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府議会の報告

平成25年9月定例会 一般質問

平成25年10月9日
岩見 星光 議員

1.南海トラフ巨大地震対策

①南海トラフ巨大地震土木構造物耐震対策検討部会での検討状況と今後の見通しについて
【質問】
南海トラフ巨大地震における津波、液状化対策についてお伺い致します。
私は、今日まで、機会あるごとに津波対策、高潮対策について質問を行って参りました。
府民の安全・安心は、何をさておいても最優先で取り組まなければならない重要な課題であります。
既に各会派の代表質問や、一般質問で、南海トラフ巨大地震や津波対策についての質疑がありましたので、重複をすることもありますが、確認の意味を含め質問をさせて頂きます。
ひとたび発生すると、広く甚大な被害が想定される南海トラフ巨大地震について、去る8月8日、大阪府域において、実に国の想定の3.6倍もの津波の浸水被害想定が出され、その緊急対策の必要性を改めて、強く感じました。 
南海トラフ巨大地震は、阪神淡路の大地震など、これまでの一分程度の揺れの直下型地震とは違い、五分程度揺れる海溝型の地震であり、これまでの地震とは大きく異なり、長時間揺れることにより、液状化がよりひどく起こります。
今回の津波の被害想定でも、沿岸部や河口部を守る防潮堤が液状化により大きく、ずれて沈下することが原因で、津波の浸水被害区域が大きく広がりました。 
こうした液状化などによる土木構造物への影響や、必要な対策については、昨年11月大阪府防災会議に「南海トラフ巨大地震土木構造物耐震対策検討部会」が設置され、検証・検討を行っていると聞いておりますが、その具体的な対応策はもう1年近くになるのに、一向に見えて参りません。
そこで、まず、この部会での検討状況及び対策計画の策定に向けた今後の見通しについて、都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
まず、南海トラフ巨大地震土木構造物耐震対策検討部会におけるこれまでの検討状況について、お答えいたします。
昨年11月に本部会を設置して以降、四回の部会を開催し、防潮堤などの防潮施設や、ダム、橋梁、下水道施設など、主要な土木構造物の耐震性を中心に、審議を行ってまいりました。
これまでの検証により、これら主要構造物の内、橋梁やダムについては、これまでの対策により、南海トラフ巨大地震による揺れや液状化に対しても、概ね、その健全度が確保されていることが確認されました。
一方、津波対策として重要な防潮堤については、百数十年に一度の程度の確率で起こりうる規模の地震でも液状化による沈下が見込まれるため、防潮堤の液状化による影響について、現在、詳細な分析・検討を進めております。
引き続き、部会での検討・検証を急ぎ、年度内を目途に、南海トラフ巨大地震に対する、都市基盤施設全般の、具体的な対策について取りまとめてまいります。
②防潮堤の液状化対策について
【質問】
今、ご答弁を頂きましたが、確かに、土木構造物は多岐に渡り、それら全てを丁寧に分析・検証し、その対策をまとめるとなると、一定の時間は必要だとは思いますが、それにしても、年度内まで時間がかかると言うのはあまりにも遅い、実際工事にかかれるのは翌年度からというのは、少し時間がかかりすぎではないかと思います。
私の地元西淀川区をはじめ、西大阪地域では、阪神・淡路大震災の際も、液状化により甚大な被害が発生しました。
今回の被害想定では、西淀川区内のほぼ全域が浸水致します。地元の方々も大変心配しておられます。東日本大震災で報道されたような津波被害が、この大阪で再び起こる可能性が現実として指摘されているわけです。浸水想定区域の住民にとっては正に、命に係わる重大な問題であります。
都市整備部長は、「都市基盤施設全般の具体的な対策については、年度内を目途にまとめる」と言われましたが、今回、対策を急ぐべきは、南海トラフ巨大地震の津波による浸水への防御であって、そのために何をすべきか。
現在の国の発表では、津波の高さは五・四メートルであり、現在設置されている防潮堤の高さは、津波高よりも高くなっております。津波高が防潮堤を超えない状況になっており、その防潮堤がずれて沈下することのないよう対策を取ることが必要です。すなわち、「防潮堤の液状化対策」であることは明らかです。
浸水被害想定が出されると言うことは、防潮堤のどの箇所がどれだけ沈下してずれるかが、分かっていなければ浸水被害想定が出せません。やるべきこと、やるべき箇所も分かっていると言うことです。何故すぐに対策を行っていただけないのか。
私としては、明日発生するかもしれない地震・津波に備え、来年度を待たず、液状化の影響について結果が分かり次第、まず先行して工事に着手すべきと思いますが、都市整備部長の所見を伺います。
【都市整備部長答弁】
本府としましても、南海トラフ巨大地震による津波浸水への備えとして、今般新たに指摘されている防潮堤の液状化への対策を最優先で実施すべきと考えております。
これまでの部会における検討において、液状化により防潮堤が沈下することが大きな課題であり、その沈下対策を行い、防潮堤の高さを維持することにより、一定の被害軽減を図ることができることを確認しております。
現在、詳細な分析・検討を急ぐとともに、部会の専門委員にもお願いし、南海トラフ巨大地震の対策について、できるだけ早期に、取りまとめできるよう、取り組んでおります。
防潮堤の液状化対策については、検討結果が出次第、年度内の都市基盤施設全般の対策の取りまとめを待たずに、先行して必要な対策を、時機を逸せず、できるところから、速やかに着手してまいります。
③南海トラフ巨大地震対策にかかる予算の取り扱いについて
【質問】
次に知事にお伺い致しますが、8月8日の津波浸水想定の公表の折、知事は「府民の皆さんの命をどう守るか、そのことに対して財政的に厳しい状況にありますが、やはり命が一番大切という所で対応については積極的にやりたいと思います」と発言されました。非常に心強く、頼もしく感じました。
そして、囲み取材で、「一番早い予算措置としてどのくらいをお考えですか」と言う質問に対し、「都市整備部で、まずはそういう具体な設計をしてもらって、そこには、びしっとした予算措置もしていきたいと思っています」とも発言されておられます。
知事はさっそく橋下市長と連名で、9月9日、10日と管内閣官房長官をはじめ、関係大臣に、南海トラフ巨大地震対策に関する提案書を出されております。もちろん私も迅速な津波対策が進んで行くよう頑張って参りますが、国に対する要望以外に本府として迅速な予算措置も必要だと考えております。
そして、今、都市整備部長より防潮堤の対策について、検討結果が出次第、年度内の「都市基盤施設全般」の対策を待たずに、先行して必要な対策を取りまとめ、時機を逸せず、できるところから速やかに対策に着手していきたいとご答弁がありました。予算措置がされなければ対策が進みません。
対策に着手できる状況になれば、今議会中、後半でも補正予算を計上されるお気持ちはあるのか、お伺い致します。
【知事答弁】
予算措置の気持ちはあるのか、気持ちはあります。先ほど都市整備部長が申し上げましたように、都市整備部もやれるところからやるという思いで、今必死に検討をしてもらっているところであります。
南海トラフの巨大地震に対して、府民の命を守っていくということは、もう我々に課せられた使命だと思っていますんで、やっていきます。
ただ、ひとつ、どうしても自民党の皆さんの協力が必要です。これは大阪府だけでやれる事業ではありません。岩見議員が一番ご存知だと思うんですけれども、防潮堤の対応については、大阪府がやる部分と大阪市のやる部分、大阪市が遅れれば、そこからもう水が入ってしまいます。大阪市のやる部分の耐震補強が遅れればですね、液状化で。
だから一体となってやらなければなりませんが、今大阪市は、他のことによってなかなか議論が進んでいない。この状況であります。
ですから、これ、一体でやらせていただくために、府市連名で国に提案させていただいたんです。ぜひそこを、自民党の重鎮であります岩見議員のお力で、一体で整備できるようにお力を貸していただきたい。
我々はやります。大阪市もそのつもりですから、ぜひよろしくお願いします。
【要望】
ただ今知事から「やる」というお答えをいただき、大変心強く感じています。
地震が起こらないことを望んでおりますが、残念ながら南海トラフを震源地とする地震はこれまで百年から百五十年に一度必ず発生しております。
それが想定される最大規模の、マグニチュード9クラスであれば、今回、国や本府が想定された甚大な被害が発生します。それは今日起こる可能性もありますし、明日、明後日かもしれません。
一日早く対策を行えば一日早く体制が整うことになり、助かる命がそれだけ増えることに繋がります。
一日でも早く工事に着工していただけるように、知事はじめ理事者にも一層頑張っていただきますよう、重ねて強くお願い申し上げます。

2.福祉

①入所施設から地域生活への移行及び施設での利用者支援について
【質問】
次に障がい者施策についてお伺い致します。
今年度から障害者総合支援法が施行され、難病患者の方も障がい福祉サービスの対象となりました。来年度には、グループホームとケアホームの一元化が予定されているなど、見直しが進められておりますが、一方で、年々、障がい者の高齢化や重度化が進んできており、その対応も急務であると考えております。
そういう中で、本府では入所施設から地域生活への移行も含めて、地域移行を大きな柱として施策を推進されておりますが、重度の障がい者であっても地域で安心して生活できるように、本府としてどのように進めていかれるのか、お伺いいたしますとともに、障がいの重度化・障がい者の高齢化が進む中で、施設に入所されている方に対しても、こうした点を踏まえて、十分かつ丁寧に対応していくことが必要です。
障がい者の親御さんから、将来にわたって、高齢化や重度化の状況に対応して、きっちり支援してほしいとの希望をお聞き致します。
入所施設においても、高齢化や重度化といった視点も含め、入所者一人一人を尊重した支援を行うとともに、個々の支援員の支援技術の向上を図り、また、入所者の障がい特性に的確に対応したサービスの提供を確保していくことが、障がい者本人はもとより、障がいのある子どもさんを持つ親の安心にもつながります。
本府では入所施設に対して、適切な支援を確保するため、どのように指導を行っているのか。また、その指導において、利用者支援の観点をどのように担保しているのか。併せて、福祉部長に伺います。
【福祉部長答弁】
障がい者が自ら住みたいと願う場所で、これは施設であろうと地域であろうと同じですが、安心して生活を送っていただけるよう支援することが、障がい者支援の基本だと認識しています。
まず、入所施設から地域生活への移行ですが、障がい者ご自身の高齢化、さらには重度化などにより、このことが非常に難しい方もいらっしゃいます。府としては、障がい者一人ひとりの施設入所の必要性を精査したうえで、可能な限り地域で生活を送っていただけるよう、しっかりと支援することが重要だと考えています。そのためには、必要な福祉サービスを地域で適切に利用していただけるよう条件を整えることが重要であり、とりわけ、重度の方など、必要な方が利用できるグループホーム等の整備に向けた検討などを進め、地域生活を支える基盤整備に努めてまいります。
次に、入所施設についてですが、ご指摘のように、ご本人や家族の皆さんにご安心いただけるよう、施設でのサービスの質を確保、向上させていくことが大変重要と認識しております。
府としては、市町村と連携し、虐待通報や利用者からの苦情等に対応するとともに、実地指導を定期的に実施し、個々の利用者の高齢化や重度化に応じた適切な支援が行われているか、また、そうした状況を踏まえた支援員に対する研修計画が作成されているかなどのチェックを行っております。今後とも、入所施設において、より質の高い支援が行われるよう、府として指導をきちんと行い、適切な運営体制の確保に努めてまいります。
②障がい者が安心して暮らすための、府の取り組みについて
【質問】
障がい者の皆さん方も、お若い方々から高齢者の方々まで、いろいろな年代の方々がおられます。誰しもいずれ年を取り、それに伴い、その親御さんも年を取られ、親子ともども高齢化が進んで参ります。
そして、一般的には、順番では親御さんが先に亡くなります。その後の、いわゆる「親なきあと」の状況について、非常に心配しておられる方が多くおられます。
私のお知り合いの方にも、障がい者のお子さんをお持ちの方がおられ、その方が、「親が元気なうちはいいが、私たちが年を取り、子どもの世話ができなくなったり、死んでしまった時に、子どもはどうなるのかという不安が頭から離れません。」といった話をされたことがあります。
障がい者やそのご家族の多くは、将来に大きな不安を抱きながら生活している方が多いのが現実です。その不安感を取り払うのは福祉行政の大きな役割です。行政の基本の部分であり、もっとも大事な一つであると思います。
今後、障がい者の方が、安心して暮らしていける社会環境等の整備も重要ではありますが、現実には、入所施設での支援が欠かせない方もおられます。
障がいのある方が、地域でも、入所施設でも、どのような重い障害のある方でも、安心して暮らしていけるよう、基盤整備の促進が重要であり、それこそが、本府の責務であると考えます。
今後、本府としてどのように進めていかれるのか、福祉部長にお伺い致します。
【福祉部長答弁】
障がいのある方が、自ら願う場所で、安心して暮らしていただけるよう、ご本人、また、そのご家族の方のご意見を十分に聞き、その思いをしっかりと受け止めながら、基盤の整備を進めることを改めて認識させていただきました。
そのため、府としては、まずは、援護の実施者である市町村とも連携し、ニーズの把握に努めます。
また、事業所に対する指導を通じたサービスの質の確保や、広域的・専門的な観点から、研修等を通じた人材の養成、市町村への情報提供等を行い、サービス基盤の整備を計画的に促進してまいりたいと存じます。

3.警察

警察官の増員及び交番の増設について
【要望】
最後に警察官の増員と交番の増設について要望いたします。8月に行いました我が会派の知事要望でも、警察官のさらなる増員と、交番の増設について要望致しました。
私自身これまで何度も質問、要望を行ってまいりましたが、交番にある赤灯を見るだけで安心感を覚える人が多くおられます。府内各地から交番の新設要望が過去5年間で34地区から、過去10年間では73地区から出されております。
また、交番や駐在所は、現在の649箇所にくらべ、昭和43年には府内に956箇所あり、307箇所も減っております。
交番は、地域住民の方々にとっては、安全、安心のよりどころであり、あらゆる犯罪の抑止につながる、大きな効果がありますので、設置については、総合的にいろいろな条件を踏まえ検討されると聞いておりますが、その設置基準を少し下げてでも積極的に、増設に努めていただきますよう、強く要望致します。
また、府内のひったくり発生件数は、平成22年に全国ワーストワンを返上いたしましたが、件数自体は減っているものの、残念ながら平成23年には再び全国ワーストワンとなってしまいました。
さらには、女性や子供が被害者となる強制わいせつの発生件数も全国ワーストワンであるとともに、近年ではサイバー犯罪が増加しており、警察職員の方々が、がんばって下さっておりますものの、治安が良くなったとは言えない状況が続いています。
本府には、この3年間で、重要犯罪やサイバー犯罪等に対する捜査体制強化に123人の警察官の増員が行われましたが、本府の安全、安心、880万府民の平穏な生活を守るため、更なる警察官の増員も併せて要望致しまして、私の一般質問を終わります。

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