トップページ > 府議会の報告 > 質問・答弁(27年) > 平成27年2月定例会 教育常任委員会 意見開陳

府議会の報告

平成27年2月定例会 教育常任委員会 意見開陳

平成27年3月17日

 自由民主党大阪府議会議員団の 酒井 豊 でございます。
採決に先立ちまして、本委員会に付託されております諸議案等について、我が会派の意見と態度を表明させていただきます。
今議会の教育常任委員会は、まさに異例の事態の続出でありました。前議会の認定こども園条例案の改正の経過も異常でありましたが、その間の教育委員の意見取りまとめにあたって、あろうことか大阪府教育長という教育行政のトップにある人が威嚇的発言によって委員会の意思形成を行おうとしたいわゆるパワハラ問題が明らかになりましたが、その後、弁護士による第三者調査チームによって、さらに驚くべきことには、教育委員会事務局職員への威嚇行為が常習的に行われていたことが報告されました。
教育委員会のみならず大阪府全体を見ても、前代未聞の出来事でありましたが、加えて驚くべきことには、中原教育長自身が、自ら、その非の重さすらわきまえず、職に居座りを続けようとし、さらに、それを松井知事が容認する発言を繰り返してきたことであります。
一般社会をはじめ、議会や市町村教育界からの厳しい声を受け、ようやく教育常任委員会一般質問最終日、中原教育長は辞任することになりましたが、さらに続く13日の知事質問後の、陰山教育委員長の辞任の表明は、まさに晴天の霹靂でありました。これが三顧の礼で迎えた人への仕打ちかなと思うと、あまりにも無残な最期であります。
この数年の大阪の教育行政は、混乱に混乱を重ねてきました。大阪の教育を支える根幹である教職員や教員希望者は、大阪から心を失わせ、今や、大阪の教員試験受験率は全国で最低レベルとなっています。
あれほど非常事態と叫んだ学力の回復も遅々として進まず、度重なる高校受験制度の変更には、子どもたちからも保護者からも、強い不安と不信の声が寄せられています。
このことからも、橋下・松井知事による教育改革なるものが、実は如何に拙劣であり、また社会の実態を反映しえなかったものであったかということが明白であり、今回の教育長のパワハラ問題も、まさにその代表事例のひとつでありました。
この際、知事ならびに関係者は深く反省され、改めて、「大阪の教育が、本当に大阪の子どもたちの将来に責任を持った普遍的な教育に」回復されるよう、「教育行政の正常化」を強く求めておきます。
次に、上程されている諸議案に対するわが党の見解と態度を表明します。
まず、第1号議案「平成27年度大阪府一般会計予算の件中、関係条項」のうち、私学助成につき私立高等学校等授業料支援制度の見直し案が示されています。
今回の見直し案の骨格は従来の支援制度の継続と年収590万円以上800万円未満の世帯の負担額の改定と多子世帯の支援制度の創設となっていますが、委員会審議でも指摘したとおり、その内容は、いわゆる逆転現象を伴うものであり、充分、家庭負担の実態に応えたものとはなっておらず、わが党が昨年より強く要望してきた、もっと科学的な調査に基づいた支援制度の構築の理念からは随分外れた制度構築手法となっています。
さらに、かねて課題のキャップ制の問題についても踏み込むことを避けた制度設計になっており、今後、これらの課題解決や時期の問題、さらに安定的な制度推進の問題を含め、しっかりと見直し案の検証をされるよう強く要望しておきます。
次に、私立学校経常費助成制度についてでありますが、公務員給与の回復措置に伴い、高等学校の経常費助成の2%カットが回復され、従来ルールの補助単価に戻される一方、私立の小・中学校に対する15%カットはあくまでも継続すると表明されています。
経常費と授業料支援は私学助成の車の両輪です。いくら高等学校の授業料無償化を進めても、子どもたちの志望する私学の質が低下してしまっては何の意味もありません。知事には改めて私学助成制度の根本原理を理解され、速やかに15%カットを廃止されるよう強く求めておきます。
この件に関し、併せて申し上げておきたいのは府立中高一貫校の創設問題であります。
知事は「私学の小中の15%カットの理由に公立学校の受け皿がある」というのが、これまでの主張であり、私学を選択するのは保護者や子どもの勝手といってきましたが、このたび、府教委で、其の勝手な選択を府自身が選択するという極めて不可解な府立中高一貫校の設立が突如提案されています。府教委と市教委の役割分担にも、また、今後の位置づけについても全く議論されることなく地元の希望があるからとの理由で突如浮上してきた案であります。
その一方では、保護者や学校関係者の熱い思いには、一顧だにされることなく、学校再編整備事業が進められようとしていますが、この二つの違った判断を、一体どこで整合性がとられているのか、はなはだ不可思議であります。
府立中高一貫校および府立2高等学校の廃校問題については、今回の議決をもって終わったものでなく、わが党としては、今後とも、しっかりと確認と検証作業を続けてまいることを付言しておきます。
最後に、子ども・子育て支援新制度移行支援事業について申し上げます。
今回の私立幼稚園預かり保育時間延長促進事業助成(大阪スマイル・チャイルド事業)の子ども・子育て支援新制度移行支援事業への衣替えは、今までの私立幼稚園と府との信頼関係を打ち壊す暴挙であります。国においても、認定こども園への移行と私学助成の幼稚園の存続を前提に、よりよき子ども子育て支援制度の推進を模索している中、移行を支援するためと言いながら、実際には移行を表明しない園に対するペナルティを課すような今回の制度組み換えは、子育て支援制度推進の理念そのものを破壊する行為であり、断じて認めるわけにはいきません。
府が、今なすべきことは、まずは認定こども園への移行がスムーズに進むようしっかりと環境の整備を図ることであり、同時に、府の方針に基づき、現在「預かり保育」を利用している子どもたちをしっかりサポートすることであります。
よって、本議案については、この趣旨を踏まえた修正を強く望むものであり、知事から提出された訂正案には、これらの課題に全く応えていないため、反対を表明するものであります。
以上、本委員会に付託されている第1号議案「平成27年度大阪府一般会計予算の件中、関係条項」のうち預かり保育助成事業については修正を求めるものであり、第132号議案「大阪府学校条例一部改正の件」には付帯決議をつけ、その他、請願第53号から第55号、請願第57号の第1項から第6項まで、請願第58号第1項を除いて、「賛成」であることを表明し、我が会派の意見開陳といたします。御清聴ありがとうございました。

関連サイト

page top