と書かれた赤いパトロールカードが入っています。その時間を見ると、午前2時、午前3時、午前4時などと書かれてあります。大阪府の警察官は、全国47都道府県の中でも最も多忙で過酷な任務をこなしていると考えます。
その、全国で最もたいへんな大阪府警察の警察官の給与が、全国最低の水準であることに対して常に矛盾を感じ、申し訳ない思いをしているのは私だけではないと考えます。
教員についても、いわゆる問題教員についてはかねてより厳しい目を向けてきましたが、大半の先生方は真面目に教育に取り組んでいただいており、厳しい状況下にある大阪の子供たちのために、がんばっていただいています。知事部局の職員についても、大幅な人員削減が行われ、一人一人の仕事量が増える中で、優秀で意欲を持った職員が府民のために力を尽くし奮闘いただいていることは、議員の皆さんもどなたもご存じのことと思います。水都大阪、イルミネーション、大阪マラソン、いろいろなイベントに府の職員は休日返上、ボランティアで支えてくれています。
こうした大阪府の警察官、教員、職員9万人の給与については、平成20年7月、就任したばかりの橋下知事の下で実施された財政再建プログラムにより、本来支払われるべき給与が削減されることとなり、そのまま今日に至っています。
あらためて、給与削減を行った際の考え方、その後の経過、また現在の状況について、どのように受け止めるべきなのか、当時から今日まで中心的な役割を担われ、また現在、最も責任ある立場におられる小西副知事の説明ならびにお考えをお聞きします。
私は以前より、大阪府は関西における最もハイレベルなシンクタンクでなければならないと申し上げてまいりました。事実、歴代の府の職員は極めて優秀であり、高い使命感をもって仕事にあたっていただき、大きな成果を上げてきていただいています。
しかし今日、この府職員、府組織に異変が感じられるのです。府職員への希望者が減少し、中途退職者が増加し、仕事にあたる職員に元気がなく、今後これまで同様のハイレベルの人材、組織として最高のパフォーマンスが確保できるのか、不安を感じています。
とりわけ教員について、大事な大阪の教育を担う優秀な教員がこれからも十分に確保できるのか、大きな危惧を感じているところです。
かつて大阪府は、奈良県や兵庫県などの近隣府県から多くの教職人材を受け入れてきました。敢えて大阪で先生をやりたいという優秀な先生がたくさんおられ、大阪の教育を担ってきていただきました。
しかし今日、事情は全く一変し、むしろ大阪府から他の府県への教職志願者が増えています。平成25年度採用の全体倍率を見ると、全国平均5.5倍、近畿各府県も5.6から5.9倍となっているのに比べ、大阪府だけは4.0倍とひときわ低くなっています。小学校教員が特に低く、兵庫県4.1倍、奈良県4.3倍、東京都は4.1倍となっているのに対し、大阪府は2.9倍と大きく差がついています。さらに大阪府の経緯を見ると、平成24年度3.8倍、25年度3.0倍、そして26年度は2.9倍と年々低下しています。また、合格者の中から辞退する者も増加し、24年度は合格者のうち308人が辞退し、その割合は13.4%にものぼっています。
教育大などの大学関係者からも、「学生は条件面に敏感であり、処遇や評価などが厳しい大阪に、以前ほどの魅力を感じなくなってきている」という声を聞いています。給与が全国最低レベルであることに加えて、課題を抱えたいわゆるしんどい学校も多く、さらに次々と新しい試みが行われ、報告や資料作りなどの事務量が増大し負担が増え、管理職になることに希望が感じられないなどの情報が広く伝わり、敢えて大阪府を避ける明らかな傾向が見られるのです。
府教委では、筆記テストを免除したり、大学2、3年生まで手を広げて青田買いとも言える新たな取り組みを行うなどの新たな取り組みを行っていますが、なぜ大阪府に人気がないのか、その本質的な問題解決に取り組まない限り、最終的に優秀な人材を確保することはできないと考えます。
教職人材の確保は今、ゆゆしき事態を迎えていると考えますが、中原教育長の見解をお聞きします。
【小西副知事答弁】
これまでの大阪府の給与削減の経過、また現在の状況とそれに対する私の考えについてお尋ねがありました。
まずこれまでの給与削減の経過について、大阪府では平成9年度から昇給の延伸、或いは管理職手当のカットなどを進めてきたが、大幅な給与削減を行った契機となったのは、平成20年2月に就任された橋下知事が行った「財政非常事態宣言」です。
この宣言の意味するところは、一つは赤字を出さないこと、もう一つはそれまで行っていた減債基金の借り入れ、これを行うことによって緩やかな行革を進めるという方法を断ち切ること、減債基金からの借入、これを可能としていた借換債の増発を止めるということを意味するものであった。
そうしますと、単年度で1,100億円とういう途方もない収支改善を行う必要が生じてきた。しかも当時橋下知事はこれを1年間じっくり議論して方策を講じるのではなくて、平成20年度から直ちにこの改革を進めるべしという指示であった。そのため、7月までの暫定予算を編成し、7月臨時議会に本予算を計上することになりましたが、この本予算に1,100億円の収支改善を盛り込む必要がある、つまり短時間のうちに大変な作業をしなければならないという事態になった。
私は当時その担当PT長を命じられた。文字通り昼夜を分かたず、土日も出勤して改革案を練ってきた。その時1,100億という金額であるので、人件費の削減はやむを得ないという判断をした。この数字を達成するためには、事業の見直しであるとか、歳入の確保だけでは到底追いつかないだろうと考えたのが一つ。もう一つは府民の方に大変なご迷惑をかけることになるので、我々職員も身を削る必要があると考えたから。
問題は、どの程度の人件費削減をするかということだが、ここは長年行革をやってきた私の感覚で、3分の1ずつということを考えた。歳出の削減3分の1、歳入の確保3分の1、人件費の削減3分の1ということである。
その結果私が出した結論は、平成20年度においては、歳出の削減が320億、歳入の確保をできるだけ進めることにして、435億、人件費の削減は345億円でした。ただこれは年度途中の人件費削減のため、平年度ベースで申し上げると475億円という大幅な人件費の削減になった。その内容は部長級で給与の14%カット、非管理職においても3.5%から9.5%の給与をカットする。ボーナスはそれ以前から行ってきたが、管理職6%、非管理職4%のカットを継続する。さらには退職手当を5%削減するといった内容のものであった。
この措置を平成20年度からの3ヶ年、22年度まで行った。したがって22年度には23年度以降どのようにするのかを改めて検討することとなった。その当時私は総務部長に就いておりましたが、今の大阪府の状況では、人件費の削減を継続せざるを得ないと思ったが、出来るだけ削減幅を圧縮したいとの思いで検討に入った。
しかし、当時の知事から大変な宿題を2つ投げられた。一つは給与制度の抜本的な改革を同時に進めること、その内容の一つは「わたり」を全廃するということで、給料表の一つの級には一つの職階しか対応させないというもの。このようなわたり是正は現在国でも行っておらず、他の都道府県でも行っていない。それから、次長級部長級についてはシングルレート、つまり次長級部長級になるとそれ以降の昇給は無いという給与制度にするということだった。もう一つは、現業職の行政職二表への適用を行うというもので、大阪府にとっては極めて大きな給与制度改革であった。これを給与削減の継続と併せて行うということになった。
当時我々は給与削減をどの程度行うかの積み上げを行い、270億という数字を出した。もう一つの知事からの宿題はこの270億ではなくて、350億の削減をしろというものだった。この350億円の削減というのは、数字の取り方が異なるため、内容的に言うとこれまで3年間行った450億円の削減を継続しろというものであり、私はその指示を聞いたとき、「到底これはできません」と申し上げた。そうしましたら、知事は「君は交渉団から外す」と言われましたが、私の責任として何としてもやり遂げる必要があるとして、今総務部長をしている矢冨をはじめ、当時の関係者に集まってもらい、この2つの数字をどうするかの議論を行った。出した結論は、2つの数字を出して職員団体との交渉に入るというもので、諸先輩方からは非常に無謀なやり方であるとお叱りを受けたが、何とか270億に抑える、これは不退転の決意でやるという思いて、2つの数字を出して組合との交渉に臨んだ。当然越年交渉になったが、最終は今申し上げた通りの給与制度改革が実現できた。給与削減は270億円の削減で、どこが今までと違ったかというと、非管理職の削減率を僅かではあるが0.5%圧縮、期末勤勉手当の削減を廃止するとした。
この削減が今年度まで続いているということで、この6年間大幅な給与削減が続いてきた。先ほど申し上げたように府はその前からも給与削減を行ってきており、これまでの人件費削減は総額3,200億円を上回る削減を行っている。
こうした中で現在の状況を迎えているわけであるが、私は今年度の人事委員会勧告はこの6年間にわたる、あるいはそれ以前からの給与削減、あるいは給与制度改革が反映されたものと思っている。それだけ大阪府職員の給与水準が全国的に見ても低いところにあるため、全国的にも珍しく引き上げ勧告がなされた。それからもう一つは現在行っている特例の給与減額を直ちに終了しろと強い意見をいただいた。これまでであれば、この人事委員会勧告を受けて今議会に給与条例改正案を提出し、年内には職員に差額を支給するところであるが、先ほど知事からも答弁申し上げた通り、今年度はまだ具体的な回答をするに至っていない。職員に対しては大変申し訳なく思っている。
最後にこれまでの人件費削減の責任者と言われるとつらいところがあるが、取り組んできた者としての思いをお話しさせていただく。
私は供与減額は異例の事態における異例の措置である、まさに緊急避難措置であると思っているので、長らく続けるべきでないと思っている。今一番危惧しているのはこれが当たり前のことであるという思いが庁内に広がることをなにより危惧している。前知事も6年前給与減額に踏み切られた際、「給与減額は組織のトップとしては最終手段であり、本来は禁じ手である」と申された。私もその通りであると思う。したがって、予算編成にあたっても、給与減額を当然のこととして予算編成に臨むようなことは決してすべきではないと思っている。
もう一つは、この給与削減を行ってきた6年間は大阪府にとってどのような6年間であったのかということ。全国で最も厳しい改革を進めつつ、都構想であるとか、経済特区、都市魅力の創造など、本当にさまざまなチャレンジに全力を挙げてきた。教員、警察官の努力については申すまでもない。
私は府の職員は、他の都道府県の職員よりもより汗をかいていると思っているし、決して劣るところはないと思っている。そうした職員が全国最低水準の給与に甘んじざるを得ないことについては、責任者として誠に申し訳なく思っている。私は他の都道府県より高い給与を払うべきであると述べるつもりはない。人事委員会制度で勧告された金額を支払うことは公務員制度において極めて当たり前のことであるので、当たり前の給与をぜひ職員の皆さんにお支払いしたいと思っている。
大変厳しい状況にあることは十分承知しているが、そうした思いを持って自らの職責を果たしたいと思う。
【教育長答弁】
指摘のとおり、教員採用選考テストの競争倍率が下がっているのは事実で、人口の分布上、大量に退職された方がおられたので、急遽たくさんの人を雇わなければいけないという前提事実はあるにせよ、まだまだ改善点、解決しなければならない課題があると考えている。
これから、課題と対応策について述べるが、課題については、1つ目が給与を含む待遇。2つ目が先生になること、先生として働くことのやりがいを伝えていくPR活動。3番目が採用面での工夫。4番目が人事配置での工夫。5番目がその他の勤務条件である。
給与については、良い先生をいっぱい採用したいという教育委員会事務局のトップとしての、その視点からだけのわがままを言わせていただければ、どんと上げてあげたいというのが偽らざるところ。
先生は決してお金のために働いているわけではないが、給与は社会的評価を反映するもので、先生がプライドを持って仕事をするためにも、然るべき給与が払われるのは当然だと思っている。
一方、先生の給与を見ると、大阪府の職員、先生に対して約5,100億円の給与が支払われており、この財政状況の中で、かつ、色々なところで皆さん我慢をしている、税金をどう使うか、あるいは将来の世代に借金を残さないようにしないといけない、そういったことを総合的に考えなければいけないという側面もあり、その点については知事部局で精査していただいている、そういう認識を持っている。
給与以外の待遇では、非常に努力をされて成果を上げられた先生、その評価というものが、色々と論点があるがきちんとできると思っており、それに応じた処遇、ボーナスというところで、もう少しメリハリがついてもいいといった考え方で進めて、努力をして結果を出した人が報われる、その度合いを強めるべきと思っている。
先生のやりがいについてのPR活動は、今までは説明会に府の職員が出向き、事務手続き的、試験の手続きを話していたが、方針を変えて、現場で活躍している若い先生にもぜひ登壇してもらい、実際に先生をやって素晴らしいと思っていることや苦労話など、生の声を聴いていただくことをしていこうと。先週の金曜日も大阪教育大学にお邪魔し、私と小・中・高、いずれも大教大の卒業生4人の先生に来ていただき、笑いありの本音を語っていただく1時間半の授業をさせていただいた。これからもそういった形で、教育大学を中心にPR活動をしていきたい。
来年の1月20日には、『五体不満足』の著書で東京都の教育委員をされている乙武さんに来ていただいて、先生になりたいという人に対して、先生になる素晴らしさ、魅力を伝えていただこうと思っている。
採用面での工夫、チャレンジテストについては今までの問題点として、既に大学を終えて一般教養を終わっているにもかかわらず、似たような問題を問うことが課題だった。講師の先生の中には、教員採用試験で正教員になろうと思っても、一次試験、一般教養をもう1回勉強するのがネックになっていた。その配分を減らし、その分先生が社会人、公務員として知っておかなければならないことを入れることによって、また1度のチャンスではなく大学2年生、3年生から受けて、それに合格したら、半歩、大阪府の先生になるということに近づいた達成感もあるのではないかということで、教員チャレンジテストを創設した。
4番目、人事面での配慮は悪平等というか、一定の固定したルールがある。公表されているもの、されていないものがあるが、その一定のルールによって、本当に自分の能力が活かされているのかとの疑念を抱かざるを得ない配置も校長時代に感じた。全て通るわけではないが、先生の意向を踏まえ、経歴や能力を適切に評価して適材適所な職場で働いてもらうということを、今年から人事方針を大きく変え、全府立学校の学校長にも伝えた。
最後に勤務条件について、端的に言うとやはり忙しいということがあり、昨日もクラブ活動を地域に開いていくべきではないかとの議論をすべきではということを申しあげたが、平成22年の府立学校の残業時間の調査では、半分以上がクラブ活動に起因しているということで、これまでクラブ活動が日本の文化の中で果たしてきた役割は非常に大きいこともあり、簡単に府教委だけで考えていじれる問題ではなく、文化として変革が必要になる話で、ここを考えていかないといけない。先生の数を単純に増やせば多忙化は解消するが、先ほど言った5,500億円が1.何倍になるのかという話にもなる。そこのところは、これはすぐに解決しない問題ではあるが、これから府民の皆さんと議論していかなければならないと思っている。
以上が、現在の我々の課題の認識と、それに対する対応策である。
【まとめ】
今、お二人から、真摯な答弁を頂いたと思っています。しかし、いま少し状況について述べさせて頂きます。
まず学校、あらためて府下の学校現場をヒアリングしてみたんですけれど、担当する先生が不足しそれを補う講師も確保できない、そのためにたとえば、一人の先生が二つのクラスを見ている、あるいは教科外の先生が教えている、教頭が教えている、理科の実験が専門の先生がいないために出来ない、また、プリントや教科書の書き写し等の自習でしのいでいる、こんな学校が決して少なくないんです。こんな状況では、学力向上など望むべくもありません。
先生の意欲も低下しており、管理職を希望する教員が少なくなっています。府立学校では、平成19年に教頭選考試験に臨んだ者が225人であったのが、今年は79人、市町村の学校でも、平成14年には724人いらっしゃったのに、本年は271人と激減しているんです。言っておきますが、管理職のポストが減っているのではないんです、希望者だけが減っています。
この10月の府議会の教育常任委員会で質問したんですが、今問題になっている突然民間人校長ではなくて、民間人教頭から始めたらどうかと聞くと、校長はできるが教頭は務まらないということなんです。事実、教頭先生はたいへんです。実務があります。休日を含め多くの時間もとられ、現場や地域との板挟みになる、それでいながら管理職であるために給与削減幅が大きくて、処遇は一般教員と逆転している場合すらあり、そして挙げ句の果てに校長は民間からと、こんなことじゃあ教頭への希望者が少なくなるのも当然です。
大阪市ではすでに、強制的に教頭試験を受けさせる、そうでないと必要な教頭を確保できない、こういう異常な実態にあると聞いています。先生にとっても、大阪の学校がやりがいを感じる職場ではなくなってきている。240億円を使って中学校給食を始めますが、たとえ立派な給食が用意されたとしても逆に立派な先生がいない、肝心の授業が自習になる、こんなことは子どもたちも親も誰も望んではいないと思います。
そもそも、必要なことは校長先生、教頭先生の権限の強化だったはずです。いわゆる問題教員を排除する、そして国旗国歌を含め、学校の方針が校長ではなくて職員会議で決定されるなどという異常な事態をあらため、校長の権限を強めて校長が責任をもって学校運営をする、それを応援するということではなかったのではないでしょうか。真面目に頑張っている先生、校長、教頭まで叩いてしまっては、教育は成り立ちません。
府の職員も同様です。人員削減によって仕事量が増加する一方で、給与は全国最低、頑張って成果を上げても低いランクに位置づけられる、こんな民間にもない評価制度、そして部長は公募、知事部局職員にとっても、高いモチベーションを保てという方が無理がある構造となっているのではないでしょうか。
大阪府で働きたいという若い人が減っています、またせっかく合格しても府に来ない、来ても途中でやめて他の自治体に移ってしまう、そうした人が増えていると聞いています。大阪府が働く場としての魅力が少なくなっている、職員に元気がない、このままでは府という組織について先行きが本当に心配されるところです。
橋下前知事は、平成20年2月6日、初登庁のあいさつで職員を前に、「皆さん方は破産会社の従業員である」と述べましたけれども、平成23年10月31日の退任あいさつでは、「皆さま方は、優良会社の従業員である」とこのように述べておられます。松井知事も、「これまでの取り組みによって財政健全化に一定の目途が立った、大阪府は6年間連続して黒字でやってきている、1,000億円の貯金までできた」と言って、新たな事業を始めておられます。
そもそも行政と民間企業は違います。民間企業は利潤の追求を第一としますが、行政は民間ができないこと、赤字であっても社会にとって必要なことを行うのが行政です。もともと黒字にするために存在しているわけではありません。世間水準との対比は必要ですが、財政事情を理由に、本来支払われるべき給与が支払われない、これは不正義であるとそのように私は考えます。
知事は府の最高責任者ですから、軽々な判断は許されません。それだけに慎重に考えておられることと思いますけれど、以前から申し上げていますように、将来世代にツケを残さない、そのツケというのは帳簿上の赤字だけではありません。今打つべき手を打っておかないことによって将来、却って大きな負担となる、このことも大きなツケです。
府の行政、治安、教育を支える人材も大事な将来への投資です。今のような状態が続いたら、大阪府の将来にボディブローのように効いてくる、そして結局は府民に大きなツケとして返ってくることは間違いありません。松井知事には、以上申し上げた点をご理解いただいて、しかるべき対応を行っていただきますように、なによりも職員が高いモチベーションを保って、活き活きと仕事ができる、それは府政のトップにある知事にしかできないことです。大阪府が将来にわたって、府民の付託に応えていくことができますようにぜひよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。 

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