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府議会の報告

平成26年9月定例議会 一般質問

平成26年10月8日
奴井 和幸 議員

1.南海トラフ巨大地震対策【所管:危機管理室、政策企画部】

Q1) 「新・大阪府地震防災アクションプラン」における被害軽減目標の定量化について
 まず、南海トラフ巨大地震対策について、伺います。 大阪府では、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえて修正された「大阪府地域防災計画」に基づき、地震津波対策を強化するため、「新・大阪府地震防災アクションプラン」のたたき台を取りまとめられたと聞いています。
この新プランは、「発災による死者数を限りなくゼロに近づけるとともに経済被害を最小限に抑える」ことを目標として設定され、今後10年間に取り組むべき32のアクションが重点アクションとして位置づけられています。
来るべき南海トラフ巨大地震対策として、具体的に目標を掲げて取り組んでいこうとする姿勢は評価できますが、それで十分だということではありません。
具体的な定量目標を設定してこそ、府民の安全・安心につながると考えます。
そこで、今後、新プランをどのように仕上げていくつもりなのか、危機管理監に伺います。
Q2) 国土強靭化地域計画の策定に向けた今後の進め方について
 昨年、国において、国土強靭化基本法が成立し、基本法の下、今年6月に国土強靭化基本計画(1次)が閣議決定され、国土強靭化アクションプラン2014が公表されました。
これは、政府の地震調査委員会が、今後30年以内に70%の確率で発生すると公表した南海トラフ地震や首都直下型地震、さらには火山噴火等の大規模自然災害等に備えて、脆弱性評価を踏まえた国土強靭化に関する施策の総合的かつ計画的な処方箋となるべきものです。
「強くてしなやかな国土づくり」に向け、従来の「防災」の範囲を超えた広範で総合的な対策を盛り込んだものと認識しています。
さらに、基本計画、アクションプランと合わせて、自治体に対して、国土強靭化地域計画の策定に向けたガイドラインも国から示されたと聞いています。
これらは、都道府県又は市町村が、国土強靭化基本法第13条に基づく計画を策定する際の指針となるものです。
地域住民の生命・財産を守るとともに、安全な地域づくりを通じて、経済成長にも役立てていくものとされており、南海トラフ巨大地震対策に限らず、あらゆる災害リスクに対応しつつ、大阪の成長・発展に取り組んでおられる大阪府にとっても極めて重要な位置づけの取組みになるものと考えます。
そこで、今後、国土強靭地域計画の策定について、府としてどのように進めていこうとされているのか、政策企画部長の所見を伺います。
(要望)
 大阪府においては、昨年発表された南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえ、防潮堤液状化対策、密集市街地対策に強力に取り組んでいこうとされています。 小河副知事の統括の下、府民の安心安全のため、対策を大きく進めようという今回の新アクションプランは大きく評価しますが、取組みを強力に進める上では、国からの強い後押しも不可欠なことから、しっかりとした「国土強靭化地域計画」を策定し、「強くて、しなやかな国土づくり」を目指す大阪府の姿勢を強力にアピールするよう要望しておきます。

2.認知症対策【所管:福祉部】

Q1) 行方不明高齢者対策について
 最近、認知症等が原因で行方不明となっている方の報道が多くなされています。
先日の総務省発表によると、65歳以上の高齢者人口は、3,296万人で、総人口に占める割合は25.9%となり、人口、割合ともに過去最高となりました。
これからの10年間においても高齢者人口が急増することが予測されており、それに比例して認知症の人も増加することが見込まれています。
認知症等が原因で行方不明になった高齢者の多くは、自宅より1キロ圏内で、当日に発見されることが多いと伺っています。
しかし、中には長期間にわたって発見されなかったり、遠方で発見されるケースもあるため、できる限り早く情報を広めることが重要であると考えます。
このため、多くの市町村においては、行方不明者の早期発見のため、行政機関や民間事業者などが参画する「SOSネットワーク」が構築されており、私の地元・堺では「さかい見守りメール」がスタートしました。
これは、認知症高齢者が行方不明になった場合、受信登録した協力者に、行方不明発生情報がメールで送信され、特徴に当てはまる人を発見した場合、警察署に連絡する取組みであります。
メールでの情報発信は、他の市町村ではあまり見られない、先進的なものだと思います。
このような好事例を、大阪府が他市町村へ先駆的な取組みとして情報提供し、府内で広めていくなど、府と市町村が大阪府警察本部と連携を取り、行方不明高齢者対策に積極的に取り組むことが必要であると考えますが、福祉部長の認識を伺います。
Q2) 認知症高齢者の家族に対する相談支援について
 次に、認知症高齢者の家族に対する相談支援について伺います。
認知症は、誰もがなる可能性のある病気です。
そして、認知症になると、記憶の障がいや見当識(けんとうしき)の障がいなど、日常生活に支障が生じ、家族をはじめ、周りの人はショックを受け、とまどい、混乱に陥ります。
また、認知症高齢者を24時間365日抱える家族の介護負担は極めて大きいものがあります。
高齢者虐待被害者の半数以上は、認知症の方だと聞いていますが、認知症に対する理解不足が世間ではまだまだ大きいことから、家族の人の話によりますと、困りごとや悩みごとを相談できる機関があることが、在宅で介護を続ける支えになると伺っています。
身近に相談できる機関としては、各市町村に設置されている地域包括支援センターなども、その役割を担うものと考えますが、大阪府における認知症高齢者や家族からの相談体制について、福祉部長に伺います。
Q3) 認知症に関する府民理解の促進について
 認知症コールセンターの必要性・重要性については理解しましたが、まだまだ認知症の方を抱えて困っているご家族は多いのが現実だと思います。
今回、質問した、認知症による徘徊であるとか、認知症を介護されている家族に対する支援などは、一人でも多くの方が認知症のことを理解していれば、少しでも防ぐことができたり、支えになったりしますが、まだまだ認知症についての理解や認知症施策に対する認識は低いのではないかと思います。
また、自治体の取組みだけでなく、認知症高齢者が行方不明になった時も、衣服や持ち物に名前が書いていれば、発見時に早期の身元特定につながるなど本人や家族にも協力していただける可能性が高まります。
そこで、府政だよりや市町村の広報誌に加えて、スーパー銭湯のテレビバナーなど様々な広報媒体を活用して、多くの府民に認知症や認知症施策を周知すべきと考えますが、福祉部長の所見を伺います。
(要望)
 認知症の人やその家族が暮らしやすい街は、高齢者のみならず、障がい者、子ども、全ての府民にとっても暮らしやすい街であるといえます。
そのためにも、一人でも多くの府民が認知症のことを理解し、地域を支えていく仕組みを作ることが大切です。
また、一部の先進的な市町村では、小学生が認知症サポーターになる「キッズサポーター」の養成に取り組んでいるところもあると聞きます。
認知症を学ぶことをきっかけとして、子どもたちに「思いやりの心」を育む素晴らしい取組みであると思います。
是非、府内の市町村においても、こういった取組みが広がるよう、認知症施策を推進していただきたいと考えます。

3.公的賃貸住宅における空き家対策【所管:住宅まちづくり部】

Q1) 公的賃貸住宅における空き家の状況等について
 次に、公的賃貸住宅における空き家の状況等について伺います。
先日、別の会派からも質問がありましたが、7月末に総務省から公表された「平成25年住宅・土地統計調査」の速報集計結果によると、大阪府においては、住宅戸数が約459万戸のうち空き家数が約68万戸、その内、賃貸用の住宅の空き家が約42万戸と、空き家全体の約3分の2を占める状況となっており、賃貸住宅の空き家問題は、今後の住宅政策を考える上で重要な課題となっています。
大阪府をはじめ公的団体も、府営住宅や府公社賃貸住宅、UR賃貸住宅といった公的賃貸住宅を保有しており、住宅戸数の約1割を占めている現状にあります。
入居可能な空き家については、民間の空き家率と比べて低いと聞いていますが、空き家は地域の活力やコミュニティの低下につながります。
そこでまず、公的賃貸住宅における空き家の状況はどうなっているのでしょうか。また、その空き家を抱える団地に対し、どのような取組みを行っておられるのか、住宅まちづくり部長に伺います。
Q2) 公的賃貸住宅ストック活用に係る地元自治体との連携について
 次に、公的賃貸住宅ストック活用に係る地元自治体との連携について伺います。
公的賃貸住宅では、郊外の交通利便性の低い団地や老朽化している団地では空き家率が高い傾向にあり、各公的団体において取組みがなされていることはわかりました。
先日、テレビの報道番組で、空き家を多く抱える団地の再生事例として、京都府住宅供給公社の堀川団地における再生の取組みが取り上げられていました。
堀川団地は、1階が店舗、2・3階が住居からなる築60年を過ぎた老朽化した集合住宅で、耐震性の問題や、空き家、空き店舗といった課題を抱えていましたが、団地再生にあたり、府公社だけでなく、入居者や地域住民、京都府や京都市などの関係者とともに再生の方向性が検討されてきました。
現在では、地域のまちづくりの中で、住戸のリノベーションや高齢者生活支援施設、地域の交流拠点の整備が行なわれ、団地だけでなく周辺地域も含め、かつての賑わいを取り戻そうとしています。
このように、空き家も含めた公的賃貸住宅ストックを、地域の課題解消や地域力向上につながるよう有効に活用するため、地域の関係者と連携することが重要であると思いますが、住宅まちづくり部長の考えを伺います。
(要望)
 公的賃貸住宅における空き家対策を含めたストック活用の取組みについては、理解しました。
しかしながら、先程もありましたように、今年7月に発表された総務省統計局による「平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)」結果によりますと、全国の総住宅数6,063万戸に占める空き家数は820万戸となり、前回5年前と比べて戸数で63万戸、8.3%増加し、総住宅数に占める割合に当たる空き家率は実に13.5%となり、前回より0.4ポイント上昇して、過去最高になったそうです。空き家数は、この20年間で倍増し、今後もさらに増加する見込みだそうです。
もっとも、空き家が増えても管理が行き届いていれば問題はありませんが、老朽化したものや管理不十分な民間の建物については、自治体を悩ませている課題です。
こうした空き家が増加すれば、防災・防犯上や景観・環境面で多くの問題が生じてきます。
そこで、近年、条例を制定して空き家対策に乗り出す自治体は急増しています。国の調べによれば、防犯、防災、景観、衛生面などの観点から条例を制定し、施行しているのは、今年4月現在で、県と市区町村とを合わせて355の自治体があると聞いていますが、空き家対策をより効果的に行うには、国における立法化の動きが不可欠なことはいうまでもありません。
我が党は、空き家対策について、全国一律のルールを導入するべく、「空家等対策の推進に関する特別措置法案」の国会提出を予定しています。この法案では、老朽化で倒壊する危険があったり、景観や衛生を損なったりしている空き家を「特定空き家」に指定し、市町村が特定空き家の家主に除却や修繕、立ち木の伐採などを指導・助言したり、勧告・命令や行政代執行も可能にするものです。
空き家解消のネックである固定資産税の住宅地優遇の扱いなどは、今後調整が必要ですが、秋の臨時国会への法案提出が予定されています。
大阪府においては、公的賃貸住宅の空き家対策を含めたストック活用の取組みを今後一層進めていただくとともに、国などにおけるこうした動きを受け、民間住宅の空き家対策についてもより一層取り組んでいくよう要望します。

4.子ども・子育て支援新制度【所管:府民文化部】

Q1) 施設型給付に対する財政支援の実施について
 次に、子ども・子育て支援新制度に係る「施設型給付」に対する財政支援の実施について伺います。
子ども・子育て支援新制度が平成27年度からスタートします。
新制度の新たな給付制度である「施設型給付」の水準等が公表された後、府内の私立幼稚園に対して意向調査が実施されました。
その結果、来年度に新制度に移行する園が少ないことがわかりました。
新制度に移行する園が少ない主な理由として、「施設型給付」の水準が十分でないことや、利用者負担額等の詳細が明らかになっていないことがあると聞いています。
そこで、私立幼稚園が新制度へ円滑に移行するため、とりわけ「施設型給付」については、従前の水準が維持できるよう、府として、市町村と連携して財政支援を実施すべきと考えますがいかがでしょうか、府民文化部長に伺います。
Q2) 施設型給付に対する財政支援の実施について
 最後に、新制度導入に向けた市町村支援について伺います。
新制度の下、私立幼稚園が認定子ども園に移行するためには、施設型給付の水準が十分なものとなることがまずもって重要なことですが、これまで大阪府との関わりが深かった私立幼稚園は、新制度の実施主体となる市町村との関係に不安を抱いている園が多いと聞いています。
特に個々の幼稚園は、建学の精神に基づき、特色ある幼稚園教育を実践してきておられます。
新制度に移行すると、市町村から画一的な教育環境を強いられ、これまでに培ってきた特色ある教育ができなくなるのではないかと危惧されている園関係者もおられます。
新制度の下で、私立幼稚園がこれまでに培ってこられた特色ある幼時教育を発揮してもらうためにも、私立幼稚園に対する経験豊かな指導・監督のノウハウを有する大阪府が、そのノウハウを市町村にしっかりと伝えていく必要があると思います。
こういった私立幼稚園の不安に答えるため、府として、これまで市町村に対し、どのような支援を行ってこられたのか、また今後、どうしていこうとされているのか、府民文化部長に伺います。
(要望)
 以上申し上げた通り、来年4月から子ども・子育て支援新制度がスタートするにもかかわらず、「施設型給付」の給付額が十分でなかったり、新制度の実施主体となる市町村との関わり方に不安感があるなどの理由から、私立幼稚園にとっては、新制度に移行したくても、中々出来ないという状況にあります。
こうした状況を打破し、私立幼稚園から新制度への移行を促進していくためには、「施設型給付」の給付額について、現行の水準を確保できるよう、国に要望するだけではなく、府として上乗せ補助する制度を創設することも一つだと思います。
そうすれば、安心して新制度に移行する私立幼稚園が増えるのではないかと思います。
また、先般、認定こども園の3歳児の学級編成基準について、これまで25人以下としてきたものを35人以下とする案が2回目のパブリックコメントで示されました。
ただでさえ幼稚園教諭は、クラス担任の重責が指摘され、早期に退職したり、就職をためらう方が多く、人材を確保することが困難な状況と聞いております。
仮に園運営の効率化の観点から、3歳児クラスを35人で運営する園が出てきた場合、クラス担任としての重荷は今より増えることとなり、人材確保がさらに難しくなることを指摘しておきます。
最後に、私立幼稚園が新制度に円滑に移行できるよう、府として、私立幼稚園並びに新制度の実施主体となる市町村に対し、きめ細かく対応してもらうことはもとより、私立幼稚園が、その特色ある教育活動を継続できるよう、新制度に円滑に移行できるまでの間、経常費補助金、大阪スマイル・チャイルド事業並びにキンダーカウンセラー事業など府が実施している私学助成についてもしっかり維持することを要望します。

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