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府議会の報告

平成27年9月定例議会 代表質問

平成27年10月5日
栗原 貴子 議員

目次

1.密集市街地対策

【質問】

(密集市街地対策)

府では、約2,200haにも及ぶ「地震時等に著しく危険な密集市街地」を平成32年度までに解消するための整備方針を取りまとめているが、具体的な工程表を定め、必要な予算を確保した上で適切に進捗管理し、取組みを進めていくべきではないか。住まち部長に伺う。

【住宅まちづくり部長答弁】

  • ○大規模な地震等に備え、府民の生命、財産を守るため、「地震時等に著しく危険な密集市街地」の解消は喫緊の課題であり、平成32年度までの密集市街地解消に向け、計画的に取り組んでいくことが我々の使命。
  • ○そのため、府では、平成26年3月に、取組みの方向性を示す「密集市街地整備方針」を決定。
    この方針に基づき、府市で協力して事業を推進し、進捗管理を行っていくため、同年6月、各市では、地区ごとの具体的な取組みとともに、目標年次の平成32年度までと、集中取組期間の平成29年度までの事業量を示す「整備アクションプログラム」を策定。
  • ○このプログラムを達成するため、大阪府では、平成25年度に比べ、26年度は2倍、27年度は4倍と府の予算を毎年、倍増するなど、地区内の道路・公園の重点的な整備や老朽住宅の除却などを、府市で緊密に連携しながら、強力に推進しているところ。
    とりわけ、府補助を活用した老朽住宅の除却は、平成25年度の50戸に対し、26年度は564戸と約11倍の実績、今年度は約19倍となる約930戸の予算を確保し、そ達成に向けて取り組んでいるところ。
  • ○今後とも、密集市街地の解消に向け、このプログラムを具体的な工程表と位置づけるとともに、必要となる事業費の確保に努め、節目、節目で事業の進捗状況を明らかにして、府民にお示しし着実な取組みを進めていく。

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2.河川整備

【質問】

(治水事業の必要性について)

先日の「関東・東北豪雨」では、鬼怒川の氾濫等により大きな被害が発生。被害にあわれた皆さんにお見舞い申し上げると共に、被災地の一日も早い復興を願う。
近年の全国各地における大雨による災害をみると、改めて治水事業の重要性を認識している。
大阪府では、平成22年度に「今後の治水対策の進め方」を定め、治水対策を大きく見直した。この見直しは「府民の効果の実感」や「総合的なリスク対策」などを理由にされているが、一番の理由は「財政制約」。大阪府の厳しい財政事情に合わせるかのように治水事業費も低減していた中、残念ながら予算に合わせて見直したと言わざるを得ない。
府民の命を守ることは、最優先で取り組むべき施策。治水施設の整備などのハード対策をしっかりと進めるべき。国に対しても、これまで以上に必要性を訴えるなど、必要な予算を確保し、対策に万全を期するべきだと考えるが都市整備部長の見解は如何に。

【都市整備部長答弁】

  • ○議員お示しのとおり、治水安全度の向上にはハード対策が重要であり、これまでも着実に進めてきたところ。
  • ○しかし、この度、鬼怒川で発生したような施設の整備規模をはるかに超える大雨に対しては、ハード対策のみでは限界がある。このため、「今後の治水対策の進め方」では、“人命を守ることを最優先”にソフト対策とハード対策をバランスよく組み合わせた取組みを推進している。
  • ○ご指摘のハード対策を進めるには、交付金をはじめ治水関連予算の確保が重要であり、他府県とも連携し、国に対して地域の実情を訴え、防災・減災に係る予算総枠の拡大や都道府県事業の支援につながる制度の創設を求める要望活動を進めている。
  • ○今後も、国に対して、事業効果を明確に示すことにより事業の必要性を訴えるなど、効果的な要望活動を実施することにより、一層の交付金を確保し、治水対策の推進に全力で取り組んでいく。

【質問】

大阪府における近年の水害の特徴としては、ゲリラ豪雨と呼ばれるような局地的な強雨によって、下水道や水路等からの溢水(いっすい)が発生するといった内水浸水による被害が圧倒的に多いと聞いています。そしてこの局地的、短時間強雨は、一般的にある1箇所の観測所において時間当たり50mmの雨は10年に一回、80mmの雨は100年に一回程度とされていますが、府内23カ所で観測された降雨を私なりに整理した結果、近年では10年に1回、100年に1回という頻度を超えて発生している傾向が見て取れます。

市街地に降った雨を集めて河川に排水するのは下水道の役割。特に地盤が低く、雨水をポンプで強制的に河川に排水する必要がある、いわゆる内水区域では、下水道の整備が不可欠である。大規模な内水区域を抱える寝屋川流域下水道では、10年に1回程度の大雨に対して浸水する区域の解消を目指して増補幹線の整備を進めているが、未だその整備率が7割にも達していない。
河川による治水対策同様、「防ぐ」対策として下水道増補幹線の整備を前倒しし、一刻も早く完成させるためには、国への要望を行うなど必要な予算を確保することが重要ではないか。都市整備部長に問う。

【都市整備部長答弁】

  • ○短時間で局地的な豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)に対しては、「逃げる」「凌ぐ」施策であるソフト対策が非常に有効であるが、「防ぐ」施策であるハード整備も重要である。
  • ○寝屋川流域では、全国に先駆け、昭和40年度から流域下水道事業に着手し、公共下水道を整備する市町村とともに事業を推進し、効果を発揮してきた。
  • ○しかし予想を上回る都市化の進展に伴い、雨水の下水管への流入量が増大し、下水道の未整備区域だけでなく、整備済み区域でも浸水が発生するようになった。
  • ○この状況に対応すべく、河川と下水道が一体となって治水レベルを向上させる、寝屋川流域総合治水対策を導入したことを契機として、平成3年度には、下水道の雨水計画をレベルアップさせ、10年に1回程度の大雨に対応することとした。この中で、既存の下水道管の能力を補う施設として増補幹線を新たに位置付け、平成6年度より整備を進めており、現在も中央北増補幹線などを整備している。
  • ○この結果、平成9年8月の最大時間雨量80㎜を記録した降雨では約9,000戸の床上・床下浸水が発生したのに対し、寝屋川南部流域下水道増補幹線が供用開始した後の平成23年8月の最大時間雨量76㎜の降雨では床上・床下浸水合わせて約1,500戸と浸水被害が激減しており、整備した増補幹線が浸水被害の軽減に大きく効果を発揮している。
  • ○引き続き、さらなる浸水被害の軽減のためにも、残る増補幹線の整備が不可欠。浸水被害の軽減効果を十分に発揮するには、府が管理する流域下水道と市町村が管理する公共下水道を一体的に整備する必要がある。
  • ○今後も、国に対して、市町村とともに、事業効果を明確に示すことにより事業の必要性を訴えるなど、効果的な要望活動を実施することにより、一層の交付金を確保し、浸水被害軽減に向けて全力で取り組んでいく。

【質問】

(地下河川)

寝屋川流域では、浸水被害軽減に向けた下水道増補幹線の整備も急務であるが、一方で、下水道増補幹線からの雨水の受け皿となる、地下河川の整備が必要不可欠である。
我が会派では、これまでも、南北2本の地下河川の取組状況について、確認してきた。
例えば、寝屋川南部地下河川の最下流部の聖天山(しょうてんやま)立坑から放流先である木津川までの区間については、大阪市の都市計画道路・木津川平野線の地下に整備することとしているが、当時、大阪市の街路事業が事業化されていなかったことから、用地取得が進まず、地下河川事業にも着手できていなかった。
一方の、寝屋川北部地下河川の最下流部も、寝屋川南部地下河川と同様、大阪市の都市計画道路の地下に整備すると聞いており、整備が進んでいないと聞いている。そこで、南部・北部の地下河川の、現在の取組状況について、伺う。

【都市整備部長答弁】

  • ○地下河川は、寝屋川流域総合治水対策の根幹をなす重要な事業であり、流す施設として完成すれば、流域全体の浸水被害を大きく軽減させる効果が見込まれる。現在は、南部・北部とも整備中であるため、完成した区間から暫定的に貯留施設として供用することで、段階的に浸水被害の軽減を図っている。
  • ○お尋ねの地下河川の取組状況について、まず南部地下河川については、全体延長13.4kmの内、既に約84%にあたる11.2kmが完成。63万㎥の貯留施設として、暫定供用している。これまでの貯留実績は70回以上に及び、浸水被害の軽減に効果を発揮している。
  • ○残る、聖天山立坑から木津川までの未整備区間2.2kmについては、平成24年10月に、大阪市が都市計画道路・木津川平野線の事業認可を取得したことから、早期に事業着手できるよう、引き続き、必要な用地の確保に向けて市を支援していく。
  • ○一方の、寝屋川北部地下河川については、平成27年6月末に最上流部の門真調節池の供用を開始し、全体延長14.3kmの内、約46%にあたる6.6kmが完成。20万㎥の貯留施設として、暫定供用しており、これまで30回近くの貯留実績により、浸水被害の軽減に効果を発揮している。
  • ○なお、本年7月の台風11号では、約17万㎥を貯留し、大きな治水効果を発揮した。
  • ○現在、北部地下河川の支川で、鶴見立坑から北に延びる守口調節池3.1kmについては、立坑及びシールド工事を実施している。
  • ○残る、鶴見立坑から旧淀川(大川)までの未整備区間4.6kmについては、地下河川の地上部の街路事業の事業化に目途が立たないため、用地取得を必要としない「大深度地下使用」により整備を進めることとし、昨年7月より学識者の参画する審議会で、検討を進めているところ。
  • ○今後は、平成28年度中の都市計画変更に引き続き、大深度地下使用の国認可の取得など、事業着手に向けた手続きを進める。
  • ○引き続き、南・北両地下河川の早期の全線供用を目指して、着実に取り組んでまいる。

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3.堺市中区の警察署設置

【質問】

次に、堺市中区への警察署新設について質問します。
堺市中区への警察署の新設については、これまでにも要望して参りました。
堺市中区は、平成23年の人口10万人あたりの街頭犯罪認知件数が、堺市においてワーストと非常に厳しいものがあったため、堺市や中区の自治会の方々が中心となって、平成24年度からの3ヵ年計画で、街頭犯罪の削減目標を掲げられ、大阪府警察とも連携しながら、青色防犯パトロールなどの防犯活動等に積極的に取り組んで来られました。
その結果、一定の成果が得られるようになっているとは言うものの、地域の安全安心なまちづくりの確立に向けては、依然、課題が残っている状況にあるとのことです。
万が一、南海トラフ等の大災害が発生すれば、海に面する西区では津波災害、山に面する南区では土砂災害が懸念される中、その中間に位置し、海や山に面しない中区に警察署を新設することによって、災害対策の拠点としての機能も十二分に果たせるものと考えられ、堺市ではすでに、警察署新設のため、中区役所の市道を挟んだ隣接地に約3,000㎡の建設用地を確保しているとのことです。
そこで、堺市中区への警察署の新設について、警察本部長の考えをお伺いします。

【答弁】

堺市中区への警察署新設についてお答えいたします。
警察署は、地域の方々の安全・安心を確保するための活動の拠点であり、正に地域安全センターとして、地域住民の方々にとって心のよりどころとなるものでありますが、その新設につきましては、府下全体の治安情勢を勘案しながら、警察署ごとに人口、面積、犯罪発生状況、交通事情、地理的状況、必要人員等、様々な要素を総合的に判断する必要があります。
先日も、堺市中区への警察署新設の要望に、堺市長をはじめ、地元住民の方々が来られましたが、その際、中区を管轄する西堺警察署が地域の安全のために頑張っているなどと職員の苦労を評価していただくとともに、また、議員ご指摘のとおり、中区役所の隣接地に約3,000平方メートルの警察署建設用地を確保していることも伺いました。
しかしながら、人員の捻出の問題に加え、限りある予算の中で、他の警察署の老朽化や狭隘化の問題もあり、さらに、府下全域において、大阪府警察を取り巻く治安情勢は非常に厳しく、警察本部長として、府下全体の治安対策を行っていく責任があり、府内各地域からの要望にも応えていく必要もあります。そうしたことを踏まえつつも、地元住民の方々の熱い思いを私自身直接聞かせていただきましたので、その熱い思いをしっかりと受け止め、まずは警察内部で人員の捻出等の問題について、更に検討してまいりたいと考えております。

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4.信用保証協会

【質問】

(信用保証協会は経営者から敬遠されているのではないか)

最近5年間の保証協会の保証金額の推移を見ると総じて右肩下がりで減り方も大きい。緊急経営対策資金があったかもしれないが、それでも他府県や類似団体と比較しても減り方が大きい。これはどういう理由によるものか。
原則金融機関の申し込みになったことや責任共有制度が要因となっているのではないか。
現に、中小企業家同友会が昨年の9月に行ったアンケート調査では、「審査にかかる時間が長くなった」「審査の根拠が不明」「担当者によって審査基準がまちまち」など不満の声も多く寄せられている。
実際に、審査にあたる保証協会の担当者と会うこともできず、会社の状況等を説明することもできない。あるいは、責任共有制度により金融機関の判断で審査を落とされてしまう。
そんな状況が続いたことによって、中小企業の経営者にとっては、保証協会の敷居が高くなり、経営者から敬遠されているのではないのか。

【商工労働部長答弁】

  • ○保証協会の保証承諾については、平成20年度から22年度にかけて実施した緊急保証制度により全国的に急激に増加した。
    特に大阪は、緊急保証の利用が他の主要な保証協会に比べて高く、その結果、緊急保証制度が終了した平成23年度の保証承諾額の減少率が他の保証協会と比べて大きくなったが、その後は、他協会とほぼ同様に推移しているところ。
  • ○府内中小企業の資金繰りは、リーマンショック後改善基調にあり、保証協会においては、承諾額は減少していたものの資金ニーズに対応した保証を行っていたものと考えている。
  • ○次に、金融機関経由の申込については、金融機関において、中小企業との継続的な取引関係を重視し、経営支援との一体的な取り組みを進めている中、まずは、貸し手である金融機関にご相談いただくことが中小企業にとっても、これまでの取引関係に基づく適切な評価が得られやすいものと考えている。
  • ○なお、保証審査においては、初回利用の場合など、必要に応じ、保証協会の担当者が企業を訪問したり経営者との面談を行い、企業の実情把握に努めている。
  • ○責任共有制度については、平成19年10月に導入されたものであるが、経営安定資金、小規模資金、開業資金については従来どおり100%保証が継続されており、各保証制度の趣旨・目的に沿って、金融機関、保証協会においては適正な審査を行っている。
  • ○しかしながら、議員お示しのような利用者の声もあることから、不承諾となった際の丁寧な説明や、迅速かつ適正な審査を行うことについて、引き続き、機会あるごとに保証協会及び金融機関に対し指導・要請していく。

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5.大和川線トンネル工事

【質問】

(財源問題について)

今回の工法変更案は、平成25年に変更された、地下水位低下工法を断念し、立坑の安定化と、出水防止対策としての所謂「凍結工法」の採用です。この2つの追加対策によって50億円の新たな財源が必要となるが、このお金は誰が負担するのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○大和川線常盤東開削トンネル工事についてお答えいたします。
  • ○平成25年12月の工法変更は、コンサルタントが安定していない立坑を設計したため、学識経験者等が参画した技術検討会において、立坑の安定対策の工法検討を進め、現地での揚水試験を実施し、地盤沈下の予測を行った上で、周辺家屋の安全を確認して、地下水位低下工法と仮設スラブ併用案を採用したものでございます。
  • ○その後、平成26年6月にシールド工事で一時的に水位を低下させた際、遠方で予想を超えた水位低下が見られたことから、再度、学識経験者の意見を聞き、より広範囲での再調査に着手するとともに、万一、水位低下が困難となった場合に備えた検討を進めてまいりました。
  • ○平成27年6月末に、再調査の結果から、水位低下を行うと相当広範囲にわたって民地の地盤沈下が生じる恐れのあることが判明したことにより、地下水位低下を取りやめ、立坑の安定性を強化するための部材の追加と止水を確実に行うための凍結工法を実施することとしたものでございます。
  • ○そもそも、このような立坑の安定対策を取らざるを得なくなったのは、コンサルタントの設計ミスに起因するものです。
  • ○コンサルタントには、平成26年6月19日付けで、大阪府が実際に要した工事費と当初から正しい設計が行われていた場合に必要だった工事費との差額である府が被った損害額及びこれに対する遅延損害金の支払いを求める訴えを大阪地方裁判所に提起しており、現在も係争中でございます。
  • ○今回の設計変更に伴い必要となる増額についても同様に、コンサルタントに求償していくこととしております。

【想定質問】

(支払能力について)

今回の工法変更に伴い必要となった50億円については、コンサルタントに対して求償していくとのことだが、仮に勝訴したとしても、コンサルタントが支払うことができると思っているのか?
また、コンサルタントが倒産した場合はどうなるのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○コンサルタントには、府が被った損害額等の支払いを求める訴えを大阪地方裁判所に提起し、現在も係争中であり、引き続きしっかりと府の考えを主張していきます。
  • ○今後、司法の判断を踏まえ、債権回収マニュアルに基づき、分割納付による対応等、回収に努めてまいります。
  • ○また、一般論では、債務者である法人が倒産した場合については、この法人の債務は清算されることになり、その結果、回収できない部分には、府費を投入することになります。

【質問】

(敗訴時の国の負担について)

通常、社会資本整備総合交付金を活用した場合、国庫支出金を充当できるのは55%、地方負担は45%という負担割合になるが、大阪府が敗訴した場合、あるいは訴訟に勝っても日本シビックコンサルタントが支払いに応じなかった場合、国は55%を負担してくれることになっているのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○コンサルタントには、府が被った損害額等の支払いを求める訴えを大阪地方裁判所に提起しており、現在も係争中であり、引き続き、しっかり府の考えを主張してまいります。
  • ○お尋ねの国費の対応は、判決の内容を見た上で、必要に応じて国と調整していくこととなります。

【質問】

(阪神高速への委託について)

50億円のうち、約13億円は大阪府から阪神高速に委託するお金であると聞いています。しかし、トンネル工事について、何故、大阪府から直接発注せずに阪神高速に委託するのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○大和川線は阪神高速道路株式会社との合併施工により整備を進めており、本区間は、府がトンネル工事を、阪神高速道路株式会社が舗装工事、換気所工事等を施工することとしております。
  • ○換気所については、もともと、府がトンネルを構築し埋戻しを行った後、阪神高速道路株式会社が換気所の建設を行う予定でございました。これを、供用の遅れを最小限に留めるために関係者間で協議を行い、阪神高速道路株式会社において、府が施工するトンネルの一部と換気所を一体構造物として施工する事により、埋戻しを待たずに換気所工事に着手できることとなり、工期の短縮を図るものでございます。
  • ○従って、この工事は、もともとから予定していた工事であり、追加工事ではございません。
  • ○また、換気所については、建設工事と大和川線で使用する設備工事を一体で進めることで、工期の短縮を図るため、一体構造物の工事を阪神高速神道路株式会社が実施するものでございます。

【再質問(想定質問)】

(阪神高速への委託について)

阪高への委託費は約13億円。府が自ら施工する場合に見込んでいたのは8億円。なぜ5億円も増えるのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○常盤東開削トンネル工事全体の契約の落札率は約6割であり、阪神高速道路株式会社へ委託する範囲分の設計金額はもともと約13億円でしたが、契約金額は、これに落札率をかけた、約8億円でございます。
  • ○阪神高速道路株式会社は、府との工事委託契約を設計金額ベースの約13億円で締結した後、工事発注を行うこととなります。
  • ○なお、阪神高速道路株式会社が、工事発注を行えば、その工事契約額に基づき精算することとなります。

【質問】

(阪神高速への委託について)

委託に出すことで5億円もかかるのであれば、今の発注の中で工夫すればいいのではないか。

【都市整備部長答弁】

  • ○大和川線は阪神高速道路株式会社との合併施工により整備を進めており、本区間は、府がトンネル工事を、阪神高速道路株式会社が舗装工事、換気所工事等を施工することとしております。
  • ○今回の委託は、供用の遅れを最小限に留めるために阪神高速道路株式会社において、府が施工するトンネルの一部と換気所を一体構造物として施工する事により、埋戻しを待たずに換気所工事に着手できることとなり、工期の短縮を図るものでございます。
  • ○また、換気所については、建設工事と大和川線で使用する設備工事を一体で進めることで、工期の短縮を図るため、一体構造物の工事を阪神高速神道路株式会社が実施するものでございます。

【質問】

(阪神高速への委託について)

トンネル工事を一部分だけ分離して発注するのは問題ないのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○今回の委託は、供用の遅れを最小限に留めるために阪神高速道路株式会社において、府が施工するトンネルの一部と換気所を一体構造物として施工する事により、埋戻しを待たずに換気所工事に着手できることとなり、工期の短縮を図るものでございます。
  • ○常盤東開削トンネルは、延長200mと長いトンネルであり、もともと、複数のコンクリートのボックスに構造的に分割して施工するものであり、今回の分離発注も、構造上の問題はございません。

【質問】

(阪神高速への委託について)

この5億円についても求償するのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○コンサルタントには、実際に要した工事費と当初から正しい設計が行われていた場合に必要だった工事費との差額である府が被った損害額及びこれに対する遅延損害金の支払いを求める訴えを大阪地方裁判所に提起しており、現在も係争中でございます。
  • ○5億円も含めた今回の設計変更に伴い必要となる増額についても同様に、コンサルタントに求償していくこととしております。

【質問】

(得られるべき(大阪府が失った)便益について)

大和川線の供用が3年遅れることで、失う経済的な損失額はいくらなのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○大和川線の事業着手にあたって阪神高速道路株式会社はこの事業の便益を費用便益分析で試算しております。
  • ○この試算では、大和川線の供用により、周辺の道路ネットワークにおいて、「走行時間短縮」、「走行経費減少」、「交通事故減少」により、4883億円の事業費に対し、50年間で、1兆923億円の便益が生じるとされております。
  • ○この便益を単年度に割り戻すと、年間564億円となり、供用が3年遅れることにより、この便益の発現が3年遅れることとなります。

【質問】

(工期について(府議会への報告と工期の確認))

大和川線の本件工事については、これまでの府議会での議論経過を踏まえると、現場の状況、地下水位の再調査の実施や現場の進捗状況等の報告を行うべきではなかったかと考えますが、なぜ、府議会に都度都度の説明をしてこなかったのか。
前回の工法変更の時にも28年度供用については絶対に遅れることはないとの説明をしてきたが、本当にこれ以上工期が遅れないと断言できるのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○平成26年6月に従来の予測とは異なる水位低下があったことから、まずは再調査を実施し、その結果を踏まえ、今後の見通しをつける必要があると考えておりました。
  • ○その後、地下水位低下の再調査結果から周辺への影響が避けられないことが判明したことから、平成27年7月に、調査結果を議会にご報告し、その後、工法変更の詳細及び工程が確定した段階の平成27年8月にもご報告したものでございます。
  • ○しかしながら、大和川線については、議会において様々な議論を頂いているにも関わらず、結果として、大和川線の全線供用が3年遅延し、企業活動や府民生活に影響を及ぼすこととなり、本件がコンサルタントの設計ミスに起因しているとはいえ、事業者として誠に申し訳ないと考えております。
  • ○今回の工法変更にあたっては、学識経験者、専門家、国の研究機関とも相談の上、技術検討会において、慎重な検討を行った結果、現場では、工事を進める上でのリスクをできる限り排除し、より安全で確実な工法を採用するもので、工程についても関係者間で入念に調整し定めたものでございます。
  • ○今後、大和川線の一日でも早い全線供用に向け、全力で取り組んでまいります。

【質問】

(工法の妥当性(比較検討について))

今回の工法変更案は、地下水位を低下させず、仮設のスラブとコンクリートの梁を設置することで、立坑の安定化を図るものであり、併せて「凍結工法」を採用することによって止水を目的とされていますが、当時、こうした工法(地下水位を低下させないで立坑の安定化を図る工法)の検討はしなかったのでしょうか。
そもそも、H25年9月議会後半の工法変更に際して、対策工法の比較検討や、今回の工法変更における対策工法の比較検討において、どのような工法の比較検討を行っていたのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○平成25年当時、技術検討会において、大きく3つの工法を検討いたしました。
    1つ目は、地下水位低下により立坑に背面から作用する水圧を低減させる工法
    2つ目は、立坑を開削側から支え立坑が転倒しない様にする工法
    3つ目は、掘削区間を埋戻した上で一からトンネルをつくりなおす工法
    でございます。
  • ○この内、3番目の、一からトンネルをつくりなおす工法は、時間とコストを要し、現実的ではないため、その後の検討から除外いたしました。
  • ○1番目の地下水位低下については、現地で揚水試験を実施し、周辺への影響を予測した結果、問題が無いことを確認できたものの、地下水位低下のみでは立坑の安定を図ることが困難であり、2番目の立坑を開削側から支え転倒しないようにする仮設スラブと併用することが、最も工期、コスト面で合理的であるという結論を得ました。
  • ○このため当時は、地下水位を低下させないで立坑の安定化を図る工法については、詳細な検討は実施しておりません。
  • ○今回の工法変更については、地下水位を低下させることができず、より大きな水圧が立坑に作用することから、これまでに考えていた仮設スラブのみでは対応できないため、詳細な解析手法を用いて、仮設梁を追加することを決定したものでございます。
  • ○また、高い水圧による掘削現場内の出水リスクに対する止水工法として、技術検討会での議論や国の研究機関等への意見を徴取した結果、確実に止水できる工法は凍結工法しかないという判断に至ったものでございます。

【再質問】

(工法の比較検討について)

前回の工事内容の変更が妥当であったのか否か?これが最大の争点である。
この現場は大和川の極近隣ということに加え、ボーリングデータを見ても、地下水が大量にあることが理解できます。また、一般的にも地下水(水脈)は広範囲につながっており、水位低下により、広範囲に地盤沈下等の影響が出ることは安易に想像ができます。
例えば、堺市でも大和川線の工法に関する地元自治会との話し合いで、周辺地盤の地下水位を低下させることについて自治会側から大きな懸念が示されており、堺市に対し地下水位を低下させる工法を採用しないよう求めがあり、平成23年7月16日に北花田グランアベニュー自治会と堺市、そして阪神高速(株)との3者で地元の意向に沿った確認書が交わされている。このような確認書がありながら何故、府は地下水位低下による地盤沈下が予想できなかったといえるのでしょうか。
専門家の意見を聞き採用したということであるが、この確認書の経緯等の懸念事項を学識経験者に伝えていなかったと想像しています。更に、水位低下の影響について、広範囲に十分な調査ができていなかったことが今回の50億円の追加工事に至ったと考えるのが自然であり、大阪府に大きな過失があったのではないかと疑わざるを得ません。工法の選定にあたって、広範囲にわたって十分に調査したと言い切れるのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○平成25年当時の工法選定に際して、地下水位低下工法については、現地で揚水試験を実施し、地盤に関する基準に基づき地盤沈下の予測を行ったものでございます。
  • ○その後、地下水の調査範囲や方法、調査結果を併せて学識経験者にお示しし、検討した上で、周辺地域の地盤沈下について、許容値内に収まることを確認のうえ地下水位低下工法を選定し、更に工法選定後においても、念のため、再度確認しており、調査は妥当であったと考えております。

【再質問(想定質問)】

(工法の妥当性(追加工事の工法選択))

北花田グランドアベニュー自治会と堺市、阪神高速の3者で、水位低下する工法は採用しないという確認書が平成23年7月に結ばれている事を、25年の検討時、府は知っていたのか?仮に知らなかったとしたら、把握していない府のミスではないのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○議員お示しの確認書については、承知しておりませんでしたが、地下水位低下工法の採用にあたっては、現地での揚水試験を実施し、地盤沈下の予測を行った結果、周辺地域の地盤沈下について許容値内であることを確認していたため、平成25年12月の変更においては地下水位低下工法を採用いたしました。

【想定質問】

(工法の妥当性(追加工事の工法選択))

例えば、立坑の内側に止水対策として新たな連続壁を打ち、火打ちや、大火打ち等の対策をすれば、立て坑の安定化と止水対策が同時にできたと考えられるし、安定化に不安があれば、仮設スラブ、伝達梁を追加対策してもよかったと考えられます。そしてこの工法であれば、当初の工法選択時はもちろん、立坑の安定化対策としての前回の工法変更時でも、今回でも採用することができたはずです。
改めてお聞きするが、なぜ、埋戻しをしてでも、こういう工法の検討を追加工事の工法選択時に真剣に検討しなかったのか。

【都市整備部長答弁】

  • ○当初、工法を決定する際は、コンサルタントが誤って設計した、安定している立坑を前提としていたため、そもそも、安定化対策の検討はしておりませんでした。
  • ○地中連続壁を立坑前面に構築し、開削区間を囲むためには、すでに現場には、土留用の多数の切梁・腹起しがはりめぐらされていることから、連続壁を設置するには、これらが障害となります。このため、それらを撤去する必要がありますが、既に設置している連壁の安定性を欠くので、埋戻しを行う必要があり、その上で、一から地上に重機を設置し、地中連続壁を構築することが必要となります。このように、手戻りが発生することにより、相当工期が長期化し、コストも要することから、前回及び今回の工法変更にあたって、詳細な検討はしておりません。

【再質問】

(凍結工法の必要性について)

50億円の増額のうち、その大部分が凍結工法にかかるお金であります。H25年当時は、立坑が背面からの土圧で転倒・滑動するおそれがあるために地下水位低下工法を選択したと説明されていましたが、「地下水の出水リスク」というのは、全く論点に挙がっていませんでした。そもそも当初の工法でも地下水低下工法は採用されていなかったにもかかわらず、出水対策として凍結工法が必要だということにはなっていなかったはず。
なのに突然、「出水リスク」や「凍結工法」という言葉が、でてきたように感じており部局の説明に大きな違和感を覚える。
なぜ、凍結工法をする必要があるのか?どこからの水漏れに対して凍結工法をおこなうのか?

【都市整備部長答弁】

  • ○出水リスクに対する対策工法には、議員お尋ねの凍結工法のほかに薬液注入工法があり、いずれの工法も、地盤を固めて地下水を通さない止水壁を構築し、出水リスクに対応する工法でございます。
  • ○このうち、凍結工法は地盤を凍らせ続けることにより地中の止水壁を維持し、この壁に何らかの力が作用しクラックが生じた場合でも、クラック内に侵入した地下水を瞬時に凍結させ、出水リスクを回避することができます。
  • ○一方で、薬液注入工法は地中の地盤に薬液を注入し、地下水を通さない壁を地中に構築するもので、一旦クラックが生じると、そのクラックを通じて地下水が出水するリスクがございます。
  • ○当初の開削側の設計においては、出水対策として、立坑の開削側の下部に薬液注入による止水壁を構築することとしておりましたが、立坑の設計を行ったコンサルタントが立坑の安定性を誤って過度に評価していたため、構築した壁に大規模な出水につながるようなクラックが生じることは想定しておりませんでした。
  • ○また、前回の平成25年12月の工法変更では、技術検討会において、地下水位を低下させ地中の水圧を軽減させることとしたため、当初の開削側の設計に基づき既に構築した止水壁には大規模な出水につながるようなクラックは生じないことを確認しておりました。
  • ○一方、今回変更した工法では、地下水位を低下させることができず、地中に高い水圧が生じるため、仮設スラブに追加部材で補強したとしても、許容範囲内ではあるが、立坑に変位が生じ、立坑の前面の止水壁にクラックが生じる恐れがあることを確認いたしました。
  • ○このため、技術検討会での議論や国の研究機関等の意見を聴取し検討した結果、クラックが生じても大規模な出水リスクを回避できる工法は、凍結工法しかないと判断したものです。

【再質問】

(スーパージェットの設計、施工について)

止水対策のための地盤改良として、この現場ではスーパージェットという工法が採用されており、日建技術コンサルタントが設計、吉田JVが施工しています。府の説明では地下水を低下させることができないため、止水対策が必要とのことでありますが、私たちの調査では、現在も「立坑と連続壁の間」及び「立坑とスーパージェットの間」から水が漏れていると考えられます。
そうであれば、止水対策としての地盤改良であるスーパージェットの設計と施工のいずれか、もしくは両方にミスがるのではないか考えられます。
1番の問題は、部局に確認したところ、スーパージェットの設計計算書がありません。ということは、このスーパージェットは造成径が4Mものを1列で施工していますが、それで、大丈夫という科学的根拠が、そもそも存在しないということです。更に、スーパージェットの施工計画書のどこを見ても、問題点に関する検討がされていないことが判明しました。
ここで、問題点を具体的に申し上げます。

  1. 1.連続壁とスーパージェットとの取り合い部の造成長、つまり長さの不足があります。本来は連続壁との取り合い部の下までスーパージェットを、伸ばしておく必要がありますが、そのような設計でもなく、施工はされていません。
  2. 2.造成径、つまり直径を4.0Mとしていますが、この現場のように砂質土層でN値が100を超える場合、つまり土が大変固いところがある場合には、造成径3.5Mで行うべきであります。この根拠は工法の技術指導に書かれていることです。
  3. 3.削孔時の孔曲り(あなまがり)によるラップ不足も考えられます。N値が50~100という硬質地盤で削孔制度を1/300としていますが、これも、削孔曲りが予想よりも大きくなった場合は、造成厚さが設計で考えていた値を確保できなくなる可能性もあります。

スーパージェットの直径は地盤の条件により異なりますが、礫層、砂層、粘土層が互層になっている本地盤条件では、施工時において設計通りの直径にはならないので、通常は設計段階で2~3列で改良体をラップし、水の道となる隙間がないように設計施工するのが常識ですが、今回のスーパージェットの設計図面とみると、1列のみとなっています。凍結工法を採用せざる得なくなったほど水が漏るというのは、設計業者か施工業者のミス、または両者の責任である可能性あると考えるのが自然であります。
当然ですが水位を低下させることなど当初の計画にはありません。スーパージェットだけで掘削時に止水できるという設計になっていたはずです。このスーパージェットが普通に働いていれば、立坑が動いていない状況では、地下水を低下させなくても、出水は発生しないはずであり、凍結工法を採用する必要はないのです。そう考えれば、立坑の安定化対策には凍結工法が必要であるという大阪府の説明にはなんの根拠もなく、自分たちのミスを隠そうとしているようにしか見えません。この設計を基に施工着手を判断した大阪府の責任は極めて重いといわざるを得ません。
まず、ここまでに指摘した問題点について、部長の答弁を求めます。
さらに、我が会派は今回の凍結工法の必要性は設計ミスか施工ミスのどちらであると考えますが、どのようなことが原因で凍結工法を必要を判断されたのですか?
また、凍結時、あるいは融解時の周辺地盤や立坑に与える影響をどのように考えているのですか?

【都市整備部長答弁】

  • ○議員から、スーパージェットについていくつかご指摘のありました点について、まずお答えいたします。
  • ○スーパージェットや凍結工法は、安定化対策ではなく、止水対策として行うものです。
  • ○構造計算(設計計算)については、止水工法は荷重をもたせるものではないので、構造計算は必要なく、施工計画書だけで足りるものです。
  • ○造成長不足については、一部のラップは必要であるものの、連続壁の立坑の取り合い部のスーパージェットは、掘削する部分は外側、掘削しない部分は内側で施工することでトータルとして必要な施工は行っております。
  • ○造成径については、N値が100を超えるのは、30m中1mであり、全体を見れば、N値が100を超えていないため、造成径を4mとしております。
  • ○削孔については、精度管理を行っており、1列でも必要な精度を満足しております。
  • ○これらにより、スーパージェットの設計や施工にミスはないと考えております。
  • ○凍結工法の必要性についてですが、先ほども申し上げましたが、今回の工法変更では、地下水位を低下させることができず、地中に高い水圧が生じるため、許容値の範囲内ですが、立坑の変位が発生し、仮設スラブに追加部材で補強したとしても、既に造成した止水壁にクラックが生じる恐れがあることを確認いたしました。
  • ○このため、技術検討会での議論や国の研究機関等の意見を聴取した結果、クラックが生じても大規模な出水リスクを回避できる工法は、凍結工法しかないと判断したもので、議員お示しの薬液注入工法であるスーパージェットに係る設計や施工に起因するものではございません。
  • ○また、凍結工法の実施や解凍により、凍った土の体積の増減を招きますが、周辺地盤や立坑への影響は無いと技術検討会においても確認されております。

【再質問(想定質問)】

(現地での水漏れについて)

今後、掘削を進めると、立坑の前でクラックが生じるから50億もの増額をして、出水リスクに万全を期すため凍結工法が必要と仰っておられますが、現時点で既に、水漏れが発生している、とも聞いています。なぜ、開削区間で水漏れが生じるような事態になっているのでしょうか。現地での水漏れは事実ですか?

【都市整備部長答弁】

  • ○一般的に、掘削を行う場合やトンネル工事を行うときには、ある程度の漏水が発生するものでございます。この漏水は、通常、仮設ポンプでくみあげ、排水する水替工で対応しています。
  • ○この現場においても、他の現場と同様に、連続壁の部材の継ぎ目などから、水がしみだしており、ポンプのくみあげによる水替工で対応しております。

【質問】

(工法選択について(連続壁案))

現地はまだ全体の半分程度である約20mしか掘削が完了していないにも関わらず、既に水漏れが発生している状態。これをこのまま40mも掘削すれば、もっと多量の出水につながるのではないかと想定されます。先ほどの部長の答弁では、こうした水漏れはよくあることで大丈夫、といったことでしたが、これまでも、あなた方は常に「大丈夫です」を繰り返してこられました。H25年度の工法変更の時も、大丈夫だと言っていたのに、結局、今回の工法変更になっています。
本日の質疑でも、スーパージェットの施工不良を指摘しても、大丈夫だといっていますが、本当に大丈夫なのか、来年になって、また凍結工法を追加することにならないかと危惧しています。地下水位の低下は、ちゃんと調査をしても、予測できない事もあるぐらいのものだというのなら、地下水からの出水を確実に防げる手法を考えるべきです。
昨年、わが会派から提案した、連続壁で開削区間を囲む方法であれば、そのようなリスクは回避できると考えますが、先ほど部長の答弁では、「手戻りにより、多くの時間とコストを要することから詳細な検討はしていない」とのことでした。
この多くの時間とコストについて具体的に説明してください。

【都市整備部長答弁】

  • ○繰り返しになりますが、連続壁を設置するためには、既に開削区間に張り巡らされた既設の連続壁を支えている多数の切梁・腹起しを一旦撤去し、埋戻しを行ったうえ、重機を設置し、連続壁を設置した後、改めて掘削する必要があります。
  • ○具体的には、切梁・腹起しを撤去する際に、一段取っては埋め戻し、さらに一段とって埋め戻す、という作業を繰り返す必要があります。
  • ○その後、重機により連続壁を設置した後の掘削についても、掘削しては切梁・腹起しを一段設置し、掘削しては一段設置する、という工程を経なければなりません。
  • ○この作業工程の手戻りにより、現在想定している平成31年度末の供用が、少なくとも1年以上遅れることが予想され事業費についても、今回と同程度を要するものと考えられます。
  • ○さらに、この工法には、最終的に、連続壁に大きな穴を開けてトンネルを通さなければならないといった技術的な課題があり詳細な検討はしておりませんが、更なる工期の長期化や、事業費の増大につながることが考えられます。

【質問】

(工法の妥当性(追加工事の工法選択))

遮水壁は、いつ施工する予定だったか。遮水壁を施工せずに、地下水位を低下させ、シールド機を発進させれば、地下水が低下するのが当たり前ではないか。

【都市整備部長答弁】

  • ○通常、地盤沈下は、浅い地層の水位低下により生じるものであるため、遮水壁は浅い地層からの揚水に伴う周辺への影響を防ぐもので、比較的地層の浅い部分に設置することとしておりました。
  • ○一方、シールドトンネルは、地下の深い箇所にあるため、シールド発進時には、深い地層の地下水に限定して、一時的に水位を低下させることから、周辺の水位低下への影響は少ないと考えておりました。
  • ○なお、遮水壁の構築は、平成26年8月から着手する予定でございました。

【想定質問】

(知事の責任について)

知事の責任について伺う。

【知事答弁】

  • ○前回(平成25年12月)の工法変更は、学識経験者等の意見を聞きながら、必要な調査や予測を行った上での判断であり、妥当。
  • ○その後、予測を超えた地下水位低下がみられたため、再度、学識経験者等の意見を聞き、周辺家屋に大きな影響が生じたり、工事中に重大な事故が起こらないよう万全を期すために、必要な事業費を増額し、今回の工法変更を行うもの。
  • ○結果として、大和川線の全線供用が3年遅れ、企業活動や府民生活に影響を及ぼすことになったことは申し訳ない。
  • ○今後は供用開始が一日でも早まるよう、全力を挙げて取組む。

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6.咲洲庁舎

【質問】

咲洲庁舎を保有することにより費やされているコストを確認する。
 具体的には、咲洲庁舎の取得に要した費用やその後の整備・維持管理に要した費用のほか、大手前と咲洲を移動する職員の数と要する時間を問う。【総務部】

【答弁】

  • ○咲洲庁舎の整備・維持管理に要した費用について、ビル購入から26年度までの5年間の合計は、購入費85億円と改修費など約43億円を合わせた整備費約128億円、維持管理費約58億円で、総支出額約186億円だが、民間テナントからの収入約52億円を差し引いた実質負担額の合計は約134億円となっている。
  • ○大手前と咲洲を移動する職員の数について、26年度実績では、地下鉄による職員の庁舎間移動が延べ約2万2千人、シャトルバスによるものが延べ約1万3千人であり、所要時間はいずれも片道約40分となっている。

【質問】

咲洲に庁舎があることで、果たして活性化につながっているのか疑問。咲洲庁舎の購入から今まで、咲洲庁舎のテナントの数や周辺の開発状況はどう変わってきているのか。【総務部】

【答弁】

  • ○咲洲庁舎のテナント数については、庁舎購入した22年6月時点で、店舗26件、オフィス16件、合計42件であったが、今年9月時点では、店舗10件、オフィス7件、合計17件となっている。
  • ○周辺の開発状況について、咲洲コスモスクエア地区約110haに立地する施設数で申せば、22年5月時点は40施設で、今年4月時点でも40施設と変わらず、現在の土地利用率は全体面積の約79%となっている。

【質問】

咲洲地区は特区に指定されたが、特区の推進を図る上で、庁舎が咲洲にあることが、具体的にどのように貢献できたのか?またそれは、咲洲庁舎でなければできなかったことなのか?【政策企画部】

【答弁】

  • ○23年9月当時は、「関西イノベーション国際戦略総合特区」の夢洲・咲洲地域におけるエリア指定を目指している状況にあった。当地にある庁舎を有効に活用して、大阪市等とも連携して各種プロモーションを行うなど、現地での行政機能の展開を想定した上でご答弁申し上げたものと理解している。
  • ○夢洲・咲洲地区における特区の取組みについては、23年12月に指定を受け、環境・エネルギー産業分野での研究開発、製品化や、スマートコミュニティ実証、関連企業や機関の誘致など、種々の取組みが進められている。
  • ○その一環として、咲洲庁舎の立地を活かし、「バッテリー戦略研究センター」が咲洲庁舎の商工労働部に設置され、リチウムイオン電池など、関連のビジネス創出支援や実証コーディネイトを進めているところ。
    またこうした拠点の機能や当該エリアのポテンシャルが、独立行政法人『製品評価技術基盤機構』による大型蓄電池システム試験・評価施設の咲洲地域への立地にも繋がったものと考えている。
  • ○特区の指定や運用に当たって、区域内に庁舎が存在することは要件ではなく、またこれらの取組みが咲洲庁舎でなければできなかったとまでは言い切れないが、今後とも、現地での行政機能を効果的に発揮し、企業誘致や関連産業の振興等が図られるよう、関係部局と連携して取り組んでまいりたい。

【質問】

本年策定された府庁BCPで、(大)津波警報発令時には咲洲庁舎に職員を参集させないとした理由は何だったのか?【危機管理室】

また、参集はしないとしても、仮に執務時間内に巨大地震が発生した場合には、津波や液状化等により職員が咲洲庁舎に取り残される可能性もあるということか?だとすればその場合の対応はどのように考えているのか?【総務部】

【危機管理監答弁】

  • ○本年2月に改訂した府庁BCPにおいては、勤務時間外に災害が発生した場合、勤務場所への参集を原則としているものの、大阪府内に大津波警報ないし津波警報が発表されている時は、咲洲庁舎を勤務場所とする職員についても大手前庁舎に参集することを位置づけた。
  • ○その理由は、南海トラフ巨大地震発生の場合は、咲洲庁舎への、鉄道や道路の参集ルートが浸水想定区域に含まれ、庁舎へのアクセスが確保できず、職員参集が困難であることから、咲洲庁舎勤務の職員も大手前庁舎に参集させ、災害応急対策業務にあたらせることとしたもの。

【総務部長答弁】

  • ○咲洲庁舎において、執務時間内に発災した場合は、職員は咲洲庁舎内で非常時優先業務に集中的に従事することになる。
  • ○こうした業務継続を行うために必要な電力等の業務資源については、一定量が確保されており、例えば、照明やコンセント、エレベーター、防災行政無線を4.5日稼働させる非常用発電機、2,500人が6日程度の飲用や雑用に使える貯水槽、同じく水洗トイレを6日程度使用できる汚水貯留槽などが整備されている。
  • ○今後とも、咲洲庁舎の職員が円滑に業務継続できるよう取り組んでまいる。

【質問】

咲洲庁舎の売却やリースバックの件は具体的にどうなっているのか。【総務部】

【答弁】

  • ○咲洲庁舎については、今後示される長周期地震動に関する国の知見を踏まえ、耐震対策を検討することとしており、咲洲庁舎の活用方策や府庁舎全体のあり方は、この検討結果とあわせて判断することになる。
  • ○国の知見は未だ示されていないが、現在、庁舎のあり方について、様々なパターンを想定し、あらゆる可能性についての検討を出来るところから始めている。
  • ○咲洲庁舎については、入居オフィス、店舗とも購入時より減り、現在約4割が空室となっていることから、ビルの活性化を図るための方策の一つとして、民間がビルを所有し、府がテナントとして入居するいわゆるリースバック方式などのアイディアを検討しているところ。
  • ○今後とも、幅広い観点から、多様な手法について可能性を探ってまいりたい。

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7.人事評価

【質問】

(相対評価による人事評価制度について)

職員をきちんと人事評価するのは大切なこと。
上司が部下の日頃の仕事ぶりをきちんと評価し、コミュニケーションを取りながらやる気を高め、元気に働いてもらうことは、職場を活気づけ、府民サービスの向上につながり、ひいては大阪全体の成長に資する。
府庁の職員は優秀で真面目、志の高い人が多い。それは今年の職員アンケートで約65%の職員が自らの執務意欲は高い、やや高いと回答していることからも分かる。
こうした職員の良いところを伸ばすのが人事評価の目的のはずで、ただ罰点をつけ、やる気をなくさせるものであってはならない。
しかし、現在行われている相対評価は全職員を職階ごとに5段階に区分し、上から5%、20%、60%、10%、5%と決められた率に割り振るもので、平成24年度の試行のときから、職員の不満、やる気の阻害などが懸念されていた。今年の職員アンケートでも、相対評価に対する職員の納得度合は十分とは言えず、執務意欲を低下させている。
こうした職員の生の声について、検証をとりまとめた総務部はどのように受け止めているか。総務部長の見解は如何。

【答弁】

  • ○今回の職員アンケート調査結果では、絶対評価結果については約70%、相対評価結果については約55%の職員が納得しており、評価結果に対する職員の納得感は引き続き高いことから、一定、制度として定着しつつある一方で、相対評価による人事評価制度によって、2,145名の職員が執務意欲を低下したとの回答があった。
  • ○また、執務意欲の向上につながらない理由として、「現行制度自体」や「絶対評価と相対評価の乖離」、「相対評価」に関する不満が6割近くを占めており、制度の改善点についても「現行制度自体」や「相対評価の分布割合」に関するものが約7割に上るなど、制度の基本的な部分に関する不満や改善に関する意見が多く見受けられた。
  • ○このアンケート結果では、制度目的である執務意欲の向上等につながっていないと考えられることから、今後、さらに納得感を向上させ、執務意欲の向上につなげる取組みとして、「評価に対する功績、処分の明確な反映」、「職務従事期間に応じた評価の導入」などの改善策を検討していく。

【質問】

(相対評価による人事評価制度について)

試行実施から3年を経過したが、制度目的である「執務意欲の向上」や「職員の奮起や切磋琢磨」につながらず、その理由が、相対評価制度の基本的な部分に関する不満や改善にある以上、制度をマイナーチェンジして済む話ではなく、相対評価そのものを根本から見直す必要に迫られていると考える。
制度が中途半端なのではなく、相対評価の仕組み自体に無理がある。相対評価は職員基本条例で決められた割合に応じて職員を上から下に割り振るため、必ず一定割合の下位区分を出さないといけない。平成26年度実施の人事評価を見ると、第5区分は5%と決められているため、総数8,646人のうち448人が第5区分に評価されている。ところが、その内訳は、絶対評価がC、Dの職員182人全員を第5区分にしても足りないため、絶対評価Bの職員266人を無理やり第5区分に回して5%をなんとか確保している状況にある。
明らかに第5区分5%を出すことが目的の単なる数字合わせである。266人もの職員は絶対評価Bという「良好」「ほぼ100点満点」の仕事をしているにもかかわらず、最下位区分に相対評価されており、こんな評価をされたら本人は納得できないのは当然だし、仕事への意欲をなくすに決まっている。
そこで知事に伺うが、職員基本条例で定める本来の目的である「職員の資質、能力及び執務意欲の向上」につながらない相対評価制度なら、直ちにやめるべきと考えるが、どうか。

【答弁】

  • ○相対評価による人事評価制度が職員の奮起と切磋琢磨を促し、その目的である執務意欲等の向上につながるよう、改善策を検討するとともに、民間企業や他の都道府県における運用状況等の動向を注視しながら、引き続き、制度そのもののあり方を検討していく。

【要望】

根拠のない5%、10%という分布率を当てはめて職員に差をつけることが、どれほど職員の意欲を阻害し、職場の雰囲気や仕事の成果に影響を与えるかを、今こそ立ち止まって考え直す時期である。
人事評価は全庁あげて相当の労力と時間を費やして行われており、無駄な作業に終わらせてはいけない。本来あるべき人事評価とはかけ離れた制度になっている今の相対評価は職員を疲弊させるだけであり、知事はこれ以上固執すべきではないと申し上げておく。

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8.中高一貫校

【質問】

(公立中高一貫校の教育効果)

府は公立の受け皿があることを理由に、私立小中学校の経常費助成をカットしている一方で、富田林に中高一貫校を設置しようとしている。これまで私立が担っていた公立中学校では得られない教育効果を、今度設置する中高一貫校で狙っているのでないか。
この中高一貫校に期待する教育効果は何か。また、それは私立の中高一貫校ではできないことなのか、教育長に伺う。

【教育長答弁】

  • ○公立の中高一貫校については、子どもたちや保護者の選択の幅を広げる観点、さらには、学校設置者が自らの創意工夫によって特色ある教育を展開する観点から、平成10年に学校教育法が改正され、平成11年度から設置することが可能となった。
  • ○大阪府においても、人口減少が著しい南河内地域において教育を軸とした地域活性化に寄与するという意義があり、また、学校及び関係者の熱意や地元の理解と協力により、教育的効果が充分に期待できると判断し、平成26年12月の教育委員会会議で設置を決定した。
  • ○この富田林の併設型中高一貫校では、
    • ・国語や英語の授業を充実するとともに、学習活動の中で討論やプレゼンテーションを積極的に取り入れ、「グローバルな視野とコミュニケーション力」を身に付けること、
    • ・観察、実験の際に探究する時間を十分設け、知識を活用して論理的に考え説明する活動を取り入れ、「論理的思考力と課題発見・解決能力」を身に付けること、
    • ・南河内地域をフィールドに探究したり、地域の方々と協働した活動、貢献する活動を行い、「社会貢献意識と地域愛」を育むこと、
    といった3つの理念を掲げ、6年間を、基礎期・充実期・発展期の3期に区分し、発達段階に応じて計画的・体系的に学習活動を行い、将来、南河内地域に誇りを抱きつつも、グローバルな視野をもち、社会のリーダーとして活躍できる人材を育てていきたいと考えている。
    現在、全国で中高一貫校は、国立・公立・私立をあわせて約500校あり、それぞれの学校の教育理念に基づき、特色ある教育活動が行われているものと認識している。

※平成27年5月現在、全国で中高一貫教育を行っている学校数(連携型を除く)

  • 〔国立〕 中等教育学校 4校  併設型中高一貫校 1校  小計 5校
  • 〔公立〕 中等教育学校 31校  併設型中高一貫校 83校  小計 114校
  • 〔私立〕 中等教育学校 17校  併設型中高一貫校 361校  小計 378校
  • 合計 497校

【再質問】

(公立中高一貫校の教育効果)

先ほどお答えいただいた富田林に設置する中高一貫校に期待する教育効果は、私立の中高一貫校でこれまでにもやってきたこと。なぜ公立においても実施しなければならないのか、教育長に問う。

【答弁】

  • ○中高一貫教育制度は、学校教育法の改正により、平成11年度から導入された。中高一貫教育は、その当時既に私立で実際上相当の広がりを持って行われていた状況を踏まえ、子どもや保護者の選択の幅を広げる観点、特色ある教育を展開する観点から、公立においても導入することが可能となった。
  • ○なお、平成27年5月現在、全国で公立の併設型中高一貫校は83校、中等教育学校は31校あり、設置及び計画がないのは6県だけとなっている。
  • ○この富田林における併設型中高一貫校については、先程もご答弁したように、教育を軸とした地域活性化に寄与するという意義があり、また、学校及び関係者の熱意や地元の理解と協力により、教育的効果が充分に期待できると判断し、設置を決定した。

※平成27年5月現在、併設型中高一貫校または中等教育学校の設置及び計画がない都道府県

⇒ 富山、岐阜、愛知、三重、鳥取、島根

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9.経常費補助

【質問】

(私立小中学校経常費カットと公立中高一貫校)

公立中学校が受け皿になりきれていない部分で頑張ってきたのが私立中学校。これまで私立学校がきちんと担ってきた教育効果、公立中学校にはない役割を認めていながら何故、経常費補助カットを継続しなければならないのか、答弁を求めます。
先ほど、教育長から公立一貫校の設置及び計画がないのは6県だけだと答弁がありましたが、それを言うなら私立の小中学校の補助金を国の標準額から一定の割合でカットしているのは大阪の他にはわずか3県。しかもその3県のカット率はいずれも10%程度と、大阪府のカット率が断トツで高い水準です。近隣他府県の私立小中学校に比べて経常費が大きくカットされていることにより、採算をとるために、どこかにしわ寄せがきているんじゃないのでしょうか。たとえば校舎の耐震化などの修繕計画を先延ばしにしたり、人件費を抑えるために短期雇用の非常勤教員の割合を多くしたり、教職員の仕事量の負担が多くなったりと、どこかでつじつまをあわせようとするのではないのでしょうか。そのことで、他府県の私立との競争で後れをとるのではないのでしょうか、あわせて府民文化部長に伺う。

【府民文化部長答弁】

  • ○まず、私立小中学校の経常費補助金については、厳しい財政状況と公立学校の受け皿があることを踏まえ、昨年度に引き続き、補助単価の15%カットを継続することとした。
  • ○次に、大阪の私立中学校の耐震化の状況については、平成26年4月1日現在の耐震化率は78.9%と、全国の耐震化率91.0%を12.1ポイント下回る結果となっている。これについては、大阪の私立中学校の事情として、耐震化が必要な施設の半数以上が築45年を経過し、学校法人からは、耐震化よりもより資金を必要とする建て替えの方を検討しているとの声も聞かれているところであり、こうしたことも関係しているものと考えている。
  • ○また、教員の雇用形態別の人数については把握していないが、人件費の状況については、平成26年度と補助単価のカットを開始した平成20年度とを比べると人件費の支出総額は2.5%増加しており、特段、人件費を抑制するといった傾向にはないものと考えている。
  • ○他府県の私立学校との競争を、どのような指標をもとに判断すればよいのか困難なところではあるが、大阪では、私立高校において、自由な学校選択の機会の保障という観点から、全国にも類を見ない支援水準の授業料無償化制度を実施しており、また、私立小中学校を設置する学校法人はすべて、私立高校を設置していることを踏まえると、小中高トータルでみれば、私立学校の振興につながっているものと考えている。
  • ○今後、府立中高一貫校の設置など、公立学校への対応状況等を踏まえ、必要に応じ、検討したい。

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10.入学者選抜

【質問】

(平成29年度選抜における調査書の評定について)

来年度の公立高校入試における中学3年生の内申点の評価方法は、全国学力テストの成績を加味した評価基準を設けることとなった。しかしながら、その方針が明確に決まったのは入試まで一年を切り、中学三年生がすでに評価基準となる学力テストを受けた後のことです。高校入試といえば子どもたちにとってはその後の人生を左右することにもなる、人生で初めて出会う大きな試練です。高校入試についてはこれまで、度重なる学区制の変更や撤廃、入試選抜方法や日程の変更、そして今回の内申点の評価方法の変更と、まるで思いつきのような入試制度の変更がどれほど生徒や保護者を不安にさせ、学校現場を混乱させているか、まずこの点について教育長の見解を伺いたい。

【教育長答弁】

  • ○入学者選抜の制度改正については、通学区域につき、中学生の学校選択の幅を拡大する観点から、平成19年度選抜から9学区制を4学区制に、さらに平成26年度選抜から学区を撤廃し府内全域としたところ。
  • ○また、平成25年度選抜から、すべての普通科の学校で、前期・後期選抜を実施することとした。これは、平成23年度の私立高等学校の授業料無償化の拡大や、公私の受入れ比率の廃止による選抜環境の大きな変化に対応するため、当面の対応策として決定したものである。
  • ○平成28年度選抜については、原則3月に一本化した。これは、これまでの前期・後期制に対する意見としては、中学校においては、前期選抜における多くの不合格者に対する進路指導が困難であること、高等学校においては、在校生の教育活動に支障が生じるとの課題があるとの理由によるものである。
  • ○また、平成24年8月には、個人の努力をより一層反映させるため、調査書評定に到達度に応じた絶対評価を導入することに舵を切り、絶対評価の公平性を担保する手法につき、鋭意、調査・検討してきたところであり、本年4月、全国学力・学習状況調査を活用した府内統一ルールを決定した。
  • ○選抜制度におけるこの10年間にわたる数次の改正については、保護者、中学校、市町村教育委員会にも御負担をおかけしたことと思う。しかし、何れも、生徒の学校選択幅の拡大や、生徒の努力を一層適切に評価するための必要な改正であったことを御理解いただきたい。

【質問】

(調査書評定の公平性の担保について)

他府県は絶対評価により特段支障が生じていないにも関わらず、大阪府だけが独自の評価手法にこだわる理由は何か。

【教育長答弁】

  • ○調査書の評定を絶対評価で行うに当たっては、一部の県では各中学校の調査書評定の分布を公表したり、入学者選抜を行う高等学校において、当日の学力検査の結果をもとに調査書の評定を調整するなど、それぞれ独自の手法で公平性の担保に努めておられる。
  • ○本府においては、調査書評定の公平性を担保する手法には、生徒の学力状況を客観的に評価できる指標を用いるべきとの考えから、府民の間で信頼が高い全国学力・学習状況調査の活用が適切であると判断した。

【質問】

(調査書の評定の公平性の担保について)

「公平性を担保するための指標として適切だ」とのご答弁ですが、現場の中学校の先生方はそうは思っておられないようです。我が会派にも大阪市内のある公立中学校の校長先生からご意見をいただいています。いわく「全国学力学習調査の差があまりにも大きすぎて、下位校絶対評価の幅が限定されて評価が成りたちません。上限・下限を定めねば著しく不利益を被る生徒が出ると思われます。」とのことです。
生徒の学力をたった一回の、しかも限られた科目しかないテストで測ることはできません。授業をしっかり受けて中間や期末テストでコツコツ頑張って平均点程度は取れるが、実力テスト系のような範囲の広いテストでは点数の振るわない生徒は結構多くいます。それを補うのが塾だとすれば、結局、地域の経済格差がそのまま全国学テでの学校の評価になってしまうのではないのかということです。教育委員会から聞いた説明では、教師が一人一人の生徒を絶対評価で細かい基準にあてはめ、正しく評価すれば、おおむね評定平均の幅の中におさまるはずだということでしたが、現場の先生、特に下位校の先生方は決してそうは思っていないということです。構図としては府の職員の相対評価と同じ、いやむしろ、学校ごとのものさしにあてはめなければならないという点ではさらにもっときついのかもしれません。真面目にコツコツ頑張る生徒であっても、1や2をつけざるを得ない状況が出てくるということです。これがはたして本当に公平性を担保するための指標だなどといえるのでしょうか、再度教育長の見解をお聞かせください。
また、文部科学大臣は、今回の全国学力テストの利用については来春に限って認めたということですが、再来年以降の入試ではどのような方法で内申点を評価するのか。

【教育長答弁】

  • ○調査書評定に絶対評価を導入するに当たっては、選抜における公平性を担保するための府内統一ルールが必要である。
  • ○府内統一ルールについては、中学校において作成した絶対評価をベースとし、極端な絶対評価の是正を目的としている。そのため、全国学力・学習状況調査の結果を活用し、各中学校の「評定平均の範囲」を定め、その範囲内に中学校の評定平均が収まっていることを確認するものである。このことは、これまで丁寧に説明に努めてきたので、市町村教育委員会や中学校には、同様に受け止めていただいていると認識している。
  • ○各中学校の評定平均の目安には±0.3という幅を設けており、この幅の中で各学校の個別の状況にも対応できると考えている。
  • ○次に、全国学力・学習状況調査の結果活用については、9月30日、文部科学省において「全国高等学校入学者選抜改善協議会」が開催され、その場で府教育委員会から絶対評価の公平性の担保に向けた府内統一ルールについて説明した。
  • ○文部科学省からは平成29年度選抜における活用は認めないという発言があったが、当日の協議会の場では、都道府県教育委員会の担当者から、府に対して直接提言する立場にないためか、府の統一ルールに対する賛否の表明自体はなかったと報告を受けている。
  • ○平成29年度選抜における府内統一ルールについては、今後、府議会での議論や市町村教育委員会の意見を踏まえて文部科学省と協議を続け、年内には結論を出したいと考えている。

【再質問】

(調査書の評定の公平性の担保について)

年内に結論を出すということですが、再来年(平成29年度選抜)以降は、全国学力調査を活用しないということでいいですか。

【教育長答弁】

  • ○先ほど御答弁申し上げたとおり、平成29年度選抜における府内統一ルールについては、今後、府議会での議論や市町村教育委員会の意見を踏まえて文部科学省と協議を続け、年内には結論を出したいと考えている。

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11.地球温暖化

【質問】

(エネルギー問題)

今後さらに地球温暖化が進み、異常気象の頻発も予想されるが環農部長の見解は?

【環境農林水産部長答弁】

  • ○「気候変動に関する政府間パネル」いわゆるIPCCの第5次評価報告書によると、世界全体の温室効果ガス排出量は増加し続けており、4つのシナリオのうち、温室効果ガスの排出抑制に向けた追加的な努力を行わず、その濃度が最も高くなると想定した場合、今世紀末には世界の平均気温が1986年から2005年の平均よりも、2.6℃~4.8℃上昇すると予測されている。
  • ○また、平均気温の上昇に伴い、極端に気温の高い日や、非常に激しい降雨が、頻繁に発生する可能性が非常に高くなるとされており、我が国においても、近年、いわゆるゲリラ豪雨が増加するなど、その影響が顕在化しつつある。
  • ○このような状況を踏まえ、国においては、本年7月、我が国の温室効果ガスの排出量を、2030年度までに2013年度比26%削減する新たな目標値を公表したところ。
  • ○本府においても、温室効果ガス排出削減の取組みを、継続的かつ計画的に推進するため、引き続き、「大阪府地球温暖化対策実行計画」に基づき、大規模事業者への届出指導や立入調査など、温室効果ガスの排出を抑制する「緩和策」に取り組んでいくとともに、熱中症対策や農作物の高温障害対策など、災害や人の健康、農作物等への影響を軽減する「適応策」について検討してまいる。

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12.温暖化の状況

【質問】

(エネルギー問題)

世界全体の温室効果ガス排出量は増加し続けており、このままCO2の排出量を減らさなければ、世界平均気温が1986年から2005年の平均より、最悪のシナリオの2.6℃~4.8℃上昇することを免れないと思うが、その場合、地球規模でどのような現象が起こるのか。
また、IPCC第5次報告書では、世界の平均気温を産業革命以前、つまり1880年頃との比較で2℃未満の上昇に抑えなければ、大変な事態になると警鐘をならしているが、この理由を教えてください。あわせて、2℃未満の上昇に抑えるためには具体的にどのような対策をどれほどの規模で実施しなければならないとされているのか伺いたい。

【環境農林水産部長答弁】

  • ○IPCC第5次評価報告書における将来の影響予測では、
    • ・現在と比べて気温が1℃上がると、台風や熱波などの極端現象のリスクが高まり、
    • ・2℃上がるとサンゴ礁など適応能力の低い生態系が非常に高いリスクにさらされ、
    • ・3℃以上では、地球全体で生物多様性が減少し、水や食料などの供給が失われ、人間の社会にも大きく影響する
    とされている。
  • ○世界の平均気温を1861年から1880年の平均より、2℃未満の上昇に抑えなければ、多くの生物種が、気温の変動に対応するために適切な生息環境へ移動することができず、生物種の絶滅や、森林の減少といったリスクが高まるとされている。
  • ○さらに、北極海の海氷は縮小し、薄くなることが予測されており、最も温暖化が進むシナリオの場合、21世紀半ばまでに夏季の北極域の海氷が、ほぼ無くなる可能性が高くなるなど、気候変動がもたらす様々な影響が指摘されている。
  • ○また、2℃未満の上昇に抑えるためには、世界規模で、エネルギー効率をより急速に改善し、再生可能エネルギーや二酸化炭素回収・貯留などのゼロ炭素及び低炭素エネルギーの供給割合を2050年までに、2010年の3倍から4倍にし、温室効果ガス排出量を40から70%に低減するとともに、21世紀末にはほぼゼロにする必要があるとされている。

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13.森林環境税

【質問】

(森林環境税について)

昨年9月の中間とりまとめでは、森林保全施策に加え、都市緑化施策についても緊急かつ集中的に実施すべきと提言。府が実施したアンケートにおいても、森林保全・都市緑化ともに9割以上の府民が重要視し、年間500円程度の負担についても一定の理解が示されているというが、それはあくまでも、森林保全・都市緑化の両方をするのに、新たな負担が必要であるという内容についての理解であったはず。この間ずっと、森林環境税を財源として、森林保全に加えて都市緑化も実施するという前提で検討されてきたはずなのに何故急に、都市緑化だけが外されてしまったのか。環境農林水産部長に伺う。

【環境農林水産部長答弁】

  • ○森林の保全及び都市の緑化の推進のための施策及び財源の確保について検討いただくため、専門家で構成されます調査検討会議を平成25年12月に設置し、7回にわたる会議の上、昨年9月に中間とりまとめをいただいた。
  • ○中間とりまとめでは、森林保全と都市緑化に係る新たな施策の方向性と、その財源について、「府民税均等割の超過課税を基本に検討を深めることが必要」と示されたところ。
  • ○その上で、今回の森林環境税については、府民の皆様に新たなご負担をお願いするものであり、都市と森林が近接し、自然災害への早急な対応が求められることから、災害の防止など、より緊急性の高い森林保全施策に絞って、緊急かつ集中的に実施することとしたもの。
  • ○都市緑化施策については、限られた財源の中、事業精査の上、市町村、民間とも適切に役割分担、連携しながら、規制緩和、補助制度などを総合的に組み合わせて進めてまいりたい。

14.がん対策

【質問】

(「がん検診受診推進員制度」について)

大阪府では、がんの予防やがん検診の受診率向上のため、民間企業5社と「がんに関する啓発及びがん検診の受診率向上に関する包括協定」を締結していると伺っています。
この協定に基づいて、民間企業の外交員の方ががん検診などのチラシを使って啓発活動を行ってくださっていますが、より一層活動しやすい環境を整備するために、他府県では、協定を締結している民間企業の社員さんに、がんの知識や検診に関する研修を受けていただき、修了された方を「がん検診受診推進員」として任命することにより、住民の皆様に対する説得力を増す形でご活躍いただいていると伺っておりますが、大阪府においても同様の制度を導入してはどうかと考えますが、健康医療部長のご所見をお伺いします。

【健康医療部長答弁】

  • ○がんの早期発見、早期治療につながる「がん検診」の受診率の向上には、行政だけでなく、保健医療関係者、民間企業等と幅広く連携しながら、府民に対して検診の有用性を理解いただけるよう啓発を強化していくことが有効。
  • ○包括協定を締結している企業等の取組みを一層充実したものとするため、府においても「がん検診受診推進員制度」を今年度中に導入してまいりたい。

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15.堺泉北港クルーズ船誘致

【質問】

(堺泉北港へのクルーズ客船の誘致)

次に、クルーズ客船の誘致についてお尋ねします。
政府は、観光立国の実現に向け、2020年にクルーズ船で入国する外国人旅行者数100万人を見込んでおり、我が党においても、今年6月「クルーズ船観光振興議員連盟」を立ち上げ、クルーズ船誘致における課題について関係省庁の来年度概算要求に反映させるべく、8月に中間報告をとりまとめたところです。
そこでます、クルーズ船市場の実態と誘致のための環境整備状況並びに大阪湾諸港での寄港状況についてお尋ねします。
あわせて、クルーズ船の場合、寄港地における乗客1人あたりの消費金額が約4万円と高額で地元への経済波及効果も大きく、近年、急激に大型化が進むクルーズ船ではありますが、4万総トンクラス、乗客数800人規模のクルーズ船であれば、堺泉北港助松ふ頭にも物理的に着岸が可能だと伺っております。
大阪府としてもクルーズ船への取組みを積極的に進めるべきと考えますが、堺泉北港を所管する都市整備部長のご所見をお伺いします。

【都市整備部長答弁】

  • ○世界のクルーズ人口は増加傾向にあり、2014年には、我が国の108港への寄港回数が1,200回を超え、クルーズ船による外国人旅行者数も前年比2.4倍の41.6万人に上るなど、クルーズ市場は急成長を遂げている。
  • ○昨年10月1日から消費税免税制度の拡充や、本年4月1日からクルーズふ頭に免税店を臨時に出店する際の手続きが簡素化されるなど、制度面での環境づくりに加え、本年4月に博多港でクルーズセンターが整備されるなど、施設面でも全国の港湾でクルーズ船の受入れのため環境整備が進められている。
  • ○大阪湾諸港への寄港の状況は、昨年、神戸港に100回、大阪港に13回あり、神戸港では、本年3月にポートターミナルのリニューアルが完成し、大阪港でも大型クルーズ船の受入れ可能な天保山客船ターミナルの改修を検討しているなど、更なる誘致に取り組んでいるところ。
  • ○本府が管理する堺泉北港は、これまで工業港として、貨物の取扱いを主要施策として取り組んできた。ご指摘の助松ふ頭では、輸出中古車を中心に取扱っており、クルーズ船に対応した旅客ターミナルがなく、誘致の実績もないという課題がある。
  • ○しかしながら、議員ご指摘の通り、クルーズ船の寄港によって、寄港地周辺に大きな経済波及効果が期待できることから、本府としても、クルーズ船誘致は重要と認識しており、全国の港湾管理者などで構成する「全国クルーズ活性化会議」に8月から参画したところであり、この活性化会議を活用し、他港との情報交換や客船会社のニーズの把握に努める。今後は、管理の一元化を図り、港湾計画やポートセールスを共に進めようとしている大阪市とともに、オール大阪でクルーズ船の誘致促進に取り組んでいく中で、堺泉北港への寄港についても、調査・研究して参りたい。

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16.百舌鳥・古市古墳群

【質問】

(百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録について)

百舌鳥・古市古墳群は、大阪の貴重な歴史遺産である。
今年度の国内推薦は叶わなかったが、今年度の国内推薦の結果をどう受け止め、今後どのように取組むのか府民文化部長に問う。

【答弁】

  • ○今年度の国内推薦獲得のため、地元3市と連携しながら、熟度の高い推薦書原案の作成に向け、国内外の有識者からの意見聴取、宮内庁など関係機関との調整を行い、本年3月に文化庁に推薦書原案を提出した。
  • ○また、6月には、知事と地元3市長が、超党派からなる国会議員連盟の役員とともに、文部科学大臣及び文化庁長官にお会いし、直接、この資産の顕著な普遍的価値や保全管理等を訴え、国内推薦資産に選定していただくよう要望も行った。
    しかしながら、本年7月の文化審議会での審議の結果、今年度の国内推薦が叶わず、非常に残念な結果となった。
  • ○この結果を受け、改めて8月に推進本部会議を開催し、来年度の国内推薦・平成30年度の世界文化遺産登録に向けて取組むことを決定したところです。
  • ○国の世界遺産特別委員会からは推薦書原案のさらなる説明の明確化が求められており、考古学等の専門家を招聘した検討委員会や国際専門家会議における議論を踏まえ、文化庁・宮内庁とも協議を行いながら、推薦書原案のさらなるブラッシュアップを進め、来年こそは国内推薦を獲得していく。

【質問】

(百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録について)

さきほど、部長の答弁で今後の取組みについて伺ったが、世界遺産登録に向け、国の世界遺産特別委員会からは推薦書のさらなる説明の明確化が求められており、国内外からの専門家に理解していただける推薦書原案をしっかりと作成していただきたい。
加えて、世界遺産登録の取組みに対する認知度も大変重要と考えている。地元3市では広く認知されているが、大阪府全域でみれば、まだまだ認知度は低いと感じている。府域での認知度を高めるには、まず府内市町村の協力が必要と思うが、府民文化部長の考えを問う。

【部長答弁】

  • ○これまで、府と地元3市が一体となって世界遺産登録に向けた取り組みを進めてきたが、この機運を府内全域に広げていくためには、お示しのように府内市町村の協力が不可欠と認識している。
  • ○9月には大阪府市長会・町村長会の両会において「古墳群は地元市だけでなく、大阪全体の貴重な財産としてオール大阪で登録に向けて応援する」旨の決定をいただいた。
    大変心強い応援をいただいたと思っており、これを受け、例えば、府内市町村の庁舎等でののぼりの設置やポスターを掲示いただくなど、市町村において機運醸成につながるようお願いしていく。

【質問】

(百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録について)

世界遺産登録に向け、府内市町村の応援も受け、しっかり取り組んでほしい。
さらに、地元3市では、市民の会が創設され、9月には堺市で開催された市民によるイベントの中で、古墳群の世界遺産登録をPRする取組みが行われるなど、登録に向け地元での盛り上がりが見られる。この流れを府民レベルに広げた、応援組織を作ってはどうか。
世界遺産登録の実現に府としてどのように取組むのか、府民文化部長に問う。

【部長答弁】

  • ○今年6月に堺市で、7月には羽曳野・藤井寺市で、市民を中心とした応援組織が設立されたところである。府としても、地元市のみならず府内で登録に向けた機運がより一層高まるよう、年内に府民を挙げた応援組織の設立に向けて、各界各方面に働きかけてまいる。
  • ○来年国内推薦を獲得し、平成30年度には百舌鳥・古市古墳群が大阪初の世界遺産登録となるよう、オール大阪での協力体制のもと、全力で取組んでまいる。

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17.財政状況

【質問】

(減債基金の積立ルール変更に係る経緯)

府では、過去に財政再建団体への転落を回避するため、減債基金から5,202億円もの借入を行った。この借入により生じた積立不足額を穴埋めするため、平成21から27年度までの間に2,719億円の復元を行い、残りの2,483億円の不足額についても36年度までの10年以内に復元を完了させるとのこと。
しかしながら、これだけの復元積立をしていると言いながら、国の定める財政指標の一つでもある実質公債費比率は橋下前知事就任以来、悪化の一途をたどり、平成23年度決算では18%を超え、起債許可団体に転落。許可団体解消まであと10年もかかるとのことである。これは、実質公債費比率算定上の国ルールに対する減債基金の積立不足額が橋下前知事就任以降の4年間で1,897億円もの大きなかい離が生じ、平成23年度末には積立不足額が5,812億円にもなってしまったことが何よりの原因である。
さらに、臨時財政対策債等のいわゆる償還財源の先食い分についても、橋下前知事就任時の平成19年度末には1,215億円であったものがそれ以降、この7年間で大きく増大し、平成26年度末には2,819億円にもなっている。しかも、この臨財債等の先食い額は、我が会派の試算によれば今後さらに拡大し、平成33年度末には最大で4,150億円にまで膨らむ。
このような状況で果たして本当に、府の財政状況が好転している、橋下府政、松井府政で大阪府の財政を立て直したと言えるのかどうか、はなはだ疑問である。
府ではこのままでは財政健全化団体転落を免れえないと、ようやく平成24年度と25年度に減債基金の積立ルールを変更している。そこで改めて、それぞれの年度に積立ルールを変更することになった経緯を説明されたい。

【財務部長答弁】

  • ○本府では、満期一括償還の府債については、元金の返済を平準化するため、償還期間を原則30年として、一定のルールに従って減債基金に積み立て、満期時に償還している。
  • ○平成13年度以前の発行分は、10年ごとに3年据置後、発行額の6%ずつ毎年積み立てた額を償還し、30年目の最終償還時に、22.7%を合わせて償還している。
    平成14年度以降の発行分は、3年据置後、27年間で3.7%ずつを均等に積み立てて償還している。
  • ○平成18年度に実質公債費比率が導入されたが、平成22年度以降、臨時財政対策債の規模が3,000億円前後に拡大したため、実質公債費比率の算定ルールに基づく減債基金への積立額と、府のルールに基づく積立額のかい離が拡大した。実質公債費比率をより悪化させないため、平成24年度から、据置なしの30年均等償還という実質公債費比率算定に合わせる形で見直した。
  • ○さらに、府議会での議論を踏まえ、平成25年度から、臨時財政対策債について、基準財政需要額の算定方法を反映させ、発行額の半分を20年均等償還に見直した。

【質問】

(減債基金の積立ルール変更に係る認識)

府では平成24年度から、減債基金積み立てルールを国と同じく据え置きなしの30年均等償還方式に変更したとのことだが、総務省からのルールが示されたのは平成18年であり、さらに21年にも同様の通知が出ていたはず。もっと早くに国のルールに合わせてルール変更を行っていれば、積立不足額は今より少なくなっていた。
現に、平成24年9月議会の答弁でも当時の総務部長が、国ルールとのかい離が拡大しなければ、許可団体に転落することはなかったと答えておられる。また、平成24年2月の中長期試算、つまり国ルールに合わせて3年据え置きをなくした後に作成した試算においても、平成30年度には実質公債費比率が24.9%と財政健全化団体ぎりぎりという試算を示している。
つまり、24年度のルール変更は、にっちもさっちもいかなくなってやむを得ず変更したものではなかったのか。逆に言えば、もっと早い時点で、総務省からのルールが示された平成18年や通知が示された平成21年にルール変更しておれば、許可団体に転落することも回避できたはず。そこでお尋ねするが、なぜ、総務省からのルールが示された際、あるいは通知があった際に変更しなかったのか。

【財務部長答弁】

  • ○実質公債費比率が初めて導入された際の平成18年3月と、実質公債費比率が財政健全化指標に採り入れられた平成21年4月に、実質公債費比率を算定する上での積立ルールを、毎年度、発行額の30分の1(3.3%)とすることが、総務省から通知されている。
  • ○一方、地方債の元利償還に係る基準財政需要額の算定は、実質公債費比率の算定ルールと異なっている。
  • ○そうした中、
    • ①公債費負担の平準化は、当時の積立ルールによっても実現されていること、
    • ②減債基金の復元を計画的に進め、実質公債費比率を25%以上にしないよう取組を進めていたこと、
    から、積立ルールの変更を行わなかった。
  • ○しかしながら、平成22年度以降、臨時財政対策債の規模が3,000億円前後に拡大したことにより、実質公債費比率をより悪化させないため、平成24年度から、実質公債費比率算定に合わせる形で府の積立ルールを見直した。

【質問】

(臨時財政対策債等の償還財源不足)

先ほどの答弁にもあったように、25年度のルール変更は、我が会派が再三にわたり臨財債等の償還財源先食いを指摘し、是正を求めたことにより実現したもの。ただ、先ほども申し上げたように、この償還財源の先食いは新規発行分についてのルール変更だけでは是正されたとは言えない状態。
というのも、先ほども述べたように、この臨財債等の先食い額、26年度末では2,819億円であるが、我が会派の試算によれば今後さらに拡大し、平成33年度末には最大で4,150億円にまで膨らむ。これは既に発行されている臨財債等の償還が基準財政需要額算入額よりも少ない額でしか償還されないことによるもので、つまり今後さらに、将来世代への負担先送りが年間190億円以上新たに生じるということ。これは直ちに是正しなければならない重大な問題。過去に発行した分までさかのぼり、ルールを変更して不足額に対応すべきではないのか。

【財務部長答弁】

  • ○地方債の元利償還に係る基準財政需要額の算定方法は、全国の自治体の平均的な償還条件を反映させているので、他団体における実際の償還ルールもこれと必ずしも一致しているものではない。
    また、普通交付税は一般財源であり、使途が制限されないことから、基準財政需要額どおりに支出しなければならないものでもない。
  • ○平成25年度のルール変更後に発行した臨時財政対策債等は、基準財政需要額の算入ルールより早いペースで償還するため、今後の臨時財政対策債等の発行に伴い、基準財政需要額の算入額との差は拡大基調から横ばい、やがて縮小基調に転じていく。
  • ○しかしながら、府のルール見直し前に発行した臨時財政対策債等について、将来、基準財政需要額の算入額を上回る償還が必要となるため、その点に十分注意しながら財政運営を行っていく必要がある。
  • ○当面は、減債基金からの借入によって生じた積立不足の解消を図りながら、収支不足が多額にのぼる目前の数年間を乗り切ることを最優先課題として、財政運営を行う中で、各年度の財政状況を見ながら、臨時財政対策債等の借換債の発行の抑制を検討していきたい。

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