トップページ > 議員団活動 > 「特別区設置協定書案」に対する自民党の意見

議員団活動

特別区設置協議会における自由民主党の意見表明

自民党を代表して大阪市会議員団の柳本顕委員が発言

◆今回出されました特別区設置協定書案についての見解を表明させていただきます。
◆まず、今回の協定書案の内容については、本日大阪市会の議論の結果を受けて、若干修正はしているものの、維新の会のみで開催された協議会で案となり、昨年10月27日に大阪府議会、大阪市会において否決されたものと全く同じであることからも、自民党としては反対であります。
◆以下、これまで両議会の議論と重複することになりますが、反対の理由を3点述べさせていただきます。
◆まず1点に、最大約70万人の人口を擁する特別区をつくることになる大阪市を五つに分ける区割りであります。
◆大阪市5区分割案の原案は、そもそも大阪市のブロック化案を検討するに当たり、公募区長たちが地域の声を聞くことなく短期間で作成されたものであり、その後、現在の住之江区を二つにさらに割るなど、地域の歴史や伝統を無視した、公平な視点での市民意見など全く反映されずに決められた、極めていいかげんなものであります。
◆さらに、庁舎問題や災害対策など、それぞれの特別区が独立した自治体として運営するには、多種多様な欠陥を抱える状態になっており、明るい未来が想像できるものではありません。
◆2点目は財政問題です。
◆「府市再編により二重行政の無駄を廃して出てきた大きな効果額で、大阪の成長を担う」というのが、いわゆる大阪都構想のうたい文句でありましたが、これまでの協議会、議会での議論を振り返れば、当初掲げられた理想は全て夢物語であることが明らかになりました。
◆財政シミュレーションでは、17年間で約2,634億円の効果額があると過大に積み上げられておりますが、これらのうちの約2,206億円は、府市連携や市政改革などの行政改革をもって実現できるものであり、逆に分割コストが約650億円以上もかかることを考えれば、特別区設置は約226億円の赤字になるということが明らかになりました。財政的にも、特別区設置は新たな無駄を生じさせることが明確になったのです。
◆おまけに、大阪市域内における特別区の自主財源は、現在の大阪市税収の4分の1と大幅に減少し、財政調整に頼らざるを得ないわけですから、幾ら区長を公選で選んだとしても、その区長に住民の声に応えるだけのお金の入った財布はないのです。
◆3点目は、府と市の関係以上に複雑になる意思決定です。
◆「府知事と5人の特別区長、必要に応じて議会代表者なども含めた構成員になる都区協議会で決める」とされていることが余りにも多いこと、そして、財政規模が約6,400億円にも上る、他に類をみないメガ一部事務組合、住民から遠い存在となる組合議会で、その事務についての議論と決定が行われます。結局、最少で湾岸区の12名となるような各区の特別区議会では、何も決められず、住民の声に対してきめ細やかに対応できるニア・イズ・ベターとはほど遠い事態が、この協定書案からは見て取れます。
◆以上、主な3点を挙げさせていただきましたが、ほかにも事務処理特例条例での事務移譲や、用途地域さえも決められない特別区の権限、大都市特有の行政需要に対して対応し切れるかどうかわからないような職員体制、今まで大阪市が一括で担ってきた事業を、無理やり広域と基礎と一部事務組合とに分けた事務配分、無味乾燥な区の名称、さらには協定書には書かれていない、議論もされていない不確定事項が余りにも多いことなどなど、問題を挙げれば切りがありません。
◆私たちは、特別区設置に当たって、大都市法に規定する最終最後の住民投票を否定するものではありません。しかし、その住民投票なるものは、やはり住民代表である議会が、住民のよりよい生活のためになるという信念のもと、特別区設置協定書に賛同するという前提があるべきだと考えます。
◆非常に複雑多岐にわたる大都市制度の詳細事項について、理解いただくのが難しい中で、取り返しのつかない大都市制度の転換に向けての判断を、住民に責任転嫁することは、議会の責任放棄にもなるのではないかと考えます。
◆加えて、大阪のみならず、自民党としての考え方についても申し上げておきたいと思います。
◆自民党は党として、大都市法に賛成をいたしました。これは、大阪における適用も含めた、特別区設置を広く道府県と政令市が抱える課題の解消の一つの方法として、手法として認めたということであります。党本部と大阪の自民党で見解が異なるということではありません。
◆一方で、自民党は地方分権を大切にする政党であり、地方のことは地方で決めるという大原則を持っております。この間、大阪における広域戦略の一元化や住民自治の強化に向けて、特別区設置についても、その実現可能性や現状との比較優位性を探りながら、真摯に議論を進めてまいりましたが、このたびの協定書案作成の過程、及び具体の協定書案を見るに当たり、大阪にはいわゆる都構想は必要ない、無駄である、無意味であるということが、より明確になりました。これが結論であります。
◆また、総務大臣は、前回の協定書案に対して、技術的助言をしつつも、特段の意見なしと回答をされました。今回の協定書案についても、仮に同じように総務省に出されたとしても、同様の回答が予想されます。ただ、これは手続上、書くべきことが書いてあるにすぎず、この協定書案がすばらしいと太鼓判を押しているわけでもなく、この協定書どおりに特別区設置を行えば、大阪にバラ色の未来があることを総務大臣が認めたということでは当然ないということも指摘しておきたいと思います。
◆さらに、最後に1点、要望しておきます。
◆今回の協定書案についても、急遽このたび修正があるとの話が本日の協議会の告知後にありました。これ以上、時点修正などを加える点は本当にないんでしょうか。ささいなことでありますし、かつあきれて、あえて申し上げませんでしたけども、提示されたこの協定書案のページ、164ページには病院局という言葉がございます。昨年10月1日をもって病院局はなくなっております。余りにもずさん、不細工な話です。本来であれば、協定書案を再度、提示する際に、修正箇所などは十分精査して、修正した上で提出されるべきものであります。今後も修正が仮に必要なときには、前回のように会長一任ではなく、逐次協議会を開催して確認されるよう求めておきます。軽易なものは事後報告が許されたとしても、重要な修正が勝手になされるようなことは、断じて許されないと申し上げておきます。
◆以上、るる申し上げましたが、大阪市民の生活に新たな不安と新たな無駄と新たな労力を押しつける今回の協定書案については、断固反対であるということを重ねて申し上げ、自民党の見解表明といたします。

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