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府議会の報告

平成27年2月定例会 総務常任委員会 意見開陳

平成27年3月17日

 自由民主党大阪府議会議員団の 栗原 貴子 でございます。
採決に先立ちまして、本委員会に付託されております、諸議案等について、我が会派の意見と態度を表明させていただきます。
まず、第1号議案「平成27年度大阪府一般会計予算の件中、関係条項」には、このたび知事と大阪市長が交わした覚書により先行的に取り組む広域的な新規・拡充事業に関する事業費が含まれています。
先日の我が会派の代表質問において、先行的広域事業に対する府の関与と財源の負担決定について、宝くじ収益金の配分割合の見直しにより府に移管される財源20億円の枠内で今後府が関与していくのかどうか質しましたが、知事から、広域行政体としての府の役割を十分踏まえ、大阪全体の利益、府民全体の利益も勘案し、しっかりと判断していくとの答弁を得ただけであり、財政面での懸念に関して明確な考えを示されることがありませんでした。
今後の府の財政運営の根幹にもかかわる重大な問題であるにもかかわらず、知事は、明確な見通しも示すことなく、これほどの大きな政策判断についての覚書を大阪市との間で交わされましたが、過去の政策決定を常々問題視されている知事にしては、今回の姿勢は、矛盾極まりないものであると指摘しておきます。
次に第76号議案「特別区設置協定書について承認を求める件」について、今議会にも再度、知事より提案されましたので、改めて意見を述べさせていただきます。
知事と市長は、大阪低迷の原因が政令市である大阪市が存在してきたことにある、また、二重行政の解消は大阪市を廃止して特別区を設置しなければ不可能であるから、「大阪市廃止・分割構想」の実現が必要であると主張してこられました。
しかし、我が会派は、これまでの質疑で知事、市長の主張には全く根拠がないことを、十分すぎるほど明らかにしてきました。つまり、大阪低迷の原因は、もっと別のところにあること、また、「大阪市廃止・分割構想」の実現によらなくても二重行政の解消が可能だということであります。
制度を変えるだけで大阪が良くなるのではありません。
我が会派がさる9月議会でも指摘したにもかかわらず、知事、市長は、特別区設置に伴って生じる住民サービス低下の問題にも全く答えていないままであります。
我が会派は、大阪にふさわしい大都市制度についての対案を示したにもかかわらず、一方的に条例協議会を打ち切っただけでなく、その後の法定協議会でも我々を含むメンバーを排除して、維新の会の単独でまとめあげられた、欠陥だらけのものが、この議案であります。
さらに問題なのは、財源問題についてであります。
特別区設置から5年間で1,000億円以上もの収支不足が生じることが当委員会での質疑で確認できましたが、こうした重要な問題についての情報を知事、市長は適切に情報発信をしていません。
これは、明らかに市民をミスリードするものであると、改めて強く指摘しておきます。
「大阪市廃止・分割構想」の問題点はこれだけにとどまらず、知事、市長が二重行政の解消による効果額は1年で4,000億円もあると主張されていましたが、大都市制度による効果額は、1億円しかないことも、今回の委員会質疑を通じて改めて確認できたところです。
また、大阪市をなくさなければ解消できないような二重行政はないということは、これまでも我が会派が再三指摘してきたところですが、今回の代表質問や委員会の質疑を通じて、大阪市を廃止しても二重行政の発生を抑止することはできないということも大都市局理事の答弁から明らかになりました。またその可能性が小さくなるという知事の主張についても、夕張市や泉佐野市など、過去の事例からもわかるように、何ら論理的な根拠はありません。
「広域行政の指揮官は一人」だという知事、市長の主張もIR誘致時に特別区の区長が反対した途端に進まなくなることを、知事自らが認めたことから、その主張が根底から崩れていることも、改めて指摘しておきます。
課税権の観点からも申し上げます。
「大阪市廃止・分割構想」が実現したとして、現在の大阪市の課税権の3/4が大阪府に移管されることで、現在は府内最低水準にある大阪市民税が、いずれ府内の他の市町村並みの水準に負担が増大する可能性が高いことも本委員会の質疑で質してきました。
しかも、現在は大阪市民が市民税として負担する税金は、大阪市にとっての利益、発展のためにという観点で、大阪市民の代表者のみで構成される議会でその使い道が決定されているのに対し、大阪市が廃止、分割された後は大阪市民税の約2割が大阪府税として大阪府に召し上げられ、「大阪全体の利益、発展のために」という理屈により、大阪市域外へと流出してしまうことを止める手立てはありません。
知事はこれまで「大阪市から移管された財源は大阪市に投資する」と言っておられましたが、先日の委員会の答弁ではこれとは全く逆のこと、つまり「大阪府の財源をどこかのエリアに特別に投資することはありえない」と強調しておられました。特別区民には、大阪府税として特別に大きい割合で税負担を課すにもかかわらず、投資先としては特別区に対しても特別に投資しないということは、まさに大阪市民だけが特別に負担する税金が大阪市域外に流出することを知事ご自身も認めたということに他ならないということです。
要するに、仮に大阪市の廃止・分割により、大阪全体の利益・発展につながるような事業を実施するために財源が捻出できるとしても、それは二重行政の解消によるものでなく、本来は、大阪市の財源であったものであり、特別区の区民の負担増や、住民サービスの低下によって生み出されるものだということであります。
従って、5月17日に実施される可能性の高い住民投票は、二重行政の発生を止めることもできない制度改革のために膨大な税金をつぎ込んでもいいのかどうかを問うものであり、同時に市民が自分達で負担したお金の使い方に関わる意思決定権を永久に手放してしまってもいいのか、その是非を問うのが、今回の住民投票の意味であります。
以上、こうした問題点について、何ら解決策を示すことも、十分な情報発信もすることなく、また、議会での議論も無視して再度議案として提出された「特別区設置協定書」を住民投票に諮ろうというのは、責任を大阪市民に押しつけるものであって、実に無責任極まりない態度であり、我が会派は、第76号議案については、「反対」であることを表明いたします。
なお、大阪市民におかれましては、来る5月17日に実施される住民投票において、こうした内容不備の協定書に対して、賢明なご判断をされるよう申し上げます。
最後に、本委員会に付託されている諸議案につきまして、第76号議案に対しては、重ねて「反対」、その他残余の諸議案に対しては、全て「賛成」であることを表明して我が会派の意見開陳といたします。御清聴ありがとうございました。

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