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府議会の報告

平成27年2月定例議会 代表質問

平成27年2月27日
花谷 充愉 議員

Ⅰ 大阪にふさわしい大都市制度について

(1)特別区設置協定書案の内容についての改めての確認
 松井知事と橋下市長が「大阪市廃止・分割構想」について、語ってこられた意義や必要性は、論拠が消失しています。
当初、大阪府と大阪市との二重行政を解消し、無駄を排除することによって、単年度で4,000億円の財源を捻出し、そのお金を集中投資して大阪の成長のために使い景気を良くする、そして特別区は、人口が20万から30万人までの規模とする、というものであったと理解しています。
しかし、大都市制度の見直しに伴う効果額は、殆ど出ないことが明らかになりました。さらに堺市の80万人が大きいので、3つに分割すると言ってこられたのに、特別区の人口も、大きいところでは70万人程度の規模になっています。
市長自身、「大阪市廃止・分割構想」は、単なる組織論であって、この構想が実現したからといって大阪の経済が良くなる訳でなく、この構想と大阪経済との間に因果関係がないことを認めておられます。
知事も、この構想が実現すれば、毎年4,000億円もの巨額の経済効果を生み出すなどと言いながら、その後、この数字が希望額に過ぎなかったことを認めておられます。
我が会派は、「財政問題」や「職員体制」「効果額」、特別区の受け持つ事務と「一部事務組合」との関係などについて、様々な課題があることを指摘して議論を深めてきましたが、この結果、この構想が実現しても、4,000億円の効果がないだけでなく、特別区のイニシャルコスト、ランニングコストに膨大な経費を要することなど、多くの課題があることを明らかにすることができました。
知事・市長は、「大阪市廃止・分割構想」を実現しなければ、これまでの府と市の施設投資など、いわゆる二重行政と決めつけているものの無駄がなくならないようなミスリードを重ねてこられました。
仮に大阪市を廃止・分割しても、これまでの無駄な投資が戻ってくることはないにもかかわらず、大阪市を解体して特別区に再編すれば、府市の二重行政の無駄がなくなるかのように言うのは、大都市制度と過去の政策の失敗を無理やり繋げるすり替えです。
改めて大阪市を廃止して5つの特別区を設置する目的・意義と、その必要性について知事に伺います。
<説明資料1>・・・「府内水道事業」
<説明資料2>・・・「大阪市・負の遺産 負債残高」
(2)特別区の設置に伴い起こる問題点
 今度は、特別区の設置に伴って生じる様々な問題点について質問します。
住民にとって最も身近でわかりやすい点について、まず質問させていただきます。
あくまで前提としてですが、仮に特別区となった場合、住民・事業者にとって住所変更のお知らせや封筒などの印刷費用等がかかりますが、どれくらいの費用になると試算しておられるのか、その費用は誰が負担しなければならないのか、これらについて併せて大都市局理事よりご説明をお願いします。
(3)住民投票についての質問
 「大阪市廃止・分割構想」の民意を問うため、5月17日の実施が予定されている、大阪市民対象の住民投票について、市民から非常にわかりにくいという声をよく耳にします。実施する以上、きちっと詳細を市民に知らせる必要があります。
そこで、住民投票では、選挙活動に関して禁止・制限事項の制約を受けることになると思いますが、今回の住民投票は、公職選挙法など法律の規定に基づき、どのような仕組みの下で実施しようとしておられるのか、投票用紙への記載方法はどうなるのか、運動にどのような制限があるのかなど、明らかにしていただきたいと思います。
また、今回、市民の関心は高いとの報道がありましたが、住民投票は、一定の投票数がなくても、低い投票率でも成立するものなのかどうか、大都市局理事よりご説明をお願いします。
(4)改めて「大阪戦略調整会議」と「総合区」導入の提案
 これまでの議論で明らかになったことは、知事・市長が究極の二重行政とされていたWTCビルとゲートタワービルなどの施設、さらには病院・研究所などAB項目などは、大阪市を廃止し特別区を設置しても、大阪府と特別区の間に発生する可能性があり、根本的な解決策にならないことです。
つまり大阪市廃止分割構想が、府と市の間で、二重行政を二度と作らない究極の大都市制度だとの宣伝は、有権者をだますことになります。
続いて、意思決定の複雑化を説明します。
<説明資料3>・・・「新たな大都市制度への移行(イメージ)」
 左の図は、現在の大阪市の事務をイメージ化したものです。これら4兆円近くの事務を、現在は大阪市議会で一元的に決定しています。そして、右の図は、特別区に分割した時の事務のイメージです。1兆5千億円の事務が大阪府議会で審議されます。約1兆4千億円の事務が5つの特別区で審議されます。さらに約6千億円の事務が一部事務組合で審議されます。合計7つの意思決定機関に分けられるのです。さらに、府と特別区と一部事務組合の間の財政調整が都区協議会で議論されます。合計で8個の意思決定が相互にリンクし複雑化するのです。
広域行政の一元化についても、法定協議会で、IRなどを誘致する場合、誘致先の特別区の区長と議会が了承しない場合どうするのかとの質問に、橋下市長は答えられず、知事はその場合、違う首長と相談すると答えられました。つまり一元化できないと私は論破したと思っています。つまり指揮官は一人にならないのです。
さらには、住民投票で大阪市の廃止が決まってから特別区の設置までの二年間、府庁も大阪市役所も特別区の移行のための仕事で手一杯になり、大阪で一番大切な経済対策、成長戦略が停滞しないか心配です。
安倍総理が答弁しているように、二重行政の無駄の解消と住民自治の拡充という目的は重要で意義のあるものだと、私たちも認識しています。
ですから私たち自民党は、危険なギャンブルをすることなく、その目的を達成するために、大阪会議と総合区を提案しています。
<説明資料4>・・・「新しい大都市制度の基本的な考え方の違い」
 大阪市廃止案では、広域行政の一元化については、大阪市解体し堺市は不参加のまま大阪府に移管されますが、自民党案では大阪会議のもと、大阪府、大阪市、堺市が参加し、さらには関係市町村も参加し戦略を一本化します。
また、財政調整などを協議する都区協議会も自民案では不要ですし、一部事務組合も不要です。余分な意思決定の機関は増えません。
基礎行政においては、府県並みの権限を持つ大阪市長のもと、現在の区長よりも大きな権限を与える総合区長とし、区民が投票で区長を決めることも提案しています。
これにより、コストも混乱もなく、大阪市を廃止分割することもなく、二重行政の無駄の解消と住民自治の拡充という目的をはたすことができると同時に、間断なく大阪の成長戦略、景気対策を打って行けるのです。
これが大阪にふさわしい大都市制度であると考えます。
以上提案して、次の質問に入ります。

Ⅱ 橋下・松井府政の検証について

 それでは、この6年間の橋下・松井府政が一体どんなものであったのか検証させていただきます。
ずは、その前段として、知事重点事業の問題点について、まとめて質問します。
1.知事重点事業の検証について
(1)「クールジャパンフロントのまちづくり事業」。
「クールジャパンフロントのまちづくり事業」について、昨年10月16日から1週間ほどの期間をかけて、開発運営事業者の公募が行われたものの、応募する企業が一件もなかったと報道されていました。
この事業について、応募がなかった理由は、何であったと分析しておられるのか、また、公募方法に課題がなかったのかどうか、さらに、今後、どうしていくおつもりなのか、お示しいただきたいと思います。
(2)「国際医療交流の拠点づくり事業」
次に「国際医療交流の拠点づくり事業」について、平成24年度と25年度の2年間、予算執行は頓挫し、その後、「国際交流」や「観光促進」の機能は事業目的から外され、核となる施設も42床の病院から19床の診療所となって海外旅客を対象とする施設構想は、計画から大きく外れることにより、事業規模が120億円から29億円へと約4分の1に大幅に縮小されています。
このように事業規模も縮小されているにもかかわらず、事業継続に固執するのはおかしいのではないでしょうか。これ以上、事業展開はないと理解しますが、いかがでしょうか。
(3)小・中学校の学力向上策(学力向上重点校支援プロジェクト事業、学力向上プロジェクト支援事業)
次に小・中学校の学力向上策について、最近の学力調査結果をみますと、平均正答率において一部改善があったものの、全国水準との差が拡大したものや、無解答率においても改善が認められないものがあるなど、かなり厳しい評価が下されており、思うような成果は上がっていません。
この間、学校給食事業に債務負担行為で約246億円、また、私学には無償化をはじめとする事業に約2,200億円以上の多額の税金が投入されてきましたが、一方、緊急学力向上対策事業としては、平成20年度約3,000万円、その後累計で約10億円の対策が執られてきましたが、果たして本当に学力向上のための対策が図られてきたのか、甚だ疑問です。この問題を、どう受け止められ、どうしようとされるのか、事業検証を含めたご説明をお願いします。
(4)「使える英語プロジェクト」
次に「使える英語プロジェクト」について、3年間の期限で始められたこの事業では、高校での取組みの成果が出ていないばかりか、小・中学校の実績も芳しくありません。
約5億円近い税金を投入した割に実績・成果が出ておらず、平成26年度からは、別事業に衣替えをして実施しているようですが、事業継続を決める前、3年間の取組みの検証結果について説明責任をきちっと果たされたのかどうか、また、この事業成果を府民に納得のいくように説明できるのでしょうか。
(5)「太陽光パネルの設置に係る初期費用軽減のための融資事業」
次に「太陽光パネルの設置に係る初期費用軽減のための融資事業」についてでありますが、過去2年間の実績は目標の半分も届いていない現状にあります。
償還期間を10年以内とし、融資金利が1%で、償還期間を通して固定金利とする事業であるにもかかわらず、実績が目標値を大幅に下回る結果となっています。
実績が低い原因は一体何なのか、また、今後どのようにしようとしておられるのか、以上、採り上げた5つの知事重点事業について、知事よりまとめて、ご答弁をお願いします。
2.公務員改革と大阪府教育の検証について
○人件費の削減と教職人材の確保
まずは、人件費の削減と教職人材の確保の問題について伺います。
大阪府では教職人材の確保が真に憂うべき状態にあります。
平成26年度公立学校教員採用選考試験の全体倍率を見ますと、全国平均は5.7倍、近畿各府県も5.1倍から6.2倍となっているのに比べて、大阪府だけは4.5倍と低くなっています。
中学校教員は、特に低く、兵庫県5.8倍、奈良県6.6倍となっているのに対して、大阪府は4.2倍と大きく差がついています。
給与が全国最低レベルであることに加えて、課題を抱えたいわゆるしんどい学校も多く、さらに次々と新しい試みが行われ、報告や資料作りなどの事務量が増大し負担が増え、管理職になることにも希望が感じられないなどの情報が広く伝わって、敢えて大阪府を避ける傾向が明らかになっています。
さらに大阪府の教員が中途退職して他府県に流出している実態もあります。
知事が進めてこられた公務員改革、教育改革の結果、大阪の教育は根底で大きく崩れようとしています。
府教委では、筆記テストを免除したり、大学2年生・3年生にまで手を広げて青田買いとも言える小手先の取組みを行うこととしておられますが、なぜ大阪府に人気がないのか、その本質的な問題解決に取り組まない限り、最終的に優秀な人材を確保することはできません。
教職人材の確保は、今、由々しき事態を迎えたままの状態にあると考えますが、知事の見解を伺います。
3.人事・組織に関する課題検証について
(1)公募制度と実態のかい離のひどさ
次に、鳴り物入りで知事の看板政策として始まった部長公募制度・校長公募制度についてでありますが、今や惨憺たる状態にあります。
知事が自信満々に任命された前商工労働部長が、女性職員に対し、いわゆるセクハラを起こし、懲戒処分を受け、自主退職をした事件がありました。知事は、任命責任があるにもかかわらず、全く責任を取られませんでした。
この件は、本人の人格の問題と片付けられてしまっていますが、本当にそれだけなのでしょうか?
この部長の経歴は、証券会社のセールスマンから始まり、公募で中学校校長を務め、その後、次にまた公募で国の独立行政法人の労働団体の理事を務め、またまた公募により大阪府の商工労働部長を務めることになりました。
およそその職歴からも、経済政策のエキスパートでもありませんし、マクロの経済に精通しているとは到底うかがえません。府の商工労働部長といえば、国では経済産業大臣です。職務の重さは計り知れません。結局、ジレンマを起こしたその部長が結果的にとんでもない事件を起こしたことは先に述べたとおりであります。大阪を再生するという知事が、政策の肝中の肝の人選にこんな疎漏な人選しかできぬとはあきれてものが言えません。
「制度が悪いのではない、運用が悪いのだ」と開き直っておられますが、運用しているのは誰ですか?採用決定したのは誰ですか?
また、昨年、府教育委員会に採用された府立高校の公募校長が、大阪市内のスーパーマーケットで万引きをして懲戒免職となるという事件や大阪市でも公募区長や公募校長の不祥事が続発しています。
府では、「公募制度の今後の方向性について」をとりまとめ、採用試験の見直しも行っておられるようですが、実際には、福祉部長も健康医療部長も住宅まちづくり部長も皆、国や府の職員を任用しているのが実態です。
役人ではいかん、民間から人材を登用するのだということではなかったのですか?
問題の目立つ公募制度をこれ以上続ける理由は全くないと思います。直ちに廃止も含めた検討をすべきと考えますが、知事に伺います。
(2)観光局のあり方と府の責任
次に、観光局のあり方と府の責任についてでありますが、そもそも観光局の設立にあたって、我が党は、「観光局」という、まるで行政の組織であるかのような名称を使いながら、行政の組織ではなく、また、協会事業といいながら権限と責任の二重構造になった極めて不明確な位置づけの観光局事業に当初から懸念と疑義を申し上げてまいりました。
このたび、観光局の事業の失敗が判明しましたが、観光局長の辞任と監査委員からの指摘による協会のガバナンス改革で問題を処理されようとしています。
しかし、問題の本質は、もっと別のところにあります。
そもそもこの仕組みを作ったのは誰ですか?さらに、この間、事業運営にあたっても、府の適切な対応があったとは到底いえず、それにもかかわらず、府の責任には全く言及されていません。
この問題の背景には「民間の発想で自由な取組みを」という知事の極めてラフな対応が当事者に必要以上の自由度を錯覚させ、また、到底民間ではありえない不明確な責任体制から必然的に引き起こされたということをしっかり認識すべきです。知事は、自らの責任を含めてどのように考えておられるのか、ご説明願います。
(3)教育長によるパワハラ問題について
次に、今月20日、中原教育長のパワハラ問題を調査する第三者調査チームの報告書が明らかにされました。
報告書では、権力を嵩に来て、暴言を吐き、威嚇をし、自分の意に沿わせるということが何度も起こっているということであり、これはまさに本人の人格から起こったということを如実に示しており、これは正に常習的な行為です。さらに驚いたことは、その後の対応です。
これほどの大問題を起こしながら、「反省はするが、職務は続けたい、進退は知事の判断にゆだねる」というのです。
知事は知事で、驚いたことに「罷免の要件にはあたらない。反省して、また、しっかり仕事をすればいい」と、まるで事の重大さをわきまえず、何の問題もないかのような無責任な発言をし、およそ一般社会の常識では考えられないことを記者会見で述べておられます。
昨日の答弁には、唖然とさせられました。
「一体、大阪は、どないなってるんや!」との声が多数寄せられています。教育長、並びに知事の責任ある答弁を求めます。
また、教育委員長は、一般職としての教育長としての処分は改めて行うと言っておられますが、どうされるおつもりなのか、さらに、教育長の暴言により退職までした職員がいるとのことですが、職員の名誉回復をどうされるおつもりなのか、教育委員長のご答弁を求めます。
(4)特別顧問・参与制度のご都合主義
⇒時間の都合により、所管の常任委員会で質問予定。
4.筋の通らぬ私立学校助成制度と府立中高一貫校の開設
○課題を残したままの私立高校学校助成制度の見直し
このたび、公務員給与の回復措置に伴い、私立高等学校の経常費助成の2%カットを回復し、国基準の経常費助成に戻すことを決定されたが、私立小・中学校に対する15%カット、金額にして12億円の助成削減は依然続けられるとのことです。
知事は、このたびの私学助成制度の見直しに当たって、私学に通う複数生徒の家庭には新たな授業料軽減政策を導入されることを表明されました。国の高校生修学支援基金事業の終了と、このたびの見直しによって、新たに一般財源の持出しが32億円増えるとのことです。
そして、このたびの制度見直しによって、平成28年度には204億円の巨額の財源を必要としますが、府の財政状況で今後安定して継続できるのか、また、この制度見直しは3か年ということですが、いったい3か年という期限は、どういう根拠で決められたのか、先ずお尋ねします。さらに、昨年の9月議会で検討すると表明された、いわゆるキャップ制については、何ら改善が見られませんが、どのようになったのか、知事にお答え願いたいと存じます。
さらに不可思議なことは、府立の中高一貫校の新設です。大阪府と大阪市との間でそれぞれ広域行政と基礎行政の役割分担があると言っておられたことからすれば、府が中高一貫校を設置することは、全く意味不明です。
さらに、「南河内の振興のために」といいながら「府下全域から生徒を募集する」とのことですが、「公立学校は地域で」という政策も破綻してしまっています。さらに教育委員会では、今後希望があれば追加することも排除しないと言っています。
「財源がないから」という理屈も、「義務教育は地域へ」という理屈もみんななくなってしまいましたが、それでも経常費カットを続ける理由を示してください。私学助成は、選択の機会の保障と質の確保が担保されて初めて成り立っていることをしっかりと認識すべきです。知事のご答弁を求めます。
また、府立の中高一貫校の新設は、今後、これまでの府教育委員会と市教育委員会との役割分担を変えるということになりますが、どのように考えておられるのか、教育長に伺います。
5.運輸事業振興助成補助金と自動車排ガス対策の役割について
○運輸事業振興助成補助金制度の意義
次に、運輸事業振興助成補助金の問題について、平成27年度予算案を拝見しますと、次年度の補助金について若干の進展をみたようですが、課題である中央出損金については、担当部局の予算要望にもかかわらず、結局、ゼロ査定に終わったようです。
この中央出損金事業は、運輸事業振興助成制度の核ともいえる事業で、全国で一体的に環境・交通安全対策を推進しようとする重要な事業です。
ところが、平成21年、当時の橋下知事は、突然、交付金事業は団体補助、交付税措置も一般財源、一般財源の使い道を決めるのは地方と主張され、平成23年度には補助金事業をすべてカットされ、その差金は、平成23年度で約5億円、すべて事業者団体の負担に負い被されることになってしまいました。
平成23年、この補助金の意義と全国一体的な取組みを求める法律が成立し、ことの理不尽さに気がつかれた松井知事は、平成24年度より大阪府下の直接事業については予算計上されることになりましたが、中央出損金事業については、全国都道府県で唯一、補助認定しないという状態が続いています。
これまで事業者団体が負担してきた事業費は17億円もの多額にのぼり、一団体が負担する限界ははるかに過ぎ去っています。一体知事は、この事態をどのように考えておられるのでしょうか?答弁を求めます。
6.先行的に取り組む広域的な新規・拡充事業について
○先行的広域事業に対する大阪府の関与
府は、このたび、大阪にふさわしい大都市制度を目指し、知事と大阪市長の共同歩調のもと、うめきた2期開発や新しい美術館の整備など先行的な取組みを始めた広域的な新規・拡充事業で、広域行政体として責任をもって関与することにしたと聞いています。
我が会派は、大阪市立支援学校の移管に際し、大阪市との間での財源移管を巡る協議、すなわち宝くじ収益金の配分割合見直しをするよう指摘してきましたが、ようやく協議が整い、府に20億円の財源が入っていることが決まったものの、今回の提案で知事は、悪乗りしているようにしか見えません。
今回、宝くじ収益金の配分割合の見直しと府の広域事業への関与、財源の負担決定は、セットで協定が交わされているようですが、これは、これからの府の関与はこの20億円の財源の枠内で進めるということなのか、それとも新たな財源の持出しが必要とされるのか、また、必要とされるのであれば、今後どれぐらいの財源の持出しが想定されるのか、協定締結にあたって、知事としての判断をどのようにされたのか、併せてお伺いします。

Ⅲ よりよき府政を目指しての提言<8分間>

 次に、本来あるべき府政の展開のためには、「何よりも政策は個々に独立したものでなく、相互に連関したものであり、相互の補完関係をしっかり担保した政策遂行があって初めて効果を発揮するものである」というのが私たちの基本的な考え方であり、こうした基本的な認識をもとに主要な府政課題についての提言を行います。
1.元気なまちづくりのために
(1)関西全体をにらんだ「成長戦略」の策定
経済のグローバル化、ボーダーレス化の進展はますます加速化し、企業活動にとって今や府県の境界は、殆ど意味を持たなくなっています。
ところが、知事は、大阪の成長戦略が何よりも大事だと言いながら、経済対策を大阪という府県の枠の中でしか考えていないようにしか見えません。
経済の実態を離れた、内向き思考で経済の活性化を図ることは、到底、実現不可能です。
時代の要請は、グローバル経済時代に対応する地方政治の変革にあります。
大阪という一地域にとどまらず、関西全体をみて、どうやって産業を振興するか、経済成長を実現するかを考えることが大事であり、そうした戦略を大阪が先頭に立って打ち出し、関西各府県と協調連携し、大阪再生、関西の再生に結び付けていくということこそが、今、強く求められていると思いますが、知事のお考えを伺います。
(2)リニア新幹線の名古屋・大阪同時開業の促進
次に、リニア新幹線についてでありますが、品川・名古屋間の先行開業に合わせ、もし名古屋・大阪間の同時開業が実現しない場合、東京・名古屋で形成される新たな経済圏から大阪は確実に取り残され、国家の競争力の観点からも大きなマイナスが生じることは目に見えており、まさに大阪の死活にかかわる大問題です。
このことから、我が党大阪府連では、率先して全線同時開業に向けた問題に取り組んでいますが、同時開業実現に向け、府として、どのように取り組んでいかれるのか、知事に伺います。
(3)まちおこしを兼ねた商店街振興
商店街は、地域における安心・安全の実現、高齢者や子育て世帯の支援など、様々な公民サービスの供給拠点としての役割を果たしており、地域コミュニティを支える重要な存在でもあります。
ところが、平成24年度の商店街振興に係る他府県予算額を当初ベースでみても、東京都では約42億円、福岡県では約5億円、愛知県でも約2億円であるのに、大阪府では僅か3,000万円に過ぎません。
大阪府は、市長村との役割分担と言って、市町村に責任を押し付けていますが、もっと主体的にまちおこしを兼ねた商店街振興に取り組むべきと考えます。商工労働部長のご所見を伺います。
(4)百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録に向けて
堺市や、羽曳野市、藤井寺市にまたがる百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録事業について、大阪に世界遺産が誕生すれば、大阪の多様で層の厚い都市魅力を国内外に発信できるチャンスとなります。
登録実現に向け、現在、どのような手続きが進められているのか、また来年度以降、府として、地元と一体となってどのような取組みを進めるお考えなのか、さらに、登録実現に対する府民文化部長の意気込みを併せて伺います。
2.安全なまちづくりのために
(1)地震・津波対策
府では、南海トラフ巨大地震対策に備えて、神崎川筋や木津川など危険性の高い地帯に対する液状化対策に取り組んでおられますが、防潮堤、鉄扉の耐震補強整備については、一日も早い完成が望まれていることを改めて指摘しておきます。
整備完了までの残り期間の前倒しにより一日も早く安全な状態を提供できるようすべきと考えますが、都市整備部長に伺います。
また、「新・大阪府防災アクションプラン(案)」では、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた新たな備蓄方針は平成27年度に策定するとしておられますが、取組みにスピード感が求められています。府民自らの努力も必要ですが、被災時の府民のセーフティネットとして、府民の安心安全に繋げるため、一刻も早く新たな備蓄方針を策定し、計画的な備蓄を実施すべきと思いますが、危機管理監に伺います。
(2)治水対策
府は、橋下知事時代の平成22年度、治水対策の見直しを行われました。このとき、府内一律といいつつ、特に槇尾川だけを取り上げて見直しを行い、ダムではなく河川改修に方針転換をされました。
近年、全国でゲリラ豪雨が多発している状況も踏まえ、改めて専門家の意見を聞くなど槇尾川の治水対策について、当時のダムから河川改修への政策変更も踏まえて検証すべきであるとともに、府全体の治水対策について改めて検証すべきと考えますがどうでしょうか、知事に伺います。
3.健全な教育の回復のために
(1)教育行政評価審議会の機能強化による普遍的な教育行政の確立を
現在、教育委員会制度の改革と首長の教育への関与が議論されていますが、広範な教育施策と膨大な学校現場を抱え、教育委員、ならびに教育委員会事務局の機能を考えますと、それを客観的に点検チェックする機関の責任と重要度は極めて高いものがあります。特に、現在の大阪府の教育行政を見るとき、先に述べたように問題が山積みとなっています。
議会のチェック機能もありますが、やはりその前に専門的なチェック機能をどう担保するかということは、教育の質の向上と中立性の確保、健全な教育行政推進のためには不可欠なものです。
そのためにこそ、教育行政評価審議会の役割を根本的に見直さなければならないと思いますが、教育委員長の認識を伺います。
(2)何でも競争で片付ける教育から、人間性を真に高める教育への転換
今や大阪府の教育は競争、競争のオンパレードです。子どもたちの競争から教員の競争まで、競争が社会の根本原理のような教育行政が展開されています。
本当にそれが正しいのでしょうか?
学校は、もとより学力を高める場です。学力を高めるための教育を進めることは、教育行政の基本です。そのための施策を推進することは当然のことです。しかし、より強く求められていることは、高い人間性を培う自立した健全な社会人を育成することです。すなわち、学力と人間形成の二つの課題に対応しえて始めて本来の教育であるといえます。
入試改革をはじめ、今の教育改革で果たして本当にそのことが保全されているのでしょうか?もっと教育の本質を見極め、何でも競争で片づける教育から真に人間性を高める教育への転換が必要だと思いますが、教育委員長のご見解を伺います。

Ⅳ 結語

<説明資料5>・・・「大阪府のワースト記録」
 最後に、これは大阪のワースト記録をまとめた一覧表です。
インターネット上に掲載されているものなどをもとに抽出したものですが、校内暴力件数、人口千人当たりの刑法犯認知件数や殺人事件被害者数、窃盗犯認知件数は全国で最多であり、大阪が不名誉な記録を持っていることを表したものです。
これら各種統計に表れた大阪府の憂慮すべき実態とその課題解決のための本来あるべき府政の役割をパフォーマンスではなく、真摯に地道に実行する府政を取り戻す必要があります。
何でも賛成か反対、○か×で答えを求め、対立で解決しようとする府政でなく、みんなの力を結集する「協調の府政」を造り上げることを切に願って、今議会の代表質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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