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府議会の報告

平成25年2月定例会 一般質問

平成25年3月1日
宗清 皇一 議員

1.緊急経済対策について

【質問】
25年度の当初予算を見ると、各事業部局の予算が軒並みダウンしています。代表質問でも指摘しましたが、これでは国からの緊急経済対策のお金を府の財政再建に使っているようにしか見えません。
今後30年間で南海トラフ地震が起こる確率は70%ともいわれており、様々な防災対策、府民の安全安心に万全を尽くす必要があると考えます。その中で、都市整備部の役割は大きいと考えます。例えば、通学路の安全対策や防災減災対策は喫緊の課題であります。また、公共事業は中小企業の育成、雇用の創出、経済対策に大きく寄与することができます。パネルをご覧ください。
(資料1)
25年度の都市整備部を含む建設事業の一般会計の予算を見ると前年度で14.1%減っています。額にして実に249億円減額になっています。このような額で大阪のやるべき事業はできると考えているのでしょうか。
【都市整備部長答弁】
都市整備部では都市整備中期計画案をしっかりとマネージメントするという観点で防災・減災対策、維持管理、都市基盤の機能強化の3つに重点化し、国の緊急経済対策を活用した補正予算を当初予算と一体的に編成しました。特に補正予算では、要件等の制約の中で最大限、320億程度を計上し、それらを併せて前年度並みの水準を確保しております。
確かに25年度当初予算を24年度当初予算に比べると減額しておりますが、インフラ整備は測量設計や用地買収、地元調整など複数年をかけて計画的に進めるものであるため、一年限りの予算措置では財政規律の堅持、後年度の財源負担といった観点もあり、休止事業の再開や新規事業の着手等に対応できませんでした。
そうした中、地元調整など現場の状況を踏まえ、可能な限り事業の前倒しを行うとともに、早急に実施する必要のある防災・減災、維持管理、通学路の安全対策などに、重点的に精一杯予算化したものであります。
【再質問】
今の答弁ではできる限りやっているとのことです。パネルをご覧ください。
(資料2)
24年の補正、25年当初を併せても、大阪府はわずか5.5%しか増えていません。兵庫県は約3割、奈良県は25%程度のびています。大阪経済が悪い悪いと言われているのですが、大阪府の予算編成公表サイト、財政課長調整後というのをネットで見たら、橋梁補修費、高潮対策費、港湾防災費等、本来、府がやらなければならない事業の予算を約100億円返しています。府はこれ以上事業をする能力がないということなのでしょうか。それとも、やらなくてもいいというご判断なのでしょうか。
【都市整備部長答弁】
先ほども申し上げたように、インフラ整備の事業は複数年かけて計画的に進めていくため、それぞれの事業進捗にあわせ現場の状況により、必要な事業費が年度ごとに異なります。例えば一定事業が進んだ大和川線では、25年度は必要額が少し減少しており、連続立体交差事業は24年度補正予算で所要額を計上したため、それ以上当初予算で計上することができなかったことも要因であります。引き続き都市整備中期計画案をしっかりマネージメントし、今後新たに必要となる南海トラフ巨大地震への対応や将来の大阪に必要なインフラ整備については、その財源の確保、整備手法のありかたについて庁内で議論していきたいと考えています。
【まとめ】
今のご答弁、答えになっていないです。100億円程度返している中で、部長が今言ったことは指摘していません。やらなければいけない事業を返しているのに、これ以上事業する能力がないのか、やらなくてもいいと考えているのか、これは委員会で引き続き議論していきたいと思います。

2.咲洲のまちづくりについて

【質問】
21年の9月議会に、平松前市長がこの議場にお越しを頂きまして、咲洲地区の活性化を図るということでアクセスの改善、コスモスクエア駅から咲洲までのペデストリアンデッキ東ルートは24年の末、西ルートについては26年度末に供用開始、さらに咲洲トンネルの無償化を約束されました。
これらは経済界と府・市の3者の合意事項であり、橋下前知事が求めたものであります。橋下前知事は平松市長に対して公文書でアクセスの改善について工程表を示させ、具体化を約束させました。
松井知事も橋下市長に公文書でアクセスの改善の状況を確認されていると思いますが、デッキの整備については東ルートもできていませんし、西ルートについては目途もたっていない状況だと思います。松井知事との約束はすべて今の状態では、反故になっていると思いますが、咲洲トンネルの無料化について、昨年8月の回答で25年度のできるだけ早い時期にということを約束いただいておりましたけども、ふたを開けてみれば土日祝日だけが無償化で、実施時期も秋ごろになると聞いています。
咲洲地区を特区として地方税、減税だとか府市一体で進めているということを松井知事はおっしゃっております。また、今までできないことを橋下市長と自分だからできるんだということを言っていますが、このデッキ整備とトンネルの無償化は、なぜ、お二人でもできないのか理由を聞かせてください。
【知事答弁】
順次やっていっております。この東ルートは24年度末に供用開始予定、多少ちょっと時間の遅れはあるかもしれませんけど、今仕事は進んでおります。
西ルートについては、民有地も絡んでいまして、現在、民間といろんな話し合いをしているところです。
トンネル無償化、まずは土日から順次進めていっております。
【再質問】
今、知事の答弁にあったように約束が反故にされているということを自分で認めたということなのですね。約束を守るように橋下市長に求めていただくべきだと思います。それと、いつできるのか、議会に工程表をお示しいただけますか。
【知事答弁】
これは完成させるということを約束しておりまして、トンネルも無償化させるという約束ですから、順次進めてもらえるようにこれからも申し上げています。順次進めていってくれているものだと思っています。予定表は、議会にお示しします。
【再質問】
順次ではなくてね、工程表に書いているのは全面無償化なんですよ。今回、2億ちょっとのお金を橋下さんがケチっているからトンネルの無償化ができないんです。
それと、咲洲地区においては、賑わいの創出、環境改善など事業を大阪市で21年から25年の5年間で100億の事業をすると約束をしてもらったんですが、今年度末をみても30億程度しか達成できない見込みですが、残りの70億円は今年の予算で橋下市長やっていただけるのでしょうか。松井知事にお尋ねします。
【知事答弁】
それは、橋下市長に聞いてください。
【再質問】
ほんとうにバカバカしい答弁ですね。府と約束したんですから、松井知事に聞いているのです。いつできるのか、やらなくて良いと思っているのでしょうか。
【知事答弁】
いろんな事業を進めていく上では、いろんな様々な用件、要素が絡み合ってきます。府と市の財政状況もそうです。いろんな事業をやるにあたっても優先順位、そういうものを考えなければなりません。約束したことは約束したことで進めてはいただきますが、今すぐにやらなければいけないところと、まだ少し時間をいただけるところと、色々とそういう形での優先順位の判断をしながら、選択と集中で大阪府も大阪市も限られた予算の配分してまいります。
【まとめ】
選択と集中から、咲洲のまちづくりは外れたという答弁だったと思います。これについても、委員会でやっていきたいと思います。

3.重粒子治療の導入について

【質問】
健康医療部から様々な説明を受けていますが、大きな疑問を感じています。府内の適応患者数を2,400人とされ説明されていますが、パネルをご覧ください。
(資料3)
「兵庫県立粒子線医療センター」と千葉県の「放射線医学総合研究所」の一年間の患者数です。兵庫県を例にしますと、年間の患者がここ数年で650人程度であります。
大阪府内から治療を受けられている方は23年度で、わずか115名です。放医研でも13名。合わせて128名です。また、隣接が予定されている成人病センターからの紹介は28名です。これは32,396人の中で28名、でも実際に治療を受けておられる方は、わずか13名、放医研では、1名になっています。
府内の適応患者は2,400名と部長から説明を受けていますが、なぜ、兵庫県、放医研もあわせて治療を受けている方が128名しかないのでしょうか。
この大きな数字の開きを判り易く説明してください。
【健康医療部長答弁】
兵庫県の施設の実測のデータと大阪府での推計母集団とのかい離があるのではないかというご指摘でありますが、これの背景は医学的適応とかいろんな諸事情について、私どもは知る立場にないので理由は説明できないです。
【再質問】
わからないというのは問題ではないのでしょうか。
「放射線医学総合研究所」入院施設は100床、「兵庫県立粒子線医療センター」は50床の入院施設がありますが、両施設から話を聞くと、粒子線治療を行う場合、患者の多くは入院が必要となるため、総合的なケアができる体制が必要だと言われていました。今申し上げたことは他の粒子線施設も一緒です。抗がん剤治療を併用したり、他の治療が必要で、患者のための総合的なケアが不可欠だと聞いています。
例えば、兵庫県の場合、年間約650人程度の患者が治療を受けていますが、そのうち約半分が入院しながら治療を受けています。
その為に、専門医が7名、それ以外に内科、外科等をあわせて問題に対応できる医師が非常勤で10名、看護師は非常勤を含め29名の体制で総合的に患者のケアにあたっています。それでも十分な体制ではないと関係者の方から聞いています。
大手前は医療圏の問題があって入院施設をつくることができません。近くから来られる患者は紹介先の病院と連携しながら治療が出来るかもしれませんが、遠方からの患者や必ず入院が必要な方は治療を受けることができないと考えます。放医研や兵庫県の施設に確認したところ、成人病センターの治療の一部として粒子線治療を導入し、総合的に患者を診ることができる体制でなければ、必ず絵に描いた餅になるのではないかと指摘を受けました。
入院が必要な患者の総合的なケアや、患者が急変された時の対応は成人病センターが責任をもっと診て頂けると理解していいのでしょうか。
【健康医療部長答弁】
医学的適応として成人病センターがふさわしいということで紹介されてきた患者については、入院あるいは外来で紹介されると思います。ただ、重粒子線治療だけを目的に来られる方を成人病センターが特別に入院で受け入れることはないと思われます。
【再質問】
部長がおっしゃったとおり、入院ができないと思うんですね。民間の病院ということになってもですね、それは他の病院から重粒子を受けるためだけに来られた方を他の民間病院で患者を受け入れることはなかなか難しいということも指摘しておきます。成人病センターで受けて頂かなければ、入院する患者がこの治療を受けられないと思うんですね。そこで部長にお尋ねしますが、通院患者だけでも、この間から議会でおっしゃっているような採算は取れるのかどうかお尋ねします。根拠があれば聞かせてください。
【健康医療部長答弁】
800人の患者の推計につきましては、背景についてはいろんな推測値があり得ると思います。ただ、総体としての信頼度については兵庫県で運営されている方とか千葉県の放医研の先生方、それぞれ700名前後の患者をコンスタントに受けている施設の方が大手前の地であれば十分見込めるとおっしゃっていました。成人病センターに入れない人はどうなるかについて、検討委員会で若干議論が出ていましたけど、国立大阪病院や大手前病院など、近隣の医療機関もあるわけですので、外来患者に関してはいろんな形で引き受け可能と考え、トータル800名は十分堅いというご意見をいただきました。民間の医療法人のアンケート調査でも、西日本の都心部であり、しかも全国有数のがんセンターの横にあるというロケーションがずば抜けてよい、だからこの数は堅いとみなさんおっしゃっています。我々としては十分見込める数だと思っております。
【再質問】
入院が必要な方、たくさんいると思うんですね、放医研も兵庫県も半分ぐらいは総合的なケアをしながらやっているんですよ。
大手前は入院をするということはありえないことですよ。だからもう少し その所は根拠をつかんで、委員会でしっかり議論していきたいと思います。
議場の皆さんは知らないかもしれませんが、先ほど指摘した問題もあまり我々は説明を受けていませんけど、健康医療部でもここがポイントだと思います。議論が深まってないんです、どの資料を見ても。専門家のお話を聞きますと、粒子線治療には入院施設は絶対不可欠だと話されていました。また採算を考えても、入院を必要とされる患者が大手前で治療を受けることが出来なければ、患者数を確保する困難です。当然、入院を伴う患者は入院できる他の施設を選択されると思います。健康医療部は我々には粒子線治療は通院だけでも大丈夫と言っています。確かに兵庫県の場合も、半分は通院されていますが、半分の方は入院を必要とされている方です。それで650名程度です。大手前は医療圏の問題があって入院施設を作ることができません。
ですから、近くからこられる方は紹介先の医療機関に入院しながら治療を受けることが出来るかもしれませんが、入院が必要な方は大手前では治療を受けることができないと私は思います。
他県や外国の患者の話もしておられましたけど、入院が必要な患者は受け入れないということで理解していいのか、もしくはその減収の見込みというのはしっかり部局内で検討されたのでしょうか。
【健康医療部長答弁】
入院患者さんの実態については、我々、詳細のデータがないもので、兵庫県の実際に利用されている方とか、放医研で利用されている方が、どんな背景でされているのかはわかりません。そのことを捉えて、この大手前の地で無理だと言われましても、周辺の医療機関とか近隣の医療機関と連携して受け止められることも当然あるわけですし、この治療適応になる患者さんは、高齢でさまざまな合併症をお持ちの場合もあり、医学適応としてはさまざまあるわけです。
ですから、それだけの治療を求めるというケースは、むしろ少ない、いろんな意味で高度医療機関の治療を要する方々だと思います。近隣の入院施設に入院されながら治療を受けるといったことも十分あり得ますので、そういうマイナスの要素は、詳細にこれからも検討したいと思いますが、先生ご指摘のようなことには当たらないと思います。
【再質問】
では、検討して再度お答えをいただきたいと思います。
兵庫県を例にすると、年間650名患者で重粒子線治療を選択されている患者は4割の260人程度、陽子線治療を選択されている患者は400人程度と聞きました。これは紹介されてから受け入れ側の医師が総合的に判断し、どちらの治療が最適なのか選択します。医師の話では重粒子は陽子に比べて治療効果に優位性はあるものの、治療の効果は単純に上下の関係ではないと話されていました。適応する腫瘍の大きさ、進行度、ガンの場所や全身の状態を診察してから治療適応を決定しています。
パネルをご覧ください。
(資料4)
例えば、前立腺がんは189人で全体の28%ですが、治療は100%陽子線でやっています。肝臓がんは134人中、重粒子、陽子とも半分ずつぐらい。膵臓がんは79人ですが、100%陽子線、頭頸部は主に重粒子治療を選択されると聞いています。
また、陽子線は重粒子と違い、回転ガントリーで放射できるため治療の選択肢が多いと聞いています。特に重粒子線治療の医療技術は発展途上であります。
他の部位への適用はまだこれから研究が進むと、治療法が確立するにはまだ時間がかかるということは、堀総長もお認めになっています。
健康医療部は非常に偏った説明を我々にしているのではないかと思います。
付け加えておきますが、大手前は重粒子だけです。単純計算が適切だとは思っていませんが、兵庫県の例に当てはめれば、大阪府民115名の内、重粒子線治療を受けているのは、わずか46人程度ということになります。
パネルをご覧ください。
(資料5)
また、同様の施設は既に全国9か所が稼働中、また全国的にも建設が進んでいます。これからつくっても、他府県からの患者を見込むことは難しい。府内だけで多くの患者を見込むことはできるでしょうか。
また、最近では陽子線治療の加速器が技術の向上により7メートルで作れると聞いています。専門家に確認すると、加速器が小さくなっていること加え建設コストが安くなっているので、都市部の民間病院でも今後導入を検討されていると聞いています。そうなれば、入院施設のない大手前は、益々、競争力を失う可能性も考えられます。
更に、今後、施設が増えれば、陽子線は更に安くなる可能性があると専門家も指摘しています。重粒子線の方が少しくらい効果的であっても、選択されない可能性もあります。
更に、前立腺がん等の治療においては、リニアック等の機器の性能がここ2~3年、飛躍的に向上しています。保険適用の効かない粒子治療を選択する可能性は低下することも考えられます。
先程から申し上げている様々なリスクがありながら、健康医療部は議会になぜきちんと説明されないのでしょうか。このようなリスクはないとお考えですか。
【健康医療部長答弁】
それぞれ医学適応の議論は、専門家の委員会でも十分されまして、エネルギーが十分、2倍ほど高くて、そういうことでもっと治療の回数が圧倒的に少ないわけです。ですから、患者さんにとって、QOLとしては非常にすばらしいと。
それと、今IMRTとか従来の放射線で代替可能とおっしゃいましたけど、それではどうしても周辺の正常組織を焼いてしまうのです。そのことは放射線の性質からして避けられないわけです。重粒子線は、そこはないわけですから、その意味で、いろんな合併症が非常に少ないという意味で圧倒的な優位があって、今御指摘のような前立腺がんでも、ほかに代替可能でも、これだけ受けておられるわけです。
また、陽子線と比べても、照射回数が重粒子線のほうが少ないですから、短い時間で、しかも治療効果が高いとなれば、そちらを選ばれるというのは、専門家のご指摘だったわけです。
それと、あと先生がお示しになった図で、兵庫県では217名受けておられます。兵庫県は、人口400万人です。大阪で当てはめたら、これだけ見ても400人になるわけです。兵庫県の結構不便なとこにあるらしいのですが、その中でもやっぱり近くにあれば、いろんな医学的適応を積極的に評価されて、これだけ利用されているわけですから、大阪の大手前の地でこういうすばらしい施設ができれば、各先生方が非常に堅い見積もりだとおっしゃった数は十分あるかと思います。
今おっしゃったいろんな一個一個の議論は、また我々、勉強したいと思いますけども、十分専門家の先生方とか民間の医療法人から聞いております意見は、そういったものも踏まえながらでも十分堅いということです。今後、募集要件も議論させていただいて、公募をかけるわけですから、民間事業者は、そういうことを踏まえて判断されて、応募されると思っています。
【再質問】
ちゃんとした答弁になっていないと思います。私が指摘してきたことをなぜ議会にちゃんと説明してくれないのですか。先ほどから専門家と言っていますが、僕は全部の議事録を隅から隅まで読んで話をしているのです。こういうことが検討されていないから議会で指摘をしているのです。高山部長、粒子線治療施設を検討されてから施設を見に行ったことがありますか。
【健康医療部長答弁】
私、非常に不勉強ではありますが、こういう最先端の治療施設は非常に関心がありまして、重粒子線施設も、放医研ですが、4年ほど前に行かせていただきました。
【再質問】
4年前ですよね、4、5年前とお聞きしているのですが、ずいぶんその時と状況が変わっていますよ。本来だったら導入を検討されてから行ってもよかったのではないかと思います。
ところで松井知事もこの導入には積極的ですが、松井知事は施設のほうを見に行かれて説明を受けられたことがありますか。
【知事答弁】
僕は専門家じゃないので、そこを見に行って説明を受けても、僕にはわかりません。そこは、ドクターでもある部長がしっかりと説明を受けて、専門家と協議して、この治療の効果、施設のがんに対する治療効果というものを判断する、それが役割分担です。一番わからないのは、宗清議員は、なぜ重粒子線施設、そこまで反対ですかね。それがよくわかりません。
【再質問】
非常に不誠実きわまりない答弁ですね。部長だって検討してから行っていない。松井知事も行っていない。選挙に明け暮れる間があれば、行ける時間あるんです。
時間がないから次に行きますが、兵庫県立粒子線医療センターの院長の不破先生の言葉を引用させていただきます。
『3年6ヶ月南東北がん陽子線治療センターで陽子線治療に携わり、現在、まだ半年に満たない経験であるが、兵庫県立粒子線医療センターで炭素線、これは重粒子のことです、陽子線の両者を経験する機会を得た。』と、『私見であるけれども申し上げたい』とホームページに載っています。
『重粒子の場合は150億円程度必要とされ、採算面でプラスになるのに概算で年間800人は必要になる計算』『現在、陽子線治療の治療費は250~290万、炭素線治療の場合は320万円前後と聞いています』『年間800人以上の治療人数の達成は至難の技』『公的援助なしでの運営は現実的に不可能』『採算性については現時点では陽子線治療のみであると言って良い。』と書いています。
また、結びにこのような指摘もされています。
『我が国には世界的に見ても多くの粒子線治療施設があるが、現在、複数施設の建設が行われている』また計画もされています。『しかしながら、採算性については深い議論なしで粒子線治療の導入進められて来た経緯がある。また、現在においてもなされていない。採算性については今後充分、検討されるべきであろう』
これが、実際に最前線で粒子線治療を行っておられる医師であり、経営トップの率直な意見です。
あれだけ実績があって、陽子線治療と重粒子の2つの治療施設を持っている兵庫県でも、年間650人程度です。入院施設もなく重粒子線しかない大手前で800人以上の患者を見込むことは不可能です。兵庫県の場合は、建設コストの2/3を県が負担しています。それでも、採算ラインは620人だと聞いています。
更に、事業スキームにも問題があると考えます。病院機構に34年間も使えない土地を買わせておいて、「将来の拡張用地」と都合のよい表現をしています。それだったら、府が直接、民間事業者に土地を貸して、病院機構がPFI等を活用し事業を主体的にする手法も考えられます。そうすれば、リスクは府が負うわけです。
機構は将来、使うか使わないかわからない土地を借金までして買い、不動産賃貸業をする必要はありません。更に、民間の常識で考えても30年の償還と聞いていますが、民間で30年は長すぎると考えます。10年程度で投資を回収する可能性もあります。そうなると、計画案で見込む年間800人の患者数では足らなくなります。そのために、何倍もの資金を確保しなければなりません。そうなると、民間では、資金を回収するのに値上げをしたり、治療に時間がかからない患者を優先したり、利潤を追求する可能性もあります。
そうであれば本来の政策医療という目的が果たせない可能性もあります。
もし、そのような事態が生じた場合、どのようにして政策医療を担保させいるのか具体的に教えてください。また、様々な問題がありますから、一旦見合わせるべきだと思いますが、知事にご判断をお願いします。
【健康医療部長答弁】
陽子線と炭素線の関係、ただ前提としての陽子線の議論が少し事実関係として正しく言わないといけないかと思います。陽子線の場合、エネルギーが小さいものですから、相当な回数治療しないといけないんです。
ですから、同じハードでも、最大使えるのが800人ぐらいです。炭素線の場合は、回数が少ないですから、いろんな形で患者さんは1,500名ぐらいまでふえるというふうな形で、いろんなリスクはあるかもしれませんけど、一方で伸ばす要素もあるわけで、そういうことも議論された上で、十分見込めるというのが専門家の委員会、先生がおっしゃった兵庫県の代表者、そこからも来ていただいたわけです。それから、千葉県の放医研の専門家の方も来ていただいての議論なわけですから、先生が引用された方の議論が全部正しいというわけじゃないと思います。
そんな中、収支の議論がされるわけで、ただそのような中で最後、民間を公募して選んだら、基本的にはその経営責任、リスクは民間が負うことになるというのが、我々のスキームです。このスキームのもとで我々は政策医療を提供したいということですので、議員ご指摘の事態が起こったら、その時点での議論になるかと思います。
【知事答弁】
宗清議員のリスクの意味が、僕はちょっとよくわからないですけど、誰が誰に対するリスクですか。議員が言われているのは、事業者が採算合わないようになったとき、どうするのかということですよね。これ、民設民営ですから、それは事業者が全てリスクを負うことになります。また、そのために、例えばその治療について、どれだけ値上げされるかどうかというのは、そのときに府民がその治療を受けられなくなるじゃないか、そういう話もありますが、他地域でもこの治療をされていて、もう値段は出ているわけです。圧倒的に無茶苦茶な治療価格になれば、その治療を受ける人が減るわけですから、それは民間事業者も常識を持った価格帯を設定されると思います。
【再質問】
そんなことは十分わかっています。政策医療を担保するのに、公募の条件の時にしっかりそれを担保しないといけないのと違いますか。部長どうですか。やっていただけますか。
【健康医療部長答弁】
その要件は、専門家の意見を聞きながら、これから最終的に決めていくわけですが、我々としては、これまでの専門家委員会の見解などを踏まえ、スキームは全部お示ししており、それに応じていただける民間の事業者にお願いするということです。そのような形で政策医療を推進していただきたいということです。
【再質問】
いや、お願いではなくて、しっかり政策医療が果たせるように、公募をするときに民間事業者に約束を取り付けておくべきです。それは赤字補てんについても公募する時にしっかり入れていただくことをお願いしておきます。
知事にお尋ねしますが、粒子線施設を受けたくても330万費用がかかるため、治療を受けられない方がいらっしゃるかもしれません。治療費の一部を経済的に苦しい方に援助したり、無利子で貸し付けるような制度を先に検討して導入していただきたいと思いますが、松井知事の考えを聞かせてください。
【知事答弁】
既存の粒子線治療施設からは、民間のがん保険の先進医療特約を使って治療される患者さんが増加していると聞いております。こうした社会的動向や、他府県で実施されている治療費の貸付制度など先進事例も参考にしながら、患者負担の軽減方策について、今後、民間のノウハウの活用も含めて検討してまいります。
【まとめ】
ぜひ検討をお願いしたいと思います。医療費助成や無利子の貸付制度、この無利子の貸付制度は兵庫県もやっています。セットでやったと聞いています。本来やるべき努力もしないで、施設さえ作ればそれでいいのでしょうか。松井知事が日頃から主張されている、既存のストック、近くでは兵庫等の施設があるわけですから、もっともっと活用するべきです。兵庫県も言っているのですが、現在650名程度ですが、800名程度までは患者を十分にお引き受けできるということをおっしゃっていました。
松井知事が入院施設を作ることができない大手前にこだわって、入院できなかったら、多くの苦しむ方々がそこで治療を受けられない可能性もあります。
時間がありませんのでもっと松井知事にも申し上げたいことがあるのですが、これで終わりますが、健康医療部の皆様方は私が先ほど言ったようなことを何ら説明していただけない。資料を隅から隅まで読んでも、そこは議論されずに、そこで止まっているのですね、終わっているのです。
そういう資料の作り方で、私たちにこれだけ重要なことを判断しろというのは、明らかに姿勢が間違っていると思います。
議会の皆様にもこの問題について、真摯な議論を尽くしていただいて、大阪府政にとって、府民にとって間違いのない判断をして頂くようお願いし、質問を終わります。

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