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府議会の報告

平成28年2月定例府議会(本会議)における討論

平成28年3月24日

 自由民主党・無所属 大阪府議会議員団の 徳永しんいち でございます。
採決に先立ち、今議会に提案されている諸議案等について、私たち会派の意見と態度を表明させていただきます。

まず、第1号議案「平成28年度大阪府一般会計予算の件」中、都市魅力創造事業について申し上げます。
大阪府・大阪市のいわゆる府市連携事業については、今年度の大阪市の包括外部監査結果においても、「その効果に疑問が残る」と指摘されたところであり、とりわけ、「大阪・光の饗宴事業」及び「御堂筋の魅力創造・発信事業」については、大阪府の財政状況が非常に厳しい現状にあって、今後も、年間、約3億円もの予算を投じて実施することが適切なのかどうか、費用対効果の観点からも府民の皆様にしっかりと説明し、ご理解をいただくためにも、また、今後も民間の力でこれら事業を継続・発展させていくためにも一度立ち止まって検証すべきであるとの考えから、予算の減額修正案を提案させていただきました。議員の皆様のご賛同をよろしくお願い申し上げます。

また、同じく、第1号議案「平成28年度大阪府一般会計予算の件」中、運輸事業振興助成補助金について申し上げます。
この補助金に関しては、中央団体が全国基準で統一的に行う、輸送の安全の確保に関する事業や、環境の保全などに関する事業についての、府協会から中央団体へ拠出する出損金についての補助が、未だに認められておりません。
中央団体への出損金については、平成23年度に法制化され、都道府県には補助金の交付が義務づけられているところですが、知事は、私たち会派の質問に対し、「事業を否定しているわけではないが、国が本来やるべきもの。役割分担の明確化のために補助を行うつもりはない。」という趣旨の答弁に終始されています。
国が補助金を交付する制度になっていない現状にあっては、大阪府が法令を遵守し、補助金を交付することは至極あたり前のことであると指摘しておきます。

次に、都市緑化の推進について申し上げます。
都市緑化につきましては、森林環境税による取組みから外れ、一般財源によって取り組まれることとされたところですが、来年度の関係予算は1億円にも満たず、森林環境税での対策を計画・検討されていた、約43億円の予算規模とは比較にならない金額であります。
森林環境税により、都市緑化も着実に実施して欲しいと期待されていた府民の思いを真摯に受けとめ、今後は、必要な予算の拡充を目指し、関係機関と連携しながら、着実に事業を進めていただくことを求めます。

次に、第73号議案「副首都推進局の共同設置に関する件」について申し上げます。
私たち会派は、東京の一極集中を是正するため、首都機能の移転等について、大阪が果たすべき役割をしっかりと議論していかなければならないと、かねてより、申し上げて参りました。
そして、大阪府・大阪市・堺市の首長と議員が参画する「大阪会議」こそが、その議論の場としてふさわしいと私たちは考えておりますので、大阪会議の会長である議長において、未だに会議が開催されないことは、誠に残念であります。一刻も早く開催されますよう、改めてお願い申し上げます。
首都機能移転は、まさに大阪全体にかかわる課題であり、広域自治体である大阪府議会の役割であります。知事が、それを議論する場は「副首都推進本部だ!」とおっしゃるのであれば、私たち会派は、議論の場がどこになろうとも、大阪のため、しっかりと議論していかなければならないと考えています。
従って、その事務局となる「副首都推進局」の設置については「賛成」いたしますが、一方で、副首都推進局には、大阪市の「総合区」についても事務を担わせるとのことです。
総合区については、仮に総合区が創設されたとしても、大阪府の事務が総合区に移管されることはなく、あくまで、大阪市内部の都市内分権の話でありますから、大阪府職員も入った「副首都推進局」が事務を担うことは不適切であると考えます。
ゆえに、大阪市会において、自民会派は議案に反対しました。
首都機能移転の議論は、広域自治体たる大阪府、総合区の議論は、基礎自治体たる大阪市、というまさに、役割分担の話であります。このことは、吉村大阪市長が、「関西ワールドマスターズゲームズ」への費用負担を決断された際、「広域自治体たる大阪府と、基礎自治体たる大阪市、における役割分担だ」発言されたとおりでありまして、知事は、これまで、自民会派の府議団と市議団で態度が異なることについて、「バラバラだ!」との批判を展開されてこられましたが、 関西ワールドマスターズゲームズに対する対応について、同じ維新の知事と市長の間で、対応がバラバラな訳ですから、他会派を批判する前に、知事と市長におけるバラバラ状態について、まずはしっかりと、ご説明いただきたいと思います。
私たちは、知事と市長が異なる対応であったとしても、そのこと自体を批判するつもりはありません。
広域自治体たる大阪府と基礎自治体たる大阪市で異なる対応となることは、何らおかしいことではなく、その上で、それぞれの議会として1つの結論を見いだすべく、議論を前に進めていくべきであるということを申し上げておきます。

次に、第83号議案「大阪府宿泊税条例制定の件」について申し上げます。
法定外目的税である宿泊税は、増大する新たな行政需要、すなわち、来阪外国人観光客の受入環境整備を含めた観光振興の取組みなど、喫緊の課題に対応するため、徴収するものであって、目的外の事業への充当や、既存事業への振替は、原則として許されないと考えます。
このため、私たち会派は、条例の修正案を提案させていただきました。
議員の皆様のご賛同をよろしくお願い申し上げます。

あわせて申し上げますが、宿泊税の創設にあたり、特別徴収義務者となるホテル・旅館事業者の方々に対し、十分な事前説明がなされないまま、制度創設が進められようとしている、この間の大阪府の対応は極めて不誠実であったということを強く指摘しておきます。

次に、第141号議案「大阪府立学校条例一部改正の件」について申し上げます。
この条例改正によって、大阪府として初めての府立中学校となる「府立富田林中学校」が「府立富田林高校」に併設されることになりますが、大阪府が、中学校については公立に十分な受け皿があるとの理由で、私立中学校の「経常費補助金」をカットする一方で、今般、無償の公立中学校を中高一貫校として新設し、「学校間の切磋琢磨」を求めている状態は、公平な競争環境という観点から極めて不適正であると考えます。
今回設置することとなる富田林の中高一貫校につきましては、真に子どもたちのための教育の充実につながるのか、大阪の教育力の向上に寄与するのか、その効果検証をしっかりやっていただくよう求めておきます。

次に、議員提出第1号議案、「大阪府情報公開条例一部改正の件」について申し上げます。
これは、皆様もご存じとは思いますが、過去、二度にわたって皆様のご賛同をいただき、本会議において可決されたものの、知事の再議によって、廃案となったものでございます。
繰り返しの説明となりますが、この改正は、特別顧問等の公正な活動の確保に資するとともに、府民参加による府政の推進に寄与するものと、確信しておりますので、議員の皆様方のご賛同を何卒お願い申し上げます。

次に、本府の財政に関して申し上げます。
大阪府の財政は、700億円を超える収支不足への対応を迫られる、大変厳しい状態が続く見込みであり、とても「優良企業」とは言えない、危機的な状況であります。
平成28年度には、財政収支改善方策を検討されるとのことですが、知事におかれましては、この危機的状況を厳に認識され、適切に対応されるよう求めておきます。

最後に教育行政の一元化、いわゆる「教育庁」構想について申し上げます。
大阪府の教育行政につきましては、これまで、「公立は教育委員会」、「私学は知事」と、適切に役割分担が行われ、公立・私立間の交流や情報共有が図られて参りました。
その体制を変更しようとする、今回の教育行政の一元化について、私学を「教育長という職に委任する意義」や「目指すビジョン」などについて、この間、繰り返し質問して参りましたが、知事からは、単に「一元化すれば良くなる」、「一元化すれば何か課題が見えてくる」といった、架空の利益ばかりで、具体的なメリットが一切、示されることはありませんでした。

また、知事は今回の一元化について、「デメリットは一切無い!」旨、答弁されておりますが、これまで公立と私学で、チームとして大阪の教育力向上に取り組まれてきた私学関係者の方々の理解が、今回、知事が進めようとしている教育庁という組織創設後も、これまで以上にチームとして公立と私学が一致協力して大阪の教育力の向上に取り組んで行こう、という所にまで、深まっていない現状こそが、デメリットそのものであると考えます。

大阪の子どもたちのため、教育環境を向上させるには、教育長と私学関係者、相互の信頼関係は欠かすことができないものですが、4月から実施を強行された場合、逆に、私学関係者との溝が深まってしまうのではないかと、大変懸念しています。
現行体制で何ら支障が無い中で、組織を一元化し、教育長という職に権限を集中させることが、組織のあり方として本当にベストなのか、組織体制を見直すのであれば、まずは、知事と教育委員会による現行の教育行政のもとで生じている課題について、検証を行うことが必要であって、その上で、課題への対応や、目指すべきビジョンの実現に向け、新たな教育行政の展開とその効果などについて、関係者間で十分に議論を尽くすことが不可欠であります。
そして、その結果として、見いだされた解決策に基づき制度設計を行うのが本来の進め方であるはずですが、今回の「教育庁」構想について、これまでの短い期間で、そういった議論が十分にされて来たとは、とても思えません。
大阪の教育力向上のため、大阪府の施策や組織について、不断の見直しを行うことは必要なことではありますが、今回の「教育庁」という組織再編に関して、関係者の理解を得られないまま、政治や行政がそれを強行して、果たして、大阪の教育力の向上につながるのかどうか、自信をもって子ども達のためになると言えるのかどうか、はなはだ疑問です。
「一元化ゆき」と書かれた「行先不明」のバスに大阪の子ども達を乗せる訳にはいきません。
そのため、この「教育庁」構想については、断じて容認することができないと申し上げておきます。
以上、申し上げて参りましたが、今議会に提案されている諸議案等のうち、第1号議案、第83号議案については、修正案に「賛成」、残余の諸議案については、すべて「賛成」であることを表明し、私たち会派の討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。

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