トップページ > 府議会の報告 > 質問・答弁(24年) > 平成24年9月定例会 代表質問

府議会の報告

平成24年9月定例会 代表質問

平成24年9月28日
出来 成元 議員

1 財政(減債基金積立不足額について)

【質問】
大阪府では今年度、実質公債費比率が18.4%と、初めて18%を超え、新たな府債の発行に総務大臣の許可が必要な、起債許可団体となりました。府ではこれまで、橋下前知事が就任されて以来、単年度収支で4年連続黒字を維持してきた、減債基金からの借り入れをやめ、基金積立不足額を復元してきたなどとして、行財政改革に取り組んでこられたことをアピールしてこられました。けれども本当のところは、我が会派がこれまでにもたびたび指摘してきたように、臨時財政対策債等、赤字債の大量発行を行いながら、それに必要な減債基金の積立を行わず、公債費負担を後年度へ先送りしてきたことは、実質公債費比率の推移を見れば一目瞭然であります。その点について、ここではじっくりと検証させていただきたいと思います。
さて、実質公債費比率の過去の推移、そして将来推計をグラフで表したもの(資料1)をご覧ください。今年度、初めて18%を超えて起債許可団体となったわけですが、これはまだまだ序の口であって、今後、平成29年度から30年度にかけて、急上昇していくことがおわかりいただけると思います。そしてこのまま減債基金の積み増しなどの対応をしなければ、実質公債費比率は5年後には25%を超え、大阪府は財政健全化団体に転落することになります。
実質公債費比率は通常、標準財政規模に占める公債費負担の割合を、過去3年間の平均値をとって表したものです。ただ大阪府のように減債基金に積立不足額が生じている場合には、総務省の定めたルールにより算定された減債基金積立不足額が、実質公債費比率の数値に悪影響をおよぼしているとのことです。
そこで総務部長にお尋ねしますが、減債基金積立不足額が、今回の実質公債費比率をどの程度押し上げているのか、お示しください。これまでの説明では、府のルールによる減債基金は平成20年度以降、つまり橋下前知事が就任されて以来、この4年間で950億円の復元ができたとのことでしたが、総務省のルールによる減債基金積立不足額のこの4年間の推移はどうなっているのでしょうか。またなぜ、府のルールによる減債基金が復元されているにもかかわらず、わずか数年後に健全化団体転落といった危機的な状況に陥っているのか説明を求めます。
【総務部長答弁】
積み立て不足額が生じている要因には二つあります。まず、第一には過去に財政再建団体転落を回避するため減債基金からの借り入れを行ってきたことです。第二は、実質公債費率算定上の積み立てルール、国ルールと府の積み立てルールが異なる点があり、これも積み立て不足額を生じる要因となっています。
これら積立不足額が生じることによって、実質公債費比率は約7%程度押し上げられています。その結果、平成24年度の実質公債費比率は18.4%となっているところであります。
2点目に、この4年間に国ルールの減債基金積立不足額がどうなっているかについてですが、950億年の復元は19年度末と23年度末の比較であるのでその時点の数字で申し上げると、平成19年度末時点での国ルールとの比較による積立不足額は3,915億円であります。平成23年 度末時点では5,547億円となっております。
3点目の減債基金が復元されているにもかかわらず、なお、危機的な状況にあるのはなぜかということですが、一つは、減債基金への復元は行っているところですが、なお借り入れた不足額が大きな水準で残っているということです。また、国のルールでは、発行の翌年度から発行額の3.3%を毎年積み立てるルールとなっています。これに対して府では、3年据え置き等の異なるルールを採用してきたことから、過去の減債基金の借り入れに加えて、国ルールとの差による不足額が拡大をしてきているということであります。特に最近、臨時財政対策債を多額に発行しておりますので、これにかかる国ルールと府ルールの差というのも数値を押し上げている要因になっていると考えています。そういう中で、本府としては、実質公債費率が25%を超えないように計画的な復元に努めているところであります。
【質問】
ご答弁により、橋下府政時代の4年間で、総務省のルールによる減債基金積立不足額が1,632億円も増大しており、そのことにより実質公債費比率の値が押し上げられているのだということがわかりました。
(資料2)のグラフをご覧ください。ここでは、赤の折れ線グラフが総務省のルールに基づく減債基金の積立必要額、青の折れ線グラフが府のルールによる減債基金の積立必要額、一番下の緑の折れ線グラフは、実際の減債基金残高の、それぞれ推移並びに将来推計を示しています。縦の2本の直線は、橋下前知事が府政運営を担ってこられた平成20年度から平成23年度までを示しています。そして、国、府、それぞれのルールによる減債基金積立不足額は、積立必要額と基金残高との差額として表すことができます。
グラフが示すように、この4年間、府のルールによる減債基金の積立不足額、つまり青と緑の差になりますが、これは5,202億円から4,253億円へと、これまでの部局の説明のとおり、約950億円減少しています。ただこれは、減債基金自体が増えたというわけではなく、積立必要額がこの4年間で大幅に減少していることによるものです。
一方、総務省のルールによる基金の積立不足額、これは赤と緑の差として表されますが、この4年間で、ご答弁にもありましたが、3,915億円から5,547億円へと、大幅に増大していることがわかります。これは、臨財債等の大量発行により積立必要額が急上昇していることに加え、実際の基金残高が減少してしまったことによるものです。そしてこのことが実質公債費比率の値に悪影響を与え、今回、起債許可団体になったということ、さらには、5年後の健全化団体転落の危機の引き金となっているということは、ご答弁にもあった通りです。
これまで大阪府では、平成29年、30年に向けて実質公債費比率が急上昇していく原因を、過去に景気対策などで大量発行した府債の償還のピークを迎えるためであると説明してこられました。それは確かにひとつの原因であったことは間違いないのかもしれません。しかしながら今回の質問を通じて、橋下府政の4年間の府政運営で、必要な減債基金の積立を行ってこなかったことが、実質公債費比率の急上昇に追い打ちをかけていたのだということが明らかになりました。
そこで総務部長にお尋ねします。今年度以降、平成29年にかけて府債償還のピークを迎えるということ、そのために財政健全化団体に転落する可能性が決して小さくはないのだということ、転落を回避するためには減債基金積立不足額を解消することが当面最大の課題であるということ、この4年間で総務省ルールによる積立不足額が急増するであろうこと、これらはすべて、4年前の時点で充分に想定していたはずではなかったのでしょうか。
【総務部長答弁】
毎年、粗い試算を時点修正してお示しをし、実質公債費率の将来見通しについても明らかにしています。その中でも、28年、29年にかなりの第1のピークを迎えるということをお示ししておりますので、今のご指摘の点については我々も十分に予想していたところです。その上で25%を越えないために、減債基金への復元を計画的に進めていく必要があるということを申し上げてきました。ただ、先ほども申し上げましたが、この間の臨時財政対策債の急増によって実質公債費率が上昇したということは4年前には想定していなかった次第です。
【質問】
例えば来年度、平成25年度には370億円の収支不足に加え、320億円の減債基金の復元と、あわせて690億円の対応が必要だときいていますが、これは財政健全化団体転落を回避するための対応に他なりません。さらに大阪府では、健全化団体転落を回避するため、今後例えば平成27年度には920億円もの対応が必要だとされており、非常に厳しい財政運営を迫られています。
このことを、もう一度さきほどのグラフ(資料2)を見ていただいてご説明させていただきます。実質公債費比率の数値を下げるためには、総務省ルールによる減債基金積立不足額、つまり、赤と緑のグラフのかい離幅を抑える必要があります。ここで、総務省ルールの積立必要額、つまり赤のグラフは、あくまでも総務省の定めたルールですから、大阪府が動かせるものではありません。したがってこのかい離幅を抑えるためには、どうしても減債基金残高を実際に増やすことが不可欠であり、これはグラフでいうと、緑のグラフを上に押し上げる必要があるということになります。
平成20年度から23年度にかけて、減債基金残高を示す緑のグラフが、茶碗の底のような形をしているのは、まさしく減債基金を積み増しすることを怠ってきたことを示すもので、それに対し、平成24年度以降、つまり右の直線の右側の部分が急激な右肩上がりの形状を表していることからも、今年度以降、非常に厳しい財政運営を迫られているということをご理解頂けると思います。
そこで総務部長にお尋ねします。もしも仮に、総務省ルールによる減債基金積立不足額を、この4年間でかい離させることなく、4年前の水準に維持しておれば、つまり、必要な減債基金の積立を行っておれば、今年度、起債許可団体に転落することはなかったのではないでしょうか、また、5年後の健全化団体転落といった危機的な状況にも陥っていなかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
【総務部長答弁】
平成19年度の水準である積立不足額3,915億円を維持しておれば、数字的にみれば、今年度の許可団体への転落回避はありませんでしたし、5年後の財政健全化団体への転落回避も容易であったと考えます。しかし、そういったことをするためには、この4年間、既に減債基金の復元を、950億円行ってきましたが、これに加えて1,632億円の対策を講じる必要があります。そのためには府民サービスの低下等いろんな手立てを講じる必要がありますので、我々としては、実質公債費率が25%を超えないということを目標として、この間財政運営を行ってきたところであります。
【質問】
それでは、その1,632億円の減債基金の積立が果たしてできなかったものなのか、検証してみます。平成23年度末の財政調整基金残高は1,385億円。それに加え、橋下前知事時代、平成22年度、23年度の知事重点事業が合わせて241億円、さらに、WTCビルの購入費が85億円です。これらを合計すると、1,711億円と、充分に1,632億円をまかなえる金額となります。つまり、財政調整基金を取り崩し、私学無償化などの知事重点事業やWTCビルの購入をせずに、減債基金にそれを積み立てておれば、そもそも財政健全化団体への転落危機は避けられたのではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。
【総務部長答弁】
お示しのように数字を足しあげれば、そして、1,632億円の減債基金の積み立てをしていれば、財政健全化団体への転落危機は避けられたというのはその通りです。しかし、そのためには、先ほど申し上げましたように1,632億円の追加的措置が必要です。我々はこのような財政状況の下、実質公債費率が25%を超えないように、計画的に減債基金の復元を行う等、財政健全化の努力を行いつつ、一方で知事重点事業の実施や財政調整基金の確保にも費用を用いるなど、府の置かれている状況を踏まえた財政運営に留意してきたところです。
【質問】
グラフをご覧ください。(資料3)橋下前知事が太田元知事から府政を引き継いだ時点での総務省ルールの減債基金積立不足額は3,915億円でした。これを4年間で増大させることなく、維持しておれば、今年度起債許可団体に陥ることも、5年後に健全化団体転落といった危機的な状況に陥ることもありませんでした。その場合の減債基金残高を示す緑のグラフは点線のような推移を示すことになります。しかしそのためには、1,632億円の減債基金の積立が必要であったわけですが、ご答弁にもあったように橋下府政の4年間、知事重点事業や財政調整基金の積み増しを行わなければ1,632億円の基金の積立も充分可能であったということです。
しかも、先ほどの質問の答弁にもあったように、健全化団体転落を回避するためには、総務省ルールによる減債基金積立不足額を解消することが当面最大の課題であったということについても、4年前の時点で充分想定しておられたにもかかわらず、あえて、必要な減債基金の積立を行わずに、知事重点事業や財政調整基金の積み増しを優先してこられたということになります。
さて、橋下前知事は就任以来一貫して、負担を将来に先送りしないということを府民、議会に約束してこられました。そして、4年連続の黒字を達成した、減債基金を復元してきた、実質府債残高を減少させてきたと、あたかも財政再建への取り組みが大きな効果をあげているかのように、府民に対してアピールしてこられました。しかしながら実際には、これまで見てきたように、必要な減債基金の積立を行なわず、知事重点事業などを優先させて、1,632億円もの負担の先送りをしてきたことが、財政健全化団体転落への危機を招いていると同時に、今年度以降の財政運営を非常に厳しいものにしているのだということが、今回の質問を通じて明らかになりました。
さてそこで総務部長にお尋ねします、この4年間で総務省ルールの減債基金積立不足額に、1,632億円ものかい離が生じていたという事実を隠し、実際には基金残高も大きく減少していたにもかかわらず、そのことを府民や議会に充分な説明もせずに、府のルールによる積立不足額の復元のみを過大にアピールしてきたことについての責任については、どのようにお考えになられるのでしょうか。
【総務部長答弁】
実質公債費比率上の算定ルール、いわゆる国ルールと府の積立額の間にかい離があり、そのことについてこれまで詳細に説明をしてこなかったことはその通りです。
しかし、これまでも中長期試算において実質公債費比率の将来見通しをお示してまいりました。
この比率自身は国のルールに基づいて算定されたものですので、国ルールによる結果はお示しをしてまいりました。その上で実質公債費比率が25%を超えないために減債基金への復元を計画的に行ってきたものであり、その時々の財政状況や取り組み状況については説明に努めてきたところです。
また、臨時財政対策債の急増により積み立て不足額が大きくなったことを踏まえて、平成24年度からは新規発行する府債について府の積み立てルールを国の積み立てルールに合わせる措置もとったところです。ご指摘の点も踏まえ、今後とも府民に必要な本府財政状況の説明に一層取り組んでまいります。
【質問】
さて、今年度以降大阪府は、橋下前知事の時代とは較べものにならないくらい、非常に厳しい財政運営を迫られることになります。そしてそれだけの厳しい財政運営を行ったとしても、例えば税収が見込み通りに伸びないなどといった可能性も十分にあり、そのような事態になれば、数年後には財政健全化団体に転落する可能性も決して小さくはありません。そこで松井知事に、財政健全化団体転落回避に向けての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
【松井知事答弁】
前々知事の時代に、平成22年に健全化団体に転落するのではないかという議論が本議会でおこなわれていました。その時、当時の知事からは大丈夫だというお話があり、なぜ大丈夫かというと、減債基金からの借り入れというものを見破れなかった、そして大阪の成長率が異様に高く設定されてきた、だから当時大議論になりましたが、平成22年度の健全化団体への転落は回避できるというのが当時の知事の答弁だったと思います。それから橋下知事が就任されて減債基金からの借り入れ、禁じ手、という財政運営が行われてきたことが明らかになりました。その手法をやめて基金残高を元に戻すと、その時点で健全化団体への転落になるということであり、それを計画的に返していこうということを続けてきたのが橋下知事の4年間だったのではないのかと思います。
財政健全化団体への転落、これは避けなければなりません。だから今ありとあらゆる事業の見直しも含め、府庁一丸となって取り組んでいるところです。そしてもう一つは大都市大阪がしっかりと税収を上げていく仕組み作りが大切だと思っておりまして、そのためにも大阪府、大阪市の2重行政を解消し、新しい行政制度をつくらなければならないと、是非自民党の皆さんには、大阪都への賛同をよろしくお願いします。
《まとめ》
橋下前知事は就任時には大阪府を破産会社だと言い、退任時には優良会社だといい、昨年のダブル選挙では貯金を1,000億円作りましたと言い、あたかも自分一人で大阪府を建て直したかのようにおっしゃってこられました。
今にして思えばこうした言動も、単年度収支の黒字を達成したのだというために、あるいはWTCビルの購入や私立高校無償化などのパフォーマンスのために、健全化団体転落の危機を知りながら、負担を先送りしてきたということではなかったのか、つまり、ご自身の知事としての功績を上げ、野望を実現するために、将来の大阪府民を踏み台にしたのではなかったのかと思えてなりませ  ん。今後、橋下前知事の後継者であられる松井知事が、二度とこのような負担の先送りをしないよう、しっかりと注視していくつもりであると申し述べておきます。

2 大阪にふさわしい大都市制度

(1)現行制度を変える理由とされている、大阪経済の低迷要因について
【質問】
大都市制度については、今年4月に設けられた「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」において、9月10日に開かれた直近の会議まで、これまで計6回協議が重ねられてきました。
我が会派は、松井知事、橋下市長が竹山堺市長に対し行った呼びかけと同様、大阪にふさわしい大都市制度に関する「忌憚のない意見」を述べるため、協議会に参加し、都構想の必要性について議論をしてきました。
ところが、9月10日に開かれた第6回協議会で、議論が未だ煮詰まっていないにもかかわらず、維新の会から、協議会での議論を打ち切り、新たな大都市制度の枠組みを決定する動議が提出されました。
我が会派は動議を採決すること自体に反対しましたが、議論の打ち切りをせず、次回協議会で特別区の区割りに関する議論を行うことが確約されたため、採決に応じることとしました。
その際、採決に先立ち、我が会派から意見開陳を行いました。意見開陳をお聞きいただければ、我が会派の考え方、主張が御理解いただけると思いますので、ご紹介させていただきます。

―意見開陳引用―
我が会派は、「大阪都構想」のように大阪市を解体するほど根本的な制度見直しについては、なぜその必要があるのか、府民・市民に丁寧に説明し、正しく理解していただくことが大事だと考えています。その観点から、これまで、知事・市長案を真摯に受け止め、十分吟味した上で、「大阪都構想」の根幹に関わる極めて重要な問題点を指摘し、質問を投げかけてまいりました。
その結果、「大阪都構想」の必要性に関する説明に明らかなズレが生じてきていることがわかりました。
例えば、知事・市長は、選挙を通じ、「大阪都構想」の肝の考え方として、「大阪経済の低迷は府市二つの存在に起因しており、府市の制度を変えることが大阪経済を再生させる」という主張をされました。
しかしながら、第4回協議会で、大阪経済の低迷は府市の関係が要因でないことを自ら認め、大阪都になれば大阪経済が良くなるという主張も自ら否定されました。また、選挙を通じて主張された「マイナススパイラル」即ち、「産業等の集積の低下、経済の低迷、財政の悪化」この三つの悪循環によって有効な対策が打てなかったことについても否定されました。
知事・市長のお答えから明らかになったことは、「経済低迷の要因は、有効な対策が打てなかったことであり、有効な対策を打つ上での問題は、マイナススパイラルでなく、府市トータルの視点が不十分だったこと」だと理解できます。
まさに、「大阪都構想」の必要性の根拠は崩れてきているということです。
多くの府民・市民の方が、「大阪都」が実現すれば、大阪が経済の低迷から脱すると理解され、大きな期待をされています。
「W選の民意」とよく言われますが、間違った説明により誤解を与え、ミスリードされた民意だと言わざるを得ません。
「大阪都構想」の必要性の理屈が変わってきたこと自体が、まず、重大な問題です。それに加え、この協議会に臨む知事・市長の姿勢も大きな問題です。
大阪市を解体するという判断は、軽々しくすべきものではありません。本当に「大阪都構想」がベストな選択なのか、府民・市民の皆さんに十分理解した上でご判断いただくため、引き続き、丁寧な議論が尽くされるべきであります。
以上です。改めて申し上げます。
これまでの協議会の議論で、知事、市長が主張している大阪都構想の必要性の根拠は崩れたと判断せざるを得ません。そこで、確認のためにお聞きします。
先ず、都構想における経済と制度について伺います。
協議会では、我が会派は、現行の府市制度が、経済成長を阻害した原因であるとの知事市長の主張に対し、質問を重ね、回答を求めてきましたが、全く答えていただけなかった。もしくは答えになっていない項目がありました。ここで改めてお尋ねします。
経済対策に関し、これまで部局から予算要求があったものの、予算が厳しいため実現できなかった事業があれば具体的に示してほしいとの我が会派の質問に対し、知事、市長は、そのような事業は存在しないと回答され、「産業等の集積の低下、経済の低迷、財政の悪化」この三つの悪循環によって有効な対策が打てなかったとの自らの主張を否定されました。つまり、財政難で有効な対策が打てなかったわけではないと認めているのです。にもかかわらず、知事市長は、現行制度の下、有効な対策を講じられなかったことが経済低迷の要因であるとも主張しています。そこで、木村副知事に伺います。その「有効な対策」とは具体的に何でしょうか。また、その対策によって、大阪経済はどのように良くなるのでしょうか。さらに「有効な対策」を打つ上で、府市トータルの視点が十分でなかったことが問題というのは、どのような点でしょうか。
【木村副知事答弁】
「有効な対策」については、その基本的な方向性を、今般、府市が一体となって作成しました成長戦略で示しております。例えば、税優遇等による企業等の戦略的誘致、「うめきた」での拠点形成、交通ネットワークの整備等を考えています。
これらの対策により、成長分野の企業等を集積させ、イノベーションの創出や投資の促進を図っていくことで、大阪経済の成長を促進したいと考えています。
次に、「府市トータルの視点」については、知事・市長案においては、産業政策やインフラ整備等において、府市それぞれが、それぞれの取り組みを進め、限られた資源が大阪トータルで最適に活用されていなかったという指摘がなされています。
これは、知事、市長が政治的立場も踏まえ、協議会委員として示されたものですが、副知事の私も同様の考えであり、しっかりと受け止めているところです。
【再質問】
今、例示された政策は、現行の制度で可能なことですね。再度お答えください。
【木村副知事答弁】
現行という意味では可能かもわかりませんが、いろいろ限界があります。今回の取り組みを通じて、さらにブラッシュアップしていくということであると理解しています。
【質問】
次に、府市の間で企業誘致などの産業政策において、特に平成14年の工場等制限法撤廃後、具体的に何が異なったのでしょうか。木村副知事にお伺いします。
【木村副知事答弁】
企業誘致については、平成13年度から府の産業拠点を対象とした産業集積促進税制を創設するなどの取り組みを進めてきましたが、大阪市域はその時点では対象外でありました。その後、平成17年度に、大阪市と連携して補助制度を創設しました。
知事、市長案では、こうした企業誘致やその他の産業政策の例を示して、大阪トータルの視点での産業振興の取り組みが十分ではなかったとの指摘をいただいているものと理解しています。
【再質問】
今の答えでは、異なったものはなかったということですね。再度お答えください。
【木村副知事答弁】
17年度以降に企業誘致のための制度ができたということを申したわけで、全くうまくいっていたということではないと理解しています。制度はできたという説明をしたということです。
【質問】
ということは、異なった事例はなかったということだと思います。
さらに、経済の低迷を回避するために、府市はどのような対応をすべきだったのでしょうか。また、府市の意思に違いがあるためできなかった事業は何でしょうか。
加えて、橋下知事が、当時の平松市長と180度違う方向を向いていると言っていた点は何を指しているのでしょうか。大都市の制度以外でどのようなものがあったか、お答えください。
【木村副知事答弁】
大阪の成長再生には府市で成長戦略をはじめとする戦略を共有し、政策の一致を図るとともに、大阪トータルでの施策や事業の最適化を進めていくことが必要と考えています。
これまでは府市の壁によってこうした取り組みが十分ではなかったと認識しています。
現在は、成長戦略を一本化するとともに、大阪府市統合本部を設置して、信用保証協会の統合や産技総研と市工研の統合などの取り組みを進めているとこであります。今後、これらを着実に実現できるよう、しっかり取り組んでまいります。
【再質問】
今のご答弁では、全く具体的なことは全く答えていないと思います。
平松市長と180度違った点は、見受けられなかったということですね。
【木村副知事答弁】
はっきり申し上げて、橋下市長の発言、180度うんぬんについては伺っておりません。ただ180度違うとしたら大都市のあり方についての考え方が違うのだと、そういうお話があったのかと推測いたします。
(2)都構想における財政問題について
【質問】
資料4をご覧ください。協議会で知事市長から示された、都制度における財政シュミレーションです。画面右の上段、大阪都の歳入の3つ目、調整交付金の1,720億円は、画面左の上段、大阪都の歳出の3つ目、基礎からの事務移転1,720億円、と同額であることから、要約をすると、大阪市内から財政調整用の税を都が吸い上げ、都に一部を残し、残りを各特別自治体に分配することとなっており、このうち、「都に残す一部の財源」とは、大阪市から大阪都に移される仕事に必要な財源のみであるという説明でありました。
つまり、大阪都の財政状態は現在の大阪府のそれと全く変わらない。増えもしなければ減りもしないということになります。
知事、市長は、大阪都になれば、都が、強い大阪のための仕事をすると説明していました。そこで、その仕事のための財源はどうするのかを市長にお聞きしたところ、市長は、府市統合本部で二重行政を解消したことで生まれる財源200億円を使うとお答えになりました。
そこで大都市制度室長にお伺いします。この200億円で、大阪府、大阪市、どちらの財政状態を改善するのでしょうか。大阪府と大阪市のそれぞれについて、ご説明願います。
【大都市制度室長答弁】
基本的方向性案でお示ししたA、B項目につきましては、今後、事業ごとの取り組みにあわせて、府市トータルで効果額を明らかにしていく必要があると考えています。お示しの200億円については、民営化による公営企業に対する一般会計からの繰入額の削減など、現時点で見直しの効果がはっきりと見込まれる一部の事業の削減額を積み上げさせていただいたものです。
その内訳は、
・市営地下鉄の民営化による一般財源の削減 約40億円
・市バス事業の民営化による一般財源の削減 約8億円
・市の一般廃棄物事業の民間委託等による削減 約152億円
ということになっています。
【再質問】
200億円のすべてが、大阪市の財政に影響するのであって、大阪府の財政が改善されるわけではないのですね。端的にお答えください。
【大都市制度室長答弁】
府市統合本部で検討している各項目は、新しい大都市制度を見据えまして、府市の事業を別々にとらえるのではなく、大阪全体で最適な形はどういうことなのか、という観点から検討しているものです。そういう意味で、効果額についても、府市トータルで出していくべきものと考えています。
したがって、現在、一部の事業の見直しで200億円の効果が見込まれていますが、今後その他の事業についても具体化を進めていく中で、府、市ということではなく、順次効果額を出し、これらが大阪の再生、成長に活用されるものと考えています。
《指摘》
これまでの答弁を聞いていると、W選挙において、民意をミスリードしていたことがさらに明らかになりました。有権者は、大阪市があるから、大阪の経済は低迷した。だから、大阪都にすれば、財源が増えて、景気を良くするための対策を打ってくれるものだと誤解して投票されたのです。
今一度、都構想の必要性について、忌憚のない議論が必要です。

3 府の附属機関

(1)附属機関及び府市エネルギー戦略会議のあり方
【質問】
資料5をご覧ください。
同会議は6月9日に「原発再稼働に関する緊急声明」、9月4日には「大飯原発3,4号機は、節電要請期間終了後直ちに停止を」の緊急声明を出されました。
これらの緊急声明は、いずれもエネルギー戦略会議の座長名で作成されており、その内容も政府や関西電力に対して直接要請するというもので、さらに、6月9日の声明は、記者会見を行い、直接一般の人やマスコミに向けて公表するという手法をとっています。
我が会派は、このような行為は、戦略会議や同会議委員の職務範囲を大きく逸脱し、府民に、あたかも大阪府、大阪市が発したかのように誤った認識を与えるもので、府市のガバナンスに不信や混乱をもたらす政治的な行為であるとして、知事、市長あて抗議文を提出したところです。
今議会では、これまで府が設置してきた協議会、懇談会等を、附属機関化する条例案が提出されています。そこで、まず、附属機関の定義や役割について、総務部長に確認いたします。
【総務部長答弁】
附属機関ですが、地方自治法第202条の3第1項で「その担任する事項について調停、審査、審議又は調査等を行う機関」と規定されています。具体的には、執行機関が府の施策を推進するに当たり、一定の事項について結論を導き出すための審査を行ったり、執行機関の諮問に応じて議論・検討し、執行機関に対し見解を示すなどの役割を果たすものと認識しています。
【再質問】
現在、要綱等で設置されている協議会等は、地方自治法上不適当と判断したと理解して良いのでしょうか。総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
これまで、附属機関の他に要綱等で様々な課題について、ご議論いただいく協議会或いは懇話会等を設置してまいりました。これは大阪府のみならず全国の自治体でそのような取り組みが行われてきたものです。これらについて、近年の判例をみますと、本来附属機関であるものについては、条例に基づき設置する必要があるという判断が示されましたので、今後の訴訟リスクを回避するという観点から、本定例会で条例設置の議決をお願いしているものです。
【質問】
先ほど触れた府市エネルギー戦略会議の緊急声明について伺いますが、まず、これら緊急声明はどのような位置づけのものとして作成されたのか、また、このような緊急声明を行う行為は、エネルギー戦略会議そのものの役割や権能から逸脱しており、仮に知事や市長がその内容について了解すれば、他の附属機関でも機関名の声明は認められるのでしょうか。知事の見解をお伺いします。
【知事答弁】
エネルギー戦略会議での大飯原発の再稼働についての緊急声明はエネルギー戦略会議の委員の総意により専門家の立場で取りまとめ発表されたものです。内容について報告は受けましたが、会議の専門家の皆さんがそれぞれの立場で取りまとめをされたものです。
【再質問】
答弁が漏れておりますが、他の附属機関でも機関名の声明は認められるのでしょうか。
【知事答弁】
他の会議においても、その会議に出席されておられる専門家の皆さんが、それぞれの立場で発言されることは認めております。
《指摘》
そもそも、会議の設置目的が不明確であります。
大阪市が関西電力の株主であることがその理由なら、大阪市単独で行い、関西地域の原子力の在り方を論じるのなら、関西広域連合で行うべきです。また、原発ゼロなどの政治メッセージなら維新の会でやるべきです。それをわかっていながら、あえて行政として、税金を使って会議を運営しているのであれば、ゆゆしき問題です。
【質問】
会議の委員構成について伺います。委員の顔ぶれを見れば、行政の会議として中立性や専門性を備えていないことは明らかです。実態は維新の会の政治活動の場になっているのではないでしょうか。事実、会議の職務を途中で放り出し、山口県知事選挙に立候補した飯田顧問は落選されましたが、次期山口県知事選挙に立候補を表明し、政治活動を活発にしておられます。政治団体の長も務めています。このような政治家を行政の会議に復帰させること自体、この会議が政治的会議である何よりの証拠です。
行政の会議なら、もっと中立性に配慮し、バランスのとれた人選をすべきです。少なくとも政治色のない人選し、原発反対派を入れるなら、主張の異なる人も委員に入れるべきです。
府市エネルギー戦略会議委員の選考基準や選考理由と、政治活動を行っている人物を委員に復帰させた理由について、知事に伺います。
【知事答弁】
私はバランスをしっかり取った人事をさせて頂いていると思っています。外部委員の皆さんには専門的知識を有し、かつ、私や市長の考え方、方向性を理解していただいている方にお願いをしているところであります。
飯田顧問への再委嘱については、今後、府市のエネルギー戦略をまとめていくうえで、再生可能エネルギーをはじめエネルギー問題に関する長年の取り組み実績、専門知識が豊富だということで、飯田さんの助言をいただくために復帰していただきました。
【再質問】
知事の見解と少し違って大変残念だと思っております。
飯田氏について再度お聞きします。
ミッションをこなすために、何人の中から飯田氏を選んだのでしょうか。
【知事答弁】
10人の中の一人として飯田委員に再任をお願いしたということです。
【再質問】
10人の中から選んだということですが、飯田氏以外の人選は全く検討されなかったのですか。
それ以外にふさわしい人はいなかったのですか。
【知事答弁】
飯田氏が選挙に出るということで、一度エネルギー戦略会議を辞められました。辞められたことと専門的知識を持っていることは別です。ですから選挙活動するということであれば、行政の委員としてはふさわしくないということでお辞め頂きました。選挙に落選され一個人に戻られたので、このエネルギー専門家としての知識を使わせていただくために、エネルギー戦略会議の古賀先生とかそういう方々の推薦もあり、復帰いただいたということです。
【質問】
飯田さんが、政治活動をしたからやめてもらったということですけど、また政治活動をされているので、その点は答弁を聞いても理解できません。飯田さん以外に本当に代わる人がいなかったのか。残りの9人の方は、全く駄目だったというように聞こえます。
 次に、9月17日に行われた同会議の「自主開催」について伺います。
府は、同会議について、今回、要綱設置から附属機関化する条例改正を行おうとしており、条例改正手続きが終了するまで会議の開催を見合わせていました。そのような中、同会議のメンバーは「議論を停滞させるべきでない」として、「自主開催」と称し、会議を開催されました。
そもそも、「自主開催」とはどのような意味でしょうか。これまでの同会議の活動内容とはどこが違うのでしょうか。また、知事はこのような自主開催をお認めになっているのでしょうか。開催を止めなかった理由を説明してください。
【知事答弁】
9月17日の会議はこのエネルギー戦略会議のメンバーの方々が個人で自主的に集まって会議をされたものです。これがなぜ問題になるのかがよくわかりません。自ら自分のポケットマネーで交通費も会場費もすべて自分たちで賄っていただいて、この大阪におけるエネルギー戦略の議論を深めて頂くことに何の問題があるのでしょうか。厳しい財政状況の中、ありがたいと思っています。
集まっているメンバーは同じですけど、自主的に会合を開かれたので大阪府の行政のエネルギー戦略会議とは別のものであります。
【質問】
資料6をご覧ください。我が会派が確認したところ、この会議は「大阪府市エネルギー戦略会議 自主会合」と銘打ち、委員の自主的な会議であるにもかかわらず、「大阪府市」の名称を使っています。知事は「大阪府市」の名称使用も許可したのでしょうか。
【知事答弁】
資料には戦略会議自主会合って書いているじゃないですか。自主会合もしてはいけないのですか。私は自主会合だと思っています。
【再質問】
知事に聞いたのは、自主会合に大阪府市という名前がついていること自体が、府民に誤解を与えるのではないかと、そのことを許可したのですかと聞いています。もう一度答えてください。
【知事答弁】
これ、名称でね、府市のエネルギー戦略会議のメンバーの皆さんが、自主会合するのに、その名称を使ってはならないという、そのようなことは別に必要じゃないのではないですか。これ、許可する、しないの話ではないと思います。このペーパーにちゃんと自主会合って書いていますから、正に自主会合ですよ。
《指摘》
これ以上議論しても、時間を費やしますので。本当に知事の考えというのは私から見たら非常に残念です。大阪府を私物化しているような感じを受けます。この後の問題に関しましては、委員会で引き続き議論を深めていきたいと思います。
次に、先ほどの話ですが、開催形式が異なるとしても、中身は変わりがありません。結局は、府市の衣を被って、自分たちの好き放題に議論しているだけとしか思えません。また、自主開催したとされる会議が、以前からの会議と継続した内容の議論や、会議の目的に継続性があるようならば、これまでの報酬は全て返上させるのが筋です。これまで会議開催で委員報酬等に費やした税金について、知事は全額返還を求めるか、求めないのであればご自身で府に返還すべきです。大変重大な問題であるということを指摘しておきます。
(2)特別顧問、特別参与の取り扱いについて
【質問】
今回、特別顧問、特別参与の身分取扱いを非常勤職員に変更することの目的は何でしょうか。単なる外部の有識者という立場から、非常勤といえども職員の身分を有する形に変えることで、どのような変更が出てくるのでしょうか。総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
今回、特別顧問、特別参与について、府の非常勤職員とするということで議案を提出させていただいています。そうなりますと特別職の地方公務員となりますので、府との間に雇用関係が生じますし、知事の補助機関として、その指揮監督下に入るということになります。
【再質問】
では、顧問等の契約の際、懲戒処分などの契約規定を盛り込むことは出来るのでしょうか、総務部長に再度伺います。
【総務部長答弁】
現在、大阪府では非常勤職員について「非常勤職員の雇用等に関する要綱」を定めています。この中で、懲戒の種類としましては、戒告、減給、停職、懲戒、解雇を定めており、また懲戒事由についても、具体的に定めを置いているところです。
【質問】
特別顧問、特別参与の中には、会議や部局との打ち合わせで知りえた情報を、個人の政治活動に使われるケースも十分想定されます。府は特別顧問、特別参与の設置要綱で、一般職に準じた守秘義務を課していますが、罰則は設けられていません。先ほどの総務部長からのご答弁では懲戒処分等の契約規定を盛り込むことは出来るとの見解を聞かせて頂きましたが、特別顧問、特別参与にも、懲戒処分等の規定を設けるべきと考えますが、知事の見解を伺います。また、特定の政党を応援するなど、一定の政治的行為の規制を行うべきであると考えますが、知事の見解を聞かせてください。
【知事答弁】
特別職の地方公務員については、地方公務員法の適用がなく、罰則はありません。法律を超えて罰則を定めることは困難だと思っています。
また、特定の政治団体との関係についてですが、府市の重要課題に対して助言をいただく外部委員には、専門的知識を有し、かつ、首長の考え方や方向性を共有いただいている方に特別顧問、特別参与をお願いしているのがごく普通だと思います。
なお、特別職の地方公務員の政治的行為は制限されていませんので、特定の政治団体などと接触しても、特別顧問、特別参与として問題になるということはないと思います。
【質問】
規制はできないということですね。
府市の特別顧問であり、エネルギー戦略会議委員である古賀顧問は、先日行われた、国会議員と維新の会の討論会に審査員的立場で参加されていた人であります。
法律で政治活動が規制できないのであれば、古賀氏や飯田氏のように特定の政党と同一視されるような人物、政治団体を有し政治活動をしているような人物を、特別顧問、特別参与に人選すべきでないと考えますが、知事の見解を聞かせて下さい。
【知事答弁】
今、古賀さん、飯田さんというお名前が挙がりましたが、この古賀さんも飯田さんも出来先生から言えば、それを大阪維新の会を標的としてお話しされていると思いますけど、飯田さんや古賀さんの専門家としての知見は、それぞれいろんな政党の中でも講演されていますし、様々な政党の候補の皆さんの支援にも行かれています。このお二人は、エネルギー戦略についてご自身が持っている知識を行政の中に反映するという活動を広くされているということです。
私としては、この特別職の皆さんに政治的行為の制限は設けず、様々な政治集団と接触されても問題はないと思っています。
《指摘》
決して、維新の会をターゲットにしているわけじゃないですよ。維新の会だって立派な方がたくさんいらっしゃると私は思っておりますので、決してそうではないということは申し添えておきます。
ただ、今回のこういうような人選に関しましては意図的、作為的な感があるので、府民に誤解を与えると思いますので、今後はやはり止めるべきだということを忠告しておきます。
【質問】
次に、報酬について伺います。まず、特別顧問、特別参与の報酬について、これまでの経過を総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
最初に任命しました20年度当初は、特別顧問については1回22,000円、特別参与については1回18,000円でした。その後、従事していただく時間が増えたことを考慮して、平成21年10月からは時間ごとの区分をしまして、上限額で申し上げますと、特別顧問は3時間を超えた場合は33,000円、特別参与は4時間を超えた場合は54,000円といたしました。
府市統合本部が設置された以降、平成24年2月からは、特別顧問について時間区分を見直し、上限額で申し上げますと、4時間を超えた場合、55,000円としたものです。
【質問】
今のご答弁では、日額最大54,000円から55,000円となっています。これは、他の行政委員や附属機関の委員の報酬、例えば大阪府附属機関条例に定められている委員報酬日額は、最大で9,600円であるのに比べ、法外に高すぎるのではないかという印象をもっています。なぜ、特別顧問、特別参与にだけ、このような高い報酬を支払うのか、知事にお伺いします。
【知事答弁】
特別職の報酬については私を含め副知事、行政委員、附属機関委員、顧問、特別顧問等、それぞれの職務に応じた報酬額となっています。特別顧問、特別参与は指導助言にとどまらず、私が依頼した個別の施策テーマについて、立案の段階から職員とともに調査検討を行っており、他の非常勤の特別職と比べ日額の限度額が高くなっているというのは、ミッションの重要性、求められる役割、活動の実態などに照らし、それに見合った適正な水準であると考えています。
【質問】
府市統合本部会の本部長(知事)副本部長(市長)本部員(副知事、副市長、PT長等)いわゆる「構成員」と、特別顧問、特別参与などの「専門委員」について、それぞれどういうもので、違いはどこにあるか、総務部長に伺います。
【総務部長答弁】
特別顧問、特別参与については専門委員として位置付けるということを前提にして、お答え申し上げます。府市統合本部会議は、行政機関同士で府市共通の課題について方向性を協議、決定する場でございまして、その構成員は、執行機関である知事、市長に加え、府市共通の重要課題について意思形成に参画する副知事や副市長、統合本部のPT長からなっています。
特別顧問、特別参与、専門委員については知事や市長からの委託を受け、その権限に属する事務に関し必要な事項を調査し又は助言を行う者でありまして、府市統合本部会議においては本部長からの招聘に応じて出席し、構成員に対し助言を行う立場にある者と考えています。
【質問】
専門委員は外部の者であって構成メンバーとは異なる、また、知事の委託を受け、その権限に属する事務に関し、必要な事項を調査し、助言を行うことにあるとの説明がありました。
資料7をご覧ください、ごく一部を抜粋していますが、特別顧問である、堺屋顧問、古賀顧問、原顧問は府の職員基本条例にかかる協議の場に参画し、明らかに府の意思決定に参画するような発言と振る舞いをされていたと考えますが、議論をされた総務部長の感想を伺います。
【総務部長答弁】
先ほど、特別顧問、特別参与を専門委員とする前提で、その役割についてお答えしました。今お示しの特別顧問の発言は私が出席しました府市統合本部会議でのやり取りであろうと思います。その逐一は覚えていませんが、当日は、職員基本条例案についての主な論点について、主に顧問と私が議論し、概ねの方向性を決めていったというふうに感じています。ただ、意思決定という話がありましたが、最終の府として提案する職員基本条例については、府市統合本部会議を踏まえて、私どもはさらに原案を作成し、知事の決裁を得て決定したものであります。
【質問】
また、同じようなことが府立学校条例、教育行政基本条例が議論された会議でもありました。
資料8をご覧ください、先程同様、議論のごく一部を抜粋していますが、特別顧問である、堺屋顧問、古賀顧問、原顧問は「調査、助言」という立場をわきまえず、自らの主張を中西教育長にぶつけるのみで、明らかに教育委員会の意思決定に参画する行為があったと認識していますが、議論をされた中西教育長の感想を伺います。
【教育長答弁】
私もやりとりを逐一覚えていませんが、感想を申し上げますと、論客でありますたくさんの特別顧問がいらっしゃいまして、次々と発言されましたので、行政マンである私としては非常にしんどかったと言いますか、厳しい議論でございました。
《指摘》
本来は特別顧問、特別参与が意見を述べられた統合本部が終了してから、構成員だけで、再度会議を開催し、議論を尽くしたうえで意思の確認しておくべきです。また、本来はそこで即座に意思決定をするのではなく、それぞれの戦略本部会議を開催し、意思決定をしたものを確認するために、再度、府市統合本部を開くべきであります。
また、古賀氏らは府の特別顧問であると同時に、維新の会の応援団的立場にいます。にもかかわらず守秘義務にかかる罰則や懲戒処分の規定も無く、行政の内部情報が政治活動に使われる可能性が大であると言わざるを得ません。いつでも情報を政治目的に使用できる状態は、知事が日頃言われているマネジメント出来ているとは到底言えません。
また、他の附属機関と比べて法外な報酬が支払われているにもかかわらず、それに対する外形的に納得のいく説明や基準がありません。公選職でもなく、中立性、公正性が全く担保されている公務員でもないメンバーが大阪府市の意思決定に参画し、情報が自由に政治活動に使えるような府庁、市役所は利権体質そのものだと考えます。公金を使うのであれば平等にルールを守らせるべきです。それが出来なければ契約行為を打ち切ることを規約に盛り込むべきです。
これまでの質疑で明らかなように、今の問題だらけの委員構成や活動実態を前提としたエネルギー戦略会議を附属機関化することには、我が会派としては賛成できません。
府市統合本部で重要事項について協議するのであれば、公選職である議員を参画させるべきであります。
知事は今までの報酬を返還するよう求めるか、ご自身で府に返還すべきです。附属機関化もすべきではありません。行政の位置づけを外し、維新の会の政治活動として行うべきであると指摘します。

4 府市統合本部(府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)とクレオ大阪の事業統合)

【質問】
府市統合本部の場で、様々な施設や法人の統合やその在り方について議論されていますが、基本的に議論の手順が間違っています。これまで、大阪府は血のにじむような行政改革を断行しており、ほとんど贅肉が無い状態と言っても過言ではありません。それに比べて、大阪市の施設や関連法人は、府に比べるとほとんど手つかずの状態です。府市統合本部で議論を進める前に、まず、大阪市に徹底したリストラ努力を求めるべきです。
大阪市は、信太山、琵琶湖、伊賀にそれぞれ野外系施設を有し、文化系施設としては、市立青少年センターと市立こども文化センターがありますが、そのうち廃止が決定したのは、伊賀の青少年野外活動施設のみで、このままでは4つの施設が残ることになってしまいます。これら施設の取り扱いについて、府市統合本部は「基礎自治体業務」との名目で、存置する方向とのことですが、そもそも府市統合本部は、大阪都市圏の効率的自治体運営を整理する場ではなかったのでしょうか。
同じことが、大阪市が整備した施設であるクレオ大阪にも言えます。府は、旧婦人会館を廃止し、広域的機能を持つ、府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)を作りましたが、大阪市はクレオ中央、東西南北の5館も作っています。これら大阪市施設の取り扱いについて、府市統合本部では「基礎自治体の事業の水平連携の在り方を踏まえ、5館体制の集約化を図る」となっていますが、まったく理解不能です。
これらの施設が担っている機能は、広域自治体、基礎自治体どちらが担うべきか、知事の見解を伺います。
【知事答弁】
府市統合本部の機能がわからないからやめろということ言われるのか、府市統合本部を続けろと言われるのかちょっとよくわからないところがあります。府市統合本部で大阪市のリストラをやらないといけない、大阪市には様々な削るべきところがいっぱいあるのでは、とのご指摘でしたが、正に府市統合本部が今、設置されて議論の場があるから、こうして府議会の場で大阪市の議論ができるんではないですかね。今までは、府議会では大阪市のことについては、それは大阪市の話なので、先ほどの「うめきた」も一切議論ができませんでした。してもなんら影響を与えられなかった、というのが今までだったのです。だから、府市統合本部ができて、大阪全体の議論が府議会でできるようになったと、これは一番、府議会として求められてきたことだと思うのですが。
ドーンセンターとクレオ大阪については、府市の役割分担や事業内容等を整理、分析した上で、ドーンセンターは専門的かつ広域的な事業を実施するとともに、基礎自治体の業務を支援、補完する施設として広域自治機能を担う。クレオ大阪は5館体制の集約化を図ったうえで、市民密着型男女共同参画事業の施設として、基礎自治体の機能を担うという役割分担の下で、両館を存続しそれぞれの機能分担といたしました。
【質問】
今のご答弁でしたら、今までと変わりないのではと思います。
大阪都が実現しなくとも、現段階で府市いずれかに女性政策の主体を決め、事務委託することで事業統合は可能です。女性政策について、どのように事業を統合されるのか、知事のお考えを伺います。
【知事答弁】
男女共同参画事業の実施に当たりましては、基礎自治体の機能を支援、補完する広域自治体と市民密着型の事業を担う基礎自治体がそれぞれの役割分担の下、お互いにその責務を果たしていくことが必要であります。今後新たな大都市制度への移行にあわせて、基礎自治体が実施するべき事業のなかでも、広域自治体であわせて実施した方が効率的かつ効果的なものがあるのであれば、その実施手法も含めて協議、検討してまいります。
《指摘》
松井知事は制度を変えなければ、二重行政の解消が出来ないと主張されていますが、我々は都構想にしなくても、府市双方が役割分担を明確にし、事務委託することで、現行法、体制のままでも二重行政の解消が可能だと考えています。府市統合本部で曖昧な結論を出され、出来ることもしないのは政治の不作為、怠慢であり、出来ることから始めるべきだと申しておきます。

5 運輸事業振興助成交付金

【質問】
運輸事業振興助成交付金に関する補助金交付状況についてお尋ねします。
昨年9月に制定された法律により算定された今年度の算定額は11億5千万円だと聞いています。それに対して今回議案にあがっている補正予算案は2億5千6百万円です。そもそも、この補助金は、軽油引き取り税の暫定税率の実施にともない、税負担事業者の近代化対策として創設されたものであり、国と地方の大きな枠組みの中で、国から都道府県に対して地方交付税措置されているものであることに加え、橋下前知事が問題視していた通達ではなく、改めて国の法律で定められたものです。にもかかわらず、法律で定められた補助金として国から措置される交付税について、色々な理由をつけてその大半を支給せず、それを全く別の事業の財源に充てようとしているということになってしまいます。
事業者団体の提案する事業が、この補助金の使途とされている事業に資するものではないというのであれば、団体に対して目的に合う事業を提案するよう指導するべきです。国から特定の目的で措置される交付税をその目的外の事業に充てるというのでは、一方で、地方の権利を主張しながら、一方では地方の義務を欠くということになり、国と地方との信義則に反するものであり、地方分権を推進しようという方向とは全く相反するものになるのではないでしょうか。
法律で算定された額に対して、およそ五分の一しか予算計上されていないのは一体、なぜですか。 商工労働部長にお尋ねします。
【商工労働部長答弁】
法に基づく算定額 約11億5,000万円に対して、大阪府トラック協会及び大阪バス協会から、計10億3,000千万円の事業提案がありました。
府は、その事業提案を受け、交通安全や環境などの分野及び府民の利便性の向上に資する事業の内、府民及び事業者に効果が行き届くものという観点から事業を精査した結果、約3億9,600万円と見積もりました。
これらの事業の内、貨物自動車運送事業法に基づき大阪府トラック協会が実施している、事業者に対する検査や指導を行う安全運行パトロールなどの事業費 約1億4,000万円については、本来、国費で措置すべきものであるが、未措置である現状を踏まえまして、補助対象と認めましたものです。ただし、今年度は協会の過去の「府補助金」由来の預金を充てていただくことにしました。
このため、運輸事業振興助成補助金に係る補正予算書案は約2億5,600万円となったものです。
《指摘》
改めて、この補助金のあり方について、検討し直す必要があると申し上げておきます。

6 稲スポーツセンター

(1)エネルギー政策に対する府のスタンス
【質問】
稲スポーツセンターについては、昨年9月議会に廃止条例を提案しておきながら、関係者の調整がつかず、結局条例案を撤回することになってしまいました。このことについて、まず議会に対し説明と、関係者に対し謝罪するべきと考えます。
また、府は今議会に新体育館建設のための関連予算を提出していますが、当初は府と市町村の役割分担から施設を廃止するという説明でした。府は当初の方針を転換したという理解で良いのでしょうか。それならば、体育施設は市町村でなく、府の役割であるとこの際明確に表明するべきと考えます。以上の2点について、福祉部長の見解を伺います。
【福祉部長答弁】
障がい者スポーツについては、住民に最も身近な市町村において障がい者のニーズにきめ細かく対応しながら、スポーツに親しめる機械や場を提供することが望ましいとの考えから、昨年の9月府議会で稲スポーツセンターの廃止条例を提案しました。
しかしながら、市町村の障がい者スポーツへの取り組み状況や利用者の声を踏まえ、稲スポーツセンターが障がい者スポーツの場として果たしている機能を維持することが適当であると方針を転換し、廃止条例を撤回させていただきました。
現稲スポーツセンターの建物は、子どものための施設に転用し、同一エリア内に新たな体育館を建設することから、今議会にその整備工事にかかる経費を債務負担として計上したものです。
この間、利用者の方々をはじめ、府議会、関係者の皆様には大変なご心配をおかけし混乱を招いたことについて、改めて心からお詫び申し上げます。
今後とも、府立施設として、府が責任をもってその役割をしっかり果たし、障害者スポーツの振興に努めてまいりたい、府と市町村が一体となって障がい者スポーツの振興に努めていきたいと考えています。

7 財団法人産業基盤整備協会

【質問】
次に、財団法人産業基盤整備協会の解散処理について伺います。
今回の処理で、府は地方財政法の規定に従い、地方債である「第3セクター等改革推進債」110億7,800万円の起債を総務大臣に申請する予定で、今議会でその議決を取ろうとしています。
また、今回の債権発行に伴い、償還終了まで府は金利を負担することになります。この点について、我が会派は、地方債の発行に代えて、現在残高が約898億円ある「財政調整基金」を使うべきであると考えます。財政運営基本条例に記載されている通り、「収入の範囲で予算を組む」のであれば、財政調整基金を温存しておく必要はありません。それが通常民間における経営感覚であり、今回の処理はやむを得ない措置であると理解しますが、少なくとも赤字債権の発行は出来る限り抑える努力を行うべきです。
先の2月議会における地域整備事業会計の廃止に伴う三セク債の発行の際も、我が会派は金利負担が伴わない財政調整基金の取崩しによるべきとの理由から、反対しました。にもかかわらず、府は今議会において、産業基盤整備協会に対する貸付金償還金の歳入更正に関して、再び三セク債の発行を行おうとしています。
そこで、前回の処理について、地域整備事業会計に係る三セク債(233.35億円)について、金利負担はトータルでいくら生じるのでしょうか。府が昨年度発行した5年債の平均金利(0.41%)を用いて計算された場合の金額を、お答え願います。
次に、産業基盤整備協会に係る三セク債(110.78億円)について、金利負担はトータルでいくらでしょうか。先の質問と同様の金利を前提に計算した場合で、総務部長からお答え願います。
【総務部長答弁】
地域整備事業会計廃止に伴う三セク債の利子ですが、議員お示しの前提で計算しますと、約12億円となる見込みです。産業基盤整備協会に係る三セク債につきましても同様の計算をしますと、約4億5,000万円となります。
【再質問】
16億5,000万円の金利負担が回避できるにも関わらず、財政調整基金の取崩しない理由はいかなるものか、総務部長からお答え願います。
【総務部長答弁】
今申し上げた、二事業については、いずれも土地すなわち資産を承継することを踏まえまして、処理に必要な財源については全額を現世代で負担するのは適当ではないと考えたこと、またお示しのように財政調整基金を充てるということも選択肢としては可能ですが、財政調整基金については今後の安定的な財政運営を図るために一定額を確保する必要があると考えたことから、三セク債を発行するという判断をしたものであります。

8 府民の命を守る取組み

府民の命を守る取組みについては、近い将来発生が予想されている南海トラフ巨大地震へ備えるため、防潮堤等を再点検し、1日でも早く地震・津波に耐えうる耐震強度や高さの確保を図ることが喫緊の課題と考えます。
府民の命を守る防災等の取り組みは、質問を通告しておりましたが、一般質問の機会に、改めてより深く議論を進めたいと思います。

9 大手前のまちづくり

【質問】
大手前地区への誘致計画が進められようとしている、最先端がん医療施設の整備と大手前地区のまちづくりについて伺います。先ず、報告書の中身、収支について質問いたします。
赤字を出さないために必要となる患者数は年間565~871人となっていますが、検討委員会では楽観的な意見が多いようです。スクリーンに表示の資料9をご覧ください。
同様の施設は既に全国9か所が稼働中、5か所で建設中であり、大阪近隣では、兵庫県たつの市に「県立粒子線医療センター」、福井市に「福井県立病院陽子線がん治療センター」があります。さらに名古屋市内で建設中の「名古屋陽子線治療センター」が平成25年3月治療開始の予定となっています。
このように、同様の施設は全国的にも進んでおり、多くの患者を見込むことは困難であります。
また、計画では、開設4年目で患者数が最大値に達すると見込まれていますが、スタッフの確保・育成、患者の確保策等を勘案すると、計画通り進むのか大いに疑問であり、成人病センターにかかる負担は相当大きいと考えます。また、最大値になった4年目以降は、事業が終了する30年先まで、常に最大値で患者数が維持されていくというシュミレーションになっていますが、機器の老朽化、近隣の施設との競合などの様々なリスクが全く考慮されていません。
さらに、計画期間中フル稼働で計算されていますが、機器の故障や患者の都合により治療ができなくなくなることも全く考慮されていません。
また、粒子線治療は現在健康保険の適用対象外ですが、将来保険適用になった場合、診療報酬の設定水準によっては、収入が当初の見込みより大幅に減少することも予想されます。
通常、収支を見込むときは、今後起こりうる様々なリスクを想定し最悪のケースも視野に入れながら検討を進めるべきであります。
報告書を見る限り、患者数の予測、収支計画等いずれの項目も考えられない甘さであります。
このような患者数予測、収支計画が本当に実現可能だとお考えですか。可能と考えているのであればその根拠も具体的にお答え願いたい。健康医療部長にお尋ねします。
【健康医療部長答弁】
需要の予測としまして、大阪府は全国でも有数のがん登録という、患者さんの数を実測するデータベースをもっておりまして、それに放射線医学総合研究所の医学摘要の考え方をあてはめまして、患者数の推計をしております。さらに平成24年度の大阪府の性年齢階級別人口構成で補正しまして、需要としましては約2,400名の需要があるという推計がされています。この数につきましては今後さらに高齢化が進む中で増えることはあっても減ることはなく、大きな需要だと考えています。
さらに実際に整備されますと、他府県からの受診者も一定見込まれるので、実際相当な潜在需要があると考えています。これに対して、実際収支の採算がとれるベースの推計を検討委員会でされましたが、その中で最大限費用がかかる推計で、民設民営で20年で重粒子線という取り組みの場合、最大871名を確保すれば十分採算が取れるという推計が示されております。しかも、いきなり871名にするのではなく、初年度は25%、次年度は50%、3年目は75%、4年目にこの数になるという推計が示されていまして、専門の委員の判断では、大手前での立地という優位性、有数のがんセンターである成人病センターの隣接地に整備するという優位性からすれば、非常に堅実な推計であるという評価をいただいています。また、人件費、光熱水費、維持管理費等についても手堅い推計だと聞いております。
ご指摘の保険適用につきましては、現在も一定検討はされていますが、まだ高度先進医療として継続してコストパーフォーマンスを検証すべきであるということで留まっているので、現行制度下で推計させていただいたところです。
【質問】
次に、土地の取得価格について伺います。
まず、「公設公営」「民設民営」いずれの場合も、施設用地は病院機構が取得することになっています。資料によると、取得面積5,000㎡、取得費は1㎡当りの単価を79万円と想定して39.5億円となっています。
24年6月現在の上町筋側の路線価は43万円/㎡程度です。にもかかわらず、路線価より36万円、倍近い価格で大阪府は病院機構に買わせる計画になっています。
また、粒子線治療施設の建設には5,000㎡が必要とのことであるが、計画地は全体で9,000㎡あります。残りの4,000㎡の土地も病院機構に買わせるつもりなのですか、それとも他の活用方法を検討されているのですか、総務部長に確認いたします。
【総務部長答弁】
お示しの土地価格は、大手前のまちづくりを進める中で、この間、順次ご説明してきた価格であろうと思います。実際、売却をすることとなりますと、その時点で改めて鑑定を取り、適正な価格で売却することになります。
また、最先端のがん治療施設ですが、これからの有識者会議の報告を受けまして、健康医療部で引き続き事業の可能性も含めて具体的な検討を進められると聞いております。そういう意味で、現時点でまだ面積も確定していないと認識しておりますので、今後の健康医療部の検討を待って総務部としてどう対応するのか、判断してまいりたいと思っています。
【質問】
報告書によれば、今後「民設民営」で検討されるとのことですが、報告書には示されていないが、府立病院機構が負担するコストは「民設民営」の場合どのくらいの負担となる見込みなのでしょうか、健康医療部長に伺います。
【健康医療部長答弁】
「民設民営」の場合、土地を病院機構が購入しまして、民間が整備運営するという前提で、民間の収支につきまして、この度の報告書で推計したものでありまして、病院機構の今後の収支につきましては、今後この報告書を踏まえて、民間事業者等の事業可能性の調査等を精査する中で、確定していくものであります。
【質問】
機構が府から39.5億円で購入し、機構が民間事業者に貸し付けるスキームになっていますが、購入費用だけでも、多大な負担であるのに、公共目的の利用であるとして、貸付料の半額免除(7.4⇒3.7%)まで求められています。先ず、(資料10)をご覧ください。
事業の初年度から赤字になることがわかります。民間事業者への優遇措置として、減免分を差し引きますと、借地料収入は1億4,600万円、半分となります。それに対して、病院機構の支出は、土地取得の元利償還として、6,600万円、金利負担が7,500万円、固定資産税が年間で5,500万円、更には本来家賃収入で入ってくるはずの39億5,000万円の1%である3,950万円を毎年府に渡さなければならないことが想定されています。収入から支出を差し引くと、毎年5,200万円の赤字になります。更に残地である、4,000㎡の土地を大阪府から押し付けられる可能性もあります。
報告書では「民設民営」が、さも成り立つようなシュミレーションになっていますが、実は赤字を病院機構、成人病センターに押し付けて成り立つ仕組みとなっています。
民間事業者への優遇政策のために、これだけ多くの負担を病院機構にさせて本当に経営が成り立つと考えているのか、健康医療部長に伺います。
【健康医療部長答弁】
検討委員会の収支の推計は、一定の仮定を置いた上で計算しているもので、決して確定したものではありません。ご提示の枠組みもそれに決まっているわけではなくて、今後この報告書を踏まえて病院機構が民間での事業可能性について調査する中で、民間の事業者のヒアリング、ノウハウをお聞きするわけでして、そのお話を聞いたうえで、貸付料と民間の事業者にお願いする条件を決めていくものであります。さらに、昨年9月に知事から答弁したように、土地購入にかかる負担が病院機構の負担にならないように、大阪府として一定の支援策を講じていくというものであります。
【質問】
報告書のように「民設民営」がたとえ成り立ったとしても、病院機構の収支は赤字になります。これでは土地取得のための元本も返せません。
財政難の中、大阪府は毎年病院機構に多額の運営補助金を出しています。赤字になる事業を引き受けるほど財政的に余裕があるのであれば、運営補助金を大幅に減額することを求めておきます。
そもそも、病院機構が平成22年3月に策定した「成人病センター整備基本構想」では、機構だけの体力では、収支見通しが立たないので、将来的に検討していくこととして、現時点では、実現困難と結論付けています。
先ほど説明したように「民設民営」の場合、病院機構は多額の赤字を抱えることになります。大きなリスクがあることが分かっていながら、事業を強行するのでれば、理事会の場で正式に意思決定をして、経営責任をはっきりさせておく必要があります。
また、この赤字分を例えば、隣接する成人病センターの会計に紛れこませて、赤字隠しをするようなことは絶対に認めてはいけないと考えます。もし、事業を甘い見通しのまま強行されるのであれば、単独の会計を設置して、毎年の収支を公表して、赤字分について経営者の責任を明確にする仕組みを作るべきだと考えますが、健康医療部長のご答弁を求めます。
【健康医療部長答弁】
今後、具体的な事業の運営手法とか運営方式については検討を進められるのですが、民設民営を基本として議論するわけですから、経営の責任については、一義的には民間が負うべきものと考えています。
命の問題ですので、具体的な数字が出ました時点で、さらに検討させていただきたいと思います。
【再質問】
病院機構は、府からの求めにより、一民間事業者のための便宜を図り、もし大きな損害が発生すれば、その意思決定をした経営陣は厳しく責任を問われるべきです。
もし、このスキームで事業を強行し病院機構が経営難になった場合は、結果的には三セクの処理と同様に大阪府が多額の財政負担をしなければならないことになるのでしょうか。健康医療部は、府が新たな財政負担をしなければならないリスクを知事にご説明をされていないと思うが、どうでしょうか。知事はどのように理解しておられるのですか。
【知事答弁】
これは命の問題で、大阪府はがん死亡率ワーストワンであることはご存じだと思います。府においては毎年2万人の皆さんが、がんにより亡くなっていまして、府民にとっては重大な、危機的な状況であります。今回の病院機構が土地を購入して民設民営で高度最先端のがん医療を行うこと。これは、府民の健康、命に対しての課題を大きく解決していくことでありますから、府としては全面的にバックアップをしていくということです。検討に当たりましては、具体的な数字が出ましたら病院機構の経営とか府の財政状況も十分勘案しながら進めていきたいと思っています。ただし、がん死亡率ワーストワン返上するために高度最先端医療を導入したいと、そこは自民党の皆さんも一緒じゃないのですか。そこで今、粗い数字で毎年これだけの赤字だからやめろという議論は乱暴だと思います。
府の負担で行うかどうかは、今でも政策医療として一般会計から病院機構にお金を送っているわけで、府民の健康と命を守るという責任において、大阪の医療を守ってまいります。
《指摘》
我が会派としては、粒子線治療施設の建設には決して反対ではありません。ただ、この事業が破たんし病院機構が経営難に陥れば、結果的に大阪府が多額の財政負担をしなければなりません。収支シミュレーションや民間との連携支援体制など、今後の課題について徹底的に検証すべきと申し上げておきます。

10 庁舎の大手前集約

【質問】
内閣府が8月29日に公表した「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定」によると、府内の最大深度は震度6強、最大津波高は4メートル、近畿における最大被害ケースによる、府内で地震、津波、建物倒壊、火災等による死者数は、最大で7,800名、建物の全壊、焼失棟数は343,800棟に上ります。
このことからすると、今後中央防災会議から示される経済被害等の想定や災害対策の最終報告を待つまでもなく、浸水や液状化被害の受けやすい湾岸埋立地に立ち、地盤と建物の固有周期が一致する咲洲庁舎が、災害時の拠点となる本庁舎としては不適格であることは明らかです。
出来るだけ速やかに咲洲庁舎から撤退し、大手前に集約すべきであります。咲洲庁舎が本庁舎として「不適格」である理由は、防災拠点を置かないと判断したことが物語っています。
将来的にこの大手前と咲洲庁舎の併用を続けることは、府民の皆様に財政的な負担を強いるだけでなく、庁舎問題の目指すべき目的として掲げた「庁舎の集約化」に反しています。
先の2月議会での、我が会派の質問に対し、知事は、「大手前と咲洲の二つの庁舎を併用することは、管理コスト面などで課題はある。今後、府庁舎のありかたについては、中央防災会議から示される知見等を踏まえ、咲洲庁舎の抜本的な耐震対策、同庁舎の活用方策とあわせて判断してゆく」と答弁されました。
この答弁の趣旨から、咲洲庁舎については、いくら費用が掛かっても耐震補強ということではなく、冷静に費用対効果を考慮し、咲洲庁舎からの撤退も含め、判断してゆくという理解でよいでしょうか。知事にお伺いします。
【知事答弁】
内閣府から公表された津波高・浸水地域等の長周期振動については、引き続き検討ということになっております。府としては今後中央防災会議から示される長周期振動に関する知見を踏まえ、咲洲庁舎の抜本的な耐震対策を検討してまいります。咲洲庁舎の活用方策や庁舎全体のあり方については、咲洲庁舎の抜本的な耐震対策の検討内容を踏まえ、安全性経済性などの様々な視点から総合的に判断してまいります。

11 教育振興基本計画

(1)教育振興基本計画における知事の思いについて
【質問】
知事は、大阪の教育について、教育委員会に任せきりにせず、公選職である首長が積極的に関与してゆくべきとして、教育基本条例、府立学校条例の制定に尽力されました。超多忙な知事がこれほど教育にこだわるのは、よほどの思いがあってのことと思います。
そこで、知事の教育へのこだわりについて伺います。まず、教育委員会に任せられないところはどのような点でしょうか。大阪の教育について、どのような思いを持って振興計画を作ろうとされているのでしょうか。
【知事答弁】
教育委員会に任せられないということではなくて、政治が教育にもコミットする必要があると思っています。これは私と教育長の間で齟齬があるという話ではなく、今まで教育の中立性という名のもと、政治があまりにも遠ざけられているのではないか、という問題意識は自民党の皆さんと共有していると私は思っております。教育振興基本計画における私の思いについては、グローバル化の進展など社会が大きく変化する中でより確かな教育を推進していくためには、こうした社会情勢の変化や住民の声を教育に十分反映していくことが重要であり、そのために民意を代表する私と教育委員会が相互に協力して取り組んでいくことが必要であると考えております。
こうした観点から、計画策定にあたっても、社会の状況の変化、住民の声の対応を大切にしたいと考えおり、自らの目標に対する果敢なチャレンジやこれからの厳しい社会を自らの力で生き抜いていく、自らを律しながら自立して社会を支える力を育成するとともに、住民に開かれた学校づくりや現場主義の徹底を目標の中に位置づけたところです。今回の中間まとめはこうした思いをもって、作っていただいたということです。
《指摘》
知事からご答弁いただきました。チャレンジとか自立とかグローバルな人材を育てるとかは、今まで当たり前のように言われていることであります。今更、知事がこだわる内容ではないと思いますが、今後教育の振興のためぜひ頑張っていただきたいと思います。
(2)私学助成の効果検証及び私学教育に関する府の関与について
【質問】
教育振興基本計画の目標の1つに「私立学校の振興」が掲げられています。
知事が目指した、高校進学過程において、家庭の経済力によらない、自由な学校選択を可能にするために、府は私学助成の拡充に巨額の税金を投入し続けています。府民の税金を投入する以上、それに見合う効果が上がっているか、政策目的は達成されているか、検証すべきだと考えますが、全体としてどのような効果が上がっているとお考えか。府民文化部長に伺います。
【府民文化部長答弁】
私立学校の授業料無償化を拡充した平成23年度及び平成24年度の入試結果をみますと、私立高校生の入学者が、大幅に増加しております。特に、私立高校を専願により志願する者の割合が、無償化制度拡充前と比べると平成22年度21.46%から平成24年度26.53%と約5ポイント拡大しております。
また、平成23年度に実施した新入生の保護者に対するアンケート調査では、所得約610万円未満の世帯の約75%が、「無償化制度があったから私学を選択した」と回答しており、経済的理由によらない自由な学校選択に大きく寄与していると考えています。また、経済的理由による中退者の数も減っていまして、中退率も減少傾向にあるなど、無償化制度は大きな効果を上げていると考えています。
《要望》
公私を問わず、いじめの撲滅、自殺対策、不登校、中退などは行政として取り組むべき重要な課題であります。特に私立学校の問題というのは顕在化しにくい問題でもあり、知事部局と府教育委員会、更には市町村が一丸となって、オール大阪で取り組んで頂くことを要望します。

12 知事の政治姿勢

【質問】
知事が幹事長を務める地域政党、大阪維新の会が23日に開催した公開討論会のなかで、「大阪府は沖縄の普天間を引き受ける覚悟があるのか」との問いかけに対し、知事は「負担を軽減する覚悟はあります」とお答えになりました。この言葉からすると、明らかに府知事として発言されたものと理解していますが、確認しておくべき重要な事項だと判断しましたので、発言の真意について、知事から直接ご説明願います。
【知事答弁】
23日の討論会で発言しました立場については、政党の幹事長として出席をしているもの。ただ、政治家として発言したことは間違いありません。日本の安全保障は日米安全保障条約を基軸として、抑止力を維持するべきものであると考えていますが、沖縄の米軍の基地負担は日本全体で軽減していくものであると考えています。
私としては、沖縄の基地負担を総論賛成、各論反対という議論ではなく、そういう覚悟を示した政治が必要であるという主旨で発言をしました。
【再質問】
知事は政治家として、普天間基地を大阪に受け入れるという理解でよろしいですか。
【知事答弁】
米軍基地の場所を地方議会で議論することはないと思います。これは相手があることです。日米安全保障条約を基軸として日本の安全というものを考えていくべきもので、相手がある話ですので、この大阪府議会の場所で、我々がどこに基地がいいのだとか、そういう議論をすることは不適当だと思っております。
【まとめ】
我が会派も低迷する大阪を何とか元気にしたい、という思いは同じであります。松井知事におかれましては、大変厳しい財政運営をしなければなりませんが、是非、財政規律を堅持しつつ、将来世代に負担の先送りをしない府政運営に全力を傾注していただくことをお願い申し上げます。

関連サイト

page top