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府議会の報告

平成25年9月定例会 一般質問

平成25年12月10日
宗清 皇一 議員

1.大和川線常盤東開削トンネル工事

①契約変更に至った経緯及び原因について
【質問】
阪神高速道路大和川線で施工中の「都市計画道路大和川線常磐東開削トンネル工事(躯体工)」において、約41億円の増額変更契約の議案が本議会に提出されています。
≪資料1≫
この工事は、常磐東ランプと本線を接続する延長約230mの区間において、シールドの発進、到達に必要となる2基の立坑を構築し、その立坑の間を掘った後、道路本体となる鉄筋コンクリートのボックスを構築し、埋戻すものです。
このうち、先行する工事(吉田JV)が、2基の立坑の構築とその間の開削を行い、「常磐東開削トンネル工事(躯体工)」(清水JV)によって道路本体の構築、埋戻しを実施する計画です。
先行する工事が立坑の間を掘削した際、既に構築済みの2基の立坑の安定性に問題があり、工事を一旦中止し、検討した結果、別途、立坑の安定対策工が必要になった。これが今までの経過です。
ここから問題点を説明いたします。
≪資料2≫
この工事は、NO4とNO5の立坑の間を地中約40M掘る工事です。NO5の立坑は全体で深さが48Mで、片側の側面を約41M掘ります。NO4の立坑は深さが46Mで、その側面を約40M掘る計画になっていましたが、この工事が成立するには、掘った後も、この2基の立坑が動かず、自立していることが絶対条件です。
そこで、コンサルの成果品を詳細に分析すると、NO4の立坑は約5万2千t、NO5の立坑は約4万tの自重(重さ)があり、背面から、それぞれ、約4万9千t、約3万6千tの土圧と水圧がかかっていることが読み取れます。このように、背面から大きな力(土圧と水圧)がかかれば、立坑が掘削によって安定性を失い、倒れてくるのではないかと思うのは土木の技術者のみならず、素人でも感覚的に危険な工事だと分かるレベルです。
更に、この現場は大和川のすぐ側で水位が非常に高く、土圧に加えて水圧が大きくかかることはボーリングデータからも読み取れます。
また、この立坑は水位が高いことによって、水の浮力によって安定しない可能性があることも素人でも解るレベルです。図面を見ただけで、府が当初に発注した工法で工事が出来ないことは明らかであります。
地下鉄等の工事でさえ、地下40M、50Mも掘るということはほとんどありませんし、まして、立坑の片側だけを全長の85%に当たる40Mも掘るということは全国的にも前例がないと思われる工事です。そういう意味で、この工事には慎重の上にも慎重に進める必要があったということは当然です。
そこで確認するが、部局内では私が先程主張したことを慎重に検討したのか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
本設計委託は、全国でもまれな大口径シールドとその発進到達基地となる立坑等の詳細設計を行うものであり、複雑な計算や膨大な作業が必要となるため、高い専門性を有するコンサルタントにその詳細設計を委託したもの。その契約内容は、本府が仕様書において示した本立坑の前面が掘削されるという前提条件に基づき、建設コンサルタントがシールド及び立坑を設計、同社の照査技術者がその内容を照査し、成果品を納品する契約。
本成果をもとに先行する工事を発注したところ、その請負業者から、立坑の安定性に関する疑義が示され、府がコンサルタントに確認したところ、「請負業者からの疑義は、過度に危険側を想定しており、問題はない」と回答。
その後も、「立坑は安定しており、万一問題が生じても、簡易な事後対策で対応可能」等とコンサルタントが回答。
次工事である「常磐東開削トンネル工事(躯体工)」の契約後、その請負業者から、同様の疑義があり、府があらためてコンサルタントに確認したところ、「土質条件によっては、立坑の安定性に問題あり」とこれまでの説明から変化があったため、学識経験者に意見を聞くなど、立坑の安定性を検証してきた。
学識経験者より「このまま掘削を進めると、立坑の安定性は確保されない」との指摘があり、府は工事の安全に万全を期すため、工事の中止を指示。
その後、対策工については、現場のスペースなどから施工スペースが極めて限定され、精密な計測管理が必要な、非常に厳しい条件下の工事となるため、学識経験者からのご意見も頂きながら、慎重に検討を行ってきた。
この度、立坑の背面に作用する水圧を低減させる地下水位低下と、立坑を前面から支える鉄筋コンクリート構造物の構築を行う安定対策工法を確定し、工事請負契約の変更議案を本議会にお諮りしたところ。
【再質問】
先の答弁には非常に違和感を感じる。コンサルに相談した際に簡易的な事後対策、専門用語でいう火打ち等の対応をしてしまうと、南北を支える連続壁に立坑がモタれかかってきた場合、連続壁は崩壊したかもしれないのです。こんなことはコンサルに確認しなくても分かる範囲だと思う。この工事は立坑の構築工事、開削工事を担当していた、吉田JVと清水JV双方から、このまま掘ると危ないのではないかという指摘があったときいているが、指摘を受けなくても分かるレベルだったと思う。
また、大きな疑問があるので確認させていただきますが、このコンサルタントは日本シビックだと聞いているが、立て坑の側面を40m掘っても立て坑は自立することを前提にコンサルに発注したのか。
また、そもそも開削工事を担当していたのは吉田JVであったのにも関わらず、なぜ、ボックスカルバートを受注していた清水JVに対して41億円という大きな工事を随意契約しているのか、大きな違和感があるがなぜか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
立て坑の前面を掘削することは前提条件として提示している。
清水JVへの随意契約は、梁などの仮設物が輻輳する現場で計測管理しながら作業を行う必要があるため、後工事を行うJVに工事を発注する必要があった。
②設計の不備が見抜けなかった理由等について
【質問】
コンサルがこのような初歩的なミスをするはずがないと思う。できたらコンサルにも直接話を伺いたい。また、府がコンサルタントと協議した際の議事録、資料を見せていただきたいと思う。
この立坑の設計は、平成18年12月に日本シビックコンサルタント㈱に委託していますが、落札率が38.4%と考えられないような低い金額で契約しています。
無論、いくら落札価格が低くても、契約に基づき、そのコンサルが責任をもって業務を行わなければならないのは当然であります。しかし、このように低い落札率であるが故に、品質上の問題が生じたのではないかと思っても不思議ではないと思います。
土木工事は1つ間違えれば死亡事故、大惨事にもつながります。よって、コンサルの仕事というのは質の高い、丁寧な仕事が要求されます。そういう仕事をしようとすれば、手間暇がかかりコストがかかるのは当たり前です。
また、府は委託成果品の納品も確認しており、請負業者から立坑の安定性に疑義が示された際も、コンサルに確認を行ったと聞いていますが、私としては、大阪府の技術者であれば、立坑の安定性についてコンサルに確認しなくても、初めに図面が上がってきた段階で疑問を持って然るべきではなかったかと考えています。そういう意味でも、コンサルだけに責任を押し付けることに大きな疑問をもっています。
何故、このような初歩的なミスを府は見抜けなかったのか。
もう1つ確認するが、これだけ難しい工事をするのに、38.4%という異常に低い落札率にそもそも疑問をもたなかったのか。2点都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
本件の設計委託を契約した平成18年度当時は、全ての設計業務委託について、受注実績等を考慮した指名競争入札のもと、価格競争性を重視し最低制限価格制度は導入していなかった。
本契約の落札率は、議員ご指摘のとおり38.4%と当時の平均よりも低い落札率となっている。この委託金額は、本府の積算上、この契約を履行する上で必要となる最小限の経費をやや上回る程度のものではあるが、当時の入札条件の下、入札参加者が業務内容や採算性等を考慮して、入札に応じた結果であると認識。 
本設計委託は府が仕様書で示した前提条件に基づき、建設コンサルタントがその責任において設計を行い、同社の照射技術者が設計内容を精査の上成果品を納入するという契約であり、本府においては成果品の納入時検査職員が検査要領に基づき、成果品の有無及び照査が実施された旨を確認した。
その後、工事請負業者から立坑の安定性について疑義が示され、府がコンサルタントに確認したところ、「問題はない、簡易な事後対策で対応可能」と主張したことから工事を進めてきたもの。
今振り返ると、大規模で特殊な本件工事について、通常の土木工事以上の対応を行っていれば、ことの重大性を認識するのにここまで多大な時間を要することはなかったのではないかと思う。
③都市整備部の責任について
【質問】
大阪府のインフラは府民の財産であり、設計も施工も絶対に手抜きは許されない。だから、品質の確保に最低限必要な金額を支払うことは当たり前であると思っています。
今後想定されている南海トラフ巨大地震対策等を考えれば、質の高い公共事業は絶対に不可欠です。府は人材の確保等様々な点で、十分に反省しなければならない点があると考えます。
先日の記者会見で、知事は、「本件はコンサルの設計にミスがあったことが原因であり、府が被った損害はコンサルに求償していく」とコメントされています。私はこのような基本的な初歩のミスを見抜けなかった大阪府にも大きな瑕疵があったと考えるのが普通であり、一方的な責任転嫁で済まされないと思います。
この工事をそのまま続けていたら、立坑が倒れ、連壁が崩壊し、死亡事故になっていたかもしれないような現場を一度着工しているのです。
都市整備部の責任は極めて重大であり免れないと考えますが、どのように責任を取るつもりか。それと、年商20億円のコンサルに対して41億円全額求償してももらえるはずがないと考える。訴えたところで既成事実を作るだけで責任転嫁ではないかと思うが、府は責任は一切なかったと考えているのか、都市整備部長のお考えを伺います。
【都市整備部長答弁】
当時は、大和川線という非常に大規模な事業を決められた期限までに完成させなければならないという制約の中、請負業者から示された設計内容の疑義に関する設計コンサルタントからの「問題ない、簡易な事後対策で対応可能」との回答に基づき、工事を進めてきた結果、途中で工事を中断せざるを得ない状態になり、追加の対策工事が必要となった。
まず、設計ミスがあったコンサルに対しては、委託契約の債務不履行として、直ちに求償に向けた手続きに入る。
今振り返れば、コンサルの主張を過信したため、大規模で特殊な工事にもかかわらず、本件の重大性を認識するのに時間を要したこと、工事の中断により工事期間が長期にわたるに至ったことは深く反省している。
本件の対策工事を安全確実に進めてゆくため、すでに学識経験者等の専門家も入った技術的課題を検討する場を設け、現場で何らかの疑義や課題が生じた場合、迅速に対応できるようにしている。
これまでも、今回の大和川線のように、大規模で前例のないような特殊な工事では、工事施工段階における技術的課題に対応するために、学識経験者等に意見を聴く場を設けてきたが、今回のような事態を二度と繰り返さないために、建設コンサルタントが行う調査設計の段階から、幅広に学識経験者の意見を聴く場を設けること、設計委託の成果品については、他の設計コンサルタントによるクロスチェックを導入するなど、更なる安全性や品質確保に向けた新たな仕組みづくりを早急に取り組んでゆく。
大和川線については今回の反省点を十分踏まえ、安全に工事を進め、平成28年度末の全線供用に向け責任をもって取り組んで参る。
【指摘】
私は府の発注段階に問題があったと考える。立坑の横を40m掘削する、倒れるかもしれないと考えるのは当たり前で、コンサルに発注する際、立坑が安定するように注意すべきだが、そうなっていないと思われる。この問題は後日詰めてゆきたい。
事故が無かったから良かったものの、発注して工事を進めた責任は府にある。部長からお詫びの答弁がないのは寂しく、残念です。
阪神高速道路大和川線の工事は速やかに進めてもらわなければならないが、都市整備部が大きな責任を回避したまま、41億円すんなり認めて下さいよというのはあまりにも都合がよすぎます。この問題を考えれば考えるほど大阪府の技術職の目を疑うし、職員の士気が完全に低下しているのではないかと本当に心配になります。時間に余裕がないのでこれ以上質問できないが、後日詰めてゆきたい。

2.大阪府都市開発株式会社の株式売却

①株式売却にかかる情報管理について
【質問】
今議会にOTKの株式売却の議案が提案されているが、この公募要項がオープンになったのは6月6日です。
しかし、既に私の所には5月28日に公募要項が漏れているとの情報があり、部局に情報管理を徹底するよう厳しく申し伝えていたところです。その後、どのように対応してきたのか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
「大阪府都市開発株式会社」いわゆる「OTK」の株式売却における情報管理について、庁内では、情報に接する人数を必要最小限にするとともに、府以外の関係者である株主や今回の手続きに関する専門家、アドバイザー、提案者においても、秘密保持誓約書を提出いただくなど、情報管理の徹底に努めてきた。
また、公募に関する事項を、専門的に検討しておりました「大阪府都市開発株式会社株式売却先選定委員会」においても、秘密の保持や情報の管理に留意して、審議を進めてきたところです。
なお、情報管理の徹底について、議員からご指摘をいただいた際にも、関係者に対し、情報管理の徹底を改めて注意喚起いたしました。
②なぜ、どのような経緯で情報が漏れたのか
【質問】
今、限られた者のみに限定して、情報管理を厳重に行っていた、秘密保持誓約書を取っていたとの答弁があったが、それぐらい大切な情報、絶対に漏れてはいけない情報であったということす。言い換えれば、情報漏えいがあれば、公正な選定ができないから厳重に管理していたということであります。
しかし、11月26日に、OTK株式売却の優先交渉権者に関する報道発表を行う前に、優先交渉権者名や提案金額について新聞報道がありました。
その新聞情報とその後公表された優先交渉者名も金額もぴったり一致しています。誰が、いつの段階で、どれだけの情報を漏らしていたと認識しているのか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
OTKの株式売却に関して、庁内をはじめ、株主や選定委員会委員などの関係者に対し、資料などを提供する際にはその都度、情報管理の徹底を求めてまいりました。
議員ご指摘の報道について、その情報源は承知しておりませんが、報道を受けた際に、関係者に対し、情報の管理状況や取材の有無などを調査したところ、情報の漏えいは確認されませんでした。
【再質問】
厳重に管理をしていない情報がもれていたのなら指摘しませんが、絶対にもれてはいけない情報が漏れているから指摘しています。限られた者のみと言えば言うほど、それなら漏えいした者を特定できるのではないか。是非してください。
2つ目に、事前に情報が漏れていたとすれば、優先交渉権者が変わる可能性があったのか。
3点目、なぜ、事前に情報が漏れた場合は、選定を取りやめるなどの覚書などを取り交わすことはしておかなかったのか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
情報を管理するという点では、先ほど答弁した通り。
優先交渉権者が変わる可能性は、今回議案を提出しているので、変わる可能性はありません。情報が漏れた場合の対応は取り決めていない。
【指摘】
情報を知っていた人は限られていることから、誰が漏らしたのか特定できると思う。特定してください。また、情報が洩れても選定に影響ないと言うなら、最初からフルオープンでやればいい。大事な情報だったら漏れた場合は選定取り止めますぐらいのことはしておくべきだった。これについても議論を深めたい。
③公募条件や審査基準等について
【質問】
OTKの株式売却先の選定において、なぜ、価格点が70点で提案点が30点なのか、大きな疑問をもっています。
どのような条件で売却するのかなど、公募の主な内容について公募する段階で議会側は初めて聞かされましたが、公募要項を決定する際、事前に議会で議論をすべきだったと考えます。議会の意見を聞く必要はないと思った理由はなぜですか。都市整備部長に伺います。
【都市整備部長答弁】
一般的に、単に株式を売却する場合、その売却先の選定は、売却価格により判断されるものと考えておりますが、OTKの株式売却においては、これまで議会からいただいた様々なご意見も踏まえ、売却価格に加え、府民・利用者の利便性の向上等も考慮することとし、公平・公正な観点から公募により、売却先を選定することとした。
売却先の選定手続きにあたっては、府が責任をもって行ってきたもので、価格点と提案点の配点割合や、売却条件、審査基準などを含む公募要件は、議会にお諮りした上で設置したOTKの株式売却先選定委員会の議論をふまえ、府として決定したもの。
【再質問】
部長が答弁された府民の利便性向上は考慮されていないと思うし、これまでの議会の様々な意見はそこに重きを置いていたと思う。情報管理もできていない。できていないから指摘している。
株式の評価には様々な考え方があると思いますが、今回の選定は価格点が70点、提案点が30点になっています。営業利益だけでみると、確かにトラックターミナル67%:鉄道が30%になりますが、固定資産ベースで見れば、トラックターミナルが52%、鉄道事業は46%になります。
≪資料3≫
ローンスターと南海を比較すると、提案点は南海が上回りましたが、価格点で30点近く差がついたため、交渉権者はローンスターとなりました。
その30点のうち、経営方針は10点、トラックターミナルは5点、鉄道事業の利便性向上は15点となっています。これではいくら南海が大幅な値下げをしても、最大で15点しか差がつかない仕組みになっています。
7対3と言いながら、事実上完全な価格重視の入札になっていることがわかります。それだったら初めから価格だけで決めて売ればよかった。先ず初めに申し上げたいことは、これだけ泉北鉄道の値下げの議論を府議会でしてきているのに、全く議会の議論を反映していない制度になっています。
≪資料4≫
価格に関する両社の提案額の差は、約61億円、価格点の差は29.8点です。
≪資料5≫
鉄道事業の利便性向上について、提案額の差は南海が7億2200万円で、ローンスターは1億500万円であり、差額は単年度で6億1700万円であります。サービスを金額に直したものです。
評価の差は南海の14.1点からローンスターの5.84点を引くと差は8.26点です。
ここで疑問なのは、鉄道事業の利便性向上が単年度で評価されているということです。
言うまでもなく、鉄道事業にかかる便益は単年度で見るものではありません。
鉄道の利便性向上の差は単年度で見れば、点数が.8.26点で、金額が6億1700万円、これを5年間で単純計算すれば、金額は30億円を超えます、点数も40点になります。また、鉄道の便益を10年で考えれば、点数は80点、金額的には60億以上になり、価格の点でもローンスターに並ぶ、それ以上の結果となります。
私は、このような一面的、瞬間的な評価で、府民の貴重な財産の売却先を決めるべきでないと考えます。
更に、ローンスターの提案点は30点満点中14.4点で、これは提案点30点中の半分の評価も得られていないことになります。
そもそものこのような点数で売却条件をクリアしていると考えているのか。
もう1つ確認するが、固定資産ベースでみるとOTKの中で鉄道部門は46%を占めています。知事は常日頃、鉄道は都市の成長を支えるものとして最も重要なインフラだといっていますし、橋下市長は地下鉄の値下げにもこだわっておられるのではないかと思います。鉄道運賃が安い方が市民サービスの向上になると都構想でも言っているのではないか。
なのに、なぜ、100点の内、鉄道の評価は15点しかないのか。知事に伺います。
【知事答弁】
私はストックを組み換えることで大阪の新しい成長のための都市インフラ再整を作ってゆくというところに重点を置いている。今回、利便性が向上していないと言うが、今までさんざん議論してきて、私も平成19年の橋下前知事の時代から議会で議論してきた。その間、OTKについて利便性の向上はまったくなかった。今回はこれを実現した。公正な評価委員会を作り、点数をつけて優先交渉権者を選んできた。その中に利便性向上は条件に入れている。OTKの株式売却益は府民全体の利益である。府民の利益であれば価格提案に重きを置いて点数化するのは当然のこと。選定方法は公募により公平公正に行っているので、議員の指摘はあたらない。
それと、情報が漏れているという話であるが、そもそも情報が役所内で漏れていれば公務員の守秘義務違反で、行政処罰より重い法的な罰を下すことになる。宗清議員のところにFAXが来ているなら、是非それをください。情報を漏らしたのが事実であれば、処分の対象となる。不正があったならまさに大問題であるので、証拠があるなら示していただきたい。
【再質問】
私はなぜ100点のうち鉄道が15点なのかを聞いた。誤解しないでいただきたいのは、高く売りたい点は私も同じ思い。松井知事が議員時代にOTKの株を売却しろと言っていたとき、OTKはりんくうホテルとりんくう物流の2事業を抱えていた。私は総務委員会で売るにしても赤字の事業が含まれていたら高く売れない、府民の財産を少しでも高く売りたいなら、赤字の2事業はきちんと整理してくださいと当時の橋下知事に申し上げた。だから価格点を重視していないというのは誤解である。
それから私は職員が不正したとは一言も言っていない。情報が漏れたのではないかと言っている。資料は出している。確認していないあなたが悪い。
大阪市民は大事にして地下鉄の運賃は下げる努力をする一方、堺市民、堺市議会からも要望がでているし、堺南区の自治連合会からも運賃値下げの要望が出ている。同じ府民だから、しっかりと耳を傾けていただきたいが如何か、知事に伺います。
【知事答弁】
付け焼刃の知識で自分がこれしたあれしたというべきでない。議員が議会に来られる前に、OTKにりんくう2事業を付けることでさんざん議論し、やめておくべきだという議論もした。そのときの議会の多くの意見は、ゲートタワービル処理にはあの方法でしか仕方ないという結果だった。その時の議事録も是非読んでいただきたい。
私は堺の話を聞かないとは言っていない。今回府議会に諮っており、堺市議会の判断を求めているわけではない。様々な議論意見を踏まえて、この議会で決めていただきたい。私は優先交渉権者の決定にあたっては、公正公平に委員会を設置し委員の方々が専門知識をもとに優先交渉権者としてローンスターを決められた。それをよしとするかどうか、議会の皆さんが判断する案件。この議会には堺市選出議員もいるし、泉北高速鉄道を見たことも聞いたことも乗ったこともない地域から選ばれた議員も大勢いる。大阪の都市インフラを再整備するためにどれだけの財源が要るのか、まさに議会のご判断を仰いでいるところ。
④今後の売却手続きについて
【質問】
知事に再度確認しておく。今回情報漏えいはあったと思う、それが府の職員からとは言っていない。ただ、「いつ、どんな情報が、どこにわたったのか」それを確認できない限り、本当に影響はなかったと言いきれないはずです。
このまま何もせずに手続きを進めるのであれば、府民から疑わしいと思われても仕方がない。いったん白紙にしてやり直すべきだと考えますがどうか。知事に伺います。
【知事答弁】
府として情報管理は徹底している。選定委員会による公正な審査結果を踏まえて、今議会に売却を提案している。白紙に戻すということは元に戻るということ。そんなことは考えていない。
【再質問】
もし、後になって、この入札に問題があるとわかった場合は、全責任は松井知事がとられるのか。
【知事答弁】
府の施策はすべて自分の責任で実施している。そのうえで議会の判断を仰いでいるつもり。

3.職員の政治的行為の制限に関する条例案等

知事提案した理由について
【質問】
今回、知事より「職員の政治的行為の制限に関する条例」「労使関係における職員団体等との交渉等に関する条例」「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」この3つの条例案が提出されていますが、これらの条例は、現在、総務常任委員会で継続審議されている議員提案条例とほぼ同様の趣旨のように思われる。
知事は、本会議の場でこのような条例制定は必要がないと答弁されていたが、今9月議会の代表質問において、これまでの答弁を一転し、理事者提案する旨答弁されました。
その理由として挙げられたのが、本年5月の大阪府市大都市局職員が局内全職員に発信したメール事案であったと記憶していますが、本事案は、法令・条例には抵触しておらず、新たな立法事実とはならなかったはずです。そうであるなら、条例を提案される理由はないと考えますが、なぜ提案されたのですか。知事に伺います。
【知事答弁】
府職員のメール事案は確かに法令、条例に抵触していないが、職員の政治的中立性について府民の皆様に誤解を生じさせることになり、結果職員が処分されることになった。こういう結果を踏まえ、将来に向けて、未然防止の観点から必要であると考え、条例を提案している。

4.商工労働部長の処分

幹部職員の政治任用について
 松井知事が就任されてから積極的に外部人材の公募を行っているが、私は制度があるからといって、未然防止にはならないと思う。大阪府の部長には豊富な行政経験と人格、識見を兼ね備え、着実に行政を執行できる力が求められるため、外部からの登用には無理があるということを申し上げてきましたし、先の総務委員会でも同様の指摘をしたところです。
また、大阪市でも民間の公募区長や公募校長の不祥事が続いていますが、正に、そのような中で、今回、公募によって選ばれた初めての民間出身の部長が部下に対するセクハラを起こし、退職するといった、前代未聞の事態が発生しました。
知事はかねてから、公募が大好きで、外部からの人材登用は組織にとってプラスだと言われますが、この不祥事によって府庁の組織の信用は失墜しています。過去、府職員から部長ポストに上り詰めた者が、このような不祥事を起こしたことはありません。また、このような事態を起こした笠原部長は、先日の決算委員会を突然欠席し、私たち議会に対して何ら説明や謝罪もありませんでした。
先日の記者会見で知事は、公募制度が悪いわけではない、本人の社会への適合性が欠けていただけと言っていましたが、その人物を選んだのは松井知事です。しかも、選任してすぐの1年目から評価は低かったと、まるで、他人事のような話しぶりでした。
大阪経済の再生は本府の喫緊の課題であり、商工労働部長の職責がいかに大事かは言うまでもありません。知事はその重要なポストに問題のある人物を部長に据えたのです。
今回の不祥事についての責任を取ることも会見のなかでは否定されていました。加えて、議会の理事者である部長が、今議会中に突然変更されるような事態になっているにも関わらず、先の本会議で、任命責任のある知事から、直接、議会に対する説明が一切ありません。一連の事態に対する対応は全くもって無責任であると厳しく指摘しておきます。
この件について質問はしませんが、今回の事案について、知事は何らかの責任を取るべきであるということを申し上げて質問を終わります。

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