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府議会の報告

平成25年9月定例会 一般質問

平成25年10月8日
栗原 貴子 議員

1.教育・学校における諸課題

①児童・生徒の学力向上について
【質問】
高知県では本年度の全国学力テストの結果が大きく改善し、文部科学省も着実に改善したと評価していると聞いています。新聞報道によれば、基礎的知識を問う学習教材をすべての公立小中学校に配布し、すべての児童、生徒を対象に取り組んできたとのことです。それが今回の結果につながったのではないかとのことでした。
実は同様の学習教材は本府にもあります。小学生の国語、算数、中学生では英数国。単元別テストが約5,000問、自習用の教材としても使えるワークブックが約3,300シート、基礎と応用などの学力到達度別にもなっており、なかなか充実した教材だと思います。
≪資料1≫
例えば小学校高学年の国語、ことわざや慣用句で、上下を結ぶ問題です。
≪資料2≫
小学5年生の算数、円周の問題では、「上の100円玉が下の100円玉の周りを滑らないように一周すれば、上の100円玉は何回転するか」
こんな教材が私の子どもの頃にもあれば、勉強ももっと楽しいものだったのにと思います。それだけに、今の大阪の子ども達がこの教材に出会っていない、十分に活用されていないとすれば、とてももったいない話です。しかし残念ながら、昨年の決算委員会で質問させていただいた際には、高知県のように積極的に活用しているとは感じられませんでした。
そこでお尋ねしますが、教育委員会はすべての子ども達の学力向上のための継続的でていねいな学びの支援をすることが必要だと考えますが、その点について教育長のお考えをお聞かせください。
【教育長答弁】
大阪府教育委員会として、指導・助言・援助という権限の中で、学力向上のために市町村にできる仕事として、色々な方法があると思うが、その一番大きな方法の1つが、教材の提供である。
ご指摘のように、教材を今まで提供してきた。その教材の中身は、1つは授業の中で学習内容の到達度を確認する単元別テスト、つまり現場で先生が授業で生かしていただけるような教材。それから、家庭での自主学習で活用するワークブック、これは生徒の宿題に使ってもらえる教材。3番目が、一定の学習内容の到達を測るチェックテストのようなもの。この3点のセットである。
その問題数が、小中合計しますと、8,000問ある。それを今まで、大阪府教育委員会はWebページに上げたり、あるいはCD化して、市町村教育委員会に手渡し、それぞれ現場で上手に使ってくださいと、そういう渡し方をしてきた。
そこはもう少し丁寧に、何千もあると、やはり現場の先生の気持ちになったときに、なかなか検討する時間もないでしょうから、そこはちょっと課題があると認識している。
もう1つ、どの程度使っていただけたのかという調査をしていないわけではないが、調査の中身が、各学校の中で1人でも先生が、少しだけ使ったということでも、その学校として使ったという、そういう前提の調査の結果、7,8割の小中学校が使ったというデータはある。しかし、本当の意味で実質的に7,8割使われているということにはなっていない、そういう恐れのある調査で、調査のやり方にも問題があるということを認識している。
今後の対策として、教材の質はある程度、府教育委員会として自信を持ってやっているので、あとは如何に使ってもらえるかということで、例えば、小学校学年に応じてパッケージを作って、基礎・標準・発展というような形で、例としては、小学校3年の算数の標準、あるいは基礎、発展であれば、こういう問題を使われたらどうですか、授業で使われたらどうですか、宿題だったらこれがあります、確認テストだったらこれがありますというような形で、ある程度パッケージを用意して、使っていただくことを考えている。
それから、調査に関しましても、1人の先生がちょっと使ったら、使ったというような、浸透しているんだというようなことを言わないで、どの程度使って、ちゃんと使ったところに効果が出ている、効果が出ているのであれば、その問題の質が良かったということになりますし、効果が出ていなければ問題の質が改善の余地があるということになるので、そういった形で調査についても、質を高めていきたいと考えている。
【要望】
頑張っていただきたいと思いますし、今後、理科や社会科の教材も作っていただきたい、そしてまた、公立だけといわず私立の小中学校でも活用してもらうような方向も検討していただくよう、要望しておきます。
②大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画(案)について
【質問】
府は高等学校の再整備計画において、平成30年には府内高等学校の募集定員が減少すると試算し、7校程度を廃止すると計画しています。ここで試算に用いている数値のうち公立受入比率は、直近の、24年度の値を採用したものです。
ここで、試算における24年度の「公立受入比率」は過去の平均値よりもはるかに低い数値を示しているのですが、それは私立無償化の影響であることは明らかです。平成30年には私立無償化は実施されていないのだとすれば、推計にあたっては当然無償化になる前までの年度の数値を使うべきだと考えますが如何か。
また、無償化前、平成22年度までの比率で計算すると、平成30年度の募集定員は、基準となる21年度比でどのようになっているのかお示しください。この場合には募集定員は減少しないはずであり、計画案のとおり7校程度の募集停止を行えば、高校に行くことができない生徒が出ることも懸念されます。7校程度の募集停止ありきで再編整備を進めるべきではないと考えます。教育長のご所見をお聞かせください。
【教育長答弁】
平成30年度の募集人数の計算方法は、平成30年度の府内の公立中学校の卒業見込人数をベースとし、そこに、再編整備計画における公立受入比「65.7%」をもとに算出すると、42,840人の公立中学校の卒業生が、高等学校に入ってくると見積もりした。
これを、私立学校無償化が導入される前の、平成17年度から平成22年度までの公立受入比率の平均値「71.3%」を基にして計算すると、募集人数は46,440人となり、先ほどの数より3,600人の増となる、学級数では90学級の増加となる。
教育委員会として、6クラス~8クラスが教育的な見地から適正な学級数であるという見地に立ち、7クラスを基準に考えているが、71.3%の公立受入比を適用し、90クラス増となると、これを埋めるために、7学級を基準としていたものを9学級にする、現在でも9学級、10学級という学校があり、今、9学級とする事が出来る学校が、98校ある。3,600人、90学級を、1校あたり2クラスを吸収すると、98校のうち45校が9クラスで受け入れてくれるとすれば、計算上人数としては十分に足りると考えている。
ただし、今後の動向で予期せぬ特別な事情が生じ、急激に公立に来る中学生の数が増えるといった事象が見られた場合は、7校に固執してはいけないと思うが、今のところ私たちが把握している事情の中では、今のプランで対応できると考えている。
【要望】
前年度まで無償であった授業料が、今年からは50万、60万かかるということになれば、反動で無償化以前よりももっと公立志願者が増えるのではないかと私は思います。ご答弁で、「急激な公私比率の変化が予測される場合には、計画内容の見直しは必要」だとお答えいただきましたので、ぜひ、一校あたりの適正規模である6~8学級で、少人数展開授業も可能となるような方向で、ご努力いただきたいと要望しておきます。

2.大阪都構想

都構想の効果額について
【質問】
知事は、我が会派の代表質問に対して「都になった後のイニシャルコスト、人件費、ランニングコストの財源として、毎年1,000億円の効果額で対応する」と答弁されました。そこで大都市局長にお尋ねしますが、パッケージ案に示されている効果額の中で、平成27年度に増加するコストに対する財源として見込めるものは何でしょうか、具体的にお示しください。
【大阪府市大都市局長答弁】
知事のご答弁は、パッケージ案における効果とコストの関係について、一定のスパンで考えれば、効果でコストを賄えるというご趣旨と理解。
パッケージ案では、コストと効果は発現時期が異なることや、効果をどう活用するかなどを整理しながら、更なる分析・検討が必要である旨、お示ししており、今後、法定協議会での議論を踏まえ、整理していきたい。
【再質問】
27年度のコスト増の財源となりうる効果額を具体的に示していただけないということは、27年度には1,000億円の効果は発現していないということでしょうか。
もしそうであれば、いつ、1,000億円の効果が発現できるのか、お示しください。
あわせて、知事にお尋ねしたことを、再度大都市局長にお尋ねします。平成27年度に増加するコスト、つまり、イニシャルコストが最大で640億、継続コストと人件費増加額が合わせて300億と、こちらの方もほぼ1,000億円になりますが、この財源はどうやって賄うのでしょうか。
【大阪府市大都市局長答弁】
効果額は、改革の取組の進捗にあわせて発現し、連動するもの。効果額が最大になるのは、職員体制の最適化に要する期間等を考えると、ラフなイメージでは15~20年後になるのではないかと考えている。
次に、27年度のコストをどう賄うのかについて、大都市制度移行時にはイニシャルコストが一定額見込まれるため、今後、総務省との協議も進めながら、コストへの対応方法について検討していく。
【再質問】
1,000億円の効果が発現するのに15~20年かかるのであれば、28年度以降にも発生してくる人件費増加額や継続コスト約300億円の財源はどうやって賄うのでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
効果額は、最大に到達するまでの間にも、27年度以降漸次発生し、その効果額は継続するものと考えている。そういう意味で知事は、一定スパンの中でコストは効果で賄えるという答弁をされたと認識している。
このように効果が継続的に発生する中で、コストをどのように賄っていくのかについては、検討を行う必要があると考えている。今後コストと効果の精査もしながら、年次進行によるこれらの関係について、法定協議会における議論を踏まえ分析してゆく。
【再質問】
つまり、効果額がコストを上回るようになるまでは、特別区の収支不足が最大で約300億円拡大するという理解でよろしいでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
お尋ねは、通常収支不足と府市再編効果と人件費を含むランニングコストの関係についての件であると理解する。
今大阪市が課題として設定している収支不足が、特別区に引き継がれ推移するということになれば、効果がコストを下回った場合、その分収支不足が拡大することになる。
逆に、効果が上回れば、収支不足が縮小するものと考えられる。
【再質問】
効果額がコストを上回るようになるまで、収支不足が解消されるまでは、爪に火をともして暮らせということでしょうか。では本当に、いずれ収支不足が解消されるのかどうかという点を検証したいと思います。
パッケージ案に示されている改革による効果額は、大半が大阪市の改革です。割合にすると実に95%程度になります。したがって事務の多くは特別区に承継されることになります。都に移行後の特別区の予算編成権は区長にあります。区長がこのプランに示されている改革を実施しないと意思決定した場合には、改革の効果額は発現しないということでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
効果額は、区長のマネジメントによって増減はあると考えるが、パッケージ案におけるコストや効果額は、制度の基本的考え方や基本方向の議論に資するよう、現時点で算定可能な数値を一定の条件を置いて示したものである。改革案については特別区、広域自治体に引き継がれるものがあると思うが、それぞれしっかり取り組まれるものと考えている。
【再質問】
特別区の水平連携による事務承継のケースでは、ある特別区が例えば運営交付金の交付をしない、あるいは、水平連携離脱などの意思決定を行った場合には、改革どころか、大幅なコスト増、あるいは事務事業が執行できない、水平連携が破たんするなどの懸念はないのでしょうか。大都市局長に伺います。
【大阪府市大都市局長答弁】
区長のマネジメントによって水平連携の枠組みが変わる可能性はあると考えるが、パッケージ案における事務分担(案)では、特に専門性やサービス・効率性の確保が求められる分野について水平連携で実施するとの方向性をお示ししたものであり、それぞれの特別区が実施するのではなく、水平連携で実施されるものと考えている。
【指摘】
ありがとうございます。「可能性はある」ということです。ただいまの局長のご答弁には、私としては、花丸を差し上げたいような気持です。
効果、コストについて私の方から一言補足説明をさせていただくと、パッケージ案に示されているコストはすべて、都への移行と同時に、つまり平成27年4月から、確実に発生するものです。
一方、効果額の方は、効果額発現のもとになっている改革の取り組みをするかしないかは、すべて移行後の区長にゆだねられています。都への移行と同時に実現できる改革はほとんどありません。うまくいけば15~20年後、効果額は1,000億円になっているかもしれませんが、ひょっとするとゼロかもしれないということです。状況によっては、都構想によって拡大する300億円の収支不足がどこまでいっても埋まらないということもありえるということです。この点については、局長も私と同じ認識でおられるはずだと思いますので、答弁は求めません。
松井知事としてはおそらく、なんとしてでもこの1,000億円の改革を実現したいと思っていらっしゃると思いますが、残念ながら、これらの改革の実現のために、知事にできることは何もありません。局長のご答弁にもあったように、都構想に移行した後は、特別区のことはすべて、区長のマネジメントにゆだねられることになります。
法定協で時間をかけて議論して、どれほど綿密な、どれほど素晴らしい設計図ができたとしても、忘れてはならないのは、都への移行後の区長がその設計図に従わなければならない理由も、責任も、一切ないということです。選挙で選ばれた区長のやることが民意です。
二人のリーダーが別々の方向を向いていたら、改革など実現できるわけがないとおっしゃったのは松井知事と橋下市長ですが、その言葉をお借りすれば、5人や7人ものリーダーが同じ方向を向けるわけがありません。しかも、そのリーダー達は4年に一度ずつ顔ぶれが変わります。改革が完成するという20年間で延べ25人、あるいは35人ものリーダーと、同じ数の区議会が、大阪府や旧大阪市に押し付けられた改革プランに粛々と従うとはずだと、あるいは従うべきだとでも考えておられるのでしょうか。
結局、「都構想に伴う改革」だと知事や市長が称しておられる改革は、都に移行してしまえば、実現できない改革だということです。都構想の実現によって確実に起こることは、大阪市がなくなってしまうことと、特別区の設置によって膨大な費用がかかるということ。それ以外は絵に描いた餅以外の何物でもありません。
改革が1,000億円には程遠いものになった場合には、大阪市で従前からみこまれている300~400億円の収支不足に加え、さらに増加する300億円の不足額に対応するために、区民サービスは徹底的にカットされることは間違いありません。あるいはその負担は、大阪府に付け回されて、衛星市を含む府民の税金で都構想のつけを払わなければならないかもしれません。将来世代にとってどれほど大きな負担となるのか、禍根を残すことになるのか、はかり知れないものがあります。
しかしながら、この1,000億円の改革を実現できる方法がひとつだけあるとわたしは思っています。それは、改革の設計図を描いた橋下市長ご自身が、今後も大阪市長として改革をやり遂げることです。それであれば余計なコストがかかりません。橋下市長は選挙にも強いし、行動力はあるし、15年も20年もかけなくても、よほどスピーデイに改革を実現できるはずです。それが1,000億円の改革を実現できる、最も確実な方法で、もっとも近道だと断言できます。知事も橋下市長の盟友として、そのように進言されればよろしいのではないかと申し上げておきます。

3.エネルギー政策

①エネルギー地産地消プランについて
【質問】
エネルギー地産地消プランでは、2020年における大阪府域での電力供給量を増加させるとして、太陽光発電等によって「150万kwを新たに創出、これは府域の最大電力使用量の14%」等としています。しかしながらこの150万kwというのは、各電源設備の最大発電容量、つまり、いれものの大きさを単純に合算しただけの数字です。例えば日本の太陽光発電の平均稼働率はわずか12%です。そこでお尋ねしますが、これらの電源設備が仮に2020年に実現できたと仮定したとして、府域の電力供給量に占める割合はどの程度になると試算しておられるのか、またそれも含めた2020年における電源構成をどのように考えておられるのでしょうか。環境農林水産部長に伺います。
【環境農林水産部長答弁】
プラン(素案)でお示しした150万kW以上を目指すという数値については、最大発電能力について、2020年度における増強分の目標値として示したものであり、ボリューム感を府民に判りやすくイメージいただくため、ピーク時における府域全体の電力需要に占める割合について、約14%に相当するとの表現を用いた。
この発電能力150万kWを、年間の総発電総量を意味する電力供給量(kWh)に置き換えた場合はどうかとのお尋ねについては、各施設別の設備利用率データを府は所有していないため、一定の仮定値を置いた推計しかできないが、今回試算をしたところ、概ね5%相当という結果だった。
また、将来の電源構成については、本来、日本全体としてどうしていくのかという観点から、国において示されるべきものであり、現在、福島原発事故以降の状況変化を踏まえて、国が新たなエネルギー基本計画を検討中である。
②再生可能エネルギーの普及促進について
【質問】
再生可能エネルギーの買い取り期間は、事業用太陽光で20年、住宅用は10年。太陽光パネルの耐用年数も約20年とのこと。買い取り期間終了後、再度設備投資をして太陽光発電を継続していこうという投資需要がどれほどあるのかは、はなはだ疑問。この点についてはどう考えるか。環境農林水産部長に伺います。
【環境農林水産部長答弁】
固定価格買取制度は、法律上2020年度末までに抜本的に見直されることとなっている。見直しの結果、どのような制度となるかは現時点で見込むことは困難だが、政策の方向性からいって、国の新たな成長戦略で6月に策定された「日本最高戦略」においても、太陽光発電の導入促進を図っていく方針が示されおり、また、パネル価格等も急速に低下していることから、今後も太陽光発電の設置とそれに伴う設備投資は、一定のレベルで推移していくものと考えている。
①エネルギー地産地消プランについて
【質問】
エネルギー地産地消プランでは、2020年における大阪府域での電力供給量を増加させるとして、太陽光発電等によって「150万kwを新たに創出、これは府域の最大電力使用量の14%」等としています。しかしながらこの150万kwというのは、各電源設備の最大発電容量、つまり、いれものの大きさを単純に合算しただけの数字です。例えば日本の太陽光発電の平均稼働率はわずか12%です。そこでお尋ねしますが、これらの電源設備が仮に2020年に実現できたと仮定したとして、府域の電力供給量に占める割合はどの程度になると試算しておられるのか、またそれも含めた2020年における電源構成をどのように考えておられるのでしょうか。環境農林水産部長に伺います。
【環境農林水産部長答弁】
プラン(素案)でお示しした150万kW以上を目指すという数値については、最大発電能力について、2020年度における増強分の目標値として示したものであり、ボリューム感を府民に判りやすくイメージいただくため、ピーク時における府域全体の電力需要に占める割合について、約14%に相当するとの表現を用いた。
この発電能力150万kWを、年間の総発電総量を意味する電力供給量(kWh)に置き換えた場合はどうかとのお尋ねについては、各施設別の設備利用率データを府は所有していないため、一定の仮定値を置いた推計しかできないが、今回試算をしたところ、概ね5%相当という結果だった。
また、将来の電源構成については、本来、日本全体としてどうしていくのかという観点から、国において示されるべきものであり、現在、福島原発事故以降の状況変化を踏まえて、国が新たなエネルギー基本計画を検討中である。
③電気料金値上げによる大阪経済への影響について
【質問】
例えば太陽光発電の先進国であるドイツでは、全発電容量の約15%を占める太陽光発電も、電力量ではわずか3.3%にすぎないとのことです。ただこの3.3%の電力をまかなうために、国民が負担する費用が大きな問題になっています。
昨年6月、皮肉にも我が国で再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が導入されたのと時期を同じくして、太陽光発電の先進国であるドイツでは、制度の大幅な見直し、買取金額の縮小と電力買取量の制限が決定されました。
2000年に制度が導入されて以来、いわゆる再エネ賦課金等の負担により、電気料金は2000年比で1.8倍にまで高騰しており、そのことが国民生活やドイツ経済に大きな負担としてのしかかっています。
我が国でも、固定価格買取制度が、ドイツと同様に、他のユーザーに負担になるような価格で継続し続けるかぎりにおいては、太陽光発電の普及は進むのかもしれませんが、そんなやり方で太陽光が普及できるとも、普及すべきだとも、私には思えません。
一方、ご答弁にあったように、パネル価格が十分に下落することで、太陽光が普及するのでしょうか。
他の電力ユーザーの負担にならないためには、買取価格は、少なくとも火力発電と同程度の¥10/kwh、つまり、それと連動するパネル代金も、現在の1/4程度になる必要があります。大量生産が可能なパネルの価格は下がったとしても、パワーコンデイショナーや、危険を伴う屋根の上での特殊な技術を必要とする設置費用、すなわち人件費が4分の1に下がるとは考えられません。もちろん、府としても、府民の所得を4分の1にしてでも太陽光を普及させたいとは考えておられないはずだとは思います。
≪資料3≫
単位当たりの燃料費の比較でいうと、関電が発電により儲かるのは、せいぜい水力、原子力、石炭までで、ガスはとんとん、石油火力や、他電力からの購入では大幅な赤字です。ただしこれは、関電の値上げ申請時の、原発4基が稼働している想定のグラフです。実際の25年度の原発発電比率はもっと低く、それを高額な他電力からの購入や、老朽化した、効率の悪い石油火力で賄っているため、今年度第一四半期の決算でも大幅な赤字になっています。原発の依存度を下げて化石燃料や他電力からの購入で賄うとすれば、電気料金は現在よりもさらに値上げになるという状況は避けられないということです。
国内で唯一運転を続けてきた関西電力の大飯原発3、4号機が先月、定期検査のために停止しました。
これを受けて、関西経済界では異口同音に、「一層厳しい節電対応や料金値上げといった最悪の事態を危惧する。これ以上企業に負担を強いることは困難だ。」などと、電力の安定供給や電気料金値上がりを懸念しています。
そこで商工労働部長にお尋ねしますが、全国との比較を含む大阪経済の実態と、今春の電気料金値上がりによる中小企業など産業への影響について、どのように認識しておられるのでしょうか。
あわせて、環境農林水産部長にも、大阪経済に深刻な影響を与える電気料金負担のことをどのようにうけとめているのでしょうか。併せてお聞かせください。
【商工労働部長答弁】
大阪経済の実態と、電気料金値上げによる影響について、お答え申し上げます。
現在、大阪経済は、消費や輸出が増加するなど、全体としては持ち直しの傾向にありますが、依然、厳しい状況もあります。
例えば、完全失業率は、直近で全国の4.2%に比べ、大阪は5.2%であり、企業の景況感いわゆるDⅠは、全国の44.6%に比べて大阪は42.8%と1.8ポイント低い水準です。
このように、大阪経済は、全国と比べれば、なお、厳しさも残っていると認識しております。
また、この春の電気料金の値上がりによる影響ですが、民間調査会社による近畿地区企業への意識調査によりますと、「自社の業績に悪影響」とする企業は約65%となっております。
業種別では、製造業が約84%、小売業が約73%など高い割合となっており、規模別では、「悪影響」及び「かなり悪影響」とする割合が、大企業に比べ、中小企業で高くなっております。
この間、電気料金の値上がり分を吸収するため、節電設備の導入をするなど、懸命な経営努力で乗り切ろうとする企業がある一方で、大商のアンケート調査によりますと、値上がりによるコスト上昇分については、約8割の企業が「ほとんど転嫁できない」と回答されるなど、料金の値上がりが経営に与える影響の大きさが示されております。
【環境農林水産部長答弁】
ギリギリのところで生活している府民や、コストアップ要因を取引先に転嫁出来ずに、厳しい経営状態の中で頑張っておられる中小零細企業の方々が大勢おられる実情について、深く認識している。
電気料金の値上げは、家計や企業に多大な影響を及ぼすことは認識しているが、現在の料金決定システムの下では、再エネの買い取り費用や、火力の燃料費増加分も全て料金に反映する仕組みとなっており、まずは、電気事業者が徹底的に経営努力を行い、利用者にその負担を転嫁しないよう努力頂きたい。
また、中期的には、国における電力システム改革の早期実現により、利用者が自由に電力会社を選べる仕組みを作ることができれば、発電事業者間の価格競争が促進され、安易な電気料金値上げにつながらないような市場環境が形成されていくと考えており、国も本年4月に閣議決定された「電力システム改革の方針」において、改革の目的として、電力の安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を明確に掲げ、その具体化に取り組もうとされている。
府として、速やかにかつ本格的にこの改革が実施されるよう、国に働きかけてゆく。
【指摘】
昨年、平成24年度、化石燃料の輸入増加額は、日本全体で3兆8千億円です。つまり、それだけの日本の富が外国に流出しているということです。ただし、その燃料費増加分は、現在のところ、電気料金には十分転嫁されていません。電力会社が赤字を出しながら、あるいは、府のいうところの、「徹底した経営努力により」、つまり発電設備などの、必要な修繕や定期点検を遅らせることでしのいでいるとのことです。電力供給がかつかつであるために、定期点検等のために発電を停止できないという事情もありますが、いずれにせよ点検や修繕が遅れることで、様々なトラブルも発生しているとのことです。
安全が不可欠なのは、原発だけではないはずです。電力会社に負担を押し付けることで、最悪の場合、資金繰りに窮して関西電力が経営破たんする可能性や、そのような事態になれば府民の暮らしや、関西経済にどれほどのダメージがあるかについては、考えなくてもいいのでしょうか。コストを利用者に転嫁するなと言うのは簡単ですが、結局はその場しのぎ、問題を先送りしているにすぎません。
今年の関西電力の電気料金の値上げでは自由化部門では17%以上の値上げになっています。電力が自由化されれば、競争が促されて電気料金が下げることができるというのであれば、自由化部門でなぜ17%もの値上げを抑制できなかったのか、大幅な値上げにも関わらず、他の電力事業者との契約に切り替えたのは1%程度に過ぎなかったのは何故だと考えているのか。質問しようと思っていたがやめておく。
では、電力自由化が果たして本当に電気料金の抑制につながっているのかどうか、諸外国の例を参考に検証してみたいと思います。
≪資料4≫
米国では州ごとに電力供給体制が異なっているとのことです。グラフが示すように、自由化された州の電気料金は、自由化未実施の州の電気料金を大幅に上回るものです。
≪資料5≫
また英国ではいち早く電力の自由化を実施しましたが、2社による寡占状態となって、電気料金が大幅に高騰し、電力システム改革自体が失敗に終わりました。あるいは、電力の小売事業者が1,000社程度あるというドイツでも、1998年から全面自由化されていますが、それが電気料金の抑制になっていないのは、先ほどもご紹介したとおりです。我が国よりもはるかにエネルギー資源保有量では恵まれたアメリカ、イギリス、ドイツでもこのような状況です。エネルギー自給率わずか4%と先進国の中でも際立って低い水準にある我が国で、原発をゼロにして諸外国との競争力を維持できるような電気料金を設定しうるとは到底考えられません。
④二酸化炭素排出量増加による影響について は質問取り止め
 原発ゼロを目指すというのであれば、当然メリット、デメリット、府民の暮らしや大阪経済に与える影響をしっかりと検証した上で、府民に対して真摯に伝えなければならないはずです。原発依存度低下による悪影響、府民負担からはことごとく目をそらし、設備投資する側の事業者にとっての採算を全く度外視した、非現実的な数字と抽象的な言葉を並べて、あたかもバラ色の未来が待っているかのようなプランを提示しようとするのは、大阪都構想の場合とまったく同じ、府民に対して無責任で不誠実なやり方だと言わざるをえないと申し上げておきます。

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