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府議会の報告

平成26年2月定例議会 一般質問

平成26年3月5日
酒井 豊 議員

給与減額措置の回復と府の施策との整合性について

 自民党の酒井 豊です。発言の機会を得ましたので、最近の問題や、かねがね疑問に思っている問題について、数点、知事ならびに理事者の皆さんにお尋ね申し上げます。
さて、昨年9月定例会本会議でのわが党朝倉議員の質問と小西副知事の答弁は、府政の核心をついた極めて興味深い質疑でありました。
職員費の管理と健全なマンパワーの管理は府政の基本的な構成要件でありますが、この相連関し、また一方では相反する課題をしっかりと把握・判断し、執行していくというのが、為政者としての基本的な責務であります。
こうした質疑を受け、このたびの給与改定で人事委員会勧告の実施と、6年にわたる給与減額措置の縮減が図られたことは、極めて当然のことであります。
同時に、6年にわたる職員の皆さんのご苦労とご協力に心からの謝意を申し上げたいと思いますし、これからも一層府民の身になって職務に邁進されますよう強く期待したいと存じます。
Q1-1,Q1-2)人勧実施と給与減額措置の縮減について
 さて、今回の給与改定は、人事委員会勧告に基づく本給と地域手当並びにその他手当の改定と、給与減額率の縮減という二つの措置によっており、給与改定はするものの、なお財政健全化の取り組みとして平均1.3%の人件費減額を続けるというものであります。
その結果、給与の削減効果は50億円になるとのことでありますが、ここで注意すべきことは、給与の削減措置はあくまでも本給を対象にしているものであり、実は地域手当やその他手当は、この給与削減措置の枠外であるということです。
この結果、今回の人事委員会勧告による必要額144億円のうち、減額後の給料に要する経費9億円、地域手当の10%から11%への改定に要する経費45億円、その他手当への跳ね返りに40億円、実質この分は増額ということになります。
そこでお尋ねしますが、このたびの官民較差の是正勧告を、本給と、地域手当・その他手当の引き上げの三本柱で勧告されたのはどのような考え方に基づくのか、先ず人事委員会の見解をお尋ねいたしたいと存じます。
また、いま申し上げたとおり、給与減額措置を実施しても、平成26年度の人勧実施分は、実質94億円増額、さらに平成25年度の給料の減額270億円の回復額を加えれば、実質364億円の給与の回復・増額になると解釈されると思うのですが、人事当局の見解をお聞かせください。
Q2)私立高等学校等経常費補助金の回復措置について
 さて、府民への行政サービスはさまざまな形で実施されますが、府職員みずから提供するサービスに加えて、民間組織や団体等を通じ、間接的に府民に提供するサービスがあります。この場合、当然のこととして、公共のサービスとの論理的整合性がなければなりません。
そこで具体的な問題としてお尋ねしますが、このたびの26年度予算案で、いわゆる私学助成の私立学校等経常費補助金について、府職員給与の改定にあわせ、従来の経常費補助金カットを、高等学校と専修学校高等課程では、10%より2%に、幼稚園では2.5%を0%に、そして小中学校では、25%を15%に改定されることとされています。
かねて、私学経営に多大の圧迫を与えてきた経常費補助金の減額率を縮減されたことは一定評価しますが、それでも、先ほど申し上げた府の給与回復の実態を見るとき、結果的には、官よりも民には引き続き厳しい対応を求め続けることになりますが、その点どのように考えておられるのか?
また、小中には、尚15%カットを続けるとのことでありますが、それではこの15%カットをどのような基準判断に基づいて続けられるのか、府民文化部長の見解をお尋ねいたします。
Q3)運輸事業振興助成補助金の取り扱いについての不合理
 次に本来は府自ら提供すべきサービスを民間に肩代わりしてもらっている事例について質問いたします。
わが党が代表質問で取り上げた運輸事業振興助成補助金の問題であります。
そもそも、運輸事業振興助成補助金制度は、事業の性格上、全国を対象に制度が組み立てられており、実施方法は地元事情に明るく、また軽油引取税引き上げの恩恵を直接受ける都道府県により運輸団体を通じ国民・府県民に健康や安全を届けるという全国的な仕組みで成り立っております。
この間、NO2(二酸化窒素)やSPM(浮遊粒子状物質)等の環境問題の解決のため、わが国では世界一厳しい車両の環境規制が行われてまいりましたが、この環境規制基準適合車両への代替経費は、大阪だけでも、ピーク時3,000億円を超え、この莫大な経費を負担してきたのが運輸事業者であり、また中小運輸事業者の車両代替を下支えしてきたのが運輸振興助成補助金であります。
この結果、大阪の環境基準は平成24年度NO2,SPMともに一般局、自排局とも全ての測定局で達成されているのであります。
府民が健康で安心安全な暮らしを送れるのは、実にこうした事業者の血と汗の努力で成り立っていることを、私たち大阪人は充分認識しなければなりません。
代表質問でも申し上げたとおり、トラックは日本中を走り回っています。
安全や環境を守るためには全国的な取組が必要であり、だからこそ国においてほぼ全会一致で法律もでき、国や府県、中央団体と都道府県協会が役割を分担し、協力しながら取組みを進めているのであります。
大阪府下に投入される中央からの事業費は毎年2億5千万円を超え、これらの事業が府民・事業者に還元されております。ところが本来は府が負担しなければならぬ出損金は、府トラック協会に肩代わりさせ、さらには、事業費との差額は他府県の出損金でまかなわれているとのことであります。
加えて、平成23年度の補助金全額カットによる事業費5億円も協会がかぶっているとのことであります。
それにもかかわらず、大阪府は任を果たさないと言われるのでありますが、こんなことで本当に社会が成り立つと思われるのですか? 
改めて知事の答弁をお伺いします。
Q4)狭小化され過ぎた経済成長問題
 最後に経済成長の問題についてお尋ねします。
さて、経済のグローバル化、ボーダーレス化はますます加速しています。
企業活動にとって今や府県の境界はほとんど意味をもたなくなっています。
この問題については、一昨年の商工労働委員会でも知事に申し上げましたが、2012年に民間調査機関が行った、「大阪の企業の移転調査」では、大阪―東京の転出入より、むしろ近畿圏内での転出入が多いのが実態です。
転入は62%が近畿圏内で移動しています。転出も同じで近畿は54%。
企業の移動は近畿圏内が半数を超えているのです。
たしかに「大阪はバイオ産業、医療産業を世界トップレベルに成長させることを目指すのだ」と言われていることは承知しています。もちろん大阪大学をはじめ、そのためのポテンシャルが大阪にはたくさんありますが、本当にそれだけで解決できるのでしょうか。
ご承知のとおり、万能細胞を発見した小保方さんのいる「理化学研究所」は神戸ですし、また、iPS細胞の山中教授は京都であります。まさに、大阪が世界レベルへの成長を目指そうとするのであれば、行政区界を超えて、京阪神三都で連携をとってこそ実現できるのではないでしょうか。本来、産業振興、経済成長というものは、行政区界を超えて考えるべきものであります。
ところが、知事は、大阪経済の低迷は府市の二重行政に原因があり、その解消が活性化につながるのだと常々、言っておられますが、経済対策を大阪という府県の枠のなかで考えすぎているのではないでしょうか。それは、あまりにも経済の実態を離れた内向き思考・狭小な考えではないかと思います。
時代の本当の要請は、グローバル経済時代に対応する地方政治の変革にあります。大阪という一地域にとどまらず、関西全体をみて、どうやって産業を振興するか、経済成長を実現するかが大事であり、そうした戦略を大阪が先頭に立って打ち出し、大阪再生、関西の再生に結び付けていくということこそが、今、強く求められているのではないかと存じますが、知事はどのようにお考えでしょうか?
まとめ)地方政治は権力闘争の場ではない
 さて、橋下市長はこのたびの出直し選にあたり、「民主主義の権力闘争は選挙だ」と言っておられますが、私はまさにこの「政治は権力闘争だ」というような意識こそが、それぞれの問題を混乱させているのだと思います。
民間と府の関係もそうでありますし、府と市の関係もそうですし、府県と府県の問題もそうだと思います。
議会との関係も結局そこに起因するのではないかと思います。
「地方政治は決して権力闘争の場ではありません。」政治的アピールのためではなく、「大阪の再生、関西の再生という本来の目的のために、いま取り組むべきことに、しっかり取り組んで欲しい」というのが、まさに世論調査にあらわれた、府民の思いではありませんでしょうか?
もう一度原点に帰られ、府政に臨まれることを強く願い、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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